緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2023/07/04

キナノキ(ペルー共和国)No,647

 キナノキ

キナノキはアカネ科に属する熱帯性の高木で、樹皮(キナ皮)から「キニーネ」を抽出し、抗マラリア薬として長く利用されました。

利用部位は枝皮、樹皮、根皮

キナノキ属は70種ほどあるとされ、コロンビアからエクアドル、ペルーを経由しボリビアに延びるアンデス山脈の東側斜面、海抜1500~2500mに限定して自生している。

マラリア治療以来、「キナ」と呼ばれていたこの土地固有の言葉から「キニーネ」と言う言葉が生まれたとされる。


全てのキナノキ属の植物がマラリアに有効と言うことではなく、有効とされるのは2~3種類のみである。


中でも痩せ地でもよく育つ「アカキナノキ」は現在、ジャワ島やスマトラ島などで移植栽培され、今では世界の「キナ皮」の90%がジャワ島で生産されている。


 「アカキナノキの花、花咲き5月」


日本では、東京都立薬用植物園(小平市中島町21-1)
でアカキナノキが栽培されている。

この植物園は昭和21年設立以来、薬用植物を収集、栽培し主に、危険ドラッグや健康食品の指導、取締りに向けた植物鑑別等の試験検査、調査研究を行う他、薬用植物の正しい知識の普及に努めている。



ペルーの果物

ペルーは果物の宝庫と言っても過言ではない。

カムカム、ニカンボ、トゥンボ、ルクス、タマリロ、カカオなど多くの果物があるが、全く食べたことがないものばかりである。


1つの例として、ルクスはボリビア、エクアドル、ペルーのアンデス渓谷が原産地で、アカテツ科の樹木の一種です。


アカテツ科は双子葉(そうしよう)植物に分類され、世界の熱帯から亜熱帯に分布する常緑樹で、分類には諸説あるが、35属~75属ほど存在すると考えられ、世界では約800種が確認されている。

日本では南西諸島、小笠原諸島だけに分布するが、アカテツ属のアカテツとムニンノキが分布するのみである。


ルクスの見た目はオレンジのアボカドと言った感じでしょうか。


     「ルクス」


ペルーでは1500年以上前から食べられている果物で、南米ペルーでは定番のフルーツなのだが、日本には馴染みがないため、認知度が圧倒的に低いフルーツである。

一度食べてみたいものである。

しかし、ペルーに知り合いも友達もいないし、地元のスーパーマーケットで見ることもない果物です。

食べれるのは皆無に等しいと言えるのかも知れない。


ペルーの世界遺産

ペルーを代表する観光地と言えば、マチュピチュ(MachuPicchu)でしょうか。

  




「マチュピチュ」



マチュピチュはインカ時代(15世紀)に作られた石造りの都市遺跡で、アンデス山麓に属するペルーのウルバンバ谷に沿った高い山の尾根(標高2430m)にある。


当時、インカ帝国の首都は3400mの標高に位置するクスコに所在し、最盛期には人口600万を有した。

クスコはマチュピチュからさらに約1000㍍高い場所にあった。

現在のクスコはペルー有数の都市で、1983年より市街地は文化遺産に登録されている。



    「南米ペルー、クスコ」


     「南米ペルー位置図」


1200年頃に成立したインカ帝国は、1533年にスペインの征服者フランシスコ·ピサロによって滅亡し、マチュピチュの都市遺跡は、スペイン人侵略期の応急の避難所として築かれたものと考えられている。

♣征服者(せいふくしゃ)とは、相手を従わせて優位に立った者


16世紀にスペインの植民地になったことで、スペイン人がペルー原産の作物を持ち帰り、世界に広めました。

この歴史がなかったら、トマトのないイタリア料理やトウガラシのないインド料理になっていたと言われています。


また、ペルーのジャングルは世界でも有数の動植物の宝庫であり、世界中で最も生物多様性が高い場所となっています。









2023/06/19

小さな苗木 No,646

 挿し木や種まき苗木


     「黒松、種まき苗木」



   「キャラボクの挿し木苗」



    「ハイネズの挿し木苗」



    「キャラボクの挿し木苗」



   「ハクチョウゲの挿し木苗」



  「ピラカンサ(ス)の種まき苗木」



    「イヌツゲの挿し木苗」


小さな苗木は苔玉にしたり、浅鉢などの小品盆栽に利用します。

なかなか小さな苗木は手に入りにくいものです。


自分好みの仕立てが出来るので、小さな苗木もあると便利です。

他にも寄せ植えなどにも利用することも出来ます。


ある程度の大きさまで育つのには数年が必要です。


流通するまではとても手間がかかっているのです。


大切に育てたいものですね。


★残念ながら、我が家の小さな苗木は貰い手もいません。









2023/06/16

剪定、管理の基礎知識 No,645

 樹木生育のサイクル

剪定、管理は樹木の健康を保ち生育を促すと同時に、庭木を適度な樹形、大きさに保つと言う目的があります。

樹木が生育していく過程をよく理解し、適切な時期に適切な方法で剪定、管理を行うことが大切です。

また、樹木が四季を通じてどんな生育サイクルを持っているのか、幼木から成木へと成長していく過程はどのようになっているのかを知る必要があります。


樹木の状態診断

剪定、管理を行う際には、個々の樹木の健康状態を明確に診断することが大切です。

一般的には葉の艶や密度、枝の張り具合、冬の落葉期なら芽の充実度などから、健康状態をチェックすることができます。


また、病害虫の発生しやすい時期にはこまめに葉や枝を調べ、すでに病害虫のあるものは速やかに処理するなどの対策が重要になります。


一年間の生育サイクル

①冬の11月~3月頃にかけて養分が最も多く蓄えられる時期です。

この時期に蓄える養分は主に樹木の幹に集まり、枝や葉には余りありません。

そのため、落葉樹は紅葉したり、やがて葉を落として枝だけの姿になります。

常緑樹も葉の色が多少やわらかくなり、生長が止まったり鈍くなったりします。

この状態で春を待つので一般に「休眠期」と言われています。


    「樹木の生育サイクル」

②4月~7月頃にかけて、冬に蓄えていた養分が幹から枝葉に行き渡り、新しい芽や葉、枝の生育のために消費され、次第に養分が少なくなっていきます。


この時期は一般に「生長期」といいますが、6月~7月頃になると一旦止まります。

「新芽がかたまる」というのはこの時期の状態を指します。


③8月~10月頃にかけて、成熟した葉によってたくさんの養分が作られ、翌春の生育のために蓄えられていきます。

外からはわかりませんが、この時期の樹木は最も充実している状態で、一般に「充実期」と言われています。


このように樹木の一年の生育サイクルは大きく3つの時期に分けられます。


晩秋から冬になると翌年の生長に備えて養分が幹に集中して、再び休眠期を迎え、毎年繰り返しながら樹木は生長している。









2023/06/15

土壌溶液 No,644

 土壌溶液の重要性

土壌粒子間の微細隙間に保持されている土壌水は、他の天然水と同様に純水ではなく、さまざまな溶質を溶解している。

そのため、土壌水の溶質★組成について論ずるときには、特にそれを土壌溶液と呼ぶ習慣となっている。

★組成(そせい)とは、いくつかの要素、成分によってひとつのものを組み立てること、またその組み立て。

陸上の植物は炭素、水素、酸素以外の必須元素(17種類)の大部分を土壌溶液から吸収している。

★有害重金属について

土壌に投入された有害重金属は水銀、鉛、カドミウムなど

重金属類の汚染源は鉱山、精錬所(せいれんじょ)メッキ工場、清掃工場の排水及び排煙があげられる。


また、一般に重金属汚染は汚染源に近いほど汚染度は高く、汚染された重金属の大部分は作土に含まれており、下層には少ない。


汚染された重金属は半永久的に、土壌に残留するなどの特徴がある。


♣重金属土壌汚染とは

水田や畑などの農耕地土壌に、人の健康に対して有害な重金属類が蓄積し、農作物の生育に障害が発生し、収穫量が減少するなどの被害が発生することを言う。

土壌を汚染する重金属元素類は、カドミウム、銅、亜鉛、鉛、ニッケル、クロム、水銀、ヒ素、セレン、アンチモンなどである。

ここで言う重金属とは密度が高く、主として★周期律表で★遷移元素に属する金属とその★イオンを示す。

★周期律表(元素周期表)とは、性質の類似した元素が縦に並ぶように決められた規則(周期律)に従って配列した表を周期(律)表という。


        「元素周期表」


★遷移(せんい)元素は周期表の真ん中ぐらい(第3族元素から第12族元素)の間に存在する金属元素の総称である。


★イオンとは、原子が電子を得たり、失ったりして電気を帯びたもの。


いくつかの元素は普通の土壌には比較的少量しか存在しないが、植物の生育には不可欠であることから、農業上微量元素と呼ばれている。


陸上では、降水の相当部分は土壌溶液として土壌粒子のすき間にいったん貯留され、その一部は徐々に移動して河川水や地下水と合流する。


こうして土壌溶液の化学組成は、その他の天然水の組成にも影響する。






2023/06/12

土の中の養分、塩分を調べる No,643

 器具を使って調べる


土壌EC測定器(電気伝導度測定器)を使うと、土の中に含まれている植物が使うことのできる養分の量、植物の水分、養分吸収の邪魔をする塩分の濃度が分かります。


つまり、この測定で肥料不足や濃度障害が分かります。


ここで言う塩分とは食塩(塩化ナトリウム)というより、塩類(余分な肥料分、栄養分)のことです。







◉濃度障害

土に塩類が溜まることで植物に起こる障害

土に塩が溜まってくると、ほとんどの植物は水分を吸えなくなったり、養分、特にカルシウムを吸収できなくなります。

その結果、生育不良に陥ったり、つる割れ病などの障害が起き、ひどい場合は塩に水分を吸いとられて枯れてしまいます。

★つる割れ病はウリ類のキュウリ、スイカ、メロン、マクワウリなどで、根本に暗緑色の病斑ができ、赤いヤニが出て根が腐る。

土壌中の糸状菌の一種によって引き起こされ、種芋で伝染する。★


雨の少ない乾燥地では、蒸発の方が多いので土の中の水は上に動きます。(上昇型環境地)


   「乾燥地でのイメージ図」

しかも、洗い流されることのない塩分が多量に土の中に溜まってしまいます。

「塩辛い土」は地球規模で進む砂漠化の原因のひとつとされる重大な問題です。


雨の多い日本では、土の中の水は下に動く(下降型環境地)ので、深刻な濃度障害は自然状態では起こりませんが、雨の影響を受けないハウス栽培では問題となります。


また、乾燥しやすい夏に肥料をやり過ぎると、濃度障害が起きることがあります。


★土壌成分分析には、高価な土壌簡易検定器が市販されています。

簡単にリン酸の検定やカリウムの検定等が出来るようになっています。

しかし重要なことは、むやみに肥料を施さないこと、堆肥のつもりでやたらにゴミを埋めないことの方が大切なことです。










2023/06/11

土を見て調べる No,642

 地形からわかること

①台地土壌

平らな高地(平地より400㍍程度高い)で、洪積台地と火山性台地がある。

洪積台地(こうせきだいち)

約二百万年前から約一万年前までに堆積作用によって形成された、平坦地が隆起してできた地形。

洪積台地は千葉県北部及び茨城県南部一帯に広がり、埼玉県東端にかかる関東ローム層からなる台地です。

日本では隆起した扇状地、三角州、海岸平野などを洪積台地と呼ぶ場合が多い。


一般に洪積台地が赤黄色土で、火山性台地が黒ボク土の土壌です。


赤色土、黄色土は西日本に分布が広く、粘土が多く養分は乏しい酸性の土で、色は酸化鉄によるものです。

火山性台地

火砕流が流れた跡に残される火砕流堆積物からなる台地で、台地面は極めて平坦かつ緩傾斜、縁は急崖(きゅうがい)をなすことが多い。

黒ボク土は火山が多い関東以北、九州地方に分布している。

火山灰が降り積もってできた土で、表層は腐植が多く黒色。

酸性でリン酸を固定しやすい土です。


②段丘(だんきゅう)段丘礫層(だんきゅうれきそう)

河川の沿岸や海岸に発達した平らな土地で、土性(粘着性)は砂質で下層は礫層です。

礫層とは、流れる水の働きによって最近運ばれてきた土砂からなる新しい地層です。

礫(れき、つぶて)は小さい石、小石で、砂、ゴマ粒より大きく、握りこぶし大程度までの大きさの石とされる。

排水が良すぎて乾燥被害の起きやすい土壌です。


③扇状地土壌

一般的に砂質と礫質の土壌ですが、下流ほど土性は細かくなります。

上流ほど排水が良すぎて、干ばつ被害の起きやすい土壌です。

日本の土壌分布と土

山地

褐色森林土は日本の山地の大部分を占める酸性の土

表層は暗褐色から黒色で腐植を多く含む。

下層は褐色で礫を含み、孔隙(こうげき)も多く保水力がある。

孔隙とは土や岩石に含まれている小さな穴、すき間のこと

ポドゾル
表層のすぐ下に真っ白な漂白層をもつ、ミネラルが極端に欠乏した貧しい土。

ポドゾルは元々ロシアの「podzol」に由来し、次表層部分に灰色の層があることを意味している。

日本では高山帯や一部の砂丘地などにしか見られないが、ロシア、カナダなどの寒冷気候下に広く分布する主要土壌の1つとなっている。


         「ポドゾル」

低地

グライ土
湿った環境でできる土で青灰色

常に地下水面が地表近くにある低湿な沖積地の土壌
で、日本では大部分が水田地帯になっている。

沖積地(ちゅうせきち)は主に河川による堆積作用によって形成される地形。


灰色低地土
主に水田に利用されている土

褐色低地土
水はけの良い所に分布している。

泥炭土
排水の悪い窪地に分布する。