緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2022/09/06

品種登録された植物の栽培、繁殖の注意点 No,602

 植物を殖やす前に注意すること

園芸の楽しみ方は色々ですが、その中のひとつとし、
植物を殖やすことを楽しむ人も多いことでしょう。

高度な技術を持つ園芸愛好家であるなら、ある品種とある品種を掛け合せて、新しい形や色の花や葉をつける品種を、作り出す楽しみ方もあると思います。

また、殖やした植物をフリーマーケットで売ったり、道の駅で売るといった人もいるようです。

そんな楽しいことが一歩間違えば、知らずしらずに法律違反をしてしまう可能性があります。


◉種苗法

販売されている園芸植物の中には「登録品種」という種苗法に護られている品種があります。


この法律は、園芸業界が発展するよう定められたものです。

新しく作られた品種を保護することで、新品種の育成を活発化させ、それらの新種苗が適正に流通されるようにしているのです。


つまり、発明特許のような扱いです。

自分が作ったオリジナルの植物品種を「勝手に殖やされて世の中に広く流通しないように」育成者に配慮されている法律なのです。


作り手である育成者は、新しい植物の品種を作り出すと、農林水産省に行って、「この花を作ったのは自分なので、許可なく殖やしてはいけない」とするための品種登録を行います。


登録が認められた品種は、育成者が作り出したものであると主張できるので、育成者は登録品種の栽培、繁殖について許可を下す権利を得ます。

よって、育成者の許可を得ないと殖やすことができないので、植物が登録品種なのかどうかを把握しながら、栽培する必要があります。

殖やして人にあげた植物が、「法律違反になる品種」だったということが起きるかもしれません。

ただし、自分でオリジナルの品種を作ろうとする場合には、登録品種とそうでない品種を「かけ合わせる時」には、使用しても問題ないとされています。


✪品種登録の期限

育種者権の存続期間は、登録日から25年又は30年とされています。

ただし、存続期間内であっても定められた期間内に、各年分の登録料が納付されない場合や、品種登録の要件を満たしていなかったことが判明した場合、品種登録後に植物体の特性が保持されていない場合には、品種登録が取り消されます。


◉登録品種を見分ける方法

ラベルや種子袋をよく見ると、「農林水産省種苗発録(品種登録申請番号)第⚪⚪号」や「品種登録出願中、または準備中」などの記載がされています。






記載がなければ登録品種ではないということになります。

また、登録品種であることが分かりやすいマークがあります。

登録品種表示マーク(PVPマーク)と言うものです。

PVPとは、Plant Variety Protectionの略で、植物品種保護という意味です。




このマークはこれまでに、法律によって使用を義務付けされていませんでしたが、令和3年4月1日より、登録品種であることの表示が義務化され、これに伴い、これまで植物品種保護戦略フォーラムで推進してきた、「PVPマーク」が登録品種の義務表示の選択肢として利用できることになりました。

PVPマークは登録品種であることを示すマークになりますが、「登録出願中」の品種には使用できなくなるので注意が必要です。


✪令和4年4月1日から出願料が1,4000円になりました。

❉PVPマークの使用に関する情報は農林水産省のサイトへ

参考ホームページURL

(令和4年4月1日以後のホームページ)

農林水産省品種登録ホームページ

http://www.ninshu2.maff.go.jp








2022/09/04

ベリー類の魅力 No,601

 いろんなベリーを育てるために

ベリーとは多肉多汁で、食用としても利用される小さな果実の総称です。

代表的なものには、よく知られるブルーベリーやラズベリーがありますが、他にもグーズベリー(スグリ)、マルベリー(クワ)、ハスカップ、グランベリー、カシスなどがあります。

名前に「ベリー」とつくと同じ仲間のように思われますが、それぞれ違う分類群に属しています。


ブルーベリーはツツジ科スノキ属、ラズベリーはバラ科キイチゴ属になります。

小低木で育てやすいところがベリー類の魅力であり、鉢植え栽培にも適し、またベランダでも栽培が可能であることも親しまれる理由です。

場所によっては無農薬栽培が可能であり、安心して食べることもできます。

ジャムやフルーツソースなどに加工し、さまざまなデザートに利用できます。


完熟した果実は抗酸化作用があるので、成人病予防などに効果があるとされます。

アントシアニン色素などのポリフェノールが多く含ませていることから「健康食品」としても魅力あるものの一つです。


✿ブルーベリー

ブルーベリーは北海道から九州まで100種類以上の品種が栽培され、ハイブッシュ系とラビットアイ系の2つの系統に大きく分類されていましたが、現在では種類も約200〜300品種に増え、ハイブッシュ系が2つに分かれた事で、ラビットアイ系、サザンハイブッシュ系、ノーザンハイブッシュ系の3系統になった。


栽培地の目安として関東以北の方はハイブッシュ系、関東以南の方はラビットアイ系やサザン、ハイブッシュ系が適しています。

①ラビットアイはやや小粒だが実付きがよく多収穫

②サザンハイブッシュはやや小粒で甘味が豊か

③ノーザンハイブッシュは大粒で酸味と甘味のバランスが良い

ブルーベリーを収穫するなら2品種植えないと、実を収穫できなかったり、収穫量がかなり減ったりします。

特に、ラビットアイ系のブルーベリーは自家受粉できないので、1品種だけを栽培しても結実しません。


一般的に、ハイブッシュブルーベリーは早生(わせ)の品種が多く、食味がよく、大粒の果実を収穫することができます。

一方、ラビットアイブラックベリーは、樹勢が強く、晩生(おくて=遅く成熟する品種)のものが多く、やや果実が小さいのですが、アントシアニンなどのポリフェノールが豊富に含まれています。


     「ブルーベリーの花」

✪苗の植え付け

秋から早春にかけて苗を購入することができます。

枝が太く、枝の艶が良いものを選ぶと良いでしょう。

初めてブルーベリーを植える方は、冷涼な地域では北部ハイブッシュブルーベリー、九州のような温暖な地域では、ラビットアイブルーベリーを選ぶと良いでしょう。

植え付けは他の落葉果樹と同じく、芽や根の成長が止まっている休眠期に行うが、1月から2月の極寒期での植え付けは避けます。

日当たりと水はけの良いところを選び、用土は排水性、水持ちの良い酸性土壌を使用します。

特に、酸度未調整のピートモスをたくさん入れるとよく育ちます。

庭植えは直径50cm、深さ30cm程度の植え穴を掘り、掘り上げた土3、吸水させたビートモス5、赤玉土小粒2の割合で混合して使用します。

苗はポットから抜き、根鉢をしっかり崩します。

この作業を行わないと根鉢から新しい根が出ません。

吸水させたピートモスで根を包むようにして、植え穴に入れ、混合した土を埋め戻します。

植え付け後は、苗が倒れないように支柱を立てて固定し、水をたっぷり与えます。

最後に元肥として、油かすなどの有機質固形肥料を一株当たり3〜4個置く、または化成肥料50g程度を与えます。


✪🚰水やり、施肥

庭植えは、定植した年の4月から9月までは週2回程度、それ以降は表面の土が乾いたら水やりを行います。

ブルーベリーは、一度水を切らすとなかなか回復しないので、夏の水管理は特に注意する必要があります。

株元にバークチップやもみ殻、ワラなどを敷くなどして、乾燥を防ぐためのマルチングを行う。

肥料は萌芽が始まる前の3月までに、元肥として有機肥料を与えます。

5月から6月には実肥(みごえ)として与え、9月から10月にはお礼肥えとして化学肥料を施します。

肥料散布は株元ではなく、樹の枝の広がりよりも広く周りに施しましょう。

✪病害虫

病気では開花期に花房にカビが発生する灰色かび病があります。

市販の殺菌剤などを散布して防除します。

害虫は春から初夏にかけてアブラムシやイラガが発生するので、適期に殺虫剤を散布し駆除します。

土の中ではコガネムシの幼虫が根を食害し、成虫は若木の葉を食害します。

成虫は動きが鈍い早朝に見つけ次第捕殺します。

成虫の発生期には、株を防虫ネットで覆い産卵を防ぎましょう。


❉ブルーベリー関連記事ブルーベリーの話 No,559



✿ラズベリー、ブラックベリー、デューベリー(キイチゴ=木苺)バラ科キイチゴ属

ヨーロッパと北アメリカ原産のラズベリー、北アメリカ原産のブラックベリー、デューベリーから改良された3種類があります。

低木性の果樹で種類が多く、日本では山野に自生しているものもある。

栽培されるのは輸入種のラズベリー、ブラックベリー、デューベリーの3種で、種類によって適温が違い、ラズベリーは耐寒性が強く、夏も涼しい気候を好みます。

ブラックベリー、デューベリーはやや耐寒性に劣りますが、関東地方までなら庭植えで十分育ちます。


国内でのラズベリー栽培が冷涼な東北地方などの一部で見られますが、殆どは家庭果樹として親しまれています。

多彩な色の果実があり、ジャムやフルーツソース、ケーキの彩りなど、多様な加工食品に利用されます。

西日本のような温暖な地域では、ブラックベリーが適しています。


    「ラズベリーの花」

✪苗の植え付け

苗は秋から早春にかけて購入することができます。

苗木は株分けや挿し木で殖やした1年から2年苗が殆どで、茎が太く根がしっかりポット内に張っているものを選ぶと良いでしょう。

植え付けの適期はブルーベリーと同じく休眠期に行いますが、極寒期の1月から2月は避け、3月ぐらいに行います。

暖地では秋植えでも根の活着がよく、9月から11月にも植えることができます。

日当たりがよく水はけの良いところが適していますが、暖地では半日陰程度の場所の方が良いでしょう。

❉植え付け時に根を乾かさないように注意しましょう。

ラズベリーを庭植えする場合は、直径40cm、深さ30cm程度の植え穴を掘り、掘り上げた土を5として、腐葉土3、赤玉土小粒1、堆肥1の割合でよく混合します。

掘った穴に混合土を3分の2程度まで埋め戻し、浅めに苗を植え付けます。

枝の3分の1程度を切り戻し、支柱を立て苗木を固定します。

元肥として化成肥料50g程度を置いて出来上です。


✪🚰水やりと施肥

庭植えの場合は、土の表面が乾いている場合に行う程度で、最初に十分水やりをしていれば問題ありません。

肥料は萌芽が始まる前の3月までに元肥として、化成肥料を一株当たり50g程度与え、5月から6月と8月から9月には追肥として、一株当たり25g程度を施します。

✪せん定

ラズベリーは他の果樹とは異なる習性を持っているので、せん定には注意が必要とされます。

ラズベリーの花芽は「混合花芽」といって、ブドウのように1つの芽の中に葉芽と花芽の両方を持っています。

一般的な花芽分化期は、「一季なり性」で7月上旬から中旬と言われています。

ラズベリーには一季なり性と二季なり性があり、一季なり性種は春に、地下茎から出てくるサッカーや株元から発生するシュートのような一年枝が伸長して、冬期の低温に遭った後に2年枝(結果母枝)となって、翌春に2年枝の芽から伸長する、結果枝の先端に果実が着きます。

この2年枝と結果枝は結実後、冬までに枯死してしまいます。

一方、「二季なり性」は、2年枝から発生した結果枝の先端に果実(春果)が着きます。

ラズベリーのせん定は1月から2月に行い、果実をつけたすべての枝をもとから切り取ります。

枯れこんで枝が灰色になっているので識別はしやすい。

秋に果実がついた枝には、翌年に果実が着くので切り取らずに残します。

残す2年枝を決めて、枯れた部分があれば切り取ります。

側枝は1〜2芽を残して切り詰めますが、周辺の広さが十分ある場合は、2芽以上残しても良いでしょう。

側枝を切り詰めるのは春に結果枝が30cm以上伸びるので、株全体のバランスを取るために行います。


   「ブラックベリーの花」


せん定後は、実が生ったときの姿を考えながら支柱やトレリス(格子垣)などに誘引します。

実が着くと枝が重くなるので、しっかり固定します。

また、ラズベリーやブラックベリーには匍匐性(這う)の種類(ポイセンベリーやマートンソーンレス)もあり、特に仕立てやすい。

壁の上から垂らしたり、ハンギングバスケットやトレリスを利用したり、個性的な栽培方法も楽しむことができる。


✪病害虫

キイチゴの仲間は病害虫がつきにくいとされるが、地域によってはマメコガネ成虫による葉の食害や、ダニ類が発生するのでなるべく捕殺や除去を行う。

風通しが悪く、温度が高いところでは灰色カビ病が発生するので、夏期せん定を行い、樹幹内に日光が当たるように風通しを良くすることが予防となる。

3月の発芽前に、石灰硫黄合剤20倍液を散布して病害予防を行います。









2022/09/03

地球上に酸素を作り最も長く生きてる生物 No,600

 地球上に最初に酸素を生み出した生物

シアノバクテリア 藍藻(らんそう)細菌
No.600記念記事

約35億年前の地球の大気は96%が二酸化炭素で、酸素はありませんでした。

地球のはじめは水蒸気と二酸化炭素というガスに覆われていました。

海の中に溶けた二酸化炭素と太陽の光から、酸素を生み出したのは『シアノバクテリア』と呼ばれる細菌です。



  「緑色に粘ったようなシアノバクテリア」



シアノバクテリアは、酸素発生を伴う光合成(酸素発生型光合成)を行う細菌の一群である。

藍藻(らんそう)は系統的には細菌類に属する『原核生物』であるが、歴史的には「植物」に分類されていました。

『原核生物』とは、前核生物、原生核生物ともいう。

細菌および藍藻に代表される生物のことで、染色体はDNA分子がほとんど裸のまま、細胞のほぼ中央部にあるが、核膜(細胞核)はなく、構造的に細胞質から区別できない。

原核生物はすべて単細胞で、原核菌類と藍藻植物が含まれ、34億年前の藍藻の化石が発見されており、生物の進化では最も古い生物であると考えられています。

また、ミトコンドリアなどの構造体がありません。

シアノバクテリアは藻類に分類されていたことから、国際細菌命名規約ではなく、国際藻類、菌類、植物命名規約に基づき分類されてきました。

約30億年前に地球上に大量発生したシアノバクテリアにより、大量の酸素が供給され、現在の地球環境が形成されたと考えられています。


現在でも海、川、湖沼、氷河にまで、地球上の至るところに分布する。

地球上で最も長く生き続けている生物なのである。


植物がなくなったら地球はどうなるの?

今の時代ですでに地球上から酸素がなくなってしまう、豊富である状態は約10億年であると明らかにされています。


植物は人をはじめとした動物の食料となり、命を繋ぐために欠かせない存在です。

植物は食物連鎖の中では動物より下位に位置づけられます。

そのため、植物の量が減少してしまうと動物が生てく上で影響がでます。

植物の減少に伴って酸素の供給量も当然減るので、そのような状態になれば、その影響は計り知れない事になるでしょう。

森林の木がなくなれば、そこに生きてる多くの動物や昆虫などの餌がなくなるため絶滅し、光の弱いところでしか生育できないシダやコケなどの植物も全滅することになります。


海岸沿いに生育するマングローブの林もなくなれば、そこで生きている魚たちの居場所も失ってしまいます。

海への栄養源も途絶える事になり、海洋生物への影響も当然起きてくることになります。

生物や植物が生きるために必要な自然環境が破壊され、なくなってしまうことは、人類への生命線もなくなってしまうということに繋がっているのです。

小さな、小さなバクテリアによって生物も、動物も生きられる地球がうまれ、そのはじめを作ったバクテリアは今も尚行き続けていることは奇跡以上かも知れません。

人類ができることは自然環境をできるだけ保護すること以外ありません。


地球全体の水や空気がきれいな状態で保てるのも、植物たちの力であることは紛れもない事実です。







2022/09/02

戦後も生き続ける戦災樹木たち No,599

 巨樹が問いかける戦争と平和

第二次世界大戦中、100万本以上の巨木が一年くらいの間に伐採され、木造船などに使われた。


戦争が多くの巨木を切り倒したのである!


空襲の惨禍を潜り抜け、その傷痕を今も伝える「戦災樹木」が東京の各地に存在している。

樹齢500〜600年と推定されるその樹は、約10万人が犠牲になった1945年(昭和20年)3月10日の東京大空襲による火災で焼け、黒い焦げ痕を今も見ることができる。


     「飛木稲荷神社のイチョウ」

所在地=墨田区押上2丁目39-6

東京都墨田区の飛木(とびき)稲荷神社境内に立っている天然記念物のイチョウの木である。

物言わぬ戦争の生き証人である。


当時、自宅近くの空き地に避難していた田中稔さんは、イチョウの木が炎に包まれる様子を鮮明に覚えていました。

最初は神社の社務所の裏から燃え始め、それから本殿、神楽殿と燃え広がり、そのうちご神木のイチョウにも火が移って、葉がない落葉期だったので燃えやすく、すぐに燃え上がったと言う。

焼け焦げてしまったイチョウの木は、数年後には新しい芽を出し、そして今も同じ場所に立ち続けている。

大田区の新田神社にあるご神木のケヤキは、幹の表面が大きく裂け、焼け焦げた痕が見られるが、今も生き続けるその生命力ある樹に触ると、ご利益が得られるとされ、パワースポットとして地域の人から親しまれています。


       「新田神社のケヤキ」

所在地=東京都大田区矢口1丁目21


東京大空襲などの空襲で被害を受けた「戦災樹木」は東京23区にどれだけ残っているのか調査され、202本在ることがわかりました。

一方で、判断できない樹木も多く存在します。

空襲によって焼失した地域と重なるように点在し、被害が甚大だった下町一帯で、その数は多く見つかっている。

湯島聖堂や上野公園、富岡八幡宮など、大規模な緑地がある場所にまとまって存在している事も確認されました。

戦後、長い時が流れ、町並みも大きく様変わりした東京で、200本以上の樹木が残っていたのです。

なかには、戦災樹木としての証言が得られなかった樹木も150本にものぼっているが、判断できぬまま伐採される樹木もある。


戦災樹木は、当時何があったかを今に伝える身近な存在でもある。

調査と保護がますます必要となっているのではないだろうか。

しかし、文化や芸術に乏しい傾向のある日本では、確実に護られていくという確証はないかも知れません。


広島、長崎市では原爆で被爆した樹木の保全が進んでいる。


広島市は1996年度から、被爆樹木の登録制度を開始し、爆心地からおよそ半径2キロ以内で、被爆樹木約160本を被爆樹木として登録し、定期的に樹勢を観察、調査を行っています。

被爆して今も生き続ける「アオギリ」という落葉樹が、広島平和記念公園の一角に存在しています。


       「被爆樹木、アオギリ」

所在地=広島市中区中島町1-2
広島平和記念公園


平和記念公園は戦前からある公園ではなく、戦後新たに作られた公園で、幕末から明治、大正にかけてこの場所は繁華街であったと言われています。


長崎市には今も生き続ける「被爆樹木」が存在する。

1945年8月9日に投下された原子爆弾で被爆し、今尚その場所に立ち続けているクスノキ


       「山王神社の大クス」

所在地=長崎市坂本2丁目6

長崎クスノキプロジェクトは、長崎の「被爆樹木」の保全、保護を行っています。


長崎市では46本の樹に年一回の健康診断を実施している。
被爆樹木の所有者に保存整備費を補助する制度がある。

個人所有の樹木にも被爆した樹木を紹介する表示板を設けています。

将来に渡り、被爆の悲惨さを伝え続ける貴重な遺構として大切に保存すべきだと、被爆樹木の保全の意義を唱えています。


空襲や原爆の傷痕を残す樹木は、戦後の「生き証人」としてこれからも戦争とはなにか?真の平和とは何であるかを問いかけ続けることだろう。









2022/08/31

柑橘類の名前につく「ポン」の意味 No,598

 名前に“ポン”のつく柑橘類

ポンカンはインドのスンタラ地方が原産で、インド、ネパール、東南アジア、中国南部、台湾、日本で栽培されています。

日本には1896年(明治29年)に台湾総督に就いていた樺山資紀大将が、苗木を郷里の鹿児島に送って移植したのが最初だとされている。


✪樺山資紀(かばやますけのり)は日本の海軍軍人で政治家、鹿児島の生まれ(1837=天保8年〜1922=大正11年)

薩摩藩士、橋口与三次の三男として生まれ、1863年、樺山四郎左衛門の養子となった。

幼いときの名前を覚之進という。


         「樺山資紀」


日清戦争(1894〜1895)では、海軍軍令部長として戦場に行き、手柄を立て、翌年には海軍大将となる。


その後、初代台湾総督、内務大臣、文部大臣を歴任し、86歳でこの世を去った。


名前に「ポン」がつく柑橘類には数種があり、その由来もさまざまです。

『ポンカン』は英語ではポンカンオレンジと呼ばれ、漢字では[椪柑または凸柑]と書きます。


         「ポンカン」

ポンカンの「ポン」は、原産地のインドの地名「ポーナ=pona」に由来します。

『デコポン』という愛嬌のある名前の柑橘類は、1972年に生まれました。

元々、デコポンの正式な品種名は生産が始められた地方の熊本県の「不知火=しらぬい」という品名で、デコポンの名前は商標登録したものです。


デコポンの「デコ」は「おでこ」のことで、突き出た状態を表しています。


         「デコポン」

おでこがポンと出ているという意味ではなくデコポンの「ポン」はデコポンの片親であるポンカンの「ポン」という意味です。

もう一方の親品種は『清見オレンジ』です。

清見(きよみ)オレンジは、温州みかんと外国産のトロビタオレンジの交配によって誕生したもので、日本で育成、公表された最初の『タンゴール』です。

品種名の「清見」は育成地にある清見潟、清見寺に由来する。

ところによっては「清見タンゴール」と呼ばれることもある。

産地として知られる愛媛県や和歌山県が、全国の出荷量の8割弱を占めている。

✪清見潟とは、静岡県中部、静岡市清水の興津、清見寺門前の海岸を示す。

清見オレンジの片親である』『トロビタオレンジ』はネーブルから生まれたオレンジの仲間。

オレンジは遺伝的にみかんに近く、進化の途中でみかんから枝分かれしたとされる。

ネーブルオレンジの原産地はブラジルで、バイア地方に導入したセレクトオレンジの、枝変わりによりできたと言われています。

この種がアメリカに渡り、1870年、アメリカ農務省(ワシントン)で育成され、これがネーブルオレンジ品種群の元となったワシントンネーブルである。



『ポンジュース』という飲み物がありますが、ポンカンのジュースではありません。

みかんの産地である愛媛県で、みかん産業の発展のために1952年に発売された、果汁飲料がポンジュースです。

ニッポンイチ(日本一)のジュースになるようにと思いを込めて、当時の愛媛県の久松定武知事によって、ポンジュースと命名されたと言われています。

ポンと出てくるポンジュースならええなぁ~😅

また他にも「ポン」という名前が選ばれた理由として、フランス語のボンジュール(こんにちはの意味)の「ボン」の響きに似ているからとも言われています。


オランダ語で、柑橘類の果汁を「ポンス=pons」と言ったり、果樹栽培法を英語で「ポモロジー」ということも一因にあるとされています。

調味料には「ポン酢」がありますが、ポンカンやデコポンの「ポン」を使用して名前をつけたと思われ、ポン酢はポンカンの果汁から作られたものではありません。


ポン酢の語源はオランダ語のポンスであり、「ス」に日本語の「酢」を当てたものです。


ポルトガル語に由来する説もあるが、その場合でもポンに酢をつけたということです。

ポン酢は柑橘類の果汁という意味なので、ポンカンと関係があるわけではありません。


 「ポンカンの発祥地の記念碑熊本県不知火町」








2022/08/28

さつまいもの花 No,597

 さつまいもの花

日本でさつまいもの花が咲くのは沖縄県

沖縄県を除いて通常の条件下では開花しません。

さつまいもの花は熱帯、亜熱帯でよく開花結実する。

さつまいもの花は「短日性」で日照が短くならないと咲かない。

アサガオと同じヒルガオ科で花もよく似ている。


       「さつまいもの花」


◉短日性とは、1日の日照時間がある程度短くならないと反応を起こさないことで、さつまいもは日が出ている時間が短くならないと花を咲かせない。

夏の日照時間が長い日本では、なかなか花を咲かせないため見る機会も少ない。

中には花をつけやすい品種もある。


気温が高いまま、日照時間が短くなれば花が咲きやすくなる。

日本で栽培されているさつまいもでは、収穫の早い品種のシルクスィートや紅はるかなどが、花をつけやすいという可能性はあります。

花を咲かせる場合では、実がならない場合が多いとされる。

さつまいもは根が肥大して実になるが、土の中で実ができず子孫を残せなくなると、花を咲かせる場合があるとされる。


花が咲いても実が生っていれば問題はありません。

また、干ばつ気味やネズミに食害されたり、病気に侵された場合などの条件下で、花が咲きやすくなるようです。


✪短日植物類
アサガオ、キク、オナモミ、コスモス、イネなど

夜の時間が長くなる頃に、花をつける植物を短日植物という。