緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2020/07/23

カトレア NO.232

カトレア 洋ラン

洋ランを代表するカトレアは、花も大輪から小輪まで、花色も多数あって豊富です。

交配によって多くの品種が作られ、春咲き、夏咲き、秋咲き、冬咲きと一年中楽しむ事ができます。

カトレアは中南米産が多いため、性質も中、高温性のものが中心です。

四季のはっきりした日本で育てるためには、ある程度の設備が必要です。

原産地とは異なる温度や湿度、日差しの強弱を調整するため、ハウスか温室が必要になります。


カトレアには4つの属があり、それらを含めてカトレアと一般に言っています。

カトレア(C) ブラサボラ(B)  ソフロニチス(Soph)   レリア(L)
これらは、それぞれ特徴がある中南米原産品種です。

※それぞれの種類の頭文字で略して記号で表す。
例 C=Cattleya



大輪花は20㎝近いものから、小輪花は3~4㎝ぐらいまであります。

高い木の幹や枝、岩などに着生しています。

この属では属間交配を行い、新しい品種が作り出されています。

また、この中で大輪花の咲く種類を一般種といい、ソフロニチス、ロックレリヤのように、低温で育ち小輪花が咲く種類を、小輪種と呼んで分けています。

◉病気

一番怖いのはウイルスです。


これにかかってしまうとほとんど治りません。


株分けや植え替えの時は、刃物類を消毒し、鉢は新しい物を用意して、手もよく消毒してから作業を行います。

風通し、日照、湿度など一般的な事ですが、これが一番大事です。

花が咲く前後に温度が下がり湿度が高いと、花弁に小さなシミが発生します。


これは(ボトリジス)と呼んで、せっかく咲いた花が台無しになってしまいます。

湿度を高めにし、乾燥気味にして防ぎます。

◆軟腐病 (なんぷびょう)

病原体はバクテリア、傷口から侵入し、導管部で繁殖して養水分が地上部に行き渡らなくなり、青枯れ状態になる。

一度発生するとなかなか治療できません。


風通しをよくし、水やりを控え目にして、チッ素の多い肥料は避ける。

※チッ素肥料の与さ過ぎは多発の原因となる。


高温多湿を好む5月~9月頃に発生する。

薬剤散布も予防に重点をおきます。

散布液は、水1㍑に対しベンレート水和剤1㌘、トップジン1㌘、オルトラン水和剤1㌘を混ぜたものを散布し、病害虫の予防と同時に行いましょう。

★害虫類

空気が乾燥している時に発生する、ハダニに注意します。

水やりの時、葉の裏側にも霧のように吹いて少し湿気を与えます。

※発生した場合は、ケルセン乳剤の1000倍液で退治します。

※ナメクジは夜間に活動し、新芽や花を食害するので見つけ次第捕殺するか、ナメクジ駆除剤で退治します。


日中は鉢の底などに潜んでいるので、見つけたら駆除します。

◉管理と手入れ

一般種は、冬期の最低温度が15~16℃以上で育て、5月から10月までは屋外の半日陰(寒冷紗などを利用して50%ぐらいの遮光)の場所で育てます。

11月から4月、5月までは温度の保てるハウスや温室で育てます。
5月に入って、夜の温度が15℃以上になったら屋外へ出します。

約一週間で、徐々に外の環境に慣らしていきます。


小輪種は、冬期の最低温度が10℃前後で、一般住居の日当たりの良い場所でも育てられますが、夏は半日陰の場所で冬は保温設備のある場所で育てます。



(カトレアの花言葉は、優美な貴婦人、成熟した大人の魅力)

◆水やり

5月から10月の間は、屋外で雨に当てるか、晴天が続いて乾燥気味の時は、3日から5日おきに与えます。

梅雨時や台風シーズン、秋の長雨が続く時は、軒下やベランダなどあまり雨が多く当たらない所に置きます。


11月から3月の間は、温室内で14℃~15℃に保てる場合は、新芽が出始めるまでは、週1回、土が乾いてきたらたっぷりと水を与えます。

新芽が出始めたら、2日から3日おきぐらいに与えます。

普通の部屋で10℃以上の温度が保てない場合は、軽い霧吹き程度にして、鉢の表面が乾いてきたら軽く与え、多すぎない様にに注意します。

★肥料

基本的に、根がよく伸びる生育期に与えましょう。

新芽が伸び★バルブが肥大して根がよく活動する4月から6月に、油粕と骨粉を半々に混ぜ玉状にして鉢に置肥します。

固形肥料は7月上旬まで与え、その後は一切与えません。


★バルブ

ラン科の植物で茎が肥大したもの
熱帯地域の雨期や乾燥など、落差が激しい自然環境から身を守るため、水分や養分を蓄えている肥大部分。

着生ランは、バルブから根を出し、繁殖する。

また、生育中の春から秋には洋ラン用の液体肥料を薄めて、月に1~2回水がわりに与える。

油粕、骨粉など有機肥料は臭気が発生し問題になるので、清潔で臭気もない無機質肥料の液体肥料や、粒状化成肥料を使う。

その時、与え過ぎや濃度を間違えないように注意します。

また、花芽が出ている時は与えません。

◉植え替え

春咲きの品種や冬期咲きの品種など、咲く時期によって新芽の伸びる時期が違います。

植え替えをする時は、新芽が伸び始める頃の春が適期です。

水ゴケが傷む前に行うのが目安で、2年おき程度で植え替えを行います。

※新芽の伸びるスペースがないものや、生長が健全でないものは植え替える様にします。


鉢は通気性を考えて、素焼き鉢がいいですが、全体の株の大きさから考えてやや小さめの鉢を使います。

鉢の底には軽石などを入れて植え込みます。

★植え替えの手順として

①支柱を外して、ナイフで鉢と根鉢(根とそのまわりの土)をそっと離します。

株を中央に寄せる感じで行う。

②株を取り出したら、中心から徐々に古い水ゴケを取り除いていきます。

続いて、外側から上に向かって腐った根や古い水ゴケを取り除きます。

③葉のついているバルブを最低でも2~3株ずつつけて、切り離し鉢に植え込みます。

この時、株分けもできますが、新芽を痛めないように注意します。

ウイルス病の原因になります。

④バルブを保護している薄皮を取り除き、カイガラムシを予防します。

⑤新しい水ゴケを根の下からまわし、新芽のすぐ下まで丁寧に包み込みます。

⑥鉢底に軽石などを入れて、根の下から鉢の中に押し込み支柱を立てる。水ゴケは表面を固くし、底は柔らかくするのがコツです。

★植え替え後、株分け後は発根を待つ約2週間から20日は水を与えません。

根が出始めたら、水や固形肥料、液肥などを与えていきます。

★株分けの手順として

株分けは植え替えと同時にできます。

①鉢の中が二股に分かれ、最低でも3バルブずつを取り分けられるものが、株分けできる株になります。

②植え替えと同様に支柱をはずし、鉢から株を取り出します。

3つのバルブを残して、消毒したハサミで2つに切り分けます。

③水ゴケを中心部からほぐし、古い根や腐った水ゴケを取り除きます。

切断した部分には殺菌剤をつけましょう。

④株分けした株をそれぞれ、植え替えの時と同様に水ゴケを巻き、根を包み込んで、鉢底には軽石などを入れ鉢植えします。

※植え替えと同様に株分け後、約2週間は水を与えず、半日陰で管理します。


◆カトレアの各部の名称               



◉カトレアをはじめてする洋ランは、1~2年で徐々に周囲の環境に慣れるため、通常の管理温度より低くても栽培は可能です。

冬の間は乾かし気味に管理するのが基本ですが、つぼみがついたら極端に乾燥させないようにします。

毎日たっぷり水を与えます。(用土により調整する)

通常、1回に与える水の量は鉢の大きさと同じ容量ですが、寒いうちは鉢の半分ぐらいにします。

水不足のカトレアはつぼみが黄色くなり、そのまま萎んでしまいます。

日照時間が短い場合も花は咲きません。

一見よく育っているように見える場合も、バルブが衰えています。

注意が必要なのは暖房機、温風に当たるとつぼみが落ちてしまうことがあります。

更に、カトレアは小さい鉢で育てるのがコツです。

大き過ぎる鉢に植えると、根が張らず株の育ちが悪くなります。

シース(名称参照)からつぼみが伸びていて、花の重みで花茎に負担がかかっている時は、支柱を立てます。

シースもつぼみもできないという場合は、日照不足や肥料不足と思われます。








2020/07/21

シダ植物 No.231

シダ植物

シダ植物は、地球上に約1万種が自生していると言われています。

日本では、雑種や変種も入れると1200種が自生している。

その内の100種類以上が絶滅危惧種となっています。

面積の割に日本にはシダ植物が多く自生している。

それは、南北に延びた列島、その周りを迂回する海流や入り組んだ地形、亜熱帯、温帯、亜寒帯と幅広い気候帯などによって、豊かな森林地帯が形成され、その下草として森に守られているからである。

その事から、シダ植物などの下草が繁栄しているかどうかで、豊かな森であるかどうかの目安にもなるのです。


しかしながら一方で、経済の急速な成長によって環境が悪化し、山が削られ、森林が伐採された結果、絶滅した植物種も多くあるのです。


里山は高齢化により過疎化、衰退し、その環境下で育ってきた種も失われて来ました。

地球規模での人間活動によって地球温暖化が急速に進み、生態系への影響も問題化されています。



自然環境の悪化は、即人類の生活環境にも影響するように、自然があってはじめて人々が生かされている、この事を忘れずに自然を大切にしなければならないのです。

シダ植物は地球が誕生してから、最初に地上で繁栄した植物です。


シダ植物は、種子を作らず胞子で殖えるため、蘚苔(たい)植物(コケ類)と同じ仲間のように見えますが、★被子植物、★裸子植物と同じく吸収した水溶液を送る仮導管と光合成で作られた糖などの水溶液を送る師管がある★維管束植物です。

維管束(いかんそく)

維管束は師部と木部に分かれていて、師部には師管が、木部には導管(裸子植物では仮導管)が通っています。

導管は、水分や養分を根から葉へと伝える役目をしています。

師管は、葉の光合成によってできた糖を体の隅々まで届ける役目を果たしています。

※コケ植物には根がなく、維管束(いかんそく)がありません。


地球の地上に最初に誕生したのはコケ植物ですが、根もない、維管束を持たない事から、繁殖していく速さがシダ植物よりも遅いことから、急速に繁栄して行ったのはシダ植物と言うことです。

★被子植物(ひししょくぶつ)

胚珠が心皮に包まれているのが被子植物

★心皮(しんぴ)は元々葉にむき出しでついていた、生殖細胞をその葉で包んで保護するように進化した葉で、それが一枚または複数合わさって、子房、花柱、柱頭を形成している。

★裸子植物(らししょくぶつ)

胚珠が心皮に包まれていないのが裸子植物
ソテツ、イチョウ、針葉樹などが裸子植物で、被子植物へと進化する前の段階の植物と言われています。

◆胚珠(はいしゅ)

将来種子になる器官のこと

◆心皮(しんぴ)

シダ植物や裸子植物の大胞子葉に相当する。

単心皮、合性心皮、離生心皮

◆胞子(ほうし)

菌類や植物が無性生殖(むせいせいしょく)する時に作る生殖細胞のこと。

◆子房(しぼう)=そう果
受粉し受精後そう果になる。

子房の中の胚珠には、生殖細胞が入っている。

シダ植物と呼んでいるものは、生物学上では自然群ではなく、人為的につけられた呼び方で、維管束植物の内、種子植物以外の植物を総称した名前です。

コケに似たコケシノブ類から木本(もくほん)に似たヘゴ類まで、大きさや形は多種多様である。




シダ植物やコケ植物などの多くの植物は、有性生殖を行う世代と、無性生殖を行う世代とが交代を繰り返しています。

有性生殖を行う世代は、配偶子を作るので配偶体といいます。

無性生殖を行う世代は、胞子を作る胞子体といいます。

シダには★胞子嚢をつける胞子葉と胞子嚢をつけない栄養葉が混ざり合っていますが、胞子を作る植物体と言うことから胞子体と呼んでいます。

★胞子嚢(ほうしのう)

胞子をその中に形成する袋状の構造のこと。

コケ植物の胞子嚢は朔(さく)と呼ばれる。

コケ植物は大きく3つに分かれ、朔の構造はそれによって大きく異なる。

胞子体で胞子嚢ができ、減数分裂して胞子がつくられ発芽したものが、2~4㎜と小さい配偶体(前葉体)で余程注意深く探さなければ、目にする機会が少ないものです。

配偶体にある造卵器と造精器によって受精して胚ができ、大きくなったものが胞子体となる。

シダの中には配偶体で受精することがなく、一部の細胞が分裂して胞子体を作るベニシダ、ヤブソテツなどの仲間がある。

これらを無融合生殖と呼んでいる。


他にヌリトラノオ、コモチシダ、ホソバイヌワラビなどは無性芽も出て栄養繁殖する種もある。

シダ植物も一般の植物と同様に常緑性、夏緑性、冬緑性と生育時期が異なっています。

◉常緑性

ベニシダなど春に葉を出し、翌年春に新しい葉が出るまで葉が枯れないもの。

◉夏緑性

イヌワラビ、クジャクシダなど春に葉を出し、秋に葉が枯れてしまうもの。


◉冬緑性

アオネカズラ、オオハナワラビなど晩夏に葉を出し、翌年の初夏近くになって葉が枯れてしまうもの。

どの緑性も地上部の葉が交代するだけで、根茎(こんけい)より下は生きて、数年も生育する多年草です。

◉シダの葉は一枚の葉

シダ類の多くは、ベニシダやワラビのように根茎から複数の葉を出しますが、変わったものとしてカニクサ(ツルシノブ)は地上部分の全てが一枚の葉で、ツルの部分は葉柄です。

木に見えるヘゴも一枚の葉で、茎のように見える部分が葉柄で、太くなっても年輪はありません。

例えば登山などで弁当を食べるとき、お箸が無い場合、ヘゴの葉柄が箸として利用できます。

◉根茎(こんけい)の形 (地下茎の一種、根のように見える茎)


根茎は、根とも茎とも区別がつきませんが、歴とした茎です。

この根茎は、立ち上がったり、横に這ったりと、形は異なりシダを同じものとする時の決め手となるものです。

根茎には直立、斜上、匍匐(ほふく)の形があります。

★直立は、根茎から出た古い葉柄の内側に新しい葉柄を出すため、立ち上がった様になる形で、ヘゴ、ヤブソテツ類などがある。


★斜上は、根茎の先に葉柄を出して行くため、斜め横に伸びていく様な形で、ベニシダ類、イノデ類などがある。


★匍匐(ほふく)は、根茎が横走りすると、間隔を開けて葉を出すことになります。


長く横走りするものには、ウラボシ類、シケシダ類などがある。

短く横走りするものには、オオヒメワラビ類、オニヒカゲワラビ類などがある。


(葉の裏に胞子嚢が集まった胞子嚢群=ソーラス)

胞子嚢の袋の中に胞子が入っています。


◉鱗片(りんぺん)

シダ植物は、植物全体に鱗片や毛が密生する。

植物の芽や球根を保護する。
複数の小さな葉のようなもの。

葉が変態した変態葉の一種で鱗片葉(りんぺんよう)とも言う。

また、シダ植物には鱗片の辺縁からいちじるしい鋸歯があるものまであって、ベニシダ類、イノデ類、イヌワラビなどでは、この鱗片の色、形が同じものか見極めるポイントになる。

◉シダの効能 


ノキシノブ(軒忍)中国名は瓦葦(がい)昔から民間薬として利用されてきました。


         (ノキシノブ)


利尿、止血、解熱、消腫、消炎などの作用があるので、浮腫、腎臓炎、膀胱炎などの利尿薬。

小児の高熱、神経痛、リウマチ、腰痛、婦人病などにも用いる。


薬用には全草を用います。

葉の背面に胞子嚢群(ほうしのうぐん)のあるものが良品とされています。

全草を5月~8月に採取し、一緒に着生している苔や土などを取り除き洗浄してから、最初は日干しして、柔らかくしてから風通しの良い場所で陰干し、十分乾燥させます。


乾燥したものを刻み、1日量として10~15㌘を水500㍉㍑で煮詰めて半量にします。

1日3回に分けて食間に服用します。






2020/07/20

地球誕生での最初の地上植物は苔植物 No.230

原始的生体のままの苔植物

現在の科学研究によると、地球が誕生したのは今から46億年前とされる。

しかし、そんなの誰も見てないし、よく解るものだと思う。

         (地球の内部)


地球の始まりは、どろどろに熔けていて、生物が生きられる環境ではなかったと言います。

その後地球の表面は、どろどろに溶けた熱いマントルがだんだん冷えて地殻(ちかく)となって固まり、6㌔から60㌔の厚さの岩石となって覆われた。


地球の内部では、地球の自転(地球は24時間で1回転している=自転運動)や対流によって、金属流体にデンリュウや磁場が発生して、マントルは高温のままで固まる事はない。


蒸発した大量の水蒸気が冷やされて、やがて雲となり来る日も、来る日も大量の雨が降り続けた。

やがて水は地表を覆うようになり、海になったのです。

大気中に酸素はなく、二酸化炭素であった。

ようやく海水の中に生命が誕生したのは30億年前です。

その頃誕生した生物は、細菌やアメーバのような微生物でした。

ある日、それらの微生物から突然変異によって、新しい生物が生まれました。

突然変異と言うのは、遺伝子が放射線などによって変化してしまうことです。

地球上の生命の歴史は、宇宙から降り注ぐ放射線との戦いの歴史でもある。

この放射線によって、親とは全く違う生物が誕生したのです。

その新しく誕生した生物は、光合成をする生物で、光合成を行うと酸素を吐き出します。

それ以前の生物にとって酸素は猛毒でした。

光合成を行う生物の出現によって、今までの古い生物のほとんどが全滅してしまったのです。

そして光合成によって二酸化炭素が減り、酸素が増えて行ったのです。

海水中に溶けた二酸化炭素をサンゴなどの生物が石灰質の殻に変化させ、それらの殻が何百万年も積もり続けて石になったのです。

それが現在、コンクリートの材料として使われている石灰岩です。

6億年前には、クラゲなどの単純な生物が誕生し、植物は海の中で藻の仲間が繁殖しました。

植物は太陽の光を使って、自分で養分を生み出します。
この事を光合成といいます。

それから植物は次第に陸上へ進出して行くのです。

水中の植物と陸上の植物の境目に当たるのがコケ植物です。


          (コケ植物)

コケ植物を経てやがて陸上ではじめに栄えたのが、シダ植物です。

これが3億年前のことです。



シダ植物には、ワラビやゼンマイなどがあります。

藻類のワカメ、コケ植物のゼニゴケ、シダ植物のワラビこの植物は胞子またはそれに似たもので殖えます。

          (シダ植物)


この頃まだ種子と言うものは出来ていなかったのです。

胞子はたった1つの細胞で出来ていて、子孫を残したり、殖やしたりするための役割分担ができません。

1億年前になって種子で殖える植物、花が咲く植物が誕生しました。

胞子で殖える植物には、花が咲きません。

つまり種子を作らないのです。

地面に生える植物であるコケの役割は、溶岩や火山灰などの荒れ地に繁殖して、そこに肥沃な土壌を形成することで、初期の地球に土壌が形成されるようになったのです。

★土壌は生物によって生まれ、その結果として生物を支え養う能力を持つようになったものである。

地球の歴史の中で、はじめて海から陸に上がったと言われるコケ植物は、地面から水を吸い上げる根がなく、維管束と呼ばれる水や養分を体内に行き渡らせ、体を支える役割を果たす機能がありません。

コケ植物は、植物の中でずっと原始的な生体のまま、とどまっている植物と言えるでしょう。

そんなコケ植物ですが、何億年もの歴史の中で、厳しい環境変化の中でも、生きていくための進化を繰り返してきたのです。

◆おまけ
海がしょっぱいのはなぜなの?

地球の始まりは、そらが水蒸気や塩素ガスで覆われていました。

地球の温度が下がるに従って、空にあった水蒸気は雨となって塩素を溶かしながら、地球に降り注ぎ窪地に貯まるようになったのです。

これが海の始まりです。

最初海は、塩酸が含まれた酸性の海水だったのが、徐々に岩石に含まれるナトリウムと反応して、中和され現在のような海が出来たのです。

海は塩素とナトリウムだけで85%を占めています。


         ❆地球内部構造図

地球の内部構造はこれまで図のように表されてきましたが、研究調査は継続されており、その結果、地球の中心部の内核にはもう1つの層があるようだとの発表がなされた。

これまで教科書などで示されてきた内容が書き換えられる可能性が出てきたのである。

その事をここに記しておく。
2021年3月6日








2020/07/19

ウンシュウミカン No.229

ウンシュウミカン ミカン科


温州蜜柑

柑橘類は亜熱帯、熱帯に広く分布する植物で、世界中の栽培果実の中で、ブドウに次いで多く生産されています。

ウンシュウミカンは日本が原産の柑橘類で、ミカンの代表種になっている。

日本でウンシュウミカンの原種が発見されたのは約300年前。

温州には同種がなく、鹿児島県下の一地方が原産地で、偶然にできたものが最初と言われています。

ミカン類の中でも、庭植えで年内に収穫できる最も早熟な種類です。

単為結果するため種子がなく、皮が剥きやすく食べやすいことから、人気があり国内生産のミカンの80%を占めています。

★単為結果(たんいけっか)=単為結実ともいう。

植物において、受精なしで果実が生じること。

種子を形成しないまま子房だけが発達し、無種子の果実を形成する事。このようにしてできた果実は通常無核果である。

自然界でもバナナ、パイナップルなどは単為結果し種子のない実をつけることがある。

また、原種に近いものほど種子がみられ、その種子が大きいものが多いと言う特徴がある。

柑橘類の中では寒さに強い方だが、美味しい実を採るには南関東より西の太平洋側の海沿いで、冬期に季節風の避けられる場所、日当たりと排水の良い場合が適しています。


耐寒性のある方ですが、冬場に寒風が当たるような場所では、やはり寒害が出ます。

冬の防寒と霜除けが必要です。
-5℃以下になると枯れる心配があります。

※逆に冬の温度が高すぎると果実の色が悪くなります。


◉代表品種

10月に熟す、早生(わせ)ウンシュウミカンは木が小柄で結実期が早く、風害や寒害を受けにくいので庭植え向きです。

収穫後の長期保存には不向きです。
宮川早生、興津早生

11月に熟す(普通温州)甘味や酸味が強く、風味の良いミカンで保存もできます。

春先まで出回っているのはほとんどが普通ウンシュウミカンです。
大津四号、土橋紅温州

◆肥料
ミカン類は常緑樹で一年中肥料を吸収しているので、肥料切れにならないように注意する事が必要です。

庭植えは、3月に根回りに溝を掘り、堆肥に油粕、鶏ふん、骨粉を混ぜ、化成肥料を加えたものを埋め込みます。(配合肥料)

6月と10月末~11月上旬に3月の半量ぐらいを目安に油粕、鶏ふん、骨粉と少量の化成肥料を加えたものを施します。

※ミカン類は主として、有機質肥料を多めに与えると味の良い実が採れます。

収穫の1ヶ月前に油粕、化成肥料を与えます。

成木の場合で油粕2~3㎏ 鶏ふん1~2㎏ 化成肥料500㌘以内とします。

◉鉢植えは、植え付けから1ヶ月後に玉肥を4個置き肥し、2年目の3月には5~6個に玉肥を増やします。

鉢植えの場合は、水やりも大切になります。

生育期の7月~8月には1日3回必要になることもあります。

日中には葉水を与えます。




◉剪定
花芽は結果母枝の先端につきます。

★結果母枝(けっかぼし)又は種枝と言う。

花芽があってもその枝には、花をつけずにその花芽から次の枝を伸ばして花を咲かせ、結実する枝のことです。

ウンシュウミカンの果実のつき方は、前年枝の先端から今年の春に伸びた新梢に花が咲き果実をつけます。

5月頃に花が咲きますが、受粉しなくても結果する(単為結果)ので人工受粉の必要はありません。

その為の、結果部位の切り方は結果部位が外側に多くなっている場合は、切り返しを行って、側枝を更新し立枝が多い場合は、強い立枝を間引いて下枝に日(光)が当たるようにします。

★側枝の更新の方法として

①樹勢が弱く、結果部位が外側に多くなっている場合は、切り返しを行って樹勢を強くして側枝の更新を行います。

②樹勢が強く立枝が多い場合は、強い立枝を間引いて樹勢を落ち着かせ、下枝に日光が当たるようにします。

短枝に花芽がつくので、徒長枝(とちょうし)や内部の細い枝を切り、基本的には果実に日光が当たるようにします。

夏や秋に伸びた芽はすぐに切り取ります。

果実を着けた枝を中心に切り返すと、内部まで光が良く入り結果母枝となる新梢の発生が良くなります。

この切り返した部分の枝を予備枝と言います。

剪定の対象は予備枝で、果実を着けた枝を中心に切除しますが、枝が混んでいる部分は、結果母枝も切除します。

樹形がある程度出来たら、切り詰め剪定よりも間引き剪定を主に行います。

混み入ってきた時は、主枝を根元から切り、新しい主枝に更新します。

ミカン類は常緑樹なので、剪定すれば時期に関係なく必ず葉を切り落とすことになります。

葉を切ればそれだけ栄養分を消失し、樹木を弱らせることになるので生長も遅くなります。

内部への日当たりを良くし、樹高を止めて管理しやすくするための剪定は必要ですが、できるだけ軽くなるなるようにする事が大切です。

鉢植えでは、幼木は夏枝で樹形を作り、結実するようになると夏枝は切除して、春枝中心の鉢に仕上げ間引き剪定で樹形を保ちます。

鉢植えの樹高は、鉢の高さの約3倍を目安にすると良いでしょう。

◉果実管理
ミカン栽培では、表年、裏年と呼ばれている、隔年結果があります。(1年おきに結実すること)

これを防止して、大きくて良い果実にするためには、摘果が必要になります。

7月中旬に1回目の摘果を行い、8月中旬に2回目の仕上げ摘果を行って1枝に1果実残すようにします。

ただし、早生ウンシュウミカンで表年当たり、着果が極端に多い時は、1回目の摘果時期を6月下旬~7月上旬に早めないと、栄養不足から樹勢が弱まり、良い結実が望めなくなります。

又、ウンシュウミカンには直花(じきばな)が咲きます。

結実母枝から発生した結果枝は、極端に短く花芽だけがつく葉芽のない枝で、花だけが咲きます。

このように葉を持たない花が直花です。結果したものを直花果と言います。

良い果実を得るためには、葉からの養分も必要なので、これらの葉の無い直花果は全て摘果します。

残す果実数の目安は、早生ウンシュウで葉40~50枚に対し1果。

普通ウンシュウでは葉20~25枚に対し1果が適当とされています。

樹形作りをしている期間は、伸ばす枝に着果したときは摘果し、枝がよく伸びるようにします。


強く日が当たる位置に着果しているものは、果皮が日焼けを起こします。

枝先などに着果し、日焼けを起こしそうなものだけでも、摘果後に袋をかけておくとよいでしょう。

庭植え、鉢植えのどちらも3年目から開花結実させることができますが、ある程度樹形が出来上がるまでは、あまり結実させない方がよいでしょう。

収穫は、早いものでは10月頃からできますが、年内には収穫を終えるようにします。

1~2ヶ月貯蔵すると酸味が減り、美味しくなります。




◆代表的な病気
①ソウカ病
病原体はカビです。

新葉や新梢(しんしょう)新芽などの柔らかいところに5月から9月頃に発生します。

このカビは生命力が強いので、一度このかびが寄生すると毎年発生を繰り返すことがあります。



感染経路は、ほとんどが雨のしぶきなどによって感染する水媒感染か、病菌が虫に付着して感染する虫媒感染です。

葉に発生した時の症状の進み方としては、はじめに円形の小斑点が生じ、やがて病斑は灰褐色になり、盛り上がってきます。

病気が進行すると病斑が破れて、葉に穴があいたり変形します。
しかし葉が枯れてしまうことはありません。


病気になった葉はその枝ごと取り除き処分します。

それでも発生を繰り返すのであれば、4月頃に銅水和剤(ボルドー)等を散布しましょう。

水媒感染をするので、病葉に直接水をかけないように注意しましょう。7月~8月頃にダイセン、ダイファー、ベンレート等を散布し予防する。

②カイヨウ病
病原体はバクテリアです。カイヨウ(潰瘍)とは表皮の一部が剥がれることです。
バクテリアは、枝などに潜伏して冬を越し、翌年春に発病します。

感染経路は、空気感染や水媒感染で、病菌は新梢部や花芽、または傷口などから感染し植物体内で潜伏します。

葉、茎、花弁などに発生し、はじめに病斑ができます。
病斑の色は発生する植物によって様々です。
被害部に裂け目を生じて、カイヨウ症状を示し、被害部は枯死する。発生期間は4月~7月

病気の株はすぐに抜き取り処分しましょう。

病気が発生したら、付近の土を入れ替えましょう。
高温多湿を好むので、剪定などして風通しをよくする。
※バクテリアによる病気は治療が困難です、予防に努め発生を防ぐことです。

③灰そ病
病原体はカビで、寄生する植物によっても多くの種類がある。
葉、枝、果実に発生し、特に葉に斑点を作る代表的な病気とされています。

この病気の特徴は、樹勢が強いと発病しないで菌は体内に潜伏し、樹勢が弱まったり、日焼けを受けたりすると発病し、病斑を作ることです。

感染経路は、降雨後などに鮭肉色(けいにくしょく)の粘液(胞子粘塊=ほうしねんかい)が虫、風、雨滴などに運ばれて感染します。

葉の症状は、はじめに暗黒色の円形の病斑が現れ、病状が進むと灰白色となり病斑に小さな黒い粒を生じます。

この黒い粒から粘液を出します。梅雨の6月~7月、秋の長雨が続く9月~10月に多発します。

病気にかかった葉や枝は見つけしだい処分しましょう。
発生の多い6月~7月、9月~10月には月に1回~2回の割合でダイセン、マンネブダイセン、ベンレートなどを散布しましょう。

樹勢を弱めると発病するので、寒害、日焼けなどに気をつけて、樹勢を強く保つようにしましょう。

また、風通しが悪いと病気になりやすいので、剪定をして風通しをよくすることも重要です。


◆代表的な害虫

①アゲハチョウ
幼虫が葉を食害します。
ミカン類や山椒を好み、幼虫も大型で食欲旺盛
初夏から数回発生する。
見つけしだい、補殺する。スミチオン1000倍液、除虫菊乳剤を月に2回ぐらい散布

②ミカンハモグリガ(エカキムシ)
若い葉肉内部に潜って棲むウジムシ状の小さな虫で、食害した葉に絵を描いたような跡が残る。

スミチオンやオルトラン水和剤1000倍液を散布する。

③カイガラムシ
貝のような殻をかぶっている。
樹木の枝などに群棲付着し、樹液を吸汁する。
種類も多く様々な形態をしている。
吸汁することで樹勢を弱らせ、排泄物によりスス病を併発し、枝葉をススを被せたように真っ黒にする。

幼虫の時期であれば、殻がまだ出来上がっていないので、スミチオンなどの散布が効果的ですが、成虫になると薬剤は浸透しにくいため、効果があまりないので補殺します。

また、冬場ならマシン油乳剤が使えますから、成虫でも駆除できます。なお、冬期限定使用の薬剤の為、それ以外の使用では薬害が発生するので注意。


カイガラムシは、風通しが悪く、日当たりの悪いところを好むので、普段から適度に枝の手入れをして風通しをよくしてやると発生が減ります。

◉コナジラミ

白い小さな虫で葉の裏一面に集り、卵がどんどん羽化してスス病を併発する。

成虫は体長1ミリほどで、色は白く羽が白い粉で覆われています。

幼虫が最初に発生する5月下旬から6月上旬頃に、薬剤を散布します。


スプラサイド1000倍液や、アクテリック乳剤1000倍液などの、定期的な散布で虫類の退治をすると同時に、スス病も発生しなくなります。

白い虫が飛び立つのが目印になります。
6、8、10月はコナジラミの発生時期なので注意しましょう。


◆ミカンハダニ

乾燥した天候が続くとよく発生します。

ハダニ類は植物寄生性のダニの1種です。
大きさは0.3ミリ前後で肉眼では、よく見えません。
葉や花などに群棲します。

葉に寄生すると白い小さな斑点ができ、葉が巻いたり成育が悪くなります。

花の場合も色が悪くなり、花の成育が悪くなって早く萎れてしまいます。

ハダニの被害が確認できたら、専用の殺ダニ剤を葉の裏中心に散布します。

ハダニは、強い雨などに弱いので、時々ホースで葉に水をかけてやると、発生を抑えることができます。

ケルセン2000倍液で月に2回ぐらい散布すると効果的です。

※症状だけでは病気と区別できません。
ルーペで葉の裏などを見て、ハダニの被害を判別することが必要です。

★柑橘類は本来、暖地性なので寒害には、十分注意する必要があります。








2020/06/30

夏から秋の植物管理 No.228

充実期の植物管理

春から夏にかけて植物は目覚ましい生長をします。

6月から7月に十分な手入れを行わなかった庭木は、うっとうしいほど枝葉が繁ってしまいます。

この時期には樹種の性質に応じた手入れで、植物が厳しい夏を過ごせるようにすることが重要です。

春から生長した新芽は、6月から7月には外見上の伸びが止まり、緑が色濃くなります。

全ての木々が青々と枝葉を茂らせる時期です。

外見上、生長が止まったように見えても、光合成が活発に行われ養分(炭水化物)が生産されています。

これらは枝から幹へと伝えられ、冬に備えて蓄積されます。

根も肥料や水分、養分を盛んに吸い上げます。

充実期、肥大生長期と呼ばれる時期です。

十分な光合成を促すために、樹冠内の日照や風通しをよくすることや、根を傷めないように土の乾燥を防ぎ、土壌環境を適切に保つ事が、この時期の管理の重要なところです。

日頃からこまめに手入れを行っている場合は、夏を迎えるまでにマツのみどり摘みをはじめとする、針葉樹類の芽摘みや春咲きの花木の花後剪定、お礼肥や樹形を維持する為の雑木類の枝すかしなど、一連の庭の作業を終えている時期です。

暑さの厳しい真夏は、基本的には大掛かりとなる様な整姿や剪定は行いません。

しかし、梅雨明けまでに作業を行わなかった場合は、更に放置しておくと樹形が大きく乱れてしまい、庭の見栄えが悪くなるだけではなく、高温多湿の樹冠内は様々な病害虫の発生の原因にもなってしまいます。

そのような事からも、樹形を程よく保ち、夏を植物たちが健全に過ごせるように、できる限りの手入れをする必要があるのです。







2020/06/01

苗木の繁殖方法  No.227

有性繁殖

①実生苗(種まきから育てたもの)
実生(みしょう)苗は生長に時間がかかり、花木や果樹は楽しむまでに年数を要しますが、樹齢が長くまた大きく生長します。

根張りのしっかりしたものを選びます。

★実生
最も簡単で自然な繁殖方法で、他の繁殖方法に比べて寿命が長く、生長力も強く、病害虫に対する抵抗力にも優れている。

一度たくさんの苗を作りたい時にも適している。

ただし花木や果樹を実生で繁殖すると、発芽した芽は親株よりも樹勢が劣ると言われている。

◉種子の選び方

種は比重が大きい(重い)もの、種皮のきれいな充実したものを選んで蒔きます。

※比重の小さい種は発芽率がよくありません。

また、市販されているもを購入する場合は、表記されている注意事項を確認しましょう。

★発芽条件

種が発芽するためには、水分、温度、酸素の3つの条件を過不足なく満たす必要があります。

◆水分

種子は、水分を吸収することで(水分12%を超える)発芽し、生育を始めます。

発芽するための活動を始めた後で、乾燥すると種子は死んでしまいます。

◉温度

発芽に必要な温度は樹種によって異なりますが、一般に15℃~20℃くらい(3~5月の気温)と言われています。

★酸素

発芽には酸素も重要な要素になります。

団粒構造のしっかりした用土を使用していれば、土中に十分な酸素が含まれていますので、実際にはまず問題ありません。