緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2022/08/19

世界最小の花 No,592

 ミジンコウキクサ 

サトイモ科(旧ウキクサ科)の多年生植物

陸上植物、コケ植物、シダ植物、種子植物の中で世界最小とされる。

そして、咲く花も世界最小の花であり、実も世界最小とされる。

本属は世界に約10種あり、その中でもミジンコウキクサは最も小型の種である。


葉と茎の区別が無い葉状体のみからなり、植物体には根が無い。

ウォーターミールとも呼ばれる。


      「画像:国立科学博物館」


ヨーロッパ南部が原産と言われていますが、世界各国に帰化しています。

日本には明治の頃に帰化したとされ、関東以西の本州、四国、九州、沖縄のため池や水田、溝などで見られる。

ため池や水路などの水面に密集して浮く、雄しべと雌しべだけの小さな浮き草です。

1つが微細のため「藻」のように見えてしまう。

花の大きさは0.1〜0.2㍉程度ということなので、肉眼では小さな穴が開いている?ように見える。

実際はそれもわからないかもです。

ミジンコウキクサが開花するのは極めて稀な現象とされる。

開花期は8月から9月

ミジンコウキクサは国立環境研究所の侵入植物データにも載っている事から、日本の環境に適応する能力があると言えます。


✪将来人類へ大きく貢献するかも知れないミジンコウキクサ

下水処理や農地からの流出で、除去しなければならないリン酸塩や窒素を吸収する点で優れており、環境浄化の目的で期待されている。


また、下水や家畜の排泄物を食べても毒素を残さないとされ、飼料や作物の肥料などの資源として利用することができます。

ミジンコウキクサはタンパク質を約44%と多く含むなど、食用としても期待できる。







2022/08/18

スターフルーツ No,591

 スターフルーツ カタバミ科ゴレンシ属

原産地は熱帯アジアとされていますが、マレー半島やジャワ島、インドなどではないかと言う説もあります。

古くから熱帯アジア地域やインド地方などに分布しています。

日本には18世紀末に渡来したとされ、沖縄、宮崎、鹿児島で栽培されています。

和名は「五歛子=ごれんし」

五歛子という名前の由来は、カットした断面が星形であることから、5つの尖ったところ(稜=りょう)があるため「五稜子=ごりょうし」と呼ばれ、転じて、五歛子となったとされる。

『歛』は、集まるという意味なので、5つが集まった果実を表します。

『稜』とは、かど、多面体の面と面の交わる所

◉スターフルーツの記載文献

オランダの旅行家とされるヤン•ホイフェン•ヴァン•リンスホーテン(1563〜1611)が16世紀末頃にまとめた『東方案内記』

中国最古の薬物書
後漢=ごかんから三国(魏=ぎ、呉=ご、蜀=しょく)の頃に成立した中国の本草書
(25年〜220年)

『新農本草経=しんのうほんぞうきょう』
365種類の植物、動物、鉱物が薬として集録されている。





果皮は最初薄い緑色ですが、熟すと黄色になり梅に似た香りがする。

星の形をした果物ということで、料理やデザートの彩りにも重宝され、ピクルスの材料としても利用されます。


✪スターフルーツはどんな味?

実際に食べたことがあるという人が意外と少ない南国フルーツ

緑色の状態では酸味が強く、東南アジアの国々では春巻きやスープなどに入れる、野菜のような使われ方をします。

リンゴのようなさっぱりした甘みと酸味を感じる果物で、硬めの大粒ブドウのようなシャリッとした食感のある印象がある。


スターフルーツは腸の働きを活発にし、コレステロール値を下げる効果があり、食物繊維と水分が豊富に含まれています。


むくみ改善に期待できるカリウムや糖質、脂肪をエネルギー化する際に体の酵素を活性化させるために必要な成分である、ナイアシンなども含まれています。

また、ダイエットに適した食べ物の1つとされます。


栽培方法

越冬には5〜6℃以上必要なので、一般的には鉢植えになります。

赤玉土6、腐葉土2、川砂2の混合土に植え、春から秋は戸外の直射日光によく当て、冬は室内の日当たりの良い場所へ置いて管理します。

越冬中の夜間は室内でも温度が急速に低下する事があるので、温度計を置いて温度に注意する必要があります。

肥料は5月から9月の生育期に2ヶ月に一回、玉肥を2〜3個ずつ置き肥します。

幼木の時は、5〜6号鉢で切り詰めせん定を主にして主幹形に仕立てます。

成木になったら4月に8〜10号鉢に植え替えます。

果実は充実した枝につくので不要枝や乱れ枝を間引き、伸びた枝は切り詰めて分枝させ、良い枝を育てるようにします。








2022/08/17

世界一大きい果物 No,590

 ジャックフルーツ クワ科パンノキ属

常緑高木

波羅蜜=パラミツとも呼ばれ、ジャックフルーツは英名

東南アジア、南アジア、アフリカ、ブラジルで栽培され、原産はインドからバングラデシュとされている。

大きな卵型で緑色や茶色の硬い皮で覆われ、約70cm以上重さ40kg以上にも大きく生長するため「世界最大の果実」とも呼ばれています。




最も太い果実部分の直径は20〜30cm以上にもなります。

ラグビーボールの両端が丸みを帯びたような形をしていて、表面に直径8㍉くらいの小さなツブツブがたくさんあります。

果実は枝ではなく、幹に直接ぶら下がるようにつきます。

同じクワ科のアコウも同じように幹部に実をつけますが実は小さい。


✪アコウ関連記事
奈良尾のアコウの樹 No,360


        「アコウの実」

このような実を『幹生果=かんせいか』といいます。

太平洋戦争の末期には、◉ビルマの密林の中で食糧難に瀕死していた多くの日本兵が、ジャックフルーツの実を食べて飢えをしのいだと言われています。

果肉だけでなく、果実の中にたくさんある大きな種子も煮て食べていたそうです。

      「ジャックフルーツの種子」

◉ビルマは現在のミャンマーの事で、太平洋戦争当時はイギリス領ビルマで、イギリスから独立した1948年から1989年までの国名はビルマ連邦で通称ビルマと称した。


✪ジャックフルーツの効能
ビタミンCが大量に含まれ、カロテノイドは炎症を抑え、Ⅱ型糖尿病や心臓病などのさまざまな慢性疾患のリスクを軽減する事がわかっています。

ドリアンとともに食べ過ぎに注意が必要な果物です。

特に空腹時では食べない方が良いと言われ、また蜂蜜と一緒に食べてはいけないとされています。







2022/08/16

ドラゴンフルーツ No,589

 ドラゴンフルーツ サボテン科

別名=ピタヤ、ピタハヤ、ピターヤ

メキシコ南部または、中南米エルサルバドル周辺の熱帯雨林原産

栽培地の中央アメリカ、南アメリカ北部では数属のサボテン類を総称して「ピタヤ」という。

これは、サボテン科ヒモサボテン属のサンカクサボテン等の果実を指します。

その中の果実で龍のウロコのような果皮をしているものを、ドラゴンフルーツと称します。


日本では2000年以降、奄美大島、宮崎、長崎、熊本、沖縄で栽培されています。

日本に輸入される際に『火龍果=ホーロンコウ』と書かれていたとされ、これは中国語で英語に訳されるときに、ドラゴンフルーツの名前になったとされています。


また、夜に大きな白い花を咲かせることから「ムーンフラワー」や「夜の女王」という別名を持っています。


ウロコ状の果皮に包まれた果肉には、白色や赤紫色のものがありますが、いずれもゴマのような種子が散らばっていて味わいはさっぱりとした甘さです。


品種は、赤い果肉に白色の果肉のホワイトピタヤ

赤い果肉に赤紫色の果肉のレッドピタヤ

黄色い果肉のイエローピタヤに分かれます。




赤い色素は「ベタシアニン」というポリフェノールの一種で、赤い色を表すケルト語のベタ(beta)が名前の語源です。

ビートの学名「ベタ•ブルガリス」から名付けられています。

また、オシロイバナ、ブーゲンビリア、マツバギクなどの赤い花の色素です。

学名「ベタ•ブルガリス」英名「ビート」
ビートは草本のニ年生植物、または稀に多年草植物で葉の多い茎をもつ。

ヒユ科の植物で今はBe toideae亜科に含まれる。

ドラゴンフルーツはサボテンですが、砂漠の植物ではありません。


✪ドラゴンフルーツの効能

ドラゴンフルーツはビタミンB1、B2、ビタミンC

ビタミンEに葉酸、ポリフェノールも含まれる。

中でも、豊富に含まれるカリウムには体内の余分な塩分(ナトリウム)を排出する働きがあります。


その作用はむくみ、高血圧の予防に繋がります。


健康や美容に良いとされる栄養素が多く含まれているため「ミラクルフルーツ」とも呼ばれています。







2022/08/14

太陽の卵 マンゴー No,588

 太陽の卵

マンゴーは「世界三大美果」の1つで『太陽の卵』と言われるウルシ科の植物

インド原産で菴羅(あんま)菴摩羅(あんまら)とも言う。

世界三大美果には他にチェリモヤ、マンゴスチンがある。


マンゴーの栽培は古く、紀元前のインドで始まっており、「聖なる果物、木」、「フルーツの王」とも称される。

品種は多いが、フィリピン産のカラバオ種とメキシコ産のアップルマンゴーが日本では主流です。


日本には明治時代に伝えられ、国内でも生産されています。


ウルシ科の植物であるため、果実を食べるとウルシと同様にかぶれてしまう人もいます。


生食用果物として栄養に優れ、果肉は多汁で甘味や風味に富み、東南アジアや熱帯アメリカで広く栽培されています。


特にカロテン、葉酸、高血圧予防に働くカリウムが多く含まれ、更にビタミンAやビタミンCなども豊富なので「天然ビタミンの宝庫」とも言われています。



収穫後、食べ頃になるまである程度の日数をおくと熟してきます。

追熟という過程で、果実の中のデンプンが果糖やブドウ糖、ショ糖に変わることで甘味が増してきます。


食物繊維であるペクチンが、不溶性の状態から水溶性のペクチンへと変化するため柔らかくなります。


花は前年枝につき独特の芳香があります。

生育適温は25℃から30℃とされ、15℃以下になると生育休止に入り、耐寒温度は8℃であるので一般には庭植えにできません。

◉チェリモヤ バンレイシ科

ミルク色をした柔らかな果肉を持ち、スペインでは森のアイスクリームやトロピカル•デライト=熱帯の栄光といわれる。

アメリカでは、カスタード•アップルと称されている。


ペルーでは✪有史以前から栽培され、インカの住民に親しまれてきた果物です。

✪有史以前とは、人類が文明を持って生活を始める前の時代の事で、原始時代、太古の昔などの表現もします。


チェリモヤは「冷たい乳房」と言う意味です。

追熟していない緑色で硬いチェリモヤは、甘さがなく美味しくありません。

硬いものは1つずつ紙に包んで、数日から1週間ほど室温に置いて追熟させます。

追熟温度は20〜25℃とされ、必ず常温で追熟させ、冷蔵庫はよくありません。


◉マンゴスチンはマレー語で、インドネシア語では「マンギス」タイ語では「マンクット」と称される。

東南アジアが主な産地とされ、原産はマレー半島周辺とされる。



樹高が20㍍近くになる常緑高木です。


リンネの『植物の種』として記載された植物の1つでもある。

✪リンネとは博物、植物学者のカーネル•フォン•リンネのこと
参考記事ブログNo,78
博物、植物学者カーネル•フォン•リンネ


白い上品な果肉を持ち「フルーツの女王様」と言われる。

マンゴスチンを日本で育てるにはとても難しく、ほとんど栽培に成功していない。






2022/08/11

世界最古の栽培果樹イチジク No,587

 世界最古の栽培された果樹はイチジク

2006年にイスラエルのヨルダン渓谷の遺跡(1万1000〜1万1400年前)からクワ科の植物の果実が発掘された。


     「ペトラ遺跡のイチジクの木」


クワ科の原産地はアラビア半島南部または、西南アジアとされ、イスラエルをはじめ地中海岸地方に広く栽培された。

クワ科の落葉樹、「無花果」と書くのは花が見当たらないまま果実ができたことに由来する。

無花果とはイチジクのことで、別名トウガキ(唐柿)ナンバンガキ(南蛮柿)ホウライガキ(蓬莱柿)ともいう。

日本には江戸時代に中国から渡来したとする説と、ポルトガルから長崎へ伝わったとする説がある。

長崎県五島列島にはクワ科の巨木が多く存在する。

栽培が普及したのは大正時代になってから、蓬莱柿の名で栽培され、現在もホウライガキの品種として残る。


発掘された果実をハーバード大学の研究チームが分析し、一万一千年以上も前に栽培されていたものであるとの結果を発表しました。

そのため、栽培果樹として世界最古のものであると言われています。

旧約聖書の✪創世記で、最初の人間とされるアダムと妻であるイブが裸の身体を隠したのは、この植物の葉っぱとされています。

✪創世記=神が最初の世界を作ること、世界の始まり

なぜこの植物が栽培されていたものだったと、どうして分かったかと言うと、それは発掘されたこの植物の果実が種子を作らない性質だったからです。


種子がないと自然に殖えることができません。

果実を食べるためには、その木を人間が挿し木などの方法で殖やさなければならず、そこで栽培されていたと考えざるを得ないことになります。

よってこの地で、イチジクが世界最古の栽培果樹とされたのです。


        「イチジクの果実」


クワ科の植物には約40属1000種以上あり、特に熱帯と亜熱帯に多く分布する。

日本で有名なクワ科植物は、沖縄のひんぷんガジュマル、五島列島奈良尾のアコウなどの巨樹が有名である。

ちなみに奈良尾のアコウは子どもの頃、樹下をくぐり抜けた事が何度かある場所であり、今ではパワースポットとしても知られている。


✪関連記事ブログ
イチジク No,77
奈良尾のアコウの樹 No,360
ひんぷんガジュマル No,565