緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2025/01/02

不老不死の植物と言われたアロエ No,744

 アロエ ユリ科多年草

昔々医者いらずと言われた植物

アロエの起源は、アフリカやインドで太古から原住民が薬草として使用していた事にさかのぼります。

紀元前2000年頃、アロエベラは古代エジプトで「不死の植物」「不老不死の植物」と呼ばれていた。

女王クレオパトラは美容のため、アロエの液汁を全身に塗っていたと言われています。

また、アレキサンダー大王(マケドニア帝国)もアロエを愛用し、兵士の病気や怪我の治療に使い、遠征時には必ず持参していたと言われています。

アロエと言う名前はアラビア語で「苦いと言う意味の「ロエ」で、紀元前1550年の古代エジプトのミイラの膝の間から、アロエについて記述した「パピルス」が出てきました。

パピルスとは、ナイル河川中に繁茂していたカヤツリグサ科の大型の多年草で、エジプトの地に住んでいた人々が最初にパピルスを使って文字を書き始め、エジプト文明の発展と共に改善されて受け継がれてきた、今で言う紙のことです。

昔、パピルスの茎の繊維を縦横に重ねて作った紙だが、パピルスには水に溶けた原液を漉(す)くと言う工程がないため、実際は紙とは言えないものです。

日本への伝来

アロエはシルクロードを経て、中国から鎌倉時代に日本へ伝わったと言われるほど古く、これまでに500種以上もの品種が見つかっていると言われ、一番効能があるのはキダチアロエとされ、一番効能があるのは葉の部分とされています。


  「キダチアロエ」

アロエの効能

アロエには30種を超える有効成分が含まれているとされ、その成分は熱や酸、アルカリにも強く、素早く皮膚や粘膜にも浸透することが知られています。

更にアロエを乾燥しても煮詰めても、これらの有効成分は変化しません。

葉の裏に白い斑点がある「ジャンボアロエ」はハワイでも民間薬としてよく使われています。

表皮には刺激成分があって、チクチク肌が針で刺されたような刺激があるので、表皮を削り取って中身だけを使います。

アロエは苦味が効能の源であり、噛んでみて苦くないものは効力が落ちるとされています。

苦味が強いのはキダチアロエで苦味が少ないのはアロエベラです。

紀元前1世紀のローマ皇帝ネロの侍医(じい)ディオスコリデスの「ギリシャ木草」に、アロエの医薬的効能が記述されています。

侍医とは天皇、皇族、貴人づきの医者のこと

記述内容は、アロエは肌に収縮(ひきしめ、小さく)作用があり、眠りを催し、体をしっかりさせ、腹を暖かくし、胃を浄化するとあり、更に乾燥させたアロエ粉末を傷の上に散布すると傷口を癒合させる。


中国でも「政和本草」宋代の医書に、「どんな薬でも治らなかった子どもの重症の湿疹が、アロエをあぶって甘草(かんぞう)の粉末と混ぜて患部に湿布したら、たちどころに治った」と症例が記録されています。


    「甘草」


甘草とはマメ科の多年生植物で、根を干したものは特殊な甘味を持ち、薬用、甘味用とされ「あまき」や「あまくさ」とも呼ばれる。


鎌倉時代に伝わったアロエは、現在主流である「キダチアロエ」ではなく「ケープアロエ」だったと言われています。

その記録は江戸時代の文献に残っており、アロエの様々な特徴について記載があり、日本でもアロエが多用されていた事が伺えます。

ケープアロエはアロエ属で最も大型の木本性多肉植物で、葉液はヨーロッパや日本で、お通じを良くする薬(原料)として昔から使われてきました。


アロエには細菌を殺す力(殺菌力)、炎症を鎮める働き(消炎作用)、体の抵抗力(免疫力)を高めると言う3つの作用があります。


添田百枝医学博士

アロエの薬効についてはじめて解明した博士で、抗生物質研究の第一人者

トリコマイシンの発見者として知られています。

1961年来のアロエ研究で3つの有効成分を発見した。

①アロエチン②アロミチン③アロエウルシン


①アロエチン

抗細菌性、防カビ作用がある。

細菌を殺す作用と細菌の出す毒素を中和する作用があります。

例えば「おでき」これはグラム染色陽性菌で、肺炎を起こす肺炎双球菌にも効果があるとされています。

ニキビが治ったのも、アロエチンが強力な殺菌作用で皮膚の細菌を殺したからで、更にアロミチンと言う物質の働きが大きく、皮膚の免疫力を高めたからです。

その他、大腸菌、チフス菌、赤痢菌などに幅広い殺菌力を示します。

水虫菌の出す毒素を中和するので、水虫の悩みも鎮まります。

水虫の原因は白癬菌(はくせんきん)と言うカビの一種で、アロエチンにはカビや細菌を殺す力がある。

実際アロエによって水虫が治った人は大勢います。

また、インフルエンザの抗ウイルス作用もあるとされ、アロエの服用で感染が阻止され、治りも早いと言われています。


②アロミチン

抗腫瘍作用があり、ガン、肉腫、白血病への効果が確認されています。


③アロエウルシン

腫れや痛みを鎮め、傷を修復する成分

抗潰瘍作用が確認され、潰瘍(かいよう)に対して穏やかに働きかけます。

これが胃腸ポリープや腫瘍に作用して治癒(ちゆ)させている。

胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍への効能が実験で証明されています。


血糖値が下がり、肝硬変直前の肝炎が治った症例

血糖値が200㍉以上だったが、アロエジュースを毎日コップ1杯飲んだだけで血糖値が下がった。

アロエジュースにする品種はアロエベラが主として使われている。

また、肝硬変直前と言う慢性肝炎でほとんど寝たきりの生活だったが、胆石手術後もアロエジュースを飲み続けたところ、普通の仕事ができるほどまでに回復した。

昔から民間療法として、糖尿病、肝臓病にアロエが優れた効果を上げています。


アロエのネバネバした成分は「アロエボラン」と言う薬効成分で、血糖値が大幅に低下し、その持続時間は糖尿病治療薬のインスリンより長く効果があったとの研究結果もある。

アロエボランなどのネバネバした繊維には保水性があり、肌につければしっとりする。

また、ネバネバには免疫力を高める「アロエマンナン」などといった成分も確認されています。

やけどや切り傷の応急処置に最適

我慢できない痔痛(湯上がりにアロエ汁を塗る)

アロインと言う成分が排便を促進し便秘を治す

打ち身や捻挫にはアロエを湿布する

アロエ浴剤、アロエ湿布、アロエ茶、おろし汁、アロエ酒など









2024/12/07

西蓮寺の大イチョウ No,743

 西蓮寺の大イチョウ

昨年西蓮寺を訪れて今日で1年、同じ日の今日再び大イチョウを見に西蓮寺へ行った。

昨日のニュースもあって見物に訪れた人々が多く、駐車場も警備、誘導員が対応していました。

昨年は閉まっていた本堂も開いていて、御朱印の受け付けも行われていました。

キッチンカーの出店もあり、昨年とは雰囲気も違っていました。





陽射しもありいい天気、二十四節気では大雪にあたります。

お正月の準備をするには良い日とされ、お利益を願う者もいるだろう。





ハラハラと散る落ち葉もあまり見受けなかったが、一面にはイチョウの葉が敷き詰められて見事である。

まさにイチョウの葉の絨毯である。










関連ブログ
西蓮寺と大イチョウNo,680









2024/11/27

さつまいもの糖化 No,742

 澱粉(でんぷん)糖化

でん粉糖化とは、デンプンを酵素や酸によって分解して糖に変える変化反応です。

デンプンはブドウ糖分子、数千個が繋がってできています。

そのままでは体内に吸収することができません。

唾液(だえき)に含まれるα-アミラーゼ(消化酵素)などの酵素によって、デンプンが分解されて糖が生成されることによって体内に吸収しやすくなります。


口の中でお米を噛み続けると甘さを感じますが、それはデンプンが糖化しているからです。

サツマイモやジャガイモ、トウモロコシ、米などに含まれるデンプンを酸や酵素によって糖化されて作られたものが水飴です。

糖化は貯蔵温度が低いほど進行しますが、暗くしておくことが大切です。

サツマイモに含まれるβ-アミラーゼ(タンパク質)と言う酵素が、デンプンを麦芽糖と言う糖に分解します。

β-アミラーゼは60〜75℃で活発に働くとされ、80℃を超えるとその力は弱まります。


      
「自作窯による壺焼き芋」


加熱により水分が飛ばされることで、麦芽糖の濃度が高くなります。


収穫したばかりのサツマイモは糖度が低いので追熟が必要です。


追熟には10〜15℃、湿度80〜90%で保存する必要があり、10℃以下になると低温障害を起こし、傷みやくなり腐敗の原因となります。

低温障害を起こしたサツマイモは浅黒く見える場合があります。


収穫後2〜3週間ほど追熟すると甘味が増してきます。

品種にもよりますがサツマイモの端を切った時に、黄色くなっていると熟成している目安にもなります。




サツマイモは冷めるとデンプンが「レジスタントスターチ」難消化性デンプンに変化して吸収されにくくなります。


食物繊維と同じような役割をするので、血糖値の急上昇を抑え、腸内環境を整えたり便秘解消やダイエット効果も期待できます。


麦芽糖(ばくがとう)は単糖類であるブドウ糖(グルコース)が2つ結合してできた二糖類で、水飴の主成分として知られますが、甘酒にも含まれています。

その名前の由来は、発芽した大麦をデンプンに作用させて得られたことからきています。

また、デンプンを「ジアスターゼ」で分解する時に出来る糖でアミラーゼは、ジアスターゼとも称されるデンプンを分解する消化酵素です。

α-アミラーゼとβ-アミラーゼ

分解物質のα-アミラーゼはデンプンを分解し、β-アミラーゼはアルドース(単糖類の総称)を生成します。

麦芽由来のα-アミラーゼは約73度、β-アミラーゼは約63度で最も活性が高くなります。

α-アミラーゼは唾液や膵液、麦芽、糸状菌などに存在し、β-アミラーゼは小麦、大麦、大豆などの穀物類やサツマイモに豊富に含まれています。

α-アミラーゼは「液化酵素」とも呼ばれ、デンプンを構成するアミロースや、アミロペクチンの分子内部を無作為に加水分解して可溶化(溶解化)します。

β-アミラーゼはアミロースをほぼ分解することができますが、アミロペクチンを基質とした場合は統合の手前で反応が止まってしまいます。









2024/11/21

踏み荒らされた絶滅危惧種 No,741

 クニガミシュスラン

国頭繻子蘭 ラン科

クニガミシュスランは山地樹林下に生える草丈10〜15㌢の多年草

茎は下部で匍匐(ほふく)してその先端は立ち上がる。

白い花をつける地生ランで絶滅危惧種に指定されている。


 「クニガミシュスラン」


クニガミと言う和名の由来は、沖縄北部の国頭村のことで、そこで発見されたシュスランに由来する。

シュスは茎が繻子に似ていることに由来している。

繻子(しゅす)とは、布面がなめらかで艶があり、縦糸または横糸だけを浮かした織物で、帯地や半襟(半衿)洋服生地などに用いられる。


絶滅危惧種の花消える


世界自然遺産に登録されている鹿児島県徳之島で、最大規模の日米共同実動演習「キーン·ソード25」により、世界自然遺産のコアエリア(核心地域)に生息する絶滅危惧種の花が踏み荒らされ株ごと消失しました。


この演習は10月23日から11月1日まで行われたもので、18日に徳之島の伊仙町役場で開催された、世界自然遺産に関する会合で、地元のNPO法人が被害を証明しました。

NPO法人「徳之島虹の会」によると、10月26日午前に井之川岳で絶滅危惧種の「クニガミシュスラン」の蕾が膨らんでいるのを確認している。

しかし、27日の午後にすでに踏み荒らされていました。


  
踏み潰された跡のクニガミシュスラン

(徳之島虹の会)による提供写真(10月27日午後)


これについて、防衛省統合幕僚監部は井之川岳の地、同様に世界遺産エリアに指定されている天城岳、犬田布岳の島内三山で10月25日〜28日に山地機動訓練、同27日〜28日に偵察訓練を行ったことを認めた。

しかし、徳之島虹の会の証明について地元紙の報道で承知しているとしているが、自衛隊員が踏み荒らしたと言う事実は確認出来ないと強弁している。

井之川岳は国立公園特別保護地区に指定され、「木の実1個、葉っぱ1枚すら採ってはいけない」最高ランクの環境保全活動が実施されている地域であり、そもそもこのような所をなぜ訓練地に選ばなければならないのか、最大の疑問でしかありません。


この事から分かることはどんな状況下に於いても、軍隊と言うものは「暴走」し、またそれを現実的にも止めることが出来ないと言うことではないでしょうか!

こんな暴走がもし、違うところでもと考えたら恐怖でしかありません。


これでいいのか日本‼️









2024/11/16

触ってはいけない植物 No,740

 ジャイアント·ホグウィード

セリ科多年草 和名=バイカルハナウド

ジャイアント·ホグウィードは西アジアのコーカサス山脈が原産で、観賞用の植物として19世紀の終わり頃に、西ヨーロッパに広がり20世紀初頭にアメリカに持ち込まれました。


     
ジャイアント·ホグウィード

樹液を触るとやけどを発症する謎の植物

樹液には「フラノクマリン」と言う有機化合物が含まれており、皮膚細胞に浸透してDNAにまで届きます。

フラノクマリンが日光にさらされると15分ほどで化学反応を起こし、DNAの鎖内(さじょう)に架橋が生成され、細胞が機能停止してしまいます。

鎖状とは、鎖のように繋がっている状態を指します。

樹液は茎や葉を折った時や、茎の剛毛を逆撫でることで人体に付着し、水ぶくれを伴うひどいやけどやアレルギーに似た症状を起こすこともあります。

深刻な状態になると長期間の日光過敏症や、目に触れた場合は失明することもある。

一見すると無害な植物に見えるため、素手で摘んでしまいやけどを負う子供も多いとされ、その危険性や強い繁殖力からニューヨーク州は、販売や輸入、購入、輸送、導入、繁殖されることを法律で禁止しています。

更にペットにも危険な植物である。


  「オオハナウド」

日本には生育していないがよく似た植物として「オオハナウド」が生育しています。

オオハナウドは犬猫の両方にとって有害な植物です。









2024/11/04

さつまいも基腐病 No,739

サツマイモ基腐病

サツマイモ基腐病(もとぐされびょう)は芋が土中で腐る病気です。


病気が感染多発した栽培地では、大幅な減収を生じます。

基腐病は平成30年度(2018年4月〜2019年3月)に沖縄県で、国内初として確認された後、全国で発生が確認されています。

令和5年1月時点で発生が確認されている都道府県

沖縄、宮崎、鹿児島、福岡、長崎、熊本、高知、静岡

岐阜、群馬、茨城、東京、千葉、岩手、愛媛、福井、埼玉

山形、石川、北海道、鳥取、長野、広島、徳島、神奈川

兵庫、岡山、大阪、和歌山、三重の30都道府県


サツマイモ基腐病は、主にさつまいも(ヒルガオ科)のみ感染するとされています。

感染すると茎の地際部が黒から暗褐色になり、茎葉は黄色や紫色に変色して萎れ、病状が進むと枯死し、その後芋(塊根=かいこん)が土中で腐ってしまいます。


    
地際部の枯れ込みが見られる株


この病気は糸状菌(カビ)によって引き起こされ、その菌に感染した種苗や畑などに残った茎葉、芋などが伝染源になります。

健全な苗や芋に見えても、保菌している可能性があるので注意が必要です。

降雨などによって畑に水たまりができると、発病した株にできた胞子(カビのもと)が水を介して周辺の株に広がり、感染が拡大します。

育苗期から生育期、収穫期から貯蔵期間中に至るまで年間を通して感染、発病する可能があります。

日頃から病気の侵入防止と、早期発見、早期対策に努める必要があります。

苗を植えた後から収穫時まで、こまめに畑を確認し、発病が見られた畑では2年以上はさつまいも栽培を避け、さつまいも以外の作物を栽培するか、休耕します。

この病原菌は土壌中に残るため、同じ畑で連作栽培すると発病を繰り返す可能性あります。


     
発病が見られるサツマイモ

主な防除対策例

病気が発生した場所から種芋を採取しない

無病な種芋や由来のわかる健全な苗を使用します。

種芋や苗はよく観察して選別し、腐敗や黒変があれば使用を避ける。

購入する苗が消毒済みであるかどうか確認

未消毒の苗は植え付け前にベンレート水和剤、ベンレートT水和剤20の登録農薬で消毒

別の畑で作業する前には、農機具や長靴についた土はよく落とし、水できれいに洗浄する。

畑に病原菌が入るのを防ぐため、コンテナや農機具、長靴等の洗浄水が畑に流れ込まないように注意する。

収穫後に畑に残った茎葉、芋は可能な限り畑の外に持ち出して適切に処分する。

収穫後は速やかに耕作を行う。

なお、病気が発生又は病気と疑われる症状を確認した場合、生産農家は関係機関に直ぐに連絡し、指導を仰ぐ必要があります。

家庭菜園に於いても必要不可欠な問題になっていると言えます。