緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2022/08/31

柑橘類の名前につく「ポン」の意味 No,598

 名前に“ポン”のつく柑橘類

ポンカンはインドのスンタラ地方が原産で、インド、ネパール、東南アジア、中国南部、台湾、日本で栽培されています。

日本には1896年(明治29年)に台湾総督に就いていた樺山資紀大将が、苗木を郷里の鹿児島に送って移植したのが最初だとされている。


✪樺山資紀(かばやますけのり)は日本の海軍軍人で政治家、鹿児島の生まれ(1837=天保8年〜1922=大正11年)

薩摩藩士、橋口与三次の三男として生まれ、1863年、樺山四郎左衛門の養子となった。

幼いときの名前を覚之進という。


         「樺山資紀」


日清戦争(1894〜1895)では、海軍軍令部長として戦場に行き、手柄を立て、翌年には海軍大将となる。


その後、初代台湾総督、内務大臣、文部大臣を歴任し、86歳でこの世を去った。


名前に「ポン」がつく柑橘類には数種があり、その由来もさまざまです。

『ポンカン』は英語ではポンカンオレンジと呼ばれ、漢字では[椪柑または凸柑]と書きます。


         「ポンカン」

ポンカンの「ポン」は、原産地のインドの地名「ポーナ=pona」に由来します。

『デコポン』という愛嬌のある名前の柑橘類は、1972年に生まれました。

元々、デコポンの正式な品種名は生産が始められた地方の熊本県の「不知火=しらぬい」という品名で、デコポンの名前は商標登録したものです。


デコポンの「デコ」は「おでこ」のことで、突き出た状態を表しています。


         「デコポン」

おでこがポンと出ているという意味ではなくデコポンの「ポン」はデコポンの片親であるポンカンの「ポン」という意味です。

もう一方の親品種は『清見オレンジ』です。

清見(きよみ)オレンジは、温州みかんと外国産のトロビタオレンジの交配によって誕生したもので、日本で育成、公表された最初の『タンゴール』です。

品種名の「清見」は育成地にある清見潟、清見寺に由来する。

ところによっては「清見タンゴール」と呼ばれることもある。

産地として知られる愛媛県や和歌山県が、全国の出荷量の8割弱を占めている。

✪清見潟とは、静岡県中部、静岡市清水の興津、清見寺門前の海岸を示す。

清見オレンジの片親である』『トロビタオレンジ』はネーブルから生まれたオレンジの仲間。

オレンジは遺伝的にみかんに近く、進化の途中でみかんから枝分かれしたとされる。

ネーブルオレンジの原産地はブラジルで、バイア地方に導入したセレクトオレンジの、枝変わりによりできたと言われています。

この種がアメリカに渡り、1870年、アメリカ農務省(ワシントン)で育成され、これがネーブルオレンジ品種群の元となったワシントンネーブルである。



『ポンジュース』という飲み物がありますが、ポンカンのジュースではありません。

みかんの産地である愛媛県で、みかん産業の発展のために1952年に発売された、果汁飲料がポンジュースです。

ニッポンイチ(日本一)のジュースになるようにと思いを込めて、当時の愛媛県の久松定武知事によって、ポンジュースと命名されたと言われています。

ポンと出てくるポンジュースならええなぁ~😅

また他にも「ポン」という名前が選ばれた理由として、フランス語のボンジュール(こんにちはの意味)の「ボン」の響きに似ているからとも言われています。


オランダ語で、柑橘類の果汁を「ポンス=pons」と言ったり、果樹栽培法を英語で「ポモロジー」ということも一因にあるとされています。

調味料には「ポン酢」がありますが、ポンカンやデコポンの「ポン」を使用して名前をつけたと思われ、ポン酢はポンカンの果汁から作られたものではありません。


ポン酢の語源はオランダ語のポンスであり、「ス」に日本語の「酢」を当てたものです。


ポルトガル語に由来する説もあるが、その場合でもポンに酢をつけたということです。

ポン酢は柑橘類の果汁という意味なので、ポンカンと関係があるわけではありません。


 「ポンカンの発祥地の記念碑熊本県不知火町」








2022/08/28

さつまいもの花 No,597

 さつまいもの花

日本でさつまいもの花が咲くのは沖縄県

沖縄県を除いて通常の条件下では開花しません。

さつまいもの花は熱帯、亜熱帯でよく開花結実する。

さつまいもの花は「短日性」で日照が短くならないと咲かない。

アサガオと同じヒルガオ科で花もよく似ている。


       「さつまいもの花」


◉短日性とは、1日の日照時間がある程度短くならないと反応を起こさないことで、さつまいもは日が出ている時間が短くならないと花を咲かせない。

夏の日照時間が長い日本では、なかなか花を咲かせないため見る機会も少ない。

中には花をつけやすい品種もある。


気温が高いまま、日照時間が短くなれば花が咲きやすくなる。

日本で栽培されているさつまいもでは、収穫の早い品種のシルクスィートや紅はるかなどが、花をつけやすいという可能性はあります。

花を咲かせる場合では、実がならない場合が多いとされる。

さつまいもは根が肥大して実になるが、土の中で実ができず子孫を残せなくなると、花を咲かせる場合があるとされる。


花が咲いても実が生っていれば問題はありません。

また、干ばつ気味やネズミに食害されたり、病気に侵された場合などの条件下で、花が咲きやすくなるようです。


✪短日植物類
アサガオ、キク、オナモミ、コスモス、イネなど

夜の時間が長くなる頃に、花をつける植物を短日植物という。







2022/08/26

さつまいもの変色 No,596

 実が黒く変色する


加熱後に実の部分が黒く変色するのは、さつまいものアクでるポリフェノールの一種「クロロゲン酸」が変色したものです。


クロロゲン酸はあくの成分なので食べると「えぐ味」を感じることがありますが、食べても問題はありません。

変色を防ぐ場合は、切ってから水に5〜15分ほど浸けておくことでアクが抜けて変色を防げます。


クロロゲン酸はアルカリ性に反応して緑色に変色する性質があります。







料理に使う重曹や天ぷら粉にも反応します。

また、塩にも弱アルカリ性のため、場合によっては反応することもあります。

寒さが苦手な野菜を、冷蔵庫などで保存したときに起こる低温障害で、さつまいもでは4〜5℃以下で起きます。

切った断面が全体的に黒っぽくなっている場合は、低温障害を起こしています。


食べても問題はありませんが、味は悪くなってしまいます。

保存温度に気をつけ、5〜18℃の間で保存することが理想的です。


さつまいものアク(灰汁)は「ヤラピン」やクロロゲン酸、タンニンと呼ばれる成分で、さつまいもを害虫から守るために存在しているものです。

アクは渋味を感じ、食感を悪くする原因となります。

調理の際にはアク抜きした方が調味料が浸透しやいという良い面があります。


◉ヤラピンとは、さつまいもを切ると断面から滲み出るミルク状の白い液体の事で、さつまいもにしか含まれていない。

胃の粘膜を保護したり、腸内のぜん動運動に働きかけ、便を柔らかくする効能があります。

さつまいもは食物繊維が多いから腸に良いというわけではありません。

ヤラピンという栄養素と食物繊維の相乗効果で、整腸作用が促されているのです。


    「滲み出る白い液体のヤラピン」


✪タンニンとは、植物の葉や実、種子、根などに含まれるポリフェノール化合物の一種で、口に入れると強い渋味を感じることが特徴です。







2022/08/24

さつまいもの長期保存 No,595

 キャアリング貯蔵


収穫後の土がついたままのさつまいもを、35℃湿度95%以上の環境に50時間置くことで、皮下組織にコルク層ができ、収穫時についた傷を自然治癒(キュア)します。

これをキャアリング処理といい、病原菌等の侵入を防ぎ、最適な水分や美味しさを閉じ込めます。

その後、一気に12℃まで温度を下げ、湿度85%で貯蔵することで、最高の状態を長時間保つことをキャアリング貯蔵といいます。

長時間貯蔵されたさつまいもは、デンプンが糖に変わり更に美味しさを増します。
★さつまいもは出荷するまでは土が付いたまま保存します。
洗って保存すると腐りやすくなり、保存期間を確保できない。



出荷時に洗って出荷するものと、土が付いたまま出荷するものがあります。

日持ちするのは土が付いたままのさつまいもですが、見た目の良さから洗ってあるものが売れる。

洗ったさつまいもは約2週間、土が付いたさつまいもは約1ヶ月〜2ヶ月が家庭で保存できる期間だと言われている。

保管の仕方で違いは出る。

10℃を下回る状態で保管すると腐り始めるとも言われている。


貯蔵温度が高いほどでんぷんは早く減少します。

しかし、一方でホクホク感がなくなり、腐りやすい状態にもなります。

さつまいもの表皮かを黒ずんでくると、鮮度が悪くなっている状態だと言えます。

そのようなさつまいもは出荷後、日持ちせず、箱の中で腐ってしまう事もある。





また、アク抜きのため水に浸けて置くと鮮度の良いものは、水が青紫色になるが、よくないと思われるさつまいもは黄土色になり、焼き芋後の日持ちも悪い。


購入時にさつまいもの表皮が赤黒く見えるものは、その後特に注意が必要である。

注意が必要なさつまいも

低温障害を起こして黒く変色してしまったさつまいも

黒斑病に侵されたさつまいも

悪い部分を切り取ったとしても、全体に病気に侵されていると考えた方が無難です。


白いカビ、青いカビが発生したさつまいも

皮の水分が抜けてシワシワな状態のさつまいも

触るとブヨブヨしたり、明らかに腐って臭いがするさつまいも










2022/08/22

植物はいつ生まれたのかな? No,594

 植物の誕生

植物も動物も、最初から今のような形のものが突然地球上に誕生したわけではありません。


最初の植物はいつ頃誕生したのでしょうか?

1番古い化石は、南アフリカのトランスヴァ―ルという所の、34億年前にできた岩から発見されたものです。

この岩の中から発見された小さな化石はかなり小さいものですが、植物が残したものであると考えられています。

当時の植物は、現在のような花や茎のあるものではなく、顕微鏡でなければ見えないような極小さな、細胞の1つからできている簡単な作りのものでした。

40億年ほど前の海の中に最初に誕生した生物は、細菌のような小さいものでした。


そしてそのおよそ10億年後、二酸化炭素と水を使って酸素と栄養を作り出すことのできる植物が現れました。

植物と言っても根があるわけではなく、海の中を漂っていました。

地球が誕生したのは今から46億年前で、人類が誕生したのは400万年ほど前で、恐竜が現れたのはおよそ2億年前と言われています。

それと比べると、植物がいかに古いものであるかが分かります。

◉関連ブログ記事
地球誕生での最初の地上植物は苔植物No,230


植物は裸子、被子、種子植物に分類されています。


真の種子を持った最初の『種子植物』はシダ種子類です。

この名称は、その葉がシダの葉と類似していたことによるものですが、必ずしも大葉シダ植物と近い系統関係にあるわけではありません。


種子植物の最古の化石証拠は、後期✪デボン紀からのもので、それは前裸子植物として知られるグループから進化したとされています。

✪デボン紀(泥盆紀)とは?
約4億1600万年前から約3万5920万年前までの時期を指し、デヴォン紀と記載されることもある。

デボン紀は様々な地層をもとに設定された、地質時代の区分の1つである。

◉裸子植物の生き残りは4種類

裸子植物の種子は適応的だったため、裸子植物は繁栄し、多様な形態を持った種類が生まれました。

しかし、現在まで生き残った裸子植物はソテツ類、イチョウ類、マツ類、グネツム類の4類だけとされる。

裸子植物が単系統であるか、側系統であるかについては、分子系統学が発達した今日でも両方の立場があり、答えが出ていない。


裸子植物は種子植物のうち胚珠(はいしゅ)が心皮によって包まれず、むき出しになっているものを指します。

✪胚珠(はいしゅ)とは、成長し種子となるもの

✪被子植物とは、胚珠が心皮に包まれて子房の中に収まったものを言う。

✪心皮(しんぴ)とは、元々葉に剥き出しで付いていた生殖細胞をその葉で包んで保護をするように進化した葉のことで、一般に花葉(かよう)と総称される葉の変形のひとつ。

心皮が子房を作り、内部の胚珠を包み、種子が成熟するに連れて成長し果皮となる。

大胞子葉ともいう。


     「シダの胞子葉=ほうしよう」


✪グネツム類

グネツム類はグネツム属、マオウ属、ウェルウィッチア属の3属からなる小さな植物群です。


ウェルウィッチアはナンビアのナミブ砂漠にだけ生育しています。


       「ウェルウィッチア」

日本名はキソウテンガイ=奇想天外という。

単子葉植物に似た平行脈(平行して走る葉脈、対生)を持つ葉が2枚しかない。


✪グネツム属

グネツム科の唯一の属で、被子植物かをひしめく熱帯で被子植物のような姿で生育している。

西アフリカに2種、中央、南アフリカ大陸に7種、東南アジアに28種の合計37種ほどが分布する。


        「グネツム属」


かつては被子植物に近縁とも考えられたが、現在では被子植物とは異なり、他の裸子植物と共通の系統に入ると考えられています。

最近では、球果植物の系統に入り、マツ科に近縁と考える説もある。


✪マオウ属

マオウ科に属する唯一の属で、常緑低木でユーラシア(中国からヨーロッパの地中海沿岸)北アフリカ、南北アメリカ大陸の乾燥地に50種類が分布しているが、日本には自生しない裸子植物である。


         「マオウ属」

地上部の茎を薬用とし、草麻黄、中麻黄、木賊麻黄等の種類の生薬がある。

マオウに似た植物はトクサ科のトクサ、シダ植物で同じ科にはスギナがある。

野原や道端、畑などに多く生える野草、雑草



          「トクサ」







2022/08/20

ドリアンで失神? ある?No,593

 世界一臭い果物 ドリアン

アオイ科ドリアン属 No,593記念オー臭


ドリアンはデュリウムと呼ばれる木で育ち東南アジア全体で見られます。



マレーシア、インドネシア、ブルネイ原産で主要な生産地です。

現在、生産量が最も多いのはタイの東、南部で栽培されています。

日本で販売されているもののほとんどがタイ産です。


果実は1〜5㎏と大きく、果皮に複数のトゲがあります。






かつて王様が精力を保つためにこの果物を食べていたことから「王様の果物」と言われており、転じて「果物の王様」と呼ばれるようになったとされる。


学名は「ドゥリオジベティヌス」で麝香(じゃこう)の香りを持つトゲという意味です。


麝香は良い香りの象徴とされますが、ドリアンの香りは「玉ねぎの腐ったような強烈な匂い」や「都市ガスの臭さ」などとさまざまに形容される、とにかく強烈に臭いと言う事で、鼻をつまんで食べている姿を報道で観ることがあります。


そのために「悪魔のフルーツ」「フルーツの魔王」「禁断の果物」とも呼ばれています。

匂いがとても強いので多くの空港、ホテル、公共交通機関では禁止された果物です。


しかし、匂いを気にする人も気にしない人もその果実を一度食べたら皆、病みつきになると言われています。



ドリアンでまさかの失神?

猫が匂いを嗅いでみたら、、、そのまま後ろにパタリ!

気絶しちゃった〜!

ドリアン臭恐るべし……。

記憶も飛ぶらしい?

熟してなければよかったのにねと思うなかれ、この果実は、皮が無傷で未開封であっても、多くの人が耐えられないほど強力な悪臭を放っています。

遠くからでも匂いがします。

この果物は様々な化学物質の混合物であることから、強い匂いを発生されるため非常に匂いがします。