緑のお医者の徒然植物記

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2020/10/20

シャコバサボテン No,307

 シャコバサボテン サボテン科

別名=クリスマスカクタス

多肉植物


ブラジル、リオデジャネイロ州の山岳地帯を原産とする、古木や岩肌に着生するサボテンの1種で、クリスマスシーズンに美しい花を咲かせるので、「クリスマスカクタス」と言う別名がある。

明治時代から栽培されている植物で園芸品種も多い。

反り返った花弁が可憐で花色も多いのが特徴です。

サボテンと言ってもトゲはなく、葉に見える多肉質の茎が「シャコ」の節の様に見えることから日本では「シャコバサボテン」と呼ばれています。

同種で「カニバサボテン」と言うのがありますが、こちらは滑らかな丸い葉が、カニの足に似た形をしています。

花色は赤、ピンク、白、黄と多彩で「ホワイトクリスマス」「マリー」「コールドチャーム」の名前で市販されています。

デンマークでシャコバサボテンの品種改良が盛んに行われ、様々な花色がある。

トゲがあるサボテンが、雨の降らない乾燥地に生えているのに対し、シャコバサボテンの自生地は標高が高く、気温も一年を通して10~20℃と涼しいため、日本の暑い夏はあまり得意ではありません。




◉生育管理、環境
開花株を入手する場合は、花付きが多くツボミの大きさが揃っている物を選ぶようにします。

原産地が熱帯で安定した気候にあるため、寒さや環境の変化に弱い面があります。

鉢植えを移動する場合は、屋外に近い玄関などから徐々にならしてから行いましょう。

また、ツボミが付いたらなるべく移動は避けます。

花芽が付いた後も急に屋外から、室内へ移動させると、花芽が落ちてしまう事があるので要注意です。

ツボミが1㎝以上に育つまでは移動させないようにします。

ツボミの落下を避けるには、霧吹きで葉にスプレーした後株全体に、ビニール袋をかけるなどして湿度や温度をしばらくの間、安定させてやります。





原産地では山地の岩や樹木に着生している種類で、同じサボテンでも砂漠に生育する仲間とは異なり、比較的水分を好みます。

他の一般的な植物より水やりは少なめにしますが、花期に乾燥させ過ぎると落花させる原因となり、春からの生育にも支障が出るので、用土の様子を見ながら、乾いたらたっぷり水を与えるようにしましょう。

また、花を上手に咲かせるには夏にあえて水やりを控えて、休眠状態にした方がよい場合もあると言われています。

★花をたくさん咲かせるには、早春の芽摘みと植え替え、そして秋口の新芽摘みです。

芽を摘むときは、前年に伸びた節を1~2節残します。

ハサミなどは使用せず、節の所を「くるっと」回して摘み取ります。

先端部をきっちり揃えるより、少しでこぼこを残す方が、開花時に高低差ができユニークな姿で花が咲きます。

芽摘みと植え替えが終わった株は、春から秋まで屋外の半日陰で管理します。

秋口の新芽摘みでは、赤みを帯びた1~1.5㎝以下の新芽は摘み取り、1.5㎝以上に育った芽には花芽が付くので残します。

11月からは屋内に入れ、窓ガラス越しに日の当たる場所に置きます。

4年目以降は株が老化してくると木質化し、芽が出にくくなるので、根元から茎節を摘むのは避け、先端部を芽摘みします。

茎節が混みすぎている場合は、間引くように摘み、風通しをよくするなど蒸れない様にする工夫も必要です。

根が鉢いっぱいに広がると水はけが悪くなり、株が弱るため2年に1度は植え替えを行います。

根鉢全体を軽く崩し、一回り大きな鉢に植え替えます。

用土は、市販のシャコバサボテン用の土、又は、赤玉土小粒3、完熟腐葉土3、パーライト3、珪酸塩白土1の混合土に植え付けます。

葉が痩せたり、色あせたりしているよう様なら、植え替えや挿し木をして株を更新しましょう。

※サボテン用の用土は不可

花が終わったら花柄を取り、室内で4℃前後に保ちながら、春の植え替えに備えます。




◉肥料
緩効性の化学肥料を4月から6月にかけて与え、9月頃には肥料の効力が切れるようにします。


余分な肥料が残っていると、栄養が株の生育にまわって花のつきが悪くなります。

また、新芽も花が付きにくいので、ツボミを付ける前の9月に一段摘み取っておきます。

ツボミは冬に近づき日照時間が短くなると付き始めるので、この時期に明るい室内で管理するとツボミを付けません。

一日の日照に当てる時間が長すぎると、花芽を付けない植物です。

       「11月7日花芽がつき始める」


夜間の照明に当たると、日照時間が長くなっている可能性があり、ツボミが付きにくいと考えられます。

一日の日照に当たる時間を8、9時間前後にして管理する必要があります。

◆短日処理を行います。
10月から11月の夜間は箱などで覆ってやると冬に花が楽しめます。


◆殖やし方
さし芽の時期(4月から5月)

葉を切り取って挿しますが、1枚では生育が遅くなったり失敗したりするので、2~3枚の葉節を挿すとよいでしょう。

切り取った直後の葉節(くびれた所をよく切れるナイフなどできれいに切る)は、2~3日程陰干しをして切り口を乾かします。

3号ポット程度のビニールポットや鉢にバーミキュライトなどを入れ、切り口を傷つけない様に挿します。

挿す深さは2㎝程度が適切です。


        (挿し芽、8月21日撮影)


★ポインセチアも同様に短日植物です。
参考ブログ、ポインセチア No,47


◉植物からの危険信号
葉が赤くなったり、節の途中から根が出たりしているのは、植物からの危険信号です。

根が傷んでいるサインです。

水切れもしくは、逆に過湿による根腐れで水やりに問題があります。

水やりの頻度を調節する必要があります。

症状が重い場合は、傷んだ株や根を取り除き、すぐに植え替えを行いましょう。