緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2022/08/07

朝の果物は金 No,585

 果物消費量が減る一方の日本

朝の果物は金、昼は銀、夜は銅

あるいはもっと時間を細かく区切れば朝の果物は金、昼から3時までは銀、3時から6時までは鉄、6時以降は鉛などとも言われます。

お米を食べてエネルギーを得るためには、お米に含まれるデンプンを消化酵素であるアミラーゼなどで消化して、ブドウ糖に換え、それをもとにエネルギーを得ます。


『アミラーゼはジアスターゼとも称され、主に膵臓、唾液腺から分泌される消化酵素で、デンプン等の糖質のグルコシド(配糖体)結合を加水分解、あるいは発酵や酵素によって分解されると✪グルコース=ブドウ糖が生じる』

ところが、果物には多くのブドウ糖が含まれているので、素早くエネルギーを得ることが可能です。

同じように、果糖からもエネルギーを素早く得ることができます。

果物から朝活動のためのエネルギーが容易に得られると言う事です。

✪グルコース(ブドウ糖)とは

太陽光からのエネルギーを使って、水と二酸化炭素から光合成によって作られる。

グルコースは細胞呼吸のための最も重要なエネルギー源である。

ブドウ糖はブドウの中から見つかったのでそう呼ばれる。


果物に含まれるクエン酸やリンゴ酸、酒石酸などの『有機酸』と呼ばれるものは、果物の酸味を感じさせる物質で、脳や身体を活性化してくれます。

つまり、朝起きて「爽やかになりたい」という気持ちを満たしてくれると言うことです。

また果物には、腸を刺激する作用の強い食物繊維が多く含まれています。

ビタミンやミネラルなども含まれています。

紫外線に当たることで発生する、活性酸素を除去するために必要な抗酸化物質は、果物に多く含まれています。


これはビタミンCやビタミンE、赤い色素のアントシアニンや黄色の色素カロテノイドなどです。

空腹の朝には、多くのビタミン、ポリフェノール、カロテノイド、カリウムなどのミネラルを含んだバランスの取れた果物の栄養が健康に良いのです。

体内の水分も不足気味になっている朝、水分含量の多い果物は役に立つと言えるでしょう。


1日に果物200グラム運動「食生活推進全国協議会」という運動がありますが、日本人の果物摂食量は世界と比べてもとても少ない。


国連食糧農業機関(FAO)によると、日本の果物消費量は1人当たり1日約150㌘ですが、これは2003年のデータであり、現在ではこれよりも深刻な状況になっています。


   ✪2003年世界の果物消費量


最近では2019年で世界の平均が79.35㌘に対し、日本は33.35㌘です。

このことから、日本ではほとんど果物を食べなくなったことが伺い知れます。






世界消費量トップのドミニカの十分の1にも満たない数値です。

果物を食べなくなった日本人


日本で最も果物が消費されたのは1975年の193.5㌘とされています。


毎日摂らない理由として挙げられるのが、値段が高い、日持ちがせず買い置きできない。

皮を剥く手間がかかるなどが原因とされています。


果実の需要と消費は、健康に影響するだけでなく、国内のフルーツ産業の縮小にも繋がっています。

益々、日本国内の農作物産業は自給率をさげ、あらゆる食糧を海外に依存しなければならない時代が来ることを、避けられないかも知れません。









2022/08/05

アカマツの葉に茶色の斑点 No,584

 マツノモグリカイガラムシの被害

部分的に枯れたり、触るとぼろぼろと砕ける。

白い粉状のものが付着する部分もある。

特に樹木の半分より下の枝葉の状態が悪く、マツヤニもほとんど出ていない。

原因としてマツノモグリカイガラムシ被害によるものと考えられます。

アカマツ、クロマツに寄生し、被害が大きい。

カイガラムシは新梢の葉に潜り込んで吸汁し、その付近には白い綿状のものを付着します。




高温乾燥の続く夏場は急激に被害が増加すると考えられます。

近畿地方の観察では年1回の発生であるように見られるが、記録では年2回というものもある。

幼虫のまま樹皮下で越冬し、4月から5月頃に成虫が発生する。

貝殻を持たないブヨブヨした体なので一見してカイガラムシのようには見えない。

オスはメスとは全く異なり、オスは小さく有翅=ゆうし、ハネをもつ。

メスは赤褐色で脚があり樹幹上を自由に這い回り、交尾の後も適当な樹皮の割れ目を見つけると、潜り込んで白い綿状の卵のう(袋)をふく。


枝枯れが進行すると枯死することもあるので、薬剤防除が必要になります。

幼虫が卵から孵化した直後の5月から6月にスミチオン、スプラサイドなどを数回散布すれば、かなり効果が期待できるが、実験結果ではジメトエートの効果が高いとされる。

虫体が見つけにくいため被害が先行する。

防除が手遅れになりやすいので注意が必要である。

褐変、枯死した枝や葉のヤニがなくなり、カサカサになる症状からマツクイムシの被害も考えられます。

マツクイムシの場合は、夏の終わり頃から兆候が見え始め、見る見るうちに真っ赤になってしまいます。

枝を折るとボキッと折れ、ヤニが出ない。

先端の新葉が枯れている状態になります。

樹木は衰弱すると病害虫の被害を受けやすくなるので、元気な樹勢を保つことが基本となります。

害虫防除を定期的に行い、冬期に堆肥などの有機質肥料を施すことも大切です。






2022/08/03

暮らしの中に小さな苔玉、盆栽を No,583

 ミニ盆栽と苔玉


小さな一鉢の植物は、私たちを元気にしてくれるそんな力を持っています。

窓辺に置いた小さな鉢植えの植物が疲れた心を癒やしてくれる。

植物たちのなかでも、草や木の小さな盆栽や苔玉は鉢花とは一味違う魅力を持っています。


素朴な美しさ、不思議な懐かしさがあります。

身近に置けば心を和ませ、里山の自然に触れるような優しい気分にしてくれます。

そんな雰囲気を楽しんでる人たちの、苔玉、盆栽を一部紹介いたします。








🌴Facebook
盆栽苔玉の会






2022/08/02

カキの実の落果 No,582

 カキが実をつけても落果してしまう

カキの多くは花粉を持っていないので、異品種から花粉を貰わないと正常に着果しません。





種子(タネ)があまり入らなくても一応果実は肥大しますが、種子が十分入ったものに比べると着果が劣り、生理障害を起こしやすくなります。

花粉のある禅寺丸(ぜんじまる)紅柿(べにがき)などをを植えると良いでしょう。

カキ農家では必ず混植をしています。

ヘタにつく害虫による落果(5月〜9月に発生)
カキの大害虫であるカキノヘタ厶シ(蛾)の被害も考えられます。

パダンSG水溶液1500倍液を、6月中旬と8月上旬に各1回散布します。

実の中に食入すると薬剤の効果を期待できないので、早めにオルトラン水和剤、モスピラン液剤などを散布します。

また、8月下旬の剪定は樹勢を乱す原因になるので避けましょう。






2022/08/01

栗の実の異常 No,581

 栗の実が杓子状(しゃくしじょう)で皮が異常に厚く、正常な実にならない。



✪杓子状とは栗に実が入らない状態で杓子栗と言う。







原因は正常に受精しなかったためと考えられます。

クリは自分の花粉では実入りが悪くなります。

異品種の花粉を貰わないと正常に結実しません。

クリの産地では必ず3〜4品種以上を混植しています。

クリは植えてから2〜3年で開花し、受粉の役に立ちます。

花粉は風によって150㍍まで飛ぶことが知られていますが、その花粉量はわずかです。

花粉の有効とする飛散距離は10㍍とされているので、混色する際にはこのことを参考にし植え付けると良いでしょう。



❄栗関連ブログ
クリ市野々の栗 No,519
クリ(栗) No,164






2022/07/30

戦争とさつまいも No.580

 食糧難の戦時下

戦争で亡くなった者の多くは餓死や感染などである。


昭和20年、終戦を迎えても日本に帰ってこれない日本兵が多方面に多くいました。

終戦直前は全く食うものがなくなり、椰子(ヤシ)を倒しその梢の実を食べていました。

飲み水代わりは椰子の実の水でした。

赤道直下は一年を通してほとんどスコールがない。

ジャングルでの生活は、テレビで観るような太古の原始人の生活そのものであったと言う。


栄養不足によってマラリアになり、多くの兵士が亡くなった。

戦地の現状は、戦争をしている場合ではなかったのです。

インドネシア北マルク州、ハルマヘラ島のジャングルの中では、さつまいもを育てたと言う。




苗を植えてから1ヶ月程でごろごろと大きな芋ができたと言う。

しかし、この世にこんなにまずい芋があるのかと言う程の芋だっと言う。

同じ戦場でも海軍防備衛所隊の生活は、設営隊の作った床板張りの兵舎に住み、白米にさつまいもやタピオカを混ぜた飯を食べての生活で、これを見るとつくづく陸軍部隊の哀れさを感じたという話がある。

✪海軍防備衛所(隊)とは
大日本帝国海軍が、重要港湾、海峡などへの敵潜水艦侵入を阻止するために設置した陸上拠点のことである。

1943年(昭和18年)1月以降、原則3個の防備衛所を有する12隊の衛所隊が編成され、西はビルマから東はラバウル方面まで、各地に派遣されその後、1944年9月までにすべての隊が解隊された。

戦中、戦後と、どれだけの人々がさつまいもに救われた事だろう。

今でも栄養失調はマラリア等による死亡を増加させるが、マラリアが残るアフリカの一部の地域では、子どもの栄養不良の約3分の1がマラリアによって引き起こされています。


特に重症の貧血に陥ることが多く、その後の発育に大きな影響を及ぼしている。

昭和40年代でもさつまいもが主食だった我が家では、白米を満足に食べたという記憶がない。


学校給食ではなかったため、弁当箱にはさつまいもとサバが定番であった。

ウイナーなど色鮮やかな食材が普及し始めていた頃であった。


さつまいもを蒸した弁当を教室で食べる事が出来なかった。


その事に気がついた先生が、職員室で食べるようにと
声をかけてきた。

とても優しい先生、自分の弁当と交換してくれた。


止めどなく泣いた記憶が残っている。


小学校を卒業するまでは紛れもなくさつまいもが主食の家庭であった。

今から50年前の話である。