緑のお医者の徒然植物記

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2020/05/08

フジ(藤) No.208

フジ マメ科フジ属ツル性落葉樹

フジは本州、四国、九州の日当たりのよい川辺や沢地、山野の林縁、崖などに自生する。

マメ科独特の蝶形をした小花が穂状に集まり(総状花序)房のように下垂する。

棚づくりに適した数少ない観賞木として、古くから親しまれてきました。

詩歌や絵画は言うに及ばず、紋所にデザインされ、色を表す言葉になり、花を愛でるための名所が全国各地に生まれました。

これ程日本人の★琴線に触れた植物は珍しい。

★琴線=きんせん=感動、共鳴する気持ちを琴の糸に例えた言い方

花穂が長く、基部から先端に向かって順番に花が咲くノダフジ
花穂が短く、一斉に開花するヤマフジが代表的品種です。

一般に「フジ」という場合は「ノダフジ」を指し「ヤマフジ」と区別します。

ノダフジはツルが左巻きで、中にはノダナガフジのように、花穂が2㍍以上に達する品種もある。

関西地方に多く見られるヤマフジは、ツルが右巻きで花穂の長さは20~30前後です。



◉園芸品種のいろいろ

①紫を帯びた白色花で花穂が長いショウワシロフジ

②紅紫と白色の2色があり芳香を放つニオイフジ

③八重咲きで濃紫の花をつけるヤエコクリュウ

④矮性で花つきがよいナガサキ1才フジ

⑤大きめの花がつき、家庭の藤棚などに作りやすいムラサキカピタンとシロカピタン

⑥藤紫で八重咲きの花がつくヤエヤマフジ

⑦淡桃色の花が咲くアケボノフジ

⑧上向きに紅色の花が咲くニワフジ

庭木の他、鉢植えや盆栽、切り花など幅広い用途に使われます。

◆生育管理

日光を非常食に好む陽樹です。
土質は特に選びませんが、乾燥を嫌うので、保湿性のあるやや湿潤な土地が理想です。

株元付近は日陰なっても構いませんが、花の咲く枝(ツル)にはよく日が当たるように誘引します。

★移植

移植には強い樹種ですが、根鉢はとらず、できるだけ根の先端まで長く掘り、長い根を巻き込んで移植します。

その時は、土中の湿度を保つように腐葉土や堆肥を多めにすき混んでから苗の植え付けをするようにします。


◉肥料

1月~2月に寒肥を施します。
鶏ふんとリン酸カリ分を主体とした化成肥料を加え★株回りに浅く溝を掘り埋め込むか、ばらまきします。

★成木の場合の目安、鶏ふん300㌘~500㌘ぐらい
化成肥料200㌘~300㌘

追肥は、8月下旬に骨粉(500㌘)と少量の油粕を軽く穴を掘り埋め込みます。



◉剪定                 
春から伸びたツルは、生育期にはそのまま伸びますが、あまり勢いよく伸び過ぎる場合は、夏の間に先端を切る。                      

冬の落葉期に不要なツルは3~5芽残して切り詰め、樹形を整えます。                  

同時にこの時には、多すぎる枝は間引き剪定します。

花後に実がついたら、切り取ることも忘れないようにします。                      

花芽は前年枝から伸びた樹勢の強いツルの下芽がわずかに伸びた部分につきます。             

春から夏に伸びたツルはあまり切らず、秋に本格的な整姿をします。                   

花芽を確認した短枝は残し、長枝は2~3芽を残して先端を切ります。                  
                         また、ひこばえが多いので、見つけたらすぐに切るようにします。                    


★フジの殖やし方

実生、接ぎ木で殖やします。

実生は10月~11月頃に種子を採りまきします。

接ぎ木は、3月頃に切り接ぎにします。