緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2023/01/13

胞子形成(sporulation) No,626

 胞子形成

胞子とはシダ植物、コケ植物、藻類、菌類(キノコ、カビ、酵母など)あるいは、原生生物のうちの変形菌などが形成する生殖細胞を指します。

親の体から離れてオス、メスに関係なく、それがそのまま発芽して繁殖の役目をする。


    「シダ植物、葉裏に付いた胞子」


病原菌の繁殖には無性と有性とがある。

無性繁殖では、栄養器官である菌糸の一部がちぎれて胞子になる。

これを分生子(分生胞子)という。

有性繁殖では、雌雄相対する核の融合によって胞子が形成され、糸状菌の種類によって接合胞子、卵胞子、子のう胞子、担子胞子などと呼ばれている。


分生子の形成は、1年に何回も繰り返して行われ、また一度に多数の胞子ができるので、病原菌の伝搬に重要な役割をしている。


これに対して、有性繁殖によって形成された胞子は、1年に1日のみで主に病原菌の越冬や越夏などのために作られ、病気の伝染源として重要な役割をしている場合が多い。

胞子形成に関係する条件として

病原菌の多くは、人工培養条件で普通に培養していても胞子の形成が見られるが、胞子の形成が少ないかあるいは、全く見られないものがある。

このような病原菌では培養条件を変えることによって、胞子の形成を促進する事ができる。


胞子形成に関係する主要な条件


①光線
光線の作用は光質、強さ、照射時間によって異なるので、詳細にはこれらの要因を考慮する必要があります。


一般には病原菌に対して紫外線または★青色光が胞子形成に大きく影響する。

★青色光(短波長光)ブルーライト

人の目に見える光(可視光線)の中に含まれ、紫外線の次に波長の短い光で、目の奥まで届く非常にエネルギーの強い光で、パソコンやスマートフォン、薄型テレビ、タブレットなどのデジタルディスプレイは、青色光と呼ばれる光を多く発している。


②栄養

一般に、糸状菌が菌糸を盛んに伸長している栄養生長から養分を使い果たして、生殖生長と変化したときに胞子形成は起こると考えられるから、培地中の炭素源の濃度を低くした時、あるいは★グルコースよりも多糖類の方が胞子形成が盛んになります。

★グルコース(砂糖代用品)
ブドウ糖とも呼ばれ、果汁や樹液などに多く含まれている物質のことで、人間にとって血液を通じて脳や体を動かすエネルギー源として利用している重要物質。


培地の表面に植物体の一部(葉片、枝などの天然物)を置いて培養すると、それが分生子、分生子殻や子のう殻を形成する支持体になり、盛んに胞子形成がおこなわれます。


③混合培養

疫病菌などでは、異なった系統のものを同一の培地に混合して培養すると、卵胞子ができやすくなる。

他の糸状菌でも同様な事が確認されています。


疫病菌は、植物を宿主とするphytophthora属の病原糸状菌の総称であり、疫病菌の多くは農作物に感染して被害を与える。

雌雄の器官が同一の菌体にできる時には、雌雄同株=しゆうどうしゅといい、(一家花=いっかか)ともいう。

別々の菌体でできる時は雌雄異株=しゆういしゅ、または雌雄別株ともいう。


④温度、湿度

一般に、胞子の形成に適する温度は菌糸の生長に適した温度とほぼ一致しています。

多数の病菌では、胞子の形成には低湿度よりも高湿度の方が適しています。

しかし、うどん粉病菌では分生子及び子のう殻の形成とも、空気湿度が低い時に盛んである。











2023/01/12

ハイゴケ No,625

 ハイゴケ ハイゴケ科

這苔

ほふく性の性質から和名「ハイゴケ」と呼ばれ、他にカバー·モスヤネゴケ、屋根苔、苔玉苔とも呼ばれる。


北海道から沖縄、シベリア、朝鮮、中国、台湾など、北半球の広い範囲に生息しているシダ植物です。


明るい植木の下や建物の影など、半日陰の場所に施工する苔として最適とされ、苔玉作りの苔や山野早、盆栽の下草、庭や★テラリウムなどにも利用される。

マット状に群生する姿が美しく、広い面積を覆うように育てるのに適しています。


      「ハイゴケ」


茎は約10㎝に達し、規則的に羽状に枝を出し、葉は鎌形に曲がる。

乾くと茎の先端や枝が上に巻き上がることが特徴である。

日当たりのよい場所に生えるものは黄緑色、日陰のものはより濃い緑色になる。


★テラリウムとは
ガラスなど光が通る密閉された透明な容器、ケースの中で、陸上の動植物を育てる方法の事で、密閉された容器の中では水分が循環するので、長期間水を与えずに植物を育てることができます。


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ギンゴケNo,624







2023/01/11

ギンゴケ No,624

 ギンゴケ ハリガネゴケ科

乾燥すると表面が銀色に見えることからこの名がある。
苔の中でも繁殖力、耐久性が強い


植物群落全体は灰緑色から白緑色になる。

かつては南極大陸に生育しているとされたが、これは後に「オオハリガネゴケ」の一型であるとされた。


茎は直立し、高さ1~2㎝程で多数の個体が集まって薄いマット状になる。

茎には少量の仮根をつける。

★仮根(かこん)とは
真の根ではないが、根のように植物体を地上に固着し、あるいは水分の吸収を行う細長い細胞こと。


         「ギンゴケ」


全国各地に分布し、低地から高山まで日当たりのよい場所に密な群落をつくる。


市街地で最も一般的な小型の苔で、コンクリート壁やブロック塀、敷石の隙間などに生育している。

葉の先の方は葉緑体がなく、半透明になるので銀色に見える。


盆栽や盆景にも利用され、類似種に「ホソウリゴケ」がある。









2023/01/10

オオスギゴケ No,623

オオスギゴケ(大杉苔) 

スギゴケ科

日本庭園に使われる代表的な苔で、ウマスギゴケ(馬杉苔)とよく似ている。

肉眼ではほとんど区別でない。


        「オオスギゴケ」


全国の低地から高山まで普通に分布し、森林や崖などやや日陰の腐植土上に背の高い群落を作る。


茎は高さが5~20㎝程になり分枝しない。

葉は湿ると広がり、乾燥するとつぼまる。


        「ウマスギゴケ」


★日本には約1700種の苔があるとされ、種類により好む環境も違います。








2023/01/04

ウジカンダ(イルカンダ)No,622

ウジカンダ マメ科(絶滅危惧種)

マメ科のツル植物で大型のツルになり、大きな紫の花を房状につける。


イルカンダの別名もある。

イルカンダは沖縄、奄美、徳之島、沖永良部島の森に自生する生命力の強い植物で、チョコレート色の硬い種を森から川、そして海を漂いながら海辺に漂着する。

 海流散布で子孫を広げる植物であるとされるが、海水での浮遊能力はなく、疑問が残る。

花は周りのハゼノキなどに巻き付いて成長し、ブドウの房のように連なった花を咲かせる。



     「イルカンダ」

2月中旬から5月の連休頃までに花を咲かせ、およそ20~40㎝の種さやをぶら下げるが、結実することは珍しいとされる。



海流散布について

海を渡る植物
このような植物は、汎熱帯海流散布植物と呼ばれ、種子を海流によって運ばせることで、赤道付近を中心に地球を一周するほどの分布域を獲得した植物の総称である。


地球表面の約70%を覆っている海は、多くの陸上植物にとって分布拡大の妨げとなっている。


しかし、逆にその海を利用して信じられないほど広域分布を得た植物が、汎熱帯海流散布植物である。

代表的なものは、ヒルガオ科のグンバイヒルガオやマメ科のナガミハマナタマメ、アオイ科のオオハマボウの3種である。


いずれの分布域は、年平均の海水温が20度以上の地域と、おおむね一致している。

また、暖流と寒流の流れが分布地域に大きく影響していると考えられ、暖流の流れ込むアフリカ大陸や南米大陸の東海岸では、南回帰線以南にも生育している。


しかし、寒流の流れ込む西海岸では南回帰線以南には生育していないなどの影響がある。


グンバイヒルガオの種子は、種子の表面に短い毛が一面に生えていて、水をはじくのに役立っていると考えられ、種子は少なくとも3ヶ月以上は生きたまま海水に浮かんでいる事ができると考えられ、海流をうまく利用することで、広大な分布域を得ていったと思われる。

しかし、どのような経路でどのくらいの時間をかけて世界中に分布域を拡大して行ったかは、解明されていない。









2022/10/05

パパイヤ(ア) No,621

パパイヤ(ア) 常緑果樹

原産地=熱帯アメリカ

パパイヤの歴史は2億年前に始まり、約1億4千年前まで続いた「ジュラ紀」にまで遡り確認できる。

巨大恐竜もパパイヤを食べていたのかも知れませんね。

パパイヤの名前の由来は、ジャマイカの先住民族であるアラワイインディアンの言葉が由来であるとされていますが、諸説あるようです。

果実から乳汁が出ることから、和名では乳瓜(チチウリ)や木瓜(モッカ)などとも呼ばれている。

日本には明治時代になってから、「蕃瓜」「万寿果」という名前で伝えられたとされ、沖縄ではパパイヤの事を「命(ぬち)ぐすり」と言ってとても重宝しています。





果実は球形、長円形、楕円形のものなどがありますが、長円形や楕円形のものは甘みが強く果汁も多いので生食に適している。

球形のものは砂糖漬けなどの加工用に適しています。


実の形によってワシントン、セイロン、ライチ、ハネデュー、ボーバルなどに分かれます。

よく熟した実は独特の匂いが薄れ、カキに似た味が美味です。

樹高は7〜8㍍になり、幹は直立性で葉は大きくヤツデ状に広がり、先端部分に群生しています。

花は葉柄の基部につき、多くは雌雄異株ですが、同株異花や両性花をつけるものもあります。


輸入が許可された1968年以降に市場に多く出回るようになり、小笠原や鹿児島などでも栽培が始まりました。


栽培場所

生育適温は25〜30℃で、越冬も15℃以上必要であるため、庭植えは沖縄県辺り以外では育つことができません。

鉢植えで育てますが、赤玉土5、川砂3、腐葉土2の混合土に植え、春から秋は戸外で直射日光に当てて育てます。

冬は日当たりの良い場所へ置いて管理します。

日光と高温を好み、強い日光に長く当てるほど品質や収穫がよくなります。


肥料

生育期は2ヶ月に一回、5月、7月、9月に玉肥を2個から3個ずつ置き肥します。


せん定
主枝一本の主幹形にするか主枝二本の双幹形に仕立てます。

葉は頂部にしかつかないので、特別なせん定は必要ありません。


果実

果実は頂部の葉腋から重なり合うように多数結実しますが、幼果のうちにかなり生理落果します。


種子まき

①果実から種子を取り出したらよく水洗いしてすぐに播きます。

赤玉土小粒6、川砂2、ピートモス2の用土
5〜6号鉢の鉢底にゴロ土を入れ、8〜10粒をまき1cmほど覆土し水を与え、25℃で管理する。

②鉢上げ(3号鉢に)
本葉3〜4枚で同じ混合用土に根をよく広げて移植します。
その際、根に触れないように化成肥料を2〜3g入れます。