緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2020/05/13

鉢植えのバラの花が咲かない No.213

バラの花が咲かない原因として

鉢植えの場合、土の量に限りがあり、養分が不足しがちです。

同じ土で水やりを繰り返すので団粒構造が崩れ、通気性や排水性が悪くなって、株を弱らせる原因になります。

そのようになれば、肥料の効果もなくなり、花つきが悪くなってしまいます。

土の団粒構造を保つためには、基本的に毎年鉢土を全部取り替える必要があります。

根詰まりを起こしている場合もあります。

通常植え替えは休眠期(11月~2月)に行います。

地上部の枝を剪定した後、鉢から抜き取り根鉢の土をほぐしてすべての土を落とします。

根が乾燥しないように、バケツに水を張って浸けておきます。

一回り大きな鉢にすることが多いですが、根の状態を見て、鉢の大きさは判断した方が良いと思います。

赤玉土7、腐葉土(またはピートモス)3の割合の混合土に元肥として、油粕、骨粉、草木灰などを等量混ぜたものを鉢の大きさに応じて、大さじ1~2杯ほどすき込んで植え付けます。

根は四方に広げて置きます。

太い根を折らないように注意して曲げいれます。

最後に鉢土の表面に、ピートモスを2㎝ほどの暑さにひいてマルチングします。






2020/05/12

アケビ(通草、木通) No.212

アケビ アケビ科

別名アケビカズラ

日本の山野に自生するツル性落葉樹で、他の樹木に巻き付いてよじ登る性質があり、また寒さに強く丈夫なためアーチや垣根に仕立てやすい植物です。

秋に果実が完熟し、果皮が縦に割れることから実が開くので開け実が語源と考えられている。

果実を採るための適した地方は、夏涼しい山形県や長野県が向いている。

葉が3枚のミツバアケビは、主に北海道から九州地方まで広く栽培され、葉が5枚のアケビは東北地方を中心とした本州から九州地方、朝鮮半島まで栽培される。

寒天状の果肉には多くの種子が包まれていて、食べにくいが、甘く自然な風味が味わえる。

果皮は一夜、水でさらしてアク抜きしてから、軽く焼くか、油で炒めると食用にできます。


花は春に咲き色は淡紫色です。

小葉が3枚で紫紅花の花が咲くミツバアケビとアケビの雑種が5枚の小葉を持つゴヨウアケビです。

果実の色も品種によって異なり、黄色や薄紫色などがあります。

アケビに似たムベは、トキワアケビの別名がある。

果実は紫色に熟すが果実は開かない。




自家不結実性(自分の花粉では結実しにくい性質)があるので、別の株を2本(アケビとミツバアケビ)以上混植するか、別の花の花粉を人工受粉します。

前年に伸びた枝の腋芽が花芽となり、短い枝に果実がつく性質があります。

実がなるのは庭植えのもので3~4年

鉢植えのもので3年目くらいからです。



生育場所

庭植えは土層の深い日当たりの良い場所が適しています。

植え付けは11月から3月に行います。

直径50㎝、深さ50㎝程度の植え穴を掘り、腐葉土10~15㍑、油粕1㍑を混ぜ合わせながら埋め戻します。

                                                                                  ✣「花芽、ツボミ」


その上に何も混ぜていない土を盛り、根を広げて植え付けし、先端を切りたっぷり水を与えます。

鉢植えの場合は、11月~12月、2月~3月に植え付けます。

支柱を添えて植え付けし、先端を切り暖かい場所に置きます。

水やりは鉢土の表面が乾いたらたっぷり与えます。

★果実管理

果実はなるべく小さいうちに摘果を行います。

摘果をしないと1個の実が小さくなってしまいます。

1ヶ所に多くの実がついたら、形のよい大きな実を2個残して、あとは摘み取ります。

9月~10月頃、果皮が十分色づき柔らかくなってきたら、果実が避けてしまう前に収穫します。

◉肥料、施肥

もともと山野に自生している植物なので、腐葉土や堆肥などの有機物を中心に与えます。

開花結実するようになったら5月頃に化成肥料を30㌘施します。

木の周囲にばらまいて土にすき込むようにします。

収穫後、12月から1月頃の間に堆肥と鶏ふん、油粕、化成肥料を株回りに穴を掘り埋め込みます。




※害虫

6月~7月にアケビコノハの幼虫に葉を食べられてしまうことがあるので注意が必要です。

成虫は見つけ次第捕殺します。


◆剪定

剪定期間(12月~3月)

実つきを良くしたり、フェンスや垣根仕立てにするためには、2年目の1月から2月頃整枝剪定をします。

主として伸ばす枝以外の新梢はかき取り、ツルで木が覆われないようにします。

同時に弱い枝は間引きし、充実した短い枝を残します。

株元から出たひこばえも取り除きます。

フェンス仕立てでは、主枝にする枝は他の枝などに巻き付けないように、まっすぐ伸ばし、ヒモで固定(誘引)してあげます。

主枝の左右には側枝を出させて、これをバランスよく誘引していきます。

3月上旬から中旬に新梢を10節ぐらいの所で止めるようにします。

鉢植えの場合は、11月~12月頃、新しく伸びた枝や込み合うところは適度に間引きます。

3年から4年すると大きな芽がつき、これが花芽となるので、切らないように注意します。

あんどん仕立て、支柱仕立て、株仕立てなどにして、枝を短く切り戻します。

★増やし方
実生や挿し木で殖やします。






2020/05/11

鉢植えのフジの花が咲かない No.211

鉢植えの花が咲かない原因として

◉根詰まりしていないか確認する。

生長の早いフジは根詰まりする事が少なくありません。

水やりで、鉢底から水が抜けにくいようであれば、根詰まりしています。

そのような場合は、枝振りに合わせて根を切り詰めてから、新しい用土に植え替えをします。

花が咲かない原因は、樹勢が強すぎる事が原因と思われます。

生育がよすぎると夏になっても枝が伸び続けるため、花芽がつきにくくなります。

鉢植えのフジの生長を抑制するためには、6月頃から腰水をすると効果的です。

大きなたらいや水盤などに水を張り、鉢の下部3分の1を水の中に浸けるようにして管理します。

または、庭土を掘ってそこにビニールなどを敷いて水を張ってもよいでしょう。


葉の付け根につぼみができたら、すぐに水から取り出し通常の管理に戻します。

また、つぼみがつかなくて葉が黄変したり、水に油が浮くような場合は、根が弱っている証拠です。

直ちに水から取り出し、根詰まりの場合と同様に新しい用土に植え替えます。






2020/05/10

カリン(花梨) No.210

カリン バラ科ボケ属

中国山東省以南の原産

梨の原種といわれ、カラナシ、キボケなどの別名がある。

日本に渡来した時期は明確ではありませんが、遣唐使として唐に渡った空海が、9世紀初頭に数本のカリンの苗木を持ち帰ったと言う記録が残っています。

古い寺院にはカリンの大木がある所が少なくありません。

中国では、二千年以上前から輪切りにして干したカリンの実は、せき止めの漢方薬として使っており、日本にもせき止め、風邪、疲労回復に効果のある薬用植物として珍重されました。

東北地方や甲信越地方で多く栽培されている。

4月から5月に淡紅色の5弁花をつけ、秋に10~20㎝にもなる洋梨に似た、楕円形の果実が黄熟するが、実が硬く渋味が強いので生では食べられません。

香りを生かして、ジャム、ゼリー、砂糖漬け、カリン酒などに利用します。

近縁種のマルメロも果実をジャムなどに加工する他、庭木として利用されています。

カリンの自然樹形はほぼ直立して生長するのに対し、マルメロは横に広がる樹形なので、簡単に見分けがつきます。

尚、建築材や高級家具材として知られるカリンは、東南アジア原産のマメ科シタン属の樹木でまったくの別種です。

反対に、漢方薬でボケ(木瓜)と言われているのはカリンのことです。

寒さに強い樹種で、夏の酷暑は比較的苦手です。

果実が大きいことから、落果の危険があるので風当たりの強い場所には適しません。



◉病害虫

※赤星病
バラ科植物に多いサビ病の一種
水和イオウ剤などの殺菌剤で対処します。

※アブラムシ
スミチオン乳剤などの殺虫剤を散布

※カイガラムシ
休眠期(冬期)に石灰硫黄合剤を散布

◆剪定

枝が混まないように間引き剪定を主とする。

果実を多く収穫するには、長い枝を半分から3分の2くらいに切り取り、短枝を出させるようにします。

カリンは花芽が動き出すのが早いので、剪定は12月下旬から2月中旬くらいにまでには、済ませるようにします。

花芽は7月から8月に30㎝以下の枝の頂部と、それに次ぐわき芽に形成されます。

花芽はそのまま越冬しますので、伸び過ぎた枝以外の切り戻し剪定は避けましょう。

花芽を切り取ってしまうことになります。

★植え付け

植え付けは12月から3月に行います。

植え付け穴は大きめに掘り、腐葉土と堆肥を多めに埋め込み、水はけと保水性をよくして乾燥を防ぐことが大切です。

◈鉢植えは赤玉土6、腐葉土3、川砂1の混合土に植え日当たりのよい場所に置きます。

※結実までの目安
接ぎ木の1~2年生の苗を植えて、鉢植えで3~4年
庭植えで4~5年で結実する。
実生苗では5年~8年を要する。




◉肥料(施肥)

元肥には実をよくつけるために、鶏ふんとリン酸カリ肥料を主として、冬期の12月から2月に株回りに埋め込みます。

チッソ分は与えないようにします。

鉢植えは毎年3月、玉肥を3~4個置き肥します。

★カリンの殖やし方

実生、接ぎ木で殖やします。
実生は、秋に熟した果実を割って種子を取り出し、庭の隅など日陰か半日陰に作ったまき床に、まいて管理します。

翌春には発芽しますが、開花、結実するまでには数年を要します。

接ぎ木は早春の2月頃に行います。

◆果実の管理

小さい果実や形の悪いものを摘果し、5月中旬に袋をかけてやると病気や害虫防除に効果的です。

果実を食害するシンクイムシには注意しましょう。

実がなりはじめたら形の良いものに袋かけをし、害虫から実を守ります。

◉カリン酒(マルメロ酒)

◈カリン1㎏
◈砂糖200㌘
◈原酒1.8㍑
6ヶ月でカリンを取り出します。
取り出した果実は砂糖で煮つめて、せき止めの薬にしてみてはいかがでしょう。






2020/05/09

西洋シャクナゲ(石楠花) No.209

西洋シャクナゲ 

ツツジ科常緑広葉樹

別名ロードデンドロン
(西洋種の場合)

中国西南部からヒマラヤにかけての山深い地方が原産地と言われています。

園芸品種は日本の高山に自生する日本シャクナゲ(和シャク)とヨーロッパやアメリカで改良されて日本に渡った西洋シャクナゲ(和シャク)に大別されます。

一般に栽培されているのは西洋シャクナゲの系統のものです。

日本シャクナゲは原種に近く、平地では育てにくいので庭植えとしてはあまり栽培されていません。

また、日本シャクナゲは花がつきにくいのが難点で、西洋シャクナゲはこの点で優位にある。

両系統とも耐寒性や耐暑性が弱く湿気を嫌います。

シャクナゲは高地に自生するため、平地での栽培には高度の技術を必要とします。

そのため、「高嶺の花」として古くから園芸愛好家の憧れの花となっていました。

欧米では、「アルペン·ローズ」と呼ばれる西洋シャクナゲは品種改良が繰り返され、何千種類以上の園芸品種があると言われています。

一般家庭でも栽培が容易なため、より広く親しまれているのは西洋シャクナゲです。


◉生育管理

放任しておくとあまり枝を出さないで、主幹ばかりが伸びます。

苗木の場合も含めて、主幹の頂点の芽を摘んで下の枝を伸ばすように手入れします。

基本的には午前中に日がよく当たり、午後は日陰になるような所が最も適しています。

西日を嫌う性質を持っているので、強い日差しが一日中当たるような場所は生育しにくいでしょう。

乾燥を嫌うので、冬場の北風が避けられるような所で栽培することも大切です。

他の植物や樹木の間に植えるのも、他の植物が蒸散した水分によって湿度が上がるのでよい方法です。

根が浅いので乾燥する季節では、敷きわらなどを行い乾燥を防ぐ配慮も必要です。

水はけがよく、腐植質を豊富に含んだ酸性土を好みます。

赤土や火山灰質の黒土で腐植質を多く含む軽い土や、鹿沼土、軽石、ピートモスを混ぜ合わせたものなどが適しています。




◆植え替え、植え付け

日当たりと排水のよい、肥沃な乾燥地に植えます。

土は弱酸性の火山灰質が適し、根張りが浅く湿気を特に嫌うので、盛り土をして植えるのが一番確実な方法です。


根が細いので根鉢を大きくとり、根についている土はある程度落として、新しい土によく馴染むようにすることが大切です。

夏は涼しく、冬の寒風の当たらない場所を選び、浅根性なので植え付けは大きめに穴を彫り、堆肥やピートモスをよく混ぜてすき込み根をよく広げて浅植えします。

支柱を立て、ぐらつかないようにします。

植え付けは春と秋にできますが春植え2月下旬~4月の方がよい。
9月中旬~10月

★肥料(施肥)

主に冬場の元肥として、1月~2月に株回りに溝を掘り、有機質を主体にした堆肥に油粕と骨粉を混ぜ、リン酸カリ分の多い化成肥料★を加えて埋め込みます。

★成木の場合の目安量として、油粕500㌘~1㎏、骨粉300㌘以内、化成肥料200㌘以内

花後のお礼肥として7月に、それぞれ油粕と骨粉を等量混ぜたものを一握り、株元にばらまきします。

◆病害虫

◈葉枯れ病
葉身の先端ないし葉縁から褐色に変化して輪郭不鮮明な病斑を生じ、葉枯れ症状になる。

病斑上には微小黒点が発生する。

病葉は落ち葉を集めて処分する他、6月から10月の降雨時前後を重点に銅製剤を散布する。

◈葉斑病(ようはんびょう)
シャクナゲ類の葉身に発生する。

当年生の葉に褐色、濃褐色の小斑点を生じる。

次第に拡大して5㎜~10㎜大の病斑となる。

日本シャクナゲや西洋シャクナゲに被害を及ぼす。

葉斑病は梅雨期頃から激しくまん延する。

冬には病葉や枯死枝を取り、落ち葉とともに集めて処分する。

春の新葉が出る前に病葉は摘み取るようにする。

薬剤防除は、新葉が出る頃の5月から9月まで、降雨時前後を重点に、マンネブ剤、チオファネートメチル剤、ベノミル剤、銅製剤などを用いて、月2回程度散布してまん延を防止する。

◈カイガラムシ
風通しが悪く、日当たりの悪い所を好んで発生する。

適度に枝の手入れをして、風通しをよくしてやると発生が減る。

発生期にはデナポン乳剤、越冬期にはマシン油乳剤、石灰硫黄合剤などで防除します。

成虫は薬剤が浸透しにくいので、見つけしだい捕殺する。

◈グンバイムシ
4月から10月に多く発生します。葉の裏に寄生して養分を吸い取ります。

小さくて見つけにくい害虫ですが、発生すると葉が白っぽくなり酷いときには落葉します。

風通しの悪い所を好んでつくので、枝の手入れをして風通しをよくする。

乾燥を防ぐと被害が少なくなる。
薬剤は1~2週間おきに2~3回散布する。

スミチオン、マラソン、アセフェート、ホルモチオンなど

◈ハダニ類 
チャノホコリダニ、チャノヒメハダニ、チビコブハダニ

グンバイムシに似ています。

あまりにも小さいので、虫眼鏡でないと見えない害虫です。

高温期と乾燥を好みます。

薬剤は殺ダニ専用剤を用いる。

ケルセン、テデオン、アカール、オマイトなど多くの殺ダニ剤がある。

薬剤抵抗性系統が発現しないように、薬剤を連用しない。

数種類の薬剤を使用することが重要です。

乾燥を防ぐ対策を行う。

◈ハマキムシ
葉を綴り合わせて、その中に潜み葉を食害します。

葉を巻いて中に隠れているので、葉を開くか、葉ごと除去して捕殺する。

薬剤の効果は低いが、スミチオン、アセフェートなどは多少の効果がある。

※ミノムシ、ケムシ類も食害を起こすので、見つけしだい捕殺します。



◉剪定、整姿

一般に側枝の数が少なく主幹がよく伸びますので、苗木の時から頂芽摘みをして下枝を伸ばし、背丈を低く仕立てます。

花つきの多い種類はすべての花を咲かせると、樹勢が衰え、隔年(かくねん)開花(一年おきに開花)の原因になる場合があるので摘蕾をします。

シャクナゲは花のついているうちから、新梢が伸び、その先端に花芽が分化します。

そのため、冬の間も蕾をつけた開花枝ができることになります。

そこで10月頃、新枝の先端にある大きな頂芽を指で軽くねじって取り除いておきます。

真ん中の芽(つぼみ)だけを摘んで冬を越させます。

残したつぼみは翌春開花し、摘み取った後から伸びた新梢には、翌年の花芽がつくので、隔年開花を確実に防ぐことができます。

また、花後の花がら摘みも花つきをよくするために欠かせない作業となります。  
※芽摘み(9月~10月)
開花(5月)


◆殖やし方

実生、挿し木で殖やします。

実生は採取した種子を冷暗所で保存し、翌春、平鉢に入れた水苔にまきます。

ガラス板、新聞紙などをかぶせて保温し、日中はガラス板をずらして外気に慣らします。

翌年秋に水苔を切り取り、赤玉土3、腐葉土4、ピートモス3の割合の用土に植え、3年ほどなく管理した後定植します。

挿し木は、鹿沼土とピートモスの用土に挿し、冬場は日当たりのよい窓辺で管理します。








2020/05/08

フジ(藤) No.208

フジ マメ科フジ属ツル性落葉樹

フジは本州、四国、九州の日当たりのよい川辺や沢地、山野の林縁、崖などに自生する。

マメ科独特の蝶形をした小花が穂状に集まり(総状花序)房のように下垂する。

棚づくりに適した数少ない観賞木として、古くから親しまれてきました。

詩歌や絵画は言うに及ばず、紋所にデザインされ、色を表す言葉になり、花を愛でるための名所が全国各地に生まれました。

これ程日本人の★琴線に触れた植物は珍しい。

★琴線=きんせん=感動、共鳴する気持ちを琴の糸に例えた言い方

花穂が長く、基部から先端に向かって順番に花が咲くノダフジ
花穂が短く、一斉に開花するヤマフジが代表的品種です。

一般に「フジ」という場合は「ノダフジ」を指し「ヤマフジ」と区別します。

ノダフジはツルが左巻きで、中にはノダナガフジのように、花穂が2㍍以上に達する品種もある。

関西地方に多く見られるヤマフジは、ツルが右巻きで花穂の長さは20~30前後です。



◉園芸品種のいろいろ

①紫を帯びた白色花で花穂が長いショウワシロフジ

②紅紫と白色の2色があり芳香を放つニオイフジ

③八重咲きで濃紫の花をつけるヤエコクリュウ

④矮性で花つきがよいナガサキ1才フジ

⑤大きめの花がつき、家庭の藤棚などに作りやすいムラサキカピタンとシロカピタン

⑥藤紫で八重咲きの花がつくヤエヤマフジ

⑦淡桃色の花が咲くアケボノフジ

⑧上向きに紅色の花が咲くニワフジ

庭木の他、鉢植えや盆栽、切り花など幅広い用途に使われます。

◆生育管理

日光を非常食に好む陽樹です。
土質は特に選びませんが、乾燥を嫌うので、保湿性のあるやや湿潤な土地が理想です。

株元付近は日陰なっても構いませんが、花の咲く枝(ツル)にはよく日が当たるように誘引します。

★移植

移植には強い樹種ですが、根鉢はとらず、できるだけ根の先端まで長く掘り、長い根を巻き込んで移植します。

その時は、土中の湿度を保つように腐葉土や堆肥を多めにすき混んでから苗の植え付けをするようにします。


◉肥料

1月~2月に寒肥を施します。
鶏ふんとリン酸カリ分を主体とした化成肥料を加え★株回りに浅く溝を掘り埋め込むか、ばらまきします。

★成木の場合の目安、鶏ふん300㌘~500㌘ぐらい
化成肥料200㌘~300㌘

追肥は、8月下旬に骨粉(500㌘)と少量の油粕を軽く穴を掘り埋め込みます。



◉剪定                 
春から伸びたツルは、生育期にはそのまま伸びますが、あまり勢いよく伸び過ぎる場合は、夏の間に先端を切る。                      

冬の落葉期に不要なツルは3~5芽残して切り詰め、樹形を整えます。                  

同時にこの時には、多すぎる枝は間引き剪定します。

花後に実がついたら、切り取ることも忘れないようにします。                      

花芽は前年枝から伸びた樹勢の強いツルの下芽がわずかに伸びた部分につきます。             

春から夏に伸びたツルはあまり切らず、秋に本格的な整姿をします。                   

花芽を確認した短枝は残し、長枝は2~3芽を残して先端を切ります。                  
                         また、ひこばえが多いので、見つけたらすぐに切るようにします。                    


★フジの殖やし方

実生、接ぎ木で殖やします。

実生は10月~11月頃に種子を採りまきします。

接ぎ木は、3月頃に切り接ぎにします。