緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2023/06/04

樹木、森林の炭酸ガス吸収能力 No,636

樹木の 炭酸ガス吸収能力

炭酸ガスは「二酸化炭素」「CO2」とも呼ばれ、人々が吐き出す息にも含まれ、物を燃やした後には必ず発生するものです。


空気よりも重く水に溶けやすい






樹木の炭酸ガス吸収量

根元の直径が60㎝、樹高が15㍍のスギの木が1年間に吸収する炭酸ガスの量は約62㎏とされています。

これは乗用車の約220㎞走行時の排出量に匹敵するものです。

例えば、この車が1年間に一万キロ走行すると、炭酸ガスの排出量は2.8㌧となり、この全量をスギの木に吸収させるには45本のスギが必要になります。


森林面積は10アール(302.5坪、10m×100m=1000㎡)程度必要になります。


樹木同様に、草花も一時的には炭酸ガスを吸収、貯蔵しますが、枯れると微生物にすぐ分解され、最終的には水と炭酸ガスになって再び大気中に放出されてしまいます。


しかし、樹木は成長している間はもちろんの事、木材になってからも腐朽(ふきゅう)あるいは焼却されない限り、炭酸ガスの貯蔵庫としての機能を持ち続けるのです。


紙の主原料も木材から採った「セルロース」ですが、紙も重要な炭酸ガスの貯蔵庫です。


♣セルロースは、植物の細胞壁及び繊維の主成分で、植物は全てセルロースを主構成成分として含んでいる。

セルロースは、地球上でもっとも多く存在する炭水化物です。

紙のリサイクルも炭酸ガスを地球に戻さないと言うことで大切なことである。


東京都内には約101万本の街路樹と、約475万㎡の道路内緑地があります。

101万本のすべての樹木の大きさが根元直径30㎝、樹高5㍍であると仮定すると、その総数による1年間の炭酸ガス吸収量は約12.625㌧と推定され、これは日本人約35.000人の年間の呼吸によって排出される炭酸ガス量に匹敵します。


1本の樹木による炭酸ガス吸収量は多くありませんが、これが大面積となった場合には相当量の吸収、貯蔵能力になるはずです。

地球温暖化が世界的にも問題化した時代であるなら、人々が植物や樹木に多くの事で依存して生きていることを認識し、樹木や森林の大切さを改めて考え直す時です。


大気中の環境が悪ければ悪いだけ、樹木には負担が大きい事を忘れてはいけない。

時にはその過剰な環境悪化により、枯死してしまうこともあるのです。


♣植物環境、温暖化、地球環境に関連するブログ
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2023/02/20

ウチワサボテン No,634

ウチワサボテン 🌵サボテン科


ウチワサボテンはサボテン科の亜科のひとつである。

★亜科とは
生物分類学上の単位のひとつで、必要な場合に「科」と「属」の間に設けられる。

亜科は補助的階級であり、「科」の直下に位置するが、「属」よりは広い分類とされる。


南北アメリカ及び近隣の島々に分布する。

和名のウチワサボテンは、本亜科の代表的な属であるオプンティア属が平たい茎節を持つことから、その「うちわ」に見立てたことによる。

別名「仙人掌」とも呼ばれ、メキシコなどでは重要な果樹であり、同時に家畜の飼料とされる。



★オプンティアはサボテン科の属のひとつで、ウチワサボテン類の中で曲型的な種の多くがここに属している。

原産地は主にアメリカ州で、しばしば群生する。


ウチワサボテンの果実はトウナ、カクタスペアなどと呼ばれ、少なくとも18ヵ国で生産されている。

古くから健康食材として利用され、食べられています。

最も生産されているメキシコでノパルと呼ばれ、イタリア、チリ、アルゼンチン、南アフリカ、イスラエルなどでも大規模な生産が行われています。


日本ではかつて、宮崎県のサボテンハーブ園で栽培され、レストランでもサボテンのステーキがあったが、2005年に閉園となった。

ウチワサボテンの植え付け時期は、気温が10℃以上を保てる3月から6月又は、9月から10月頃が適してます。

ウチワサボテンの殖やし方は挿し木が一般的とされ、4月から7月頃に切り取った茎の切り口を1週間ほど乾燥させ、土に切り口が当たるように挿します。

鉢植えの場合の植え替えは、2年から3年に1度の頻度で行います。

植え替え時期も植え付けと同時期頃が適期とされます。

開花年齢になったウチワサボテンは、6月から8月頃に花を咲かせます。


◉ウチワサボテンの効能

ビタミンCやβーカロテンをはじめとした豊富なカロテン類などの、抗酸化成分によって癌や動脈硬化の原因となる、活性酸素の除去に効果的とされる。

糖尿病予防や改善、コレステロール値改善、免疫システム強化、消化不良の予防、便秘予防解消、ダイエットの補助など、さまざまな効能がある。

オリーブオイルの400倍、カルシウム、むくみ、利尿作用、塩分排出、口臭予防など



✿ウチワサボテン群生地

茨城県神栖市、自然保護公園





    「2023年2月20日📷」

昭和47年に茨城県指定天然記念物に登録されたウチワサボテン群生地

100年以上経過しているとされ、いつ、どのようにしてこの地に運ばれ群生したかは不明である。


「花柄が残ったままのウチワサボテン」

★ウチワサボテン群生地
茨城県神栖市太田2070-8



      「6月4日撮影」


6月4日の時点ではまだつぼみのままで開花していない。

✪2023年6月27日撮影時の花





雨期の終わる頃に種が地面に落ちる。

雨期が終われば乾期が訪れますが、一般に植物の発芽には水分が必要なので、乾期は発芽に敵さず、乾期の間は休眠します。



果実から採取した直後のウチワサボテンの種子は、発芽に時間がかかる場合があり、なかなか種が発芽しなくても一年ぐらいは待ってみる必要があるようです。


     「2024.07.09撮影」







2023/01/23

コツボゴケ No,633

 コツボゴケ チョウチンゴケ科

和名=小壷
小さな中庭に植えられる苔としての意味でこの名がある。

茶室の露地庭、特に✪つくばい周りによく植えられる。

✪つくばい
身をかがめて手水鉢を使うところから「つくばい」と呼ばれ、茶室には入る前に手を清めるために置かれたもの






全国の低地から山地に分布し、林内の湿り気のある地面や倒木した上に生育する。

市街地では、建物の北側など直射日光の当たらない場所などによく見られます。

成長の仕方に特徴があり、茎の一部から出た芽は横に伸び地面に触れると仮根が生えて固着し、上に伸びて直立する新しい茎になる。


        「コツボゴケ」

直立する茎と這う茎が絡み合って密な群落をつくる。

美しい淡緑色、特に水を与えたときに葉がキラキラと輝く。


どんどん広がるので苔庭や盆景、テラリウムの苔としても人気がある。




2023/01/19

苔が徒長する原因? No,632

 苔の徒長

★徒長(とちょう)とは、植物が軟弱に伸び成長すること

テラリウムなどの容器に入れる苔は、気密の状態によって徒長の度合いが異なってくる。


       「容器の中の苔」


気密性の高いパッキンが付いているような容器ほど、気密性が高くなるので徒長しやすくなる。

ハイゴケ、シノブゴケなどの地面を這う苔や、ゼニゴケなどの葉状の苔類は徒長しやすい。

容器は通気性が高い方が徒長しにくい。

光線量が少ない、明るい時間が短いなどでは徒長しやすくなる。

温度が高い期間が長い状態でも徒長しやすくなる。

逆に、温度が低い期間が長い状態では伸びにくくなる。

苔の適温は10~25℃くらいとされるが、苔の種類によっても生長は異なってきます。


伸びすぎてしまった時には、元から切り詰めれば1~2ヶ月程で新芽がでてきます。

同じ環境下で育てると再び徒長してくるので、環境を変える必要があります。

また、使用目的に合った苔を選ぶことも考慮します。

テラリウムでは徒長しにくい種類を選ぶとよいでしょう。

容器の中の空気の入れ替え、換気をすることで徒長しにくくなることもあります。

容器の形、口が広いとか、狭い、容器の高さが高い、低いなどでも乾燥の度合いも変わってきます。


    「容器の中で伸び始めている苔」


容器の種類でも苔の育つ環境は違ってきます。

徒長する原因はさまざまですが、徒長して伸びた姿の苔を楽しむのも良いことだと思います。







2023/01/18

マンリョウ(万両)の種まき No,631

 マンリョウの種まき

サワラソウ科ヤブコウジ属

冬に熟す果実が美しい、特に名前がめでたいのでセンリョウなどとともに、正月の縁起物として栽培されている。

ナガバマンリョウ、オオマンリョウ、オオミマンリョウ、オオバマンリョウ、トガリマンリョウ、などの種類があり、ハナタチバナの別名もある。


       「赤く熟す前の果実」


寒冷地では軒下で育て、春から秋は半日陰で管理

強い直射日光に当てると、葉が黒ずみ実つきが悪くなる。

水やりの頻度は強弱をつけて、水切れや乾燥に注意する。


◉種まき

実から種を取り出し、よく水洗いして果肉を取り除きます。



種子が乾燥しないうちに、赤玉土(小粒)などの清潔な土を育苗ポットなどに入れて種をまきます。

まき終わったら屋外に置き、土が乾かないように水やりをして管理します。


       「1月18日撮影」


2ヶ月程で発芽する予定、樹高が10~15㎝に生長したら鉢に植え替えるか、地植えにします。


        「6月6日撮影」


2ヶ月ほどで発芽する予定でしたが、天候不良、気温が上がらない状況が長かったことが原因なのか、種まきして芽を出し始めたのは予定より倍の4ヶ月が過ぎてからでした。


       「6月10日撮影」


       「7月2日撮影」


★マンリョウ関連ブログ記事
マンリョウ(万両)No,10
マンリョウ(万両)の斑入りは遺伝しない。No,200








2023/01/17

スナゴケ(エゾスナゴケ) No,630

 スナゴケ(エゾスナゴケ)ギボウシゴケ科

全国の山地に普通に分布し、河原や林内の日当たりのよい砂地や岩の上に黄緑色の群落をつくる。


日当たり乾燥に強い


茎は直立し、高さ2~3㎝で、短い枝がわずかにでる。

体は小型だが葉は乾いても湿っても茎から90度程度開いてつくので、全体は太くずんぐりして見える。


星の砂のような姿をした小さな葉が特徴


         「スナゴケ」


葉の先のほうが半透明になり、乾くと白っぽく見える。

乾燥にとても強く扱いやすいことから、苔庭や盆景に利用され、その他苔玉や屋上緑化、テラリウムなどの材料としても利用される。


園芸でスナゴケとして扱われる多くがエゾスナゴケとされ、生産されている苔としてはスギゴケに次いで生産量が多い。