緑のお医者の徒然植物記

Translate

緑のお医者の徒然植物記

検索結果

2022/09/09

カリウムの王様と言われる果物 No,605

 カリウムの王様と言われるバナナ

日本で最も食べられているのは、フィリピン産の「ジャイアント·キャベンディッシュ」という品種のバナナです。

東南アジアを原産とするバショウ科の植物で、単子葉植物ショウガ目に属します。

ショウガ科に似て熱帯を中心に分布しますが、比較的耐寒性は高い品種もある。

多くは高温多湿の環境に適応します。

果実が食用となるため、五千年以上前から、中南米、フィリピンなどの熱帯、亜熱帯地方で栽培されてきました。




「カリウムの王様」という呼び名はジャガイモに使われますが、この植物の果実にも使われます。

ポルトガル人が15世紀にバナナを発見し、大西洋を経てアメリカ大陸へ伝わり、世界で広く栽培されるようになったとされる。

日本で最初にこの果物を食べたのは、1969年、織田信長と言われていますが、それが正しいかは別として、日本でも古くから知られている果物です。

日本で正式に輸入が始まったのは1903年(明治36年)
で、その後、1963年(昭和38年)バナナの輸入が自由化され、台湾に加えエクアドルやフィリピンなどのバナナも流通するようになり、現在輸入バナナの約9割はフィリピン産である。

バナナはカリウムを豊富に含んでいる果物です。

カリウムには、ナトリウム(塩分)を排泄する役割があり、高血圧やむくみの解消、運動中の筋肉が痙攣(けいれん)するのを防ぐなど、様々な効果が期待できます。

一方で、カリウムを摂りすぎると、手指や唇のしびれ、全身のだるさ、不整脈などの症状が現れ、心臓が止まってしまう原因にもなります。

よって、カリウムを多く含む果物、野菜、芋類、干し物等やタンパク質の摂りすぎには特に注意が必要となる。

また、腎不全などで腎機能が低下するとカリウムがうまく排泄されなくなり、高カリウム血症になる。

食物繊維が多く含まれ、低カロリーであるため、ダイエットで食べることもありますが、摂取量には注意しましょう。







2022/09/08

植物はなぜ立っていられるの? No.604

 植物の茎や幹には立つ仕組みがある

植物には人間のような骨がありません。

どうして植物は骨がないのに立つことができるのでしょう。

一般に植物は、根が地上部を支えていることと、茎や幹が立つこととは別なものです。


        「コルクガシ」


植物の細胞の仕組み

植物は体のすべての部分が細胞というものからできています。

植物の細胞は1665年にイギリスの物理学者「ロバート・フック」により見つけられました。

フックは、ワインの瓶の栓などに使われるコルク素材に「なぜ他の木材にない軽くて柔らかく弾力があるのか」と興味を持ちました。

コルクは南ヨーロッパ原産の『コルクの木』と呼ばれる「コルクガシ」の樹皮から作られています。

フックはコルクを薄く切り、自作の顕微鏡でコルクを観察し、その結果、コルクはハチの巣のように中が空洞になっているたくさんの小さな部屋からできていることを発見しました。

そして、この小さな部屋のようなものにセル(cell)と名付けました。

これが日本語で言う「細胞」のことです。

しかし、フックが細胞を見つけた当時は、この小さな部屋のようなものが、植物の体を作り上げる基本的なものになっているとは認識されなかったのです。



❉ロバート・フック(1635〜1703)
フックは非常に多彩な研究者であり、生物学や物理学など多方面に業績を残している。

アイザック・ニュートンに消された男
(ニュートンに消された男、角川ソフィア文庫)

17世紀の時代に活躍したフックですが、しかし、彼の肖像画は1枚も遺されていない。

それは死後にニュートンが彼を学界から消して行ったかである。


時が過ぎ、約170年後の1838年になってようやく、ドイツの植物学者「シュライデン」が“植物の体は細胞からできている”と唱えたのです。



❉マティアス·ヤーコブ·シュライデン
(1804〜1881)現ドイツハンブルク出身元弁護士
シュワンと協力して、生物の細胞説を提唱した先駆者で、ドイツの植物学者。


更にその翌年、シュライデンの友人であるドイツの動物学者「シュワン」が“動物の体も細胞からできている”と提唱しました。



❉テオドール・シュワン(1810〜1882)
現ドイツ、ノイス出身の生理学者、動物学者

解剖学的な研究業績も残している。
神経繊維を研究して軸索=じくさく(神経細胞から電線状に伸びる長い突起)を包む鞘(さや)を発見した。

今日「シュワン細胞」と呼ばれている。



この二人の研究者の考えが基になって、細胞が植物や動物の体を作る基本単位であるとする、細胞説が確立されたのです。

その後、細胞説には「すべての細胞は細胞から生じる」という考えが加えられました。


しかし、植物細胞と人間などの動物の体を構成する細胞とは大きな違いがあります。

動物の細胞の外側は細胞膜という薄く柔らかい膜で包まれています。

一方、植物の細胞も細胞膜に包まれていますが、更にその外側には「細胞壁」という厚くて丈夫な壁に囲まれいます。

動物の細胞には細胞壁はありません。

動物にはない厚く強固な細胞壁を持つ植物は、細胞内にある核や葉緑体などを保護する働きをしますが、植物の体を支える働きもしているのです。

細胞壁の主な物質は「セルロース」ですが、さらに「リグニン」という成分を含むことにより、細胞壁をより硬くしている。


茎や幹はこのリグニンを多く含んだ、硬い細胞壁を持つ細胞を積み重ねて立っているのです。

よって、骨がなくても立つことができるのです。

セルロース

植物の細胞壁及び繊維の主成分で、植物はすべてセルロースを主構成成分として含んでいる。

地球上で最も多く存在する炭水化物です。

このセルロースが病菌(腐朽菌)などに侵入されると、樹は枯死してしまう。

白色腐朽型では、セルロース、ヘミセルロースそして、リグニンのすべての木材成分が分解され、灰白色から白色となる。


リグニン

セルロースなどとともに、高等植物の木化に関与する高分子のフェノール性化合物であり、「木質素」とも呼ばれる。

木材中の20〜30%を占め、セルロースと結合した状態で存在する。

「木材」を意味するラテン語(lignum)から命名された。


コルクガシ

ブナ科コナラ属の常緑高木
スペインを中心とする南ヨーロッパ原産

幹の肥大生長とともに、樹皮の中にコルク層が10cm以上にも発達する。

関東地方南部以西で一部植栽されている。



         「コルクガシ」


✪関連ブログ記事
植物の細胞が持つ能力
No,609











2022/09/07

食べる風邪薬 春菊 No,603

 春菊 キク科

原産地=地中海沿岸

欧米では観賞用に栽培されるが、日本や中国では野菜として栽培される。

中国の宋時代(宋は北宋、南宋と区別される)に日本に渡来した。

中国では炒めものにするのが定番とされ、風邪の予防に効果があることから、漢方では「食べる風邪薬」として用いられている。







春菊は、ほうれん草よりも栄養価が高い成分もある「優秀野菜」です。

特に、喉や腸などの粘膜を健康にするベータカロテンかを多く含まれている。

疲労回復やエネルギーを作り出すために必要なビタミンB群、ビタミンC、カルシウム、妊娠中に特に必要な❉葉酸や鉄、カリウムや食物繊維が含まれています。


❉葉酸はビタミンB群の水溶性のビタミンで、プチロイルモノグルタミン酸及びその枝分かれ(派生物)の総称です。


ビタミンB12とともに赤血球を作るので「造血のビタミン」とも言われています。

DNA(デオキシリボ核酸)やRNA(核酸=リボース、五個の炭素原子を含む単糖)などの核酸やたんぱく質の合成を促進し、細胞の生産や再生を助ける。

1941年に、乳酸菌の増殖因子としてホウレンソウの葉から発見されました。


✿非結球性

小松菜等の丸く結球しない「三大非結球野菜」の1つにあげられます。

レタス、ハクサイ、ホウレンソウ、チンゲンサイなど
葉が広がっているものを非結球性といい、キャベツなどの丸く固まったものを結球性として分類される。


葉っぱに含まれる独特の香りの成分は、ピネンやペリルアルデヒドなどと言われます。

春菊の苦味は茎や葉に多く含まれ、苦味のもとであるポリフェノールが加熱することによって細胞から出てくるので、加熱する時間が長くなると苦味も強くなっていきます。


春菊は種子を播いてから約2ヶ月で収穫できます。

株の上部の葉っぱをつけた茎を切って収穫し、株の下部を残しておくとまた、茎や葉っぱが出てくるので再び収穫できます。

上手く栽培すれば、一株で年に7回程収穫できるとも言われています。







2022/09/06

品種登録された植物の栽培、繁殖の注意点 No,602

 植物を殖やす前に注意すること

園芸の楽しみ方は色々ですが、その中のひとつとし、
植物を殖やすことを楽しむ人も多いことでしょう。

高度な技術を持つ園芸愛好家であるなら、ある品種とある品種を掛け合せて、新しい形や色の花や葉をつける品種を、作り出す楽しみ方もあると思います。

また、殖やした植物をフリーマーケットで売ったり、道の駅で売るといった人もいるようです。

そんな楽しいことが一歩間違えば、知らずしらずに法律違反をしてしまう可能性があります。


◉種苗法

販売されている園芸植物の中には「登録品種」という種苗法に護られている品種があります。


この法律は、園芸業界が発展するよう定められたものです。

新しく作られた品種を保護することで、新品種の育成を活発化させ、それらの新種苗が適正に流通されるようにしているのです。


つまり、発明特許のような扱いです。

自分が作ったオリジナルの植物品種を「勝手に殖やされて世の中に広く流通しないように」育成者に配慮されている法律なのです。


作り手である育成者は、新しい植物の品種を作り出すと、農林水産省に行って、「この花を作ったのは自分なので、許可なく殖やしてはいけない」とするための品種登録を行います。


登録が認められた品種は、育成者が作り出したものであると主張できるので、育成者は登録品種の栽培、繁殖について許可を下す権利を得ます。

よって、育成者の許可を得ないと殖やすことができないので、植物が登録品種なのかどうかを把握しながら、栽培する必要があります。

殖やして人にあげた植物が、「法律違反になる品種」だったということが起きるかもしれません。

ただし、自分でオリジナルの品種を作ろうとする場合には、登録品種とそうでない品種を「かけ合わせる時」には、使用しても問題ないとされています。


✪品種登録の期限

育種者権の存続期間は、登録日から25年又は30年とされています。

ただし、存続期間内であっても定められた期間内に、各年分の登録料が納付されない場合や、品種登録の要件を満たしていなかったことが判明した場合、品種登録後に植物体の特性が保持されていない場合には、品種登録が取り消されます。


◉登録品種を見分ける方法

ラベルや種子袋をよく見ると、「農林水産省種苗発録(品種登録申請番号)第⚪⚪号」や「品種登録出願中、または準備中」などの記載がされています。






記載がなければ登録品種ではないということになります。

また、登録品種であることが分かりやすいマークがあります。

登録品種表示マーク(PVPマーク)と言うものです。

PVPとは、Plant Variety Protectionの略で、植物品種保護という意味です。




このマークはこれまでに、法律によって使用を義務付けされていませんでしたが、令和3年4月1日より、登録品種であることの表示が義務化され、これに伴い、これまで植物品種保護戦略フォーラムで推進してきた、「PVPマーク」が登録品種の義務表示の選択肢として利用できることになりました。

PVPマークは登録品種であることを示すマークになりますが、「登録出願中」の品種には使用できなくなるので注意が必要です。


✪令和4年4月1日から出願料が1,4000円になりました。

❉PVPマークの使用に関する情報は農林水産省のサイトへ

参考ホームページURL

(令和4年4月1日以後のホームページ)

農林水産省品種登録ホームページ

http://www.ninshu2.maff.go.jp








2022/09/04

ベリー類の魅力 No,601

 いろんなベリーを育てるために

ベリーとは多肉多汁で、食用としても利用される小さな果実の総称です。

代表的なものには、よく知られるブルーベリーやラズベリーがありますが、他にもグーズベリー(スグリ)、マルベリー(クワ)、ハスカップ、グランベリー、カシスなどがあります。

名前に「ベリー」とつくと同じ仲間のように思われますが、それぞれ違う分類群に属しています。


ブルーベリーはツツジ科スノキ属、ラズベリーはバラ科キイチゴ属になります。

小低木で育てやすいところがベリー類の魅力であり、鉢植え栽培にも適し、またベランダでも栽培が可能であることも親しまれる理由です。

場所によっては無農薬栽培が可能であり、安心して食べることもできます。

ジャムやフルーツソースなどに加工し、さまざまなデザートに利用できます。


完熟した果実は抗酸化作用があるので、成人病予防などに効果があるとされます。

アントシアニン色素などのポリフェノールが多く含ませていることから「健康食品」としても魅力あるものの一つです。


✿ブルーベリー

ブルーベリーは北海道から九州まで100種類以上の品種が栽培され、ハイブッシュ系とラビットアイ系の2つの系統に大きく分類されていましたが、現在では種類も約200〜300品種に増え、ハイブッシュ系が2つに分かれた事で、ラビットアイ系、サザンハイブッシュ系、ノーザンハイブッシュ系の3系統になった。


栽培地の目安として関東以北の方はハイブッシュ系、関東以南の方はラビットアイ系やサザン、ハイブッシュ系が適しています。

①ラビットアイはやや小粒だが実付きがよく多収穫

②サザンハイブッシュはやや小粒で甘味が豊か

③ノーザンハイブッシュは大粒で酸味と甘味のバランスが良い

ブルーベリーを収穫するなら2品種植えないと、実を収穫できなかったり、収穫量がかなり減ったりします。

特に、ラビットアイ系のブルーベリーは自家受粉できないので、1品種だけを栽培しても結実しません。


一般的に、ハイブッシュブルーベリーは早生(わせ)の品種が多く、食味がよく、大粒の果実を収穫することができます。

一方、ラビットアイブラックベリーは、樹勢が強く、晩生(おくて=遅く成熟する品種)のものが多く、やや果実が小さいのですが、アントシアニンなどのポリフェノールが豊富に含まれています。


     「ブルーベリーの花」

✪苗の植え付け

秋から早春にかけて苗を購入することができます。

枝が太く、枝の艶が良いものを選ぶと良いでしょう。

初めてブルーベリーを植える方は、冷涼な地域では北部ハイブッシュブルーベリー、九州のような温暖な地域では、ラビットアイブルーベリーを選ぶと良いでしょう。

植え付けは他の落葉果樹と同じく、芽や根の成長が止まっている休眠期に行うが、1月から2月の極寒期での植え付けは避けます。

日当たりと水はけの良いところを選び、用土は排水性、水持ちの良い酸性土壌を使用します。

特に、酸度未調整のピートモスをたくさん入れるとよく育ちます。

庭植えは直径50cm、深さ30cm程度の植え穴を掘り、掘り上げた土3、吸水させたビートモス5、赤玉土小粒2の割合で混合して使用します。

苗はポットから抜き、根鉢をしっかり崩します。

この作業を行わないと根鉢から新しい根が出ません。

吸水させたピートモスで根を包むようにして、植え穴に入れ、混合した土を埋め戻します。

植え付け後は、苗が倒れないように支柱を立てて固定し、水をたっぷり与えます。

最後に元肥として、油かすなどの有機質固形肥料を一株当たり3〜4個置く、または化成肥料50g程度を与えます。


✪🚰水やり、施肥

庭植えは、定植した年の4月から9月までは週2回程度、それ以降は表面の土が乾いたら水やりを行います。

ブルーベリーは、一度水を切らすとなかなか回復しないので、夏の水管理は特に注意する必要があります。

株元にバークチップやもみ殻、ワラなどを敷くなどして、乾燥を防ぐためのマルチングを行う。

肥料は萌芽が始まる前の3月までに、元肥として有機肥料を与えます。

5月から6月には実肥(みごえ)として与え、9月から10月にはお礼肥えとして化学肥料を施します。

肥料散布は株元ではなく、樹の枝の広がりよりも広く周りに施しましょう。

✪病害虫

病気では開花期に花房にカビが発生する灰色かび病があります。

市販の殺菌剤などを散布して防除します。

害虫は春から初夏にかけてアブラムシやイラガが発生するので、適期に殺虫剤を散布し駆除します。

土の中ではコガネムシの幼虫が根を食害し、成虫は若木の葉を食害します。

成虫は動きが鈍い早朝に見つけ次第捕殺します。

成虫の発生期には、株を防虫ネットで覆い産卵を防ぎましょう。


❉ブルーベリー関連記事ブルーベリーの話 No,559



✿ラズベリー、ブラックベリー、デューベリー(キイチゴ=木苺)バラ科キイチゴ属

ヨーロッパと北アメリカ原産のラズベリー、北アメリカ原産のブラックベリー、デューベリーから改良された3種類があります。

低木性の果樹で種類が多く、日本では山野に自生しているものもある。

栽培されるのは輸入種のラズベリー、ブラックベリー、デューベリーの3種で、種類によって適温が違い、ラズベリーは耐寒性が強く、夏も涼しい気候を好みます。

ブラックベリー、デューベリーはやや耐寒性に劣りますが、関東地方までなら庭植えで十分育ちます。


国内でのラズベリー栽培が冷涼な東北地方などの一部で見られますが、殆どは家庭果樹として親しまれています。

多彩な色の果実があり、ジャムやフルーツソース、ケーキの彩りなど、多様な加工食品に利用されます。

西日本のような温暖な地域では、ブラックベリーが適しています。


    「ラズベリーの花」

✪苗の植え付け

苗は秋から早春にかけて購入することができます。

苗木は株分けや挿し木で殖やした1年から2年苗が殆どで、茎が太く根がしっかりポット内に張っているものを選ぶと良いでしょう。

植え付けの適期はブルーベリーと同じく休眠期に行いますが、極寒期の1月から2月は避け、3月ぐらいに行います。

暖地では秋植えでも根の活着がよく、9月から11月にも植えることができます。

日当たりがよく水はけの良いところが適していますが、暖地では半日陰程度の場所の方が良いでしょう。

❉植え付け時に根を乾かさないように注意しましょう。

ラズベリーを庭植えする場合は、直径40cm、深さ30cm程度の植え穴を掘り、掘り上げた土を5として、腐葉土3、赤玉土小粒1、堆肥1の割合でよく混合します。

掘った穴に混合土を3分の2程度まで埋め戻し、浅めに苗を植え付けます。

枝の3分の1程度を切り戻し、支柱を立て苗木を固定します。

元肥として化成肥料50g程度を置いて出来上です。


✪🚰水やりと施肥

庭植えの場合は、土の表面が乾いている場合に行う程度で、最初に十分水やりをしていれば問題ありません。

肥料は萌芽が始まる前の3月までに元肥として、化成肥料を一株当たり50g程度与え、5月から6月と8月から9月には追肥として、一株当たり25g程度を施します。

✪せん定

ラズベリーは他の果樹とは異なる習性を持っているので、せん定には注意が必要とされます。

ラズベリーの花芽は「混合花芽」といって、ブドウのように1つの芽の中に葉芽と花芽の両方を持っています。

一般的な花芽分化期は、「一季なり性」で7月上旬から中旬と言われています。

ラズベリーには一季なり性と二季なり性があり、一季なり性種は春に、地下茎から出てくるサッカーや株元から発生するシュートのような一年枝が伸長して、冬期の低温に遭った後に2年枝(結果母枝)となって、翌春に2年枝の芽から伸長する、結果枝の先端に果実が着きます。

この2年枝と結果枝は結実後、冬までに枯死してしまいます。

一方、「二季なり性」は、2年枝から発生した結果枝の先端に果実(春果)が着きます。

ラズベリーのせん定は1月から2月に行い、果実をつけたすべての枝をもとから切り取ります。

枯れこんで枝が灰色になっているので識別はしやすい。

秋に果実がついた枝には、翌年に果実が着くので切り取らずに残します。

残す2年枝を決めて、枯れた部分があれば切り取ります。

側枝は1〜2芽を残して切り詰めますが、周辺の広さが十分ある場合は、2芽以上残しても良いでしょう。

側枝を切り詰めるのは春に結果枝が30cm以上伸びるので、株全体のバランスを取るために行います。


   「ブラックベリーの花」


せん定後は、実が生ったときの姿を考えながら支柱やトレリス(格子垣)などに誘引します。

実が着くと枝が重くなるので、しっかり固定します。

また、ラズベリーやブラックベリーには匍匐性(這う)の種類(ポイセンベリーやマートンソーンレス)もあり、特に仕立てやすい。

壁の上から垂らしたり、ハンギングバスケットやトレリスを利用したり、個性的な栽培方法も楽しむことができる。


✪病害虫

キイチゴの仲間は病害虫がつきにくいとされるが、地域によってはマメコガネ成虫による葉の食害や、ダニ類が発生するのでなるべく捕殺や除去を行う。

風通しが悪く、温度が高いところでは灰色カビ病が発生するので、夏期せん定を行い、樹幹内に日光が当たるように風通しを良くすることが予防となる。

3月の発芽前に、石灰硫黄合剤20倍液を散布して病害予防を行います。









2022/09/03

地球上に酸素を作り最も長く生きてる生物 No,600

 地球上に最初に酸素を生み出した生物

シアノバクテリア 藍藻(らんそう)細菌
No.600記念記事

約35億年前の地球の大気は96%が二酸化炭素で、酸素はありませんでした。

地球のはじめは水蒸気と二酸化炭素というガスに覆われていました。

海の中に溶けた二酸化炭素と太陽の光から、酸素を生み出したのは『シアノバクテリア』と呼ばれる細菌です。



  「緑色に粘ったようなシアノバクテリア」



シアノバクテリアは、酸素発生を伴う光合成(酸素発生型光合成)を行う細菌の一群である。

藍藻(らんそう)は系統的には細菌類に属する『原核生物』であるが、歴史的には「植物」に分類されていました。

『原核生物』とは、前核生物、原生核生物ともいう。

細菌および藍藻に代表される生物のことで、染色体はDNA分子がほとんど裸のまま、細胞のほぼ中央部にあるが、核膜(細胞核)はなく、構造的に細胞質から区別できない。

原核生物はすべて単細胞で、原核菌類と藍藻植物が含まれ、34億年前の藍藻の化石が発見されており、生物の進化では最も古い生物であると考えられています。

また、ミトコンドリアなどの構造体がありません。

シアノバクテリアは藻類に分類されていたことから、国際細菌命名規約ではなく、国際藻類、菌類、植物命名規約に基づき分類されてきました。

約30億年前に地球上に大量発生したシアノバクテリアにより、大量の酸素が供給され、現在の地球環境が形成されたと考えられています。


現在でも海、川、湖沼、氷河にまで、地球上の至るところに分布する。

地球上で最も長く生き続けている生物なのである。


植物がなくなったら地球はどうなるの?

今の時代ですでに地球上から酸素がなくなってしまう、豊富である状態は約10億年であると明らかにされています。


植物は人をはじめとした動物の食料となり、命を繋ぐために欠かせない存在です。

植物は食物連鎖の中では動物より下位に位置づけられます。

そのため、植物の量が減少してしまうと動物が生てく上で影響がでます。

植物の減少に伴って酸素の供給量も当然減るので、そのような状態になれば、その影響は計り知れない事になるでしょう。

森林の木がなくなれば、そこに生きてる多くの動物や昆虫などの餌がなくなるため絶滅し、光の弱いところでしか生育できないシダやコケなどの植物も全滅することになります。


海岸沿いに生育するマングローブの林もなくなれば、そこで生きている魚たちの居場所も失ってしまいます。

海への栄養源も途絶える事になり、海洋生物への影響も当然起きてくることになります。

生物や植物が生きるために必要な自然環境が破壊され、なくなってしまうことは、人類への生命線もなくなってしまうということに繋がっているのです。

小さな、小さなバクテリアによって生物も、動物も生きられる地球がうまれ、そのはじめを作ったバクテリアは今も尚行き続けていることは奇跡以上かも知れません。

人類ができることは自然環境をできるだけ保護すること以外ありません。


地球全体の水や空気がきれいな状態で保てるのも、植物たちの力であることは紛れもない事実です。