緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2020/08/25

プラタナス (スズカケノキ) No.256


プラタナス すずかけの木

落葉高木


原産地=北アメリカ、メキシコ、アジア西部
別名=スズカケノキ(鈴掛木)

プラタナスと言えば並木や公園樹として有名ですが、もともとは明治時代に渡来した植物です。

「日比谷公会堂、スズカケノキ」

明治43年に当時の芝区桜田本郷町に、十数本が植えられたのが街路樹としての最初である。

樹皮が剥げ落ちまだらになるのが特徴です。

このまだら模様が迷彩服のデザインのもとになっている。

高さが30㍍にもなる高木で、葉が大きくよく日陰を作り、秋になると丸いトゲのある実を枝からぶら下げ、その姿が鈴のように見えることから、スズカケノキの名がある。




若葉の頃に密生する綿毛が、アレルギー体質の人々を悩ますと言われて問題になっている。

雌雄同株で4月頃に雌花は淡緑色、雄花は黄色または暗紅色の花を咲かせる。

寒さに強く、乾燥地や湿地以外では土質を選ばずよく生育し、公害にも強い。

肥料はほとんど必要ない。

◉害虫
※アメリカシロヒトリ 
主に落葉広葉樹に発生する。

枝先に白い糸が袋状に張られています。

この袋状の巣の中に、幼虫が群棲していて集団で葉を食べる。

老熟幼虫は3㎝ほどになり、単独で行動し葉肉だけでなく、葉脈以外の葉のすべてに部分を食べるようになり、被害も拡がる。

巣を見つけしだい枝ごと除去するか、ディプテレックス、DDVPなどの薬剤を散布します。

年に2回、6月と8月に発生します。

幼虫は樹皮のすき間などで、サナギの状態で越冬するので、秋に樹の幹にムシロを巻いておき、冬場にこれを処分します。

★せん定時期
10月下旬から2月下旬


          (果実)

★殖やし方
実生は3月頃に蒔きます。
挿し木は新枝を6月~7月頃挿し木する。






サカキ No.255

サカキ (榊)ツバキ科

雌雄異株 原産地=関東以南、四国、九州

花弁の先がやや尖った白の5弁花をつける(5月~7月)

葉の付け根に1~3個の黒い実をつける。

庭の主木、植え込み、生け垣のほか、神前に供える玉串などに用いる。

温暖地の林に見るサカキは、10㍍にも伸長するが、庭では3~5㍍に仕立てる。

性質は強健で日陰にもよく耐えるが、日当たりのよい場所に植え付けると、しだいに弱ってくる。

湿潤な所が適し、日陰を好む。
株元を乾燥させない。

生長は遅く、樹姿は自然に整うので特に混み合う部分を間引く程度でよい。

切り戻しは必ず枝分かれしている部分で行う。




◉肥料

12月から1月に有機質肥料を株の周囲に施す。

◆害虫

チャドクガ

葉の裏にケムシが群れて、葉肉だけを食べるので表からは葉の色が黄色に見えます。

このケムシは、淡黄色に黒い紋のはいった姿で、老熟幼虫は2.5㎝ほどになります。

年に2回、4月と7月頃に発生する。

この虫は毒毛を持ち、触るだけではなく近寄ってもかぶれるので、他のケムシのように捕殺するのは適切ではありません。

薬剤は、産卵初期にカルホス乳剤、スミチオン、ディプテレックス、DDVPなどで防除する。

葉の色が黄色く変わるので、これを目印に孵化(ふか)後早いうちに駆除します。

成虫も毒毛をまき散らかしますので、早期に駆除することが大切です。

◉殖やし方

実が黒く熟したら、種をよく洗って蒔く。

挿し木は2年生枝を切り、葉を2枚~3枚つけて挿し穂にして、小粒の鹿沼土に挿します。

★サカキとヒサカキの違い

サカキの葉を縁に鋸歯がなく、ヒサカキの葉の縁には鋸歯がある。

葉がサカキの方が大きい。

花期はヒサカキが少し早い。










2020/08/24

ナツツバキ No.254

ナツツバキ (夏椿)ツバキ科落葉樹

別名=シャラ、シャラノキ、サラソウジュ、サルナメリ
原産地=日本
(本州中南部、四国、九州)

宮城県以南の本州と四国、九州の比較的温度の高い山地に自生する、落葉高木です。

6月から7月にツバキに似た白色5弁の花が咲きます。

古くから観賞木として親しまれ、日本庭園、茶園には欠かせない花木の1つです。

別名「シャラ」は、釈迦が亡くなる時に近くに生えていたという、沙羅双樹ひ由来します。

実際の沙羅双樹は、樹高が30㍍にもなるインド原産のフタバカキ科の、熱帯性常緑高木で全く別種です。

一説によると、ある高僧が日本にも沙羅双樹があると信じて、山野を探した結果、ナツツバキを沙羅双樹と誤認して広めてしまった為に、「シャラ」の名がついたということです。

類似種に樹高、花径とも小ぶりの「ヒメシャラ」「ヒコサンヒメシャラ」があります。

ナツツバキは耐寒性がありますが、ヒメシャラは関東地方南部以南でないと、寒害を受けやすいようです。




◉生育管理
株元が乾燥しない腐植質に富んだ、湿潤な場所を好みます。

また、十分に根を張れる環境でもあることも重要です。

土の鎮圧が強く下層が固い盤状になっている庭は、乾燥しやすく根張りも悪いため、枯れ込む恐れがあります。

このような場所でも植え付けは、事前に土を深く耕して有機肥料を施して土壌改良する必要があります。

日光は好むが夏の強い日差しに長時間当たると、葉先から枯れ込みやすくなり、樹形を乱したり樹勢を弱くする原因になります。

午後の西日が強く当たらない場所や、半日陰などに植えるとよいでしょう。

◉肥料
冬期に完熟堆肥や腐葉土などを、寒肥として与えるとよいでしょう。

花つきが悪い場合は、秋口にリン酸分の多い化成肥料を少量与えます。

★病害虫の心配はまずありませんが、風通しが悪いとまれにカイガラムシが発生する場合があります。

混み合った枝葉を間引きせん定し、風通しを良くする。

◉せん定
若木のうちは特にせん定は必要ありません。

成木で横枝が伸び過ぎ、樹形が乱れたもの、混み枝が増えた場合は間引きをします。

枝の中間で切ると枯れやすいにで、必ず付け根から切る。

※ヒメシャラはナツツバキよりも小枝が多く出るようです。

花は前年の短枝につくので、枝先を切らないように注意しましょう。

◆殖やし方
実生は10月頃に種子を採り蒔きます。又は、乾燥しない日陰で保存し翌春に蒔きます。

挿し木は新梢を10㎝ほどきり、赤玉土(小粒)の挿し床に挿し、乾燥しないように管理します。

※ヒメシャラの挿し木は活着率が低く、困難なので実生で殖やします。






2020/08/22

世界一の樹齢木ブリッスルコーンパイン巨樹 No,253-1

ブリッスルコーンパイン 

世界一の樹齢とされるブリッスルコーンパイン(メスーゼラ叉はメトセラ)と呼ばれる巨木が、ホワイトマウンテンに存在する。


            「ブリッスルコーンパイン」

槇の木の特徴や松の木などの特徴を持っている。

皮が剥き出しになり、見た目は枯れた巨木に見える。

それもそのはず、樹木の9割りが枯れていて、残りの1割で生き続けているのである。

300年前にすでに枯れてしまった巨木が、その姿をそのまま残している不思議な樹木である。


(300年前に枯れたとされる巨木)


樹齢は4000年~5000年

巨木保護のため、詳しい場所は明らかにされていない。

枝先に松ぼっくりをつける。





2020/08/21

マサキ No.253

マサキ ニシキギ科 

(正木、柾)

原産地=日本、中国、朝鮮半島 別名=シタワレ
日本では北海道南部から、ほぼ全国に自生しています。

海岸線に多く自生することからわかるように、塩害に強いのが特徴です。

マサオキ(真青木)が語源で、それがつまったものと考えられている。


海岸付近に自生するものはツルオオバマサキという品種。

強光線、日陰にも耐え、大気汚染
乾燥、暑さ寒さにも強いことから、公園樹や庭木として幅広く利用されています。


                            (マサキ)


6月~7月にあまり目立たない小さな花を咲かせます。

果実は秋から冬にかけて鮮やかに赤く熟します。

また、同じニシキギ属のマユミ等と同様、熟した果実が裂けるとオレンジ色のきれいな種子が顔を覗かせます。

雌雄異株なので、単植株では果実を楽しむことができません。

白や黄色の斑の入った多くの園芸品種があります。

①葉の周囲に黄色い斑の入ったキフクリンマサキ

②中央に黄色の斑が入ったキンマサキ

③淡黄色の斑のギンマサキ
また、同属に茎がツル性で地を這うように伸びるツルマサキがあります。

マサキとよく似た性質を持ち、丈夫なことから壁に這わせたり、グランドカバーなどによく使われています。


この種も白や黄色の斑が入った園芸品種が大きく流通している。

※その他種類として

オオツルマサキ、ナガバマサキ、ウチダシマサキ
ボウシュウマサキなどの変種がある。


                   (ツルマサキ=蔓柾)


◉生育管理

水はけがよく、腐植質に富んだ肥沃な土地を好みます。

日光を好みますが、耐陰性も強くかなりの日陰でも元気に生育します。

◆植え付け、植え替え

(適期は3月~5月)

新葉が伸びる季節や大株の場合は、地上部を切り詰めてから移植します。

◉肥料

生け垣の刈り込みなど、強せん定を行う場合は、油粕や骨粉などの有機肥料を1株につき、2握りほど与えるようにします。

生育の状態に応じて、同様の肥料を寒肥として与えてもよいでしょう。

◆病気

※うどん粉病

マンネブ水和剤(400~600倍液)、カラセン、ベンレートなどを新葉の展開する春から夏の発生期にかけて、月に1~2回散布します。

病変の葉は切り取って処分します。

◉害虫

※ユウマダラエダシャク(マサキの大敵害虫)

黒い体に淡黄色の縦線があるシャクトリムシで、体長2.5㎝くらいで昼間は葉の裏に隠れ、夜になると葉を食害します。

4月~11月に発生し、特に6月~8月に被害が多く出ます。

発生期にスミチオン、ディプテレックス、カルホスなどを月に1~2回散布します。

1度発生した株は再び発生しやすい傾向にあるので、病葉、落葉は丁寧に集めて処分し、再発を防ぐようにしましょう。

◉せん定

生長が早いため裾が空かないように、幼木のうちは上向きの枝を強めに切り戻して、下枝の生育を促します。

夏以降に強く切り戻すと、枝枯れを起こす場合があるので、このせん定は3月~4月までに行います。

萌芽力が強いので年2回の整姿が目安となりますが、結実を楽しみたい場合は、花後のせん定は避けます。

生け垣は刈り込みを行うと、下枝が枯れて裾が空いてしまいます。


一度に強く刈り込まず、数回に分けて軽く何回も刈るのがコツです。

年3回を目安に行います。

◉殖やし方

実生は熟した果実から採種し、そのまま採り蒔きにするか、湿った砂など冷暗所で貯蔵し、翌春3月~4月頃に蒔きます。

✫挿し木

今年伸びた充実した枝を10~15㎝に切って挿し穂とし、赤玉土(小粒)などの一般的な挿し床に挿します。
(春挿し、梅雨挿し)









2020/08/20

クロガネモチ No.252

 クロガネモチ モチノキ科(黒鉄黐)

原産地=日本、中国、インドシナ半島、台湾、東南アジア

日本では主に関東、東海地方以南の暖地の山野に自生しています。

晩秋から冬にかけての結実が美しく、古くから庭木として幅広く親しまれています。

同属のモチノキによく似ています。

特に若枝(葉柄)が濃紫色または、暗褐色で黒みがかって見えることが名前の由来と言われています。

また、モチノキの開花時期は4月ですが、クロガネモチは5月~6月で、果実の大きさもクロガネモチが、一回り小さいなどの違いがある。

花柄が長く、先が放射状に枝分かれし、その一つひとつに花をつける、集散花序であることが特徴です。

雌雄異株で、雌株は結実し11月~2月にかけて紅く熟す。

また、材は器具材や床柱として利用されます。

同属の類似種として、ソヨゴ、ナナメイキ、タラヨウなどがある。

いずれも紅く熟す雌株の果実が美しく、人気の高い樹種です。





◆生育管理
腐植質に富んだ肥沃な湿潤地が適しています。

日光を好む陽樹ですが、比較的耐陰性が強く半日陰でよく育ちます。

暖地性の植物ですが、耐寒性があり、東北地方南部までは庭植えが可能です。

乾燥を嫌うので植え付け、植え替えの時には根鉢を大きく取り、完熟堆肥や腐葉土をすき込み土中湿度を保つようにします。

夏期は敷きワラなどで乾燥を防止します植え付け、植え替えの適期は3月~4月

◉肥料
通常、肥料は特に必要ありません
雌株の実つきをよくしたい場合は、花が咲き始めたりリン酸、カリ成分の多い肥料を与えます。

★害虫
通風、日照が悪くなるとカイガラムシが発生する場合があります。

発生期にスミチオン乳剤、冬期に石灰硫黄合剤、マシン油乳剤などの散布で防除しますが、日頃の枝透かしなどで通風、日照を良好に保つことが一番の防除策になります。

◉せん定
実なりを楽しむ雌株では強いせん定は避けましょう。

通常は弱い枝、樹形を乱す徒長枝や込み枝などを付け根から切り取る程度にします。

側枝の先は、車枝状になって込みやすいので、太い枝を切り取るなどして、整理します。

生長して樹冠が大きくなり過ぎた場合は、枝先を切って樹形を整えます。

クロガネモチは萌芽力が強く、刈り込みもよく耐えるので、散らし玉などに仕立てることもできます。

◆殖やし方
実生は熟した果実を採って果肉を取り除きます。

取り出した種子は湿った砂や土中で貯蔵し、翌春3月~4月に蒔きます。

接ぎ木は充実した1年~2年の枝をつぎ穂として、実生3~4年生の台木に接ぎます。

適期は3月~4月
雌株を雄株に接ぐと実がなります。