夏の七草
「夏の七草」には雑草とされ、畑や空き地などに育つもの、水辺で育つものの2組の種類がある。
雑草とされるものは1945年6月に日本学術振興会学術部、野生植物活用研究小委員会が定めた「食べられる7種の植物」
アカザ、イノコヅチ、ヒユ、スベリヒユ、シロツメクサ、ヒメジョオン、ツユクサの7種です。
この7種は、戦時中の焼け跡にも生える植物で、食糧の不足する中で食べられる植物として選ばれたものです。
アカザはアカザ科の一年草で、畑の縁や空き地などに多い代表的な夏の雑草です。
日本固有種で、秋田県及び宮城県以南の本州、四国、九州に分布するが、関東以北の太平洋側には少ない。
同じアカザ科のほうれん草と仲間でよく似た味がする。
シュウ酸を多く含むため生食には適さない。
多量に食べるのは避けたほうが良いとされる。
✪アカザの薬効
日本では生薬名はありませんが、中国では薬物名として藜(れい)と呼んでいます。
のどの痛みや整腸の民間薬として、アカザの全草が用いられるがシロザは薬用に用いない。
また、生薬の搾り汁は毒虫などに刺されたときに塗ると痛みが止まるとされ、歯痛に生葉の汁をガーゼに含んで噛んでいると良いと言われている。
腸、皮膚、歯肉の熱を冷ます薬草であるが、妊婦や胃腸が冷えやすい人への使用は禁物とされています。
イノコヅチはヒユ科イノコヅチ属の多年草
日の当たらない場所にも生え、庭や空き地に生育する。
茎は丸くなく角ばっている。
種子は動物の毛や人の衣服に付着して遠くまで運ばれる。
食べられるのは若い葉で、根を乾燥させたものは牛膝(ごしつ)という生薬として使われます。
ヒユはヒユ科双子葉植物の分類群(全草)
ヒユはインド原産の植物で、中国などでは野菜として畑で栽培され、葉を茹でると食用になります。
空き地や道端に育つ雑草ですが、ほとんど見かけることがない。
スベリヒユはスベリヒユ科の一年草(ハーブ)
道端や畑、空き地などに枝分かれして地面を這うように育つ植物。
乾燥に強く、強い太陽の光や高温にも負けずに育ち、小さな肉厚の葉っぱが特徴。
多肉植物でもあるスベリヒユは、日本全土だけでなく世界中の温暖から熱帯地域に分布している。
世界的にも古くから食用にされていて、様々な効能がある植物として扱われてきた。
「スベリ」とは、葉っぱや茎にツルツル滑るような光沢があることに由来する。
また、茹でるとヌルヌルと滑るような粘液が出るからとも言われています。
茎は赤紫色を帯び、夏に5弁の鮮やかな黄色の花を咲かせる。
✪スベリヒユの効能
中国医学では薬草として知られ、天然の抗生物質とも呼ばれています。
解熱、咳止め、止血、鎮痛、整腸、湿疹、虫刺され、皮膚炎、抗菌などに昔から使われてきた。
シロツメクサはマメ科の多年草
クローバーの名で知られる。
シロツメクサはヨーロッパ原産の植物で、牧草として利用される。
江戸時代にオランダからガラスの器や装飾品などの輸入品を運ぶ際に、割れないように草を乾燥させて詰めてあったことが「詰め草」の由来とされる。
花が白いことからシロツメクサの名がついた。
おひたし、和え物、汁の具、お団子などに利用される。
✪シロツメクサの効能
利尿、咳止め
✪ムラサキツメクサ
咳止め、肌荒れ、湿疹、かゆみ、アトピーなどの皮膚疾患
ヒメジョオン キク科ムカシヨモギ属
北アメリカ原産で明治の初めに渡来し、各地に広がった帰化植物
若芽は食用になるが、現在では代表的な雑草です。
よく似たものにハルジオンがありますが、茎が中空で蕾がうなだれるところが、ヒメジョオンとは異なっている。
✪ヒメジョオンの効能
糖尿病の予防やむくみを取る茶材として用いられる。
乾燥した花や葉を混ぜて1日約10gを適量の水で煎じて、お茶のように飲用する。
糖尿病の予防には乾燥した花を粉末にして、1日2gに服用する。
北米では全草を乾燥させて、煎じて利尿剤、結石の除去にも用いられている。
ツユクサはツユクサ科の一年草
朝早くに露に濡れながら花を咲かせるところからこの名が付いたとされる。
湿度の多い少し日当たりの良いところでは、色の濃いきれいな緑の葉が育ちます。
✪ツユクサの効能
開花期に全草を乾燥させたものが生薬鴨跖草(オウセキソウ)で、煎じたものが解熱、利尿、熱性下痢などに用いられる。
ツユクサは普通の野菜と同じような感覚で使っても大丈夫で、柔らかい葉や茎は生のままサラダにしたり、茹でて和え物やおひたし、煮浸しにしたり、さらに炒め物や酢の物、天ぷらなどで楽しめる。