緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2019/02/11

球根の植え付け  No,128

球根の植え付け


球根には秋に植えて、早春から初夏にかけて花を咲かせる秋植え球根、春に植えて夏から秋にかけて花を咲かせる春植え球根などがありますが、植え付けの基本方法は同じです。

球根の種類はたくさんあり、それぞれ形も違います。

球根を植え付ける時の深さはとても重要なので、注意して植えるようにしましょう。

球根を植え付ける深さの目安(鉢植えの場合)

植物深さ    (地表から球根の上端)

球根アイリス          約2㎝     

アネモネ             2㎝~3㎝

アマリリス          球根の頂点が地面に少し出る出る程度

アルストロメリア       約3㎝

カラー            1㎝~2㎝

カンナ            3㎝~5㎝

グラジオラス         球根の3倍ほどの深さ  

クロッカス          球根が隠れる程度

ジンジャー          約10㎝

スイセン           球根が隠れる程度

スノーフレーク        約5㎝

ダリア            約3㎝

チューリップ         球根の倍ほどの深さ

ハナニラ           球根の倍ほどの深さ

ヒヤシンス          球根の頂点が地表に少し出る程度

フリージア          2㎝~3㎝

球根ベゴニア         球根が隠れる程度

ムスカリ           球根が隠れる程度

ユリ             約5㎝

ラナンキュラス        1㎝~2㎝

◉花壇などの地植えの場合は、球根の3倍の深さ、つまり球根の高さの2倍の土をかけるようにする。

ただし、ユリの場合は、球根の4倍かにら5倍(15㎝~20㎝)に植えるようにする。

ユリの場合、根が球根の上部からも出るからです。

浅く植えると株が安定しない、グラグラする原因になるからです。

  
 

     

アマリリス  No,127

アマリリス 

別名ヒッペアストラム

ヒガンバナ科秋植え球根 

花言葉=おしゃべり


ギリシャ語で「輝く」という意味のアマリリス。

その名の通り大きく鮮やかな花が咲く、古くから親しまれている球根花です。

球根をまとめて植えると、花壇でも鉢植えでも、ボリュームのある花を楽しむことができるでしょう。



◉植え付け時期

10月~11月、3月~4月頃、5号鉢以上の鉢に水はけのよい土を入れて元肥(緩効性肥料)を与え、球根の頭が出る程度に浅く植え付けます。

10日前後は乾燥気味に管理し、その後は土の表面が乾いたら水を与えます。



◉肥料

日当たりのよい場所で育て、生育期間中は月に2~3回液肥で追肥します。




管理

夏場は風通しのよい半日陰で涼しく管理、冬は暖かい室内で育てるようにします。

植え付けて3年たったら植え替えるとよいでしょう。

殖やし方は3月頃に分球します。








2019/02/10

土壌動物の働き No,126

土壌動物の働き

落葉、落枝の粉砕

落葉の一連の分解過程に複数の土壌動物が関与している。


落ちて間もない落葉は硬くて乾燥しており、ワラジムシ、オカダンゴムシ、ササダニ、ミミズなどの一次分解動物によって摂食、粉砕される。

通常一次分解動物では、炭水化物、脂肪、たんぱく質は消化、吸収されるが、ヘミセルロース、セルロース、リグニンはほとんど消化されずに排泄される。

◉ヘミセルロース

植物細胞壁に含まれるセルロースを除く水に対して、不溶性の多糖類の総称。

◉セルロース

繊維素

◉リグニン

高等植物の木化に関与する高分子のフェノール(石炭酸)性化合物であり、木質素とも呼ばれる。
化合物の総称。

◆落葉は粉砕されるとともに、その含水量を増す。

一次分解動物のフンと粉砕された落葉は、トビムシ、ヤスデ、ミミズ、センチュウなどの二次分解動物に更に分解され、土壌の団粒化、腐植粘土複合体の形成を寄与する。

腐植

土の中に入った、植物の残渣(ざんさ=残りかす)や動物の遺体、排泄物はヤスデ、ワラムシ、ミミズ等の土壌動物によって細かくされ土中に、ばらまかれた後、今度は微生物によって更に分解されます。

有機物の構成成分であるデンプン、たんぱく質、リグニンなどは分解の難易はありますが、分解されてかなりの部分は炭酸ガス、水やアンモニアになります。

残りの部分は、黒褐色の無定形の物質に変形します。

これを腐と呼びます。

腐植はこれまでの有機科学のどの部門にも属さない、高分子化合物で、土において新しくできた、土個有のものと見なされます。


土壌中の腐植物質は常に更新と腐植化を繰り返しているため、その量と腐植化の程度は、地温、土壌水分、地上植生、粘土含有量などに依存して、一定の動的平衡(へいこう=つれあい)状態に保たれています。

地上の植生が気候変動相場制によって変化すれば、腐植物質の量と質は新たな平衡状態に移行することになる。




土壌の惑星=地球 No,125

土壌の惑星


地球はこれまで知られている限りでは、太陽系の中で唯一生物の住む惑星である。


その生物は、もとは水のある範囲にいましたが、光合成を営む生物が出現し、酸素が他とかけ離れて大気の組成分となるに及んで、成層圏(大気の上層で気温がだいたい一定した部分、地上10キロ前後から始まる。⇎対流圏)にできたオゾン層は地表へ降り注ぐ強い紫外線を遮り、陸上での生物の生活を可能にした。


最初に上陸したのは、プシロフィトンと呼ばれる植物の先祖で、それはおよそ四億年前のシルリア紀のことであったとされる。


生物が進出する前にも、陸地を形成していた岩石は、原始大気の中に含まれていた。

強い酸性物質を溶かし込んだ雨に打たれ、風に吹かれて風化し、粘土や砂のような細粒の物質レゴリス(regolith)とか砕屑(clastic materials)といわれるものを、地表に形成していたと思われる。

しかし、ここには生命はなく、有機物も含まれていなかった。

陸地に生物が出現して初めて、レゴリスは土壌に転化する契機を得たのである。


レゴリスから、土壌への変化の過程をこうではないかと考えさせるのは、火山噴火物の上に土壌が形づくられていく様子であろう。

伊豆大島で、過去いろいろな年代に噴き出した溶岩の上で、土壌が形成され、植生が発達していく過程を噴出年次に従って追跡した研究(1961年)がある。

それによると、溶岩の上に風化した砂質の砕屑物がたまって砂漠的な景観を作り出すまでに、ほぼ200年かかっているが、一度そこにイタドリやスゲのような植物が取り付くと、枯れた植物遺体が砂に入り、有機物が溜まり始め、それを利用する動物や微生物が住み着き、少しずつ生物の住処として、より好適な倍地に作り変えていく。

その結果、次の段階では、新しい倍地によりよく適応した生物種が優先的に占領するようになる。

そして、1000年以上もの時間の中で、植物の遷移(せんい=他所へ移る)に伴って、レゴリスはより深くまで土壌に変わり、その中に有機物や養分を蓄えることによって、伊豆大島の気候に適応した常緑広葉樹(ツバキ、シイ、タブなど)主体の森林を育てるまでになるのである。

レゴリスが土壌に転化するためには、生物の働きが不可欠なのである。

生物はいったい何をするのだろうか?

まずは有機物を与えて、生物に必須であるにも関わらず、一般に岩石の風化物中には、乏しい窒素(生物が大気中から固定する)と、植物に吸収可能なリン(生物が体内に濃縮する)を倍地中にふやす。

また、有機物自体の存在によって起こる物理的、科学的の生活が活発になり、これが更に岩石の風化を促進して、土壌はますます深くまで発達してゆくことになる。

生物が地球にしか生息しないと云うのであれば、生物の存在によって条件付けられる土壌も、地球に個有の資源であるということになる。

地球が水の惑星であるという言い方を借りれば、地球は土壌の惑星でもあると言えるだろう。




2019/02/09

樹種別接ぎ木の適期、植え替え時期  No,124

樹種名     接ぎ木適期        植え替え時期
アンズ     3月上旬~下旬      9月上旬~10月上旬
                     翌年3月中旬~4月下旬

イチョウ    3月上旬~下旬      9月上旬~10月上旬
                     2月中旬~4月中旬

ウメ      3月上旬~下旬      9月中旬~10月下旬
        8月中旬~下旬      翌年3月中旬~4月下旬

ウメモドキ   3月上旬~4月下旬     翌年2月中旬~4月下旬 

オリーブ    2月中旬~5月下旬     9月上旬~10月下旬
                     翌年3月中旬~6月下旬

カイドウ    3月上旬~下旬      翌年2月中旬~4月下旬

カエデ類    2月上旬~3月下旬     9月上旬~10月下旬

カキ      3月中旬~下旬       9月上旬~10月上旬
                     翌年3月上旬~下旬

キンモクセイ  3月上旬~4月下旬     9月上旬~10月上旬
                     翌年3月上旬~6月下旬

クリ      3月上旬~下旬       9月上旬~10月下旬
                     翌年3月上旬~4月下旬

ゲッケイジュ  2月下旬~5月下旬     9月上旬~10月下旬
                     翌年3月中旬~6月下旬

サクラ     3月上旬~下旬       翌年3月上旬~4月下旬

サザンカ    2月上旬~4月下旬     翌年2月上旬~5月下旬

スモモ     3月上旬~下旬       翌年3月上旬~5月中旬

タイサンボク  4月中旬~下旬       9月上旬~10月下旬

ダイダイ    4月上旬~5月下旬     翌年4月上旬~6月下旬

ツバキ     2月中旬~6月下旬     翌年3月中旬~6月下旬

ナシ      3月上旬~下旬       翌年3月上旬~5月下旬

ハナミズキ   2月上旬~3月下旬     翌年2月中旬~5月下旬

ヒイラギ    4月上旬~下旬       9月上旬~10月下旬
                     翌年4月上旬~6月下旬

ビワ      4月上旬~5月下旬     翌年4月上旬~6月下旬

フジ      3月上旬~下旬       2月中旬~5月下旬

ブドウ     3月上旬~下旬       3月上旬~5月下旬

ボケ      3月上旬~下旬       2月上旬~3月下旬

ボタン     8月中旬~9月中旬     2月上旬~3月下旬

ミカン     4月上旬~5月下旬    翌年4月上旬~6月下旬

ユズ      4月上旬~5月下旬    9月上旬~10月下旬
                    翌年4月上旬~6月下旬

ライラック   3月中旬~下旬      9月上旬~10月上旬

リンゴ     3月上旬~下旬     翌年3月上旬~4月下旬  

ロウバイ    3月中旬~下旬     翌年3月上旬~下旬

エゾマツ    2月下旬~3月下旬    翌年4月上旬~4月中旬

クロマツ    2月下旬~3月下旬    翌年3月上旬~4月上旬

ゴヨウマツ   2月下旬~3月下旬    翌年3月中旬~4月中旬
 

2019/02/08

接ぎ木 果樹の殖やし方② No,123

接ぎ木について

◉接ぎ木は、果実の味覚を良くする為に果樹に対して行うことが多いが、一本の樹木に異なった色や形の花を咲かせる場合にも行う事がある。

◉樹姿を変えたい時にも有効な手段である。

ただし、全ての種類が接ぎ木できるわけではなく、穂木と台木は近縁種(似たような性質を持っているもの)同士でなくてはなりません。

同一種であれば問題はありません。

接ぎ木の原理

接ぎ木は、台木と穂木の形成層を合わせて癒着させ、お互いの切り口に生じるカルス(癒傷=ゆしょう組織)の分裂、増殖によって双方が接着する原理になっている。

接ぎ木の新和性

接ぎ木は、穂木と台木の組み合わせを自分で行えるわけではありません。

ある樹種の穂木とある樹種の台木を用いて接ぎ木するときに、お互いが合着しやすい組み合わせになっているかどうかを、接ぎ木の新和性といいます。

★新和性は、穂木と台木の樹種が同じである時(これを共接ぎという)に最も高くなりますが、植物分類学上の近縁の植物であれば接ぎ木することができます。

◎ツバキをツバキに接ぎ木するのは共接ぎですが、ツバキをサザンカの台木に接ぎ木しても構いません。

ゴヨウマツをクロマツの台木に接ぎ木しても構いません。

◆接ぎ木は、同じ樹種同士で行えるとは限らず、これにはいくつかの理由があります。

例えば、接ぎ木が可能であれば、台木は耐寒性、耐病性などが強く、また樹勢の強いものを選ぶ方が、活着後の穂木の生長が良くなるなどの理由があるからです。

台木の選び方

台木は、接ぎ方によって違いますが、樹勢が強く根がしっかりしている1~3年生以内の若木を選ぶのが一般的です。

多くの穂木を接ぎたい場合は、台木にする樹をあらかじめ実生で育てておくとよいでしょう。

実生
接ぎ木やとり木で育てた台木に比べて、多くの穂木を接ぐことができるなど上、穂木がスムーズに生育します。

カエデ類など生長の遅いものでは2年から4年生の台木。

接ぎ木の時期

どの樹種もおおむね2月下旬から実施できますが、針葉樹は3月上旬までに実施しないと活着率が極端に落ちます。

①常緑広葉樹は6月中旬 
②落葉樹は4月上旬

★緑枝接ぎを除く枝接ぎは2月下旬から4月上旬

★緑枝接ぎは、台木、穂木ともに新梢を用いるので5月下旬から7月

★芽接ぎは、8月中旬から9月中旬
(バラ、スモモ、アンズなどは7月下旬頃から可能)

★呼び接ぎは落葉樹では2月下旬から4月上旬
(常緑樹では6月頃まで可能)

★カエデ類、モクレンなどの落葉樹では8月中旬から9月中旬も適期

◉台木が植わった状態で接ぎ木する方法を「居接ぎ」台木を掘り上げて接ぎ木する方法を「揚げ接ぎ」

苗木を養成する目的で枝接ぎする場合は、多くの樹種で揚げ接ぎが行われます。

芽接ぎや縁枝接ぎでは「居接ぎ」するのが普通(2月下旬から4月上旬)


◆芽接ぎ、あるいは緑枝接ぎを行う場合には、接ぎ木時点以前に台木が定植されていなければならず2月下旬から4月上旬に行われる接ぎ木では、前年の秋(落葉直後)に台木となる苗木を掘り上げて、長く伸びた根を整理して接ぎ木時点まで、仮植えしておくようにします。

仮植えを行うと新根の発生が良くなる。
ウメ、サクラ、アンズ、カエデ類、ナシ、リンゴなど多くの落葉樹で行われる。

★落葉樹を枝接ぎする場合は、挿し木の場合と同様1月下旬から2月頃に穂木にするえだを切り取って貯蔵しておきます。

◎ツバキ、サザンカ類、マツ類などの常緑樹では穂木を早めに切って貯蔵しておくことが困難ですので、接ぎ木する時に種木を切り取る。
芽接ぎ、緑枝接ぎも同じ。

✫接ぎ木の方法(切接ぎ)


台木と穂木の形成層がピッタリ密着しないと木がつかないので、台木の切り口は平らにし、くぼんだり盛り上がったりしないように注意する。


①穂木の切り口をなめらかに削り、切り口と合う形に台木に切り込みを入れる。


                                  ①図


②穂木の反対側も少し削り、切り口を軽くなめるとつきやすくなる。

穂木は5〜8cmくらいつぎ口を1~1.5cm前後斜めに切ります。


                                     ②図

③台木の形成層と穂木の切り口を密着させます。

                                    ③図
形成層を両方合わせる。
小さい穂木の場合は、片方だけでも形成層についていればよい。


④台木と穂木の結合部分をビニールひもなどでしっかり巻いて固定します。

台木が大きい場合は、台木の断面と穂木の結合部分にロウ(ロウソクを溶かしたもの)を塗ってからビニールひもでしばります。


                               ④図

乾燥を防ぐために、更に上からビニール袋を被せて、その上から再びビニールひもでしばる。


✿ビニールを取り除く時期は、接ぎ木後約1ヶ月を目安にし、急に取り除かないでビニールに穴の数を徐々に多くするなどして、40~50日後に全て取り除くようにする。




✻接ぎ木後の管理と施肥

台木と穂木が一体化するまでのおよそ1ヶ月は、ビニールひもはそのままにしておき、つぎ穂から芽が出てきたことを確認した後に外します。

春に接いだものは秋には植え替えできますが、生育の遅い樹種は翌年の春まで待って植え替えます。


        ✻台木から芽が出た場合の処理

また、台木から芽(台芽)が出た場合は、穂木の養分が取られてしまうので、速やかに芽の付け根から切り取るようにします。

接ぎ木した穂木から芽が出てきたら油粕6、骨粉2、魚粉2の混合肥料を与えます。

接ぎ木してから一年間は、冬期の11月~2月を除いて2〜3ヶ月おきに与えるようにします。

✻関連ブログ
接ぎ木果樹の殖やし方①No,122