緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2020/10/27

ベニシタン盆栽 No,311

 ベニシタン 盆栽 紅紫檀 バラ科

卵方の小さな葉が木材としてよく使われるシタン(紫檀)の葉に似ている。

秋から冬にかけて果実が、鮮やかに紅熟する事から名付けられた。

紫檀はマメ科の高木ですが「ベニシタン」はバラ科の小低木で、植物学的にはあまり深い関係はない。

園芸界ではベニシタンも含め、属名のコトネアスターの名で親しまれ、多くの園芸品種が出回っています。

中国南西部からヒマラヤ地方にかけての原産で、日本に伝えられたのは昭和初期と、比較的最近ですが今では人気樹種の一つとなっています。

初夏の頃、枝に沿って可憐なピンク色の小花を咲かせます。

花弁は全開せず、控えめな印象の花で、味わいがありますが、盆栽界樹としての魅力は、秋に紅熟し秋が深まるにつれて一層赤みを帯びる果実にある。

「実もの盆栽」としては、柔らかな曲がりをした模様木に仕立てる場合が多いようです。


その他の品種にベニシタンの変種で、白い花が咲くシロシタンも人気があります。

果実はベニシタン同様鮮やかな紅色に熟す。





◉置き場所
春から秋までの間は、日当たり、風通しのよい屋外で管理し、特に開花中は十分に日光を当てると秋に充実した果実を楽しむ事が出来ます。

冬は鉢土が凍らないような軒下や、明るい室内などで管理するようにします。

◆水やり
鉢土の表面が乾いたら、鉢底から水が流れ出るまで十分に水やりします。

特に開花中は多くの水分を必要とするので、こまめに鉢土をチェックして水切れに注意しましょう。

花後も緑色の幼果が落果するような場合は、水分不足なので、水やりの回数を増やすようにしましょう。

◉肥料
油粕8、骨粉2の割合で混ぜたものを梅雨期を除き、5月から10月まで毎月1回与えます。


◉せん定
模様木の樹形に仕立てるには、挿し木の3年苗が理想的です。

最初から針金で幹を模様木風にくねらせてある苗木を見かける事がありますが、かえってその後の幹や枝の矯正が難しくなるので避けます。

1年目は樹形づくりに必要な枝だけを残して不要な枝を切ります。

残した枝は役枝となるので、十分に伸ばして充実させます。

生育中は新梢がよく伸びるので、5月から6月に芽摘みと切り戻しを行い、樹形を保つようにします。

針金は4月から6月頃にかけ、9月下旬頃に外すと言うサイクルを繰り返します。

模様木に仕立てると言っても、極端に曲げるのではなく、緩やかな曲線を持たせることがバランスのよい樹形にするコツです。


幹の立ち上がりから何回も曲がる樹形は「タコづくり」といって、嫌われるので注意しましょう。

また、ベニシタンの枝葉は水平に広がりやすく、そのまま伸ばすと、模様木独特の立体感が出てきません。


       (石付きのベニシタン)


水平に伸びた小枝にも針金をかけ、やや上向きに捻っておきます。

その状態で芽摘みを行うと、そこから発生する新芽は上向きに伸び、模様木の持ち味である立体感が生まれます。


2年目以降は徒長枝を中心に不要枝をせん定します。

樹形がある程度できてからの整姿は、3月下旬から4月上旬に花芽を持たない新梢を、2~3節残して切り詰めます。

また、不定芽が出やすい性質があるので、見つけ次第早めにかき取るようにします。


◉植え付け、植え替え
新芽が伸び始めた3月下旬から4月上旬が植え付け、植え替えの適期です。


植え替えの際は根鉢の土を3分の1程ほぐし、長く伸びた根は切り詰めて植え付けます。

生育の度合いにもよりますが、若木、成木とも2年に1回を目安に植え替えるようにします。


植え付けの用土は赤玉土8、腐葉土2の割合の混合土を用いるのが一般的です。


★病害虫
アブラムシ、アカダニ、カイガラムシなどが発生する場合があります。

発生が少量の時はその都度捕殺しますが、予防を兼ねて冬期に、石灰硫黄合剤の30倍液を散布すると効果的です。









2020/10/26

ケヤキ No,310

 ケヤキ ニレ科 落葉高木

別名=ツキ 「槻、欅」

日本の代表的な落葉広葉樹のひとつで、北海道を除く日本各地の山地に幅広く自生しているが、山野の湿り気の多い場所や、川の辺りや沢沿いなどの肥沃な所に多い。

分布の範囲は朝鮮半島、中国、台湾に及びます。

耐寒性、耐暑性とも強く、現在では北海道でも栽培されたものを見ることが出来ます。

樹高は通常10~20㍍程ですが、生育条件が良ければ50㍍に達するものも珍しくありません。

特に、関東ローム層の土壌が適している様で、関東地方の公園や街路樹などで多く見かける樹種です。

新緑から秋の黄葉、落葉後の冬の樹形がとても美しく、その雄大な樹姿を「神木」として崇め、古くから寺社などに植えられていました。

ケヤキの名は「けやかき(際立った)木」と言う古語に由来すると言われています。

萌芽力が強く、せん定にも耐えることから庭木として用いられる他、街路樹や公園樹としても幅広く親しまれています。

風には強いが大気汚染、潮風に弱い。

雌雄同株で新葉が展開する時期と、ほぼ同じ4月から5月にかけて淡黄緑色の花をつけます。

雄花は新梢の下部、雌花は新梢の上部葉の付け根の葉腋にそれぞれ開花しますが、どちらも葉の色に似ていてあまり目立たない。

果実は葉の付け根につき、4㍉程のいびつな球形をし、10月頃に成熟する。

枝から離れて落下するものと、小枝ごと風に運ばれるものとがあり、枝についた果実は遠方まで飛んで繁殖します。


葉は晩秋に黄色く色づくが茶褐色に枯れてしまうものが多い。

木材は家具材、楽器、器具材、船舶材などに古くから幅広く利用されてきました。

園芸品種は特にありませんが、庭園樹木としてエノキ、ハルニレ、アキニレなどが親しまれているニレ科の樹木です。

特に9月頃に開花する「アキニレ」は「ニレケヤキ」の名で、盆栽樹として多くの愛好家に親しまれています。


        (黄葉したケヤキ)


◉生育管理、環境
日当たり、水はけのよい腐植質に富んだ肥沃な場所を好みます。

太い根を土中深く伸ばす深根性の樹種なので、出来るだけ深い層まで土壌が肥えている事が理想です。

◉植え付け、植え替え、移植
広い場所に植え付けます。

植え穴は大きく掘り、元肥として完熟堆肥を十分すき込みます。

移植には強く、かなりの大木でも1年程前から根回しをしておけば、比較的容易に活着します。

乾燥に弱いので、植え付け後は十分に水やりをし、必要に応じて幹巻きなで水分の蒸散を防ぎます。

植え付け、植え替え、移植の適期は3月と10月~12月です。


◆肥料
肥料を与えると徒長枝が伸びやすいので、極端な痩せ地でない限り必要ありません。

必要に応じて、油粕、鶏ふん、化成肥料などの寒肥を与える。

◉病害虫
まれにクワカミキリムシの幼虫に幹を食害されることがあります。

食害を受けた部分を放置すると、腐朽する場合があるので、スミチオン乳剤などを食入口に注入し駆除します。

また、夏に成虫を見かけた場合は産卵を防ぐためにもすぐに捕殺します。

◉せん定
放任しても独特の箒(ほうき)状の樹形にまとまります。

通常、庭木として楽しむ場合は、若木のうちに目標の高さを決め、その3分の1程度の樹高で芯を止めます。

高さは2㍍程の所で切るのが一般的です。

切り口から強い枝が分枝し、以後は随時切り戻す度に上へ上へと分枝して、箒状の樹形になります。

せん定の基本は徒長枝や込み枝、下垂枝などの不要な枝を付け根から切り取って透かしていきます。

若木のうちに地際近くで切り戻して、株立ち状の樹形を楽しむ事も出来ます。


◆殖やし方
秋に落果した種子をすぐに蒔くか、低温貯蔵して翌春の3月から4月頃に蒔きます。

自然落果して発芽した苗をそのまま育てる事も出来ます。

接ぎ木は2月から3月に行います。






2020/10/25

ヒマラヤスギ No,309

 ヒマラヤスギ マツ科 常緑針葉高木

別名=ヒマラヤシーダー ヒマラヤスギ属
原産地=ヒマラヤ地方北西部からアフガニスタン東部にかけての一帯

日本に伝えられたのは、明治時代の初期と言われ、広く全国に植えられている。

原産地では樹高50㍍にも達しますが、日本では20~30㍍程です。

円錐形の自然樹形が雄大で美しい針葉樹です。

公園樹、庭園樹として世界中で親しまれ、材は建築、器具、包装材などに使われる。

コウヤマキ、アラウカリア(オーストラリア原産のナンヨウスギ科の針葉樹)と並んで「世界三大公園樹」の一つに数えられている。

学名の「デオドーラ」は「神の木」に由来する。

気候の適応力が強く、日本でもほぼ全国で栽培されています。

樹形が「スギ」に似ていることから和名には「スギ」の名が付けられていますが、葉の形を見るとマツ科の植物であることが分かります。

10月から11月にかけて開花します。

雌雄同株で雄花は黄褐色で、長さ3㎝の円柱状でよく分かります。

雌花は浅緑紫紅色で約5㍉と小さく、数も少ないためほとんど目立たない。

受粉した雌花は12月に入ると3㎝程の球果(マツカサ)を作ります。

この球果は果鱗(かりん)と呼ばれる鱗状の片に分離して落下します。

一片の果鱗には2つの種子が付いていて、風に乗って飛散して繁殖します。

生長が速く強いせん定をしてもよく芽吹くため、各種の仕立て物や高生垣など利用出来ますが、車の排気ガスに弱く街路樹には適しません。


ヒマラヤスギの仲間は2~3種が知られています。

園芸では針葉がヒマラヤシーダーより短く、やや小ぶりの「レバノンシーダー」横に広がった枝が下垂する「シダレヒマラヤスギ」などが親しまれています。

※アトラスシーダー
北アフリカのアトラス山脈を原産地とする、ヒマラヤスギの仲間で原産地では、成長が早く大木となるため建材としての需要が高い。

葉の雰囲気はヒマラヤスギよりもゴヨウマツに近い。


※レバノンシーダー(スギ)
西アジアのレバノン、キプロス島及びシリア、トルコに分布、タウルス山脈トルコ(南部)を原産地とする。

ヒマラヤスギの仲間でレバノン国旗にデザインされている。

ノアの箱舟はこの木で造られたという。

◉生育管理、環境
日当たり、水はけのよい適度な湿度を保った場所を好みます。

土質は特に選びませんが、アルカリ性土壌は好ましくありません。

耐隠性はあるがなるべく日当たりのよい場所を選びます。

◆植え付け、植え替え、移植
庭での植え付けは、生長を考えて出来るだけ広い場所にします。

植え穴は大きめに掘り、元肥として完熟堆肥をすき込みます。

大木になる割には根が浅く、乾燥にも弱いので移植後は支柱を立て、株元をマルチングして乾燥を防ぐようにします。

植え付け、植え替え、移植の適期は3月、10月から11月です。


★肥料
生育状況に応じて、2月頃に堆肥、腐葉土、鶏ふんなどの有機肥料を株回りに環状施肥します。


◆害虫
マツ科の植物につく、マツカレハ、ツガカレハによる葉の食害が発生する場合があります。

幼虫の早期発見と補殺が大切です。

薬剤はスミチオン、カルホスを散布します。


◉せん定
地際に近い程、枝を広げて下垂させ円錐形の美しい自然樹形になります。

刈り込みにも強く自然樹形以外にも、円筒形仕立て、ロウソク仕立て、段造り、散らし玉、生垣仕立てなど様々な樹形を楽しむ事が出来ます。

樹勢が強く、萌芽力も旺盛な樹種ですが晩秋のせん定や刈り込みは、軽めに行うようにします。


基本せん定は春から初夏に行います。

大きく枝が広がるので、庭などでは形のよい側枝を残して主枝を切り、幅を抑えるようにします。

枝を切り戻す時は葉の付いた小枝を残すようにします。

細い枝は枯れやすいので弱い枝は整理して、太さの揃った枝で樹形を整えます。

根が浅いことから強風で倒れやすいので、適度な枝抜きで風当たりを少なくすることも大切です。

また、強い日射しを浴びると幹焼けを起こしたり、樹木の表皮が割れたりする事があるので、初夏に
枝を抜いた後は緑化テープやコモなどで、幹巻きするなどし保護します。


◉殖やし方
晩秋から冬に落下した、果鱗を乾燥させないように低温貯蔵し、翌年の2月から3月頃に蒔きます。

挿し木も(6月~7月頃)可能ですが、挿し木苗は枝がきれいに四方に伸びず、寿命も短いと言われあまりお勧め出来ません。







2020/10/22

ガマズミ No,308

 ガマズミ スイカズラ科 落葉低木

別名=ヨウゾメ、ヨシズミ 
「莢迷」

原産地=日本、朝鮮半島、中国一帯

日本では北海道南部から四国、九州に至る全国の原野や低山地に幅広く分布し、雑木林や林縁に多い。

5月から6月にかけて、多数の可憐な白色小花が傘状に付く、★散(繖)房花序を形成する。

★散(繖)房花序=さんぼうかじょ
花軸につく花の柄が、下部程長く上部は短いため全体がドーム状になる。

葉は広い卵形で長さ10㎝以上と大きく対生する。

葉の両面に毛が生えているのも特徴で、触るとザラッとする。

10月頃から12月にかけて、球形の果実が一斉に結実します。

果実は最初、鮮紅色で次第に暗褐色に熟して行く。

自生種は林の奥深い所よりも、人里に近い林縁付近の明るい場所を好んで生育するため、人目を引きやすく古くから庭木や道具材などに、幅広く利用されていました。

樹高が2~4㍍と低く、扱いやすいことから初夏の花、晩秋から冬にかけての紅葉と色鮮やかな果実など、四季を通じて楽しめることから、鑑賞木としての価値は高い。

果実が赤くなる頃に葉もわずかに色づくが、時に真っ赤に色づくこともある。

赤い果実は、霜が何度か降りると透明になり、白い粉をふいたようになると、やわらかくて食べ頃となり、地方によっては食用にもされた。

昔の子供たちはおやつ代わりに食べたので、そんな記憶を持つ人もいる事でしょう。

味は甘酸っぱい、各地の山野にごく普通に見られるので、ヨシズミ、ヨソゾメなどの地方名も多い。

名前の由来には諸説あり、神つ実(神の実)の転訛で昔は果実を冬の神前へ供えたとする説や、果実を衣料などの染料に用いた「別名ヨウゾメ」ことから、「染め」が「スミ」になったとする説などが有力です。

ガマズミの果実は生食にする他、リキュールに漬けると美しいピンクの果実酒になります。

木材は堅く丈夫で、杖やハンマー🔨(金づち)の柄などの材料として利用されています。

ガマズミには同属の近縁種が多く、日本だけでも30種以上あると言われています。

※特に園芸品種で親しまれて居るのは果実が黄色い「キミノガマズミ」

※淡紅色を帯びた白色でほのかな芳香のある「チョウジガマズミ」

※葉の大きい「オオバチョウジガマズミ」

※花数、枚数ともガマズミより少ない「オトコヨウゾメ」

※ガマズミよりやや高地に自生し、北海道中部でも生育可能な「ミヤマガマズミ」などがあります。


◉生育管理、環境
日当たりを好みますが、一日中日の当たる場所より半日くらいの日の当たる、強い西日が当たらない場所がより適しています。

水はけがよく腐植質に富んだ土が理想的ですが、土質は特に選びません。


極端な乾燥は嫌いますが、適度に湿った土からやや乾燥した土までよく育ちます。


      (ガマズミの花)


◆植え替え、移植
植え付けは植え穴をやや大きめに掘り、根元にピートモス、完熟堆肥などを敷いて植え付けます。

ガマズミは比較的根が粗いので、植え鉢の土を崩さないように丁寧に扱うことと、乾燥を避ける事が大事です。

また、必要に応じて支柱を立てるようにします。

植え付けの適期は落葉期の2月~3月または、11月下旬~12月です。

活着してしまえば丈夫でほとんど手のかからない樹種です。

移植は11月下旬から12月と2月から3月

◆肥料
極端な痩せ地でない限り、肥料はほとんど必要ありません。

樹勢が弱い場合は、2月頃に油粕、骨粉を混ぜた有機肥料を一握り程度株元にまきます。


◉せん定
放任しても株立ち状によく樹形がまとまります。

萌芽力は強い方ですが強せん定は好みません。

自然樹形で育てるのが一般的です。

徒長枝やひこばえを整理して、3本立ち程度にして株元をすっきりさせるとよいでしょう。


花芽は枝の基部に近い短枝につきます。

せん定は12月から2月頃に、徒長枝や樹冠内部の混み枝を間引く程度にとどめ、枝の途中で切らないことが大事です。

花後は特に手を加える必要はありません。

★殖やし方
晩秋から冬にかけて熟した果実をとり、果肉を落として湿った砂などに入れて低温貯蔵します。

翌春、暖かくなり始める3月に蒔き、乾燥に注意して半日陰で管理します。







2020/10/20

シャコバサボテン No,307

 シャコバサボテン サボテン科

別名=クリスマスカクタス

多肉植物


ブラジル、リオデジャネイロ州の山岳地帯を原産とする、古木や岩肌に着生するサボテンの1種で、クリスマスシーズンに美しい花を咲かせるので、「クリスマスカクタス」と言う別名がある。

明治時代から栽培されている植物で園芸品種も多い。

反り返った花弁が可憐で花色も多いのが特徴です。

サボテンと言ってもトゲはなく、葉に見える多肉質の茎が「シャコ」の節の様に見えることから日本では「シャコバサボテン」と呼ばれています。

同種で「カニバサボテン」と言うのがありますが、こちらは滑らかな丸い葉が、カニの足に似た形をしています。

花色は赤、ピンク、白、黄と多彩で「ホワイトクリスマス」「マリー」「コールドチャーム」の名前で市販されています。

デンマークでシャコバサボテンの品種改良が盛んに行われ、様々な花色がある。

トゲがあるサボテンが、雨の降らない乾燥地に生えているのに対し、シャコバサボテンの自生地は標高が高く、気温も一年を通して10~20℃と涼しいため、日本の暑い夏はあまり得意ではありません。




◉生育管理、環境
開花株を入手する場合は、花付きが多くツボミの大きさが揃っている物を選ぶようにします。

原産地が熱帯で安定した気候にあるため、寒さや環境の変化に弱い面があります。

鉢植えを移動する場合は、屋外に近い玄関などから徐々にならしてから行いましょう。

また、ツボミが付いたらなるべく移動は避けます。

花芽が付いた後も急に屋外から、室内へ移動させると、花芽が落ちてしまう事があるので要注意です。

ツボミが1㎝以上に育つまでは移動させないようにします。

ツボミの落下を避けるには、霧吹きで葉にスプレーした後株全体に、ビニール袋をかけるなどして湿度や温度をしばらくの間、安定させてやります。





原産地では山地の岩や樹木に着生している種類で、同じサボテンでも砂漠に生育する仲間とは異なり、比較的水分を好みます。

他の一般的な植物より水やりは少なめにしますが、花期に乾燥させ過ぎると落花させる原因となり、春からの生育にも支障が出るので、用土の様子を見ながら、乾いたらたっぷり水を与えるようにしましょう。

また、花を上手に咲かせるには夏にあえて水やりを控えて、休眠状態にした方がよい場合もあると言われています。

★花をたくさん咲かせるには、早春の芽摘みと植え替え、そして秋口の新芽摘みです。

芽を摘むときは、前年に伸びた節を1~2節残します。

ハサミなどは使用せず、節の所を「くるっと」回して摘み取ります。

先端部をきっちり揃えるより、少しでこぼこを残す方が、開花時に高低差ができユニークな姿で花が咲きます。

芽摘みと植え替えが終わった株は、春から秋まで屋外の半日陰で管理します。

秋口の新芽摘みでは、赤みを帯びた1~1.5㎝以下の新芽は摘み取り、1.5㎝以上に育った芽には花芽が付くので残します。

11月からは屋内に入れ、窓ガラス越しに日の当たる場所に置きます。

4年目以降は株が老化してくると木質化し、芽が出にくくなるので、根元から茎節を摘むのは避け、先端部を芽摘みします。

茎節が混みすぎている場合は、間引くように摘み、風通しをよくするなど蒸れない様にする工夫も必要です。

根が鉢いっぱいに広がると水はけが悪くなり、株が弱るため2年に1度は植え替えを行います。

根鉢全体を軽く崩し、一回り大きな鉢に植え替えます。

用土は、市販のシャコバサボテン用の土、又は、赤玉土小粒3、完熟腐葉土3、パーライト3、珪酸塩白土1の混合土に植え付けます。

葉が痩せたり、色あせたりしているよう様なら、植え替えや挿し木をして株を更新しましょう。

※サボテン用の用土は不可

花が終わったら花柄を取り、室内で4℃前後に保ちながら、春の植え替えに備えます。




◉肥料
緩効性の化学肥料を4月から6月にかけて与え、9月頃には肥料の効力が切れるようにします。


余分な肥料が残っていると、栄養が株の生育にまわって花のつきが悪くなります。

また、新芽も花が付きにくいので、ツボミを付ける前の9月に一段摘み取っておきます。

ツボミは冬に近づき日照時間が短くなると付き始めるので、この時期に明るい室内で管理するとツボミを付けません。

一日の日照に当てる時間が長すぎると、花芽を付けない植物です。

       「11月7日花芽がつき始める」


夜間の照明に当たると、日照時間が長くなっている可能性があり、ツボミが付きにくいと考えられます。

一日の日照に当たる時間を8、9時間前後にして管理する必要があります。

◆短日処理を行います。
10月から11月の夜間は箱などで覆ってやると冬に花が楽しめます。


◆殖やし方
さし芽の時期(4月から5月)

葉を切り取って挿しますが、1枚では生育が遅くなったり失敗したりするので、2~3枚の葉節を挿すとよいでしょう。

切り取った直後の葉節(くびれた所をよく切れるナイフなどできれいに切る)は、2~3日程陰干しをして切り口を乾かします。

3号ポット程度のビニールポットや鉢にバーミキュライトなどを入れ、切り口を傷つけない様に挿します。

挿す深さは2㎝程度が適切です。


        (挿し芽、8月21日撮影)


★ポインセチアも同様に短日植物です。
参考ブログ、ポインセチア No,47


◉植物からの危険信号
葉が赤くなったり、節の途中から根が出たりしているのは、植物からの危険信号です。

根が傷んでいるサインです。

水切れもしくは、逆に過湿による根腐れで水やりに問題があります。

水やりの頻度を調節する必要があります。

症状が重い場合は、傷んだ株や根を取り除き、すぐに植え替えを行いましょう。









2020/10/19

ハボタン No,306

 ハボタン アブラナ科 一年草

別名=ボタンナ (葉牡丹)

冬枯れで寂しなくなった花壇を華やかに、彩ってくれる貴重な草花として、挙げられるのがハボタンです。

外観からも分かる様に植物学的には、キャベツやカリフラワーと同様のアブラナ科の一年草です。

★ブロッコリーはイタリア原産、カリフラワーは地中海沿岸が原産地ですが、両種はキャベツの変種です。

また、カリフラワーはブロッコリーが突然変異で白化したもので、2000年前から栽培されてきたものと言われている。


原種は食用として江戸時代に、ヨーロッパから導入されたもので、幕末の頃から観賞用としての改良がなされ、園芸品種として定着しました。

やがて明治時代になると、葉の重なる様子が「ボタン」の花弁に似ていることから、「葉牡丹」の名で親しまれる様になりました。

葉が発色するのは、霜が降りて空気が一段と冷えてくる頃で、畑で育てていたものを植え付けて観賞用としますが、あまりに寒さが厳しかったり乾燥した日が続いたりすると、早く傷んでしまう事があります。

逆に、10月下旬~11月上旬に気温が下がらない様な事があると、色づきが悪くなる事もあります。

ハボタンは、葉の形によってそれぞれの呼び名があり、いくつかの系統に分けられています。

①葉が丸いのが特徴の東京丸葉系

②葉に細かい縮れがある名古屋ちりめん系

③東京丸葉系と名古屋ちりめん系、両方の特徴を持つ大阪系があります。

この他に、葉に深い切れ込みがある切れ葉系などが知られています。

葉の色は、赤系と白がありますがこの2色を使って花壇を美しく植え付けるには、それなりの技術と経験が必要とされます。





◆生育管理、環境
日当たりを好むので生育期は、北風にさらされない暖かい日溜まりを選んで植え付けます。

霜が降りない暖地で上手に育てれば、冬も葉を増やし、春に花穂を立てます。


◉植え付け

9月から10月頃に、花壇に残った草花の古株を片付け、そこにポットや畑などで育てておいたハボタンを植え付けます。

ハボタンは掘り取りする時に、あまり土を根に付けないので、植え込みが遅れたり、植え付けまでに乾燥させたりすると根付きが悪くなったり、すぐ枯れてしまいます。

注意が必要ですが、植え込んだ後上手く根付けば暖冬ならば、2月頃まで楽しむ事が出来るでしょう。


よく育つと茎も長く伸びるので花壇では、あらかじめ深植えにしておきます。


また、茎が曲がっていたり徒長した株があれば、植え込む深さや角度を調整して、中心で鑑賞出来るようにします。

鉢植えにする場合は、大きな植え木鉢に一本、又は2~3本寄せ植えし、霜の降りない暖かい玄関や軒下に置いて楽しみます。

寄せ植えには同じサイズの株ではない大、中、小組み合わせて植えると、変化があって見た目にも華やかです。

花壇でも鉢植えでも同様ですが、冬の間に晴天が続くと乾燥して元気がなくなってしまいます。

その様な場合は、小春日和となる暖かい日を選んで、根元に十分水分を与えるようにしましょう。


◉殖やし方
種蒔きの適期は7月、8月頃でばら蒔き、又は筋蒔きにします。

蒔き終わったら、軽く土をかけて涼しい場所に置きます。

本葉が3枚程になったら、3号ビニールポットに入れ、7~8枚程度になったら4号ビニールポットに移植して、根付くまで半日陰で管理します。

いずれの場合も用土は、赤玉土や黒土などの重い土を用いて、1ヶ月に一度の割合で緩効性化成肥料を置き肥します。

尚、ハボタンの場合は、植え付けの際やその後の肥料は不要です。

多肥になるとむしろ葉の着色が悪くなります。