緑のお医者の徒然植物記

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2022/09/04

ベリー類の魅力 No,601

 いろんなベリーを育てるために

ベリーとは多肉多汁で、食用としても利用される小さな果実の総称です。

代表的なものには、よく知られるブルーベリーやラズベリーがありますが、他にもグーズベリー(スグリ)、マルベリー(クワ)、ハスカップ、グランベリー、カシスなどがあります。

名前に「ベリー」とつくと同じ仲間のように思われますが、それぞれ違う分類群に属しています。


ブルーベリーはツツジ科スノキ属、ラズベリーはバラ科キイチゴ属になります。

小低木で育てやすいところがベリー類の魅力であり、鉢植え栽培にも適し、またベランダでも栽培が可能であることも親しまれる理由です。

場所によっては無農薬栽培が可能であり、安心して食べることもできます。

ジャムやフルーツソースなどに加工し、さまざまなデザートに利用できます。


完熟した果実は抗酸化作用があるので、成人病予防などに効果があるとされます。

アントシアニン色素などのポリフェノールが多く含ませていることから「健康食品」としても魅力あるものの一つです。


✿ブルーベリー

ブルーベリーは北海道から九州まで100種類以上の品種が栽培され、ハイブッシュ系とラビットアイ系の2つの系統に大きく分類されていましたが、現在では種類も約200〜300品種に増え、ハイブッシュ系が2つに分かれた事で、ラビットアイ系、サザンハイブッシュ系、ノーザンハイブッシュ系の3系統になった。


栽培地の目安として関東以北の方はハイブッシュ系、関東以南の方はラビットアイ系やサザン、ハイブッシュ系が適しています。

①ラビットアイはやや小粒だが実付きがよく多収穫

②サザンハイブッシュはやや小粒で甘味が豊か

③ノーザンハイブッシュは大粒で酸味と甘味のバランスが良い

ブルーベリーを収穫するなら2品種植えないと、実を収穫できなかったり、収穫量がかなり減ったりします。

特に、ラビットアイ系のブルーベリーは自家受粉できないので、1品種だけを栽培しても結実しません。


一般的に、ハイブッシュブルーベリーは早生(わせ)の品種が多く、食味がよく、大粒の果実を収穫することができます。

一方、ラビットアイブラックベリーは、樹勢が強く、晩生(おくて=遅く成熟する品種)のものが多く、やや果実が小さいのですが、アントシアニンなどのポリフェノールが豊富に含まれています。


     「ブルーベリーの花」

✪苗の植え付け

秋から早春にかけて苗を購入することができます。

枝が太く、枝の艶が良いものを選ぶと良いでしょう。

初めてブルーベリーを植える方は、冷涼な地域では北部ハイブッシュブルーベリー、九州のような温暖な地域では、ラビットアイブルーベリーを選ぶと良いでしょう。

植え付けは他の落葉果樹と同じく、芽や根の成長が止まっている休眠期に行うが、1月から2月の極寒期での植え付けは避けます。

日当たりと水はけの良いところを選び、用土は排水性、水持ちの良い酸性土壌を使用します。

特に、酸度未調整のピートモスをたくさん入れるとよく育ちます。

庭植えは直径50cm、深さ30cm程度の植え穴を掘り、掘り上げた土3、吸水させたビートモス5、赤玉土小粒2の割合で混合して使用します。

苗はポットから抜き、根鉢をしっかり崩します。

この作業を行わないと根鉢から新しい根が出ません。

吸水させたピートモスで根を包むようにして、植え穴に入れ、混合した土を埋め戻します。

植え付け後は、苗が倒れないように支柱を立てて固定し、水をたっぷり与えます。

最後に元肥として、油かすなどの有機質固形肥料を一株当たり3〜4個置く、または化成肥料50g程度を与えます。


✪🚰水やり、施肥

庭植えは、定植した年の4月から9月までは週2回程度、それ以降は表面の土が乾いたら水やりを行います。

ブルーベリーは、一度水を切らすとなかなか回復しないので、夏の水管理は特に注意する必要があります。

株元にバークチップやもみ殻、ワラなどを敷くなどして、乾燥を防ぐためのマルチングを行う。

肥料は萌芽が始まる前の3月までに、元肥として有機肥料を与えます。

5月から6月には実肥(みごえ)として与え、9月から10月にはお礼肥えとして化学肥料を施します。

肥料散布は株元ではなく、樹の枝の広がりよりも広く周りに施しましょう。

✪病害虫

病気では開花期に花房にカビが発生する灰色かび病があります。

市販の殺菌剤などを散布して防除します。

害虫は春から初夏にかけてアブラムシやイラガが発生するので、適期に殺虫剤を散布し駆除します。

土の中ではコガネムシの幼虫が根を食害し、成虫は若木の葉を食害します。

成虫は動きが鈍い早朝に見つけ次第捕殺します。

成虫の発生期には、株を防虫ネットで覆い産卵を防ぎましょう。


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✿ラズベリー、ブラックベリー、デューベリー(キイチゴ=木苺)バラ科キイチゴ属

ヨーロッパと北アメリカ原産のラズベリー、北アメリカ原産のブラックベリー、デューベリーから改良された3種類があります。

低木性の果樹で種類が多く、日本では山野に自生しているものもある。

栽培されるのは輸入種のラズベリー、ブラックベリー、デューベリーの3種で、種類によって適温が違い、ラズベリーは耐寒性が強く、夏も涼しい気候を好みます。

ブラックベリー、デューベリーはやや耐寒性に劣りますが、関東地方までなら庭植えで十分育ちます。


国内でのラズベリー栽培が冷涼な東北地方などの一部で見られますが、殆どは家庭果樹として親しまれています。

多彩な色の果実があり、ジャムやフルーツソース、ケーキの彩りなど、多様な加工食品に利用されます。

西日本のような温暖な地域では、ブラックベリーが適しています。


    「ラズベリーの花」

✪苗の植え付け

苗は秋から早春にかけて購入することができます。

苗木は株分けや挿し木で殖やした1年から2年苗が殆どで、茎が太く根がしっかりポット内に張っているものを選ぶと良いでしょう。

植え付けの適期はブルーベリーと同じく休眠期に行いますが、極寒期の1月から2月は避け、3月ぐらいに行います。

暖地では秋植えでも根の活着がよく、9月から11月にも植えることができます。

日当たりがよく水はけの良いところが適していますが、暖地では半日陰程度の場所の方が良いでしょう。

❉植え付け時に根を乾かさないように注意しましょう。

ラズベリーを庭植えする場合は、直径40cm、深さ30cm程度の植え穴を掘り、掘り上げた土を5として、腐葉土3、赤玉土小粒1、堆肥1の割合でよく混合します。

掘った穴に混合土を3分の2程度まで埋め戻し、浅めに苗を植え付けます。

枝の3分の1程度を切り戻し、支柱を立て苗木を固定します。

元肥として化成肥料50g程度を置いて出来上です。


✪🚰水やりと施肥

庭植えの場合は、土の表面が乾いている場合に行う程度で、最初に十分水やりをしていれば問題ありません。

肥料は萌芽が始まる前の3月までに元肥として、化成肥料を一株当たり50g程度与え、5月から6月と8月から9月には追肥として、一株当たり25g程度を施します。

✪せん定

ラズベリーは他の果樹とは異なる習性を持っているので、せん定には注意が必要とされます。

ラズベリーの花芽は「混合花芽」といって、ブドウのように1つの芽の中に葉芽と花芽の両方を持っています。

一般的な花芽分化期は、「一季なり性」で7月上旬から中旬と言われています。

ラズベリーには一季なり性と二季なり性があり、一季なり性種は春に、地下茎から出てくるサッカーや株元から発生するシュートのような一年枝が伸長して、冬期の低温に遭った後に2年枝(結果母枝)となって、翌春に2年枝の芽から伸長する、結果枝の先端に果実が着きます。

この2年枝と結果枝は結実後、冬までに枯死してしまいます。

一方、「二季なり性」は、2年枝から発生した結果枝の先端に果実(春果)が着きます。

ラズベリーのせん定は1月から2月に行い、果実をつけたすべての枝をもとから切り取ります。

枯れこんで枝が灰色になっているので識別はしやすい。

秋に果実がついた枝には、翌年に果実が着くので切り取らずに残します。

残す2年枝を決めて、枯れた部分があれば切り取ります。

側枝は1〜2芽を残して切り詰めますが、周辺の広さが十分ある場合は、2芽以上残しても良いでしょう。

側枝を切り詰めるのは春に結果枝が30cm以上伸びるので、株全体のバランスを取るために行います。


   「ブラックベリーの花」


せん定後は、実が生ったときの姿を考えながら支柱やトレリス(格子垣)などに誘引します。

実が着くと枝が重くなるので、しっかり固定します。

また、ラズベリーやブラックベリーには匍匐性(這う)の種類(ポイセンベリーやマートンソーンレス)もあり、特に仕立てやすい。

壁の上から垂らしたり、ハンギングバスケットやトレリスを利用したり、個性的な栽培方法も楽しむことができる。


✪病害虫

キイチゴの仲間は病害虫がつきにくいとされるが、地域によってはマメコガネ成虫による葉の食害や、ダニ類が発生するのでなるべく捕殺や除去を行う。

風通しが悪く、温度が高いところでは灰色カビ病が発生するので、夏期せん定を行い、樹幹内に日光が当たるように風通しを良くすることが予防となる。

3月の発芽前に、石灰硫黄合剤20倍液を散布して病害予防を行います。