緑のお医者の徒然植物記

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2020/10/19

ハボタン No,306

 ハボタン アブラナ科 一年草

別名=ボタンナ (葉牡丹)

冬枯れで寂しなくなった花壇を華やかに、彩ってくれる貴重な草花として、挙げられるのがハボタンです。

外観からも分かる様に植物学的には、キャベツやカリフラワーと同様のアブラナ科の一年草です。

★ブロッコリーはイタリア原産、カリフラワーは地中海沿岸が原産地ですが、両種はキャベツの変種です。

また、カリフラワーはブロッコリーが突然変異で白化したもので、2000年前から栽培されてきたものと言われている。


原種は食用として江戸時代に、ヨーロッパから導入されたもので、幕末の頃から観賞用としての改良がなされ、園芸品種として定着しました。

やがて明治時代になると、葉の重なる様子が「ボタン」の花弁に似ていることから、「葉牡丹」の名で親しまれる様になりました。

葉が発色するのは、霜が降りて空気が一段と冷えてくる頃で、畑で育てていたものを植え付けて観賞用としますが、あまりに寒さが厳しかったり乾燥した日が続いたりすると、早く傷んでしまう事があります。

逆に、10月下旬~11月上旬に気温が下がらない様な事があると、色づきが悪くなる事もあります。

ハボタンは、葉の形によってそれぞれの呼び名があり、いくつかの系統に分けられています。

①葉が丸いのが特徴の東京丸葉系

②葉に細かい縮れがある名古屋ちりめん系

③東京丸葉系と名古屋ちりめん系、両方の特徴を持つ大阪系があります。

この他に、葉に深い切れ込みがある切れ葉系などが知られています。

葉の色は、赤系と白がありますがこの2色を使って花壇を美しく植え付けるには、それなりの技術と経験が必要とされます。





◆生育管理、環境
日当たりを好むので生育期は、北風にさらされない暖かい日溜まりを選んで植え付けます。

霜が降りない暖地で上手に育てれば、冬も葉を増やし、春に花穂を立てます。


◉植え付け

9月から10月頃に、花壇に残った草花の古株を片付け、そこにポットや畑などで育てておいたハボタンを植え付けます。

ハボタンは掘り取りする時に、あまり土を根に付けないので、植え込みが遅れたり、植え付けまでに乾燥させたりすると根付きが悪くなったり、すぐ枯れてしまいます。

注意が必要ですが、植え込んだ後上手く根付けば暖冬ならば、2月頃まで楽しむ事が出来るでしょう。


よく育つと茎も長く伸びるので花壇では、あらかじめ深植えにしておきます。


また、茎が曲がっていたり徒長した株があれば、植え込む深さや角度を調整して、中心で鑑賞出来るようにします。

鉢植えにする場合は、大きな植え木鉢に一本、又は2~3本寄せ植えし、霜の降りない暖かい玄関や軒下に置いて楽しみます。

寄せ植えには同じサイズの株ではない大、中、小組み合わせて植えると、変化があって見た目にも華やかです。

花壇でも鉢植えでも同様ですが、冬の間に晴天が続くと乾燥して元気がなくなってしまいます。

その様な場合は、小春日和となる暖かい日を選んで、根元に十分水分を与えるようにしましょう。


◉殖やし方
種蒔きの適期は7月、8月頃でばら蒔き、又は筋蒔きにします。

蒔き終わったら、軽く土をかけて涼しい場所に置きます。

本葉が3枚程になったら、3号ビニールポットに入れ、7~8枚程度になったら4号ビニールポットに移植して、根付くまで半日陰で管理します。

いずれの場合も用土は、赤玉土や黒土などの重い土を用いて、1ヶ月に一度の割合で緩効性化成肥料を置き肥します。

尚、ハボタンの場合は、植え付けの際やその後の肥料は不要です。

多肥になるとむしろ葉の着色が悪くなります。