緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2024/10/22

土壌中の生物④ No,734

 土壌生物の種類(4)

④原生動物(単細胞動物の総称)

体長20~200μm

土壌中の原生動物は、アメーバ、鞭毛虫、繊毛虫などからなり、多くは動物遺体や各種の微生物を食べて生きています。

✼鞭毛虫(べんもうちゅう)とは、原生動物の中で鞭毛で運動する生物を総称する呼び方です。

多くの細菌は、鞭毛と言う運動器官により液体内を泳ぐことができます。

✼繊毛虫(せんもうちゅう)は、原生動物のうち、運動のため細胞器官として繊毛を持つ仲間の総称。

原生動物の中では最も進化した一群で、淡水、海水に広く分布し、他の動物に寄生するものもある。


原生動物の存在により、土壌中の物質環境が促進されることが明らかにされているが、土壌中での働きには不明な点が多い。

微生物に加え、土壌中には藻類、土壌動物が生息しています。

土壌藻類の主なものは、緑藻、珪藻であり、光エネルギーと無機物だけで生育可能な生物です。

土壌動物にはミミズやダニ、トビムシなどが存在しています。

一般に多くの原生動物が細菌を捕食しますが、植物病原細菌のうち、クワ縮葉細菌病菌やアブラナ科野菜黒腐病菌などにおいて、それらを捕食する原生動物が知られています。


微生物は各種物質の分解や酸化、還元反応など土壌の化学性に関与し、土壌動物は主に土壌の物理性に関与しています。









2024/10/20

土壌中の生物③ No,733

 土壌生物の種類(3)

③糸状菌(カビ)

分糸状の菌糸(直径0.3~50μm)

糸状菌は真菌門のうち、栄養繁殖期に菌糸状をなす接合菌、子嚢菌、担子菌などの総称。真核生物

真菌門は、分子系統を考慮して分類された真菌の門の一つです。

真菌は酵母やキノコ、糸状菌(カビ)などの微生物を指し、6つの門に分類されています。

1'ツボカビ門
鞭毛を有する細胞を生やすことを特徴とする菌類

鞭毛(べんもう)とは、真核生物の細胞の中でも最も複雑で精巧に作られいる、運動性を持つ小器官(糸状の突起物)です。

2'接合菌門
菌界の中の分類群で、接合胞子嚢を形成するのを特徴としている。

3'担子菌門
有性生殖を行う際に、担子器と呼ばれる器官に4個の胞子が外生する特徴を持つ菌類のグループ。

傘を持つ多くのキノコもこのグループに属しています。

4'子嚢菌門(しのうきんもん)
菌界に属する分類群の一つであり、担子菌門と並ぶ高等菌類である。

胞子を袋(子のう)の中に作るのが特徴で、酵母、カビや一部のキノコ(トリュフ)などがある。


5'グロムス菌門
ほとんどが陸上植物に共生して、すべて生きた生物から栄養を得なければ生きられない絶対共生性生物です。


6'微胞子虫門(びほうしちゅうもん)
様々な動物の細胞内に寄生する単細胞真核生物の一群で、これまで1500種から1600種程度が知られています。

以前は「原虫」に分類されていたがDNA解析に基づき、真菌またはその近縁種である微生物とされました。


真菌は、動物の次に進化した高等な生物で、細菌やウイルスよりも人間に近い生物です。

真菌と人の細胞は、どちらも核や細胞小器官を持つ真核細胞で見た目が似ています。


肥沃な表土では、菌糸長が土壌1㌘当たり数100mにも達します。

細菌に比べて一般に耐酸性が強く、酸性土壌中での有機物分解において、重要な働きをになっています。

土壌中における「リグニン」の分解は主に糸状菌によって行われています。

森林土壌表面に厚く堆積した「リター層」の分解は主に、糸状菌によって行われています。

リグニンは主要な樹木細胞壁成分の一つで、木質素とも呼ばれます。

リグニンやセルロース(炭水化物)が腐朽菌との戦いに敗れると樹木は枯死してしまう。

腐朽菌はキノコのナラタケなどのキノコ菌

リター層とは、森林において地表に落ちた葉や枝、果実、樹皮、倒木などの落葉落枝類や動物の糞などの、微細な有機物粒子(デトリタス)が堆積した層を指します。









2024/10/18

土壌中の生物② No,732

土壌生物の種類(2)

②放線菌

(菌糸状の形態をとる細菌の総称)

菌糸の幅1μm(1㍉の1000分の1)
μm=マイクロメートル

曲型的な放線菌は気菌糸を形成する。
気菌糸は放線菌が誘導する菌糸です。

放線菌は一般に、グラム陽性の細菌のうち、細胞が菌糸を形成して細長く増殖します。

主に土中などに生息し、抗生物質をはじめ生活に必要な多くの薬を生産してくれる、とても有用な細菌です。

しかし中には、皮膚や身体の中に住み着いて病気を引き起こす仲間もいます。

多様な有機物を栄養源にして生育し、難分解性の高分子多糖(キチン)を分解する微生物を含む。


キチン物質は、植物病原菌の多くを占める糸状菌の細胞壁構成成分であり、キチン分解放線菌を利用して、植物病原性糸状菌のコントロールが図られています。

また、各種抗生物質を生産する能力があり、土壌伝染性病原菌の抑制に役立っているものと考えられています。









2024/10/17

土壌中の生物① No,731

 土壌生物の種類(1)

土壌中の微生物は細菌、放線菌、糸状菌、原生動物の4種類に大別されます。

①細菌

単細胞(0.4~2.0μm=マイクロメートル)
あるいは細胞の連鎖状

細菌は単細胞で、硬い細胞壁を有する原核生物であり、二分裂で増殖する。

細菌とウイルスの大きな違いは増殖の仕方です。

細菌は二分裂で増える病原性を示す細菌で、早いもので数十分、遅いものでは何時間もかかって一つの細菌が2つに増えます。

通常の土壌細菌は球状、桿状、らせん状を成しています。

桿状(かんじょう)とは、細胞や細菌のような形をしているさまを示す表現です。

細菌は、ペプチドグリカンとテイコ酸を主要な細胞壁成分とするか、少量のペプチドグリカンとリボ多糖、リボタンパクを細胞壁成分とするかによって、グラム陽性細菌とグラム陰性細菌に大別されます。

ペプチドグリカンとは、原核生物の細胞壁を構成する成分で、糖ペプチドからなる高分子の化合物の一種です。


原核生物は、核や他の膜結合細胞小器官を持たない単細胞生物です。

細菌は、動物でも植物でも菌類でもない生物たちの総称です。

テイコ酸とは

タイコ酸とも言われ、グリセロールリン酸または、リビトールリン酸とホスホジエステル結合を介して結合した、炭水化物との細菌を培養して生産される細菌共重合体です。

リポ多糖とは

糖と脂質が結合した構造をしている、水と油の両方に溶けるマヨネーズなどの両親媒性(分子)の物質です。

グラム陰性菌の細胞壁を構成する糖脂質の成分で、内毒素(エンドトキシン)とも呼ばれます。


グラム陽性細菌とは

グラム染色と呼ばれる化学的処理の適用後に、細菌が何色に染色されるかに基づくもので、紺青色あるいは紫色に染色される細菌の総称です。

グラム染色とは

細菌を青色と赤色に染め分ける染色方法で、細菌の同定や感染症の起因菌の推定などに使用されます。

主として細菌類を色素によって染色する方法の一つで、細菌を分類する基準の一つ。

グラム染色は、デンマークの学者のハンス·グラムが1884年に考案しました。

紫色に染まるのをグラム陽性菌とし、染まらないものをグラム陰性菌と分類します。


グラム陰性細菌とは

グラム染色により、赤色あるいは桃色に染色される細菌の総称で、グラム陰性細菌の中には有用な菌も病原性の菌も含まれます。


肥沃な表土には、土壌1㌘当たり数10億の細菌が生息する。

肥沃(ひよく)とは、土地が肥えて作物が良くできること、またその様子のことで、肥饒(ひじょう)とも言う。


細菌は、動植物の遺体や腐植物質など、有機物の分解を行うとともに、窒素固定や脱窒作用など農業上重要な作用を営むグループを含む。

脱窒(だっちつ)は、細菌などのバクテリアの働きによって行われる他、農業環境や下水処理において行われる。

農業環境では、茶畑や畜産などから排出される硝酸性窒素を含んだ水が、水田や沼、沢地などを通過する際に脱窒され、窒素濃度が低下します。

下水処理では、下水中のアンモニアが硝酸に変化した後に、脱窒によって硝酸が窒素ガスに変化し、大気中に放出されていきます。

自然界では森林土壌、河川の低泥(ていどろ=ヘドロ)や付着物層、湖の底層水や低泥、ヨシ群生地帯などで脱窒が起こりやすい。


藍藻(らんそう)類も細菌の一種であり、光合成能力とともに窒素固定能力を有し、水田土壌の肥沃度増進に役立っています。

更に細菌は、窒素、イオウ、鉄、マンガンなど無機元素の酸化、還元反応に関与し、土壌の物質循環の重要な担い手となっています。


微生物は一般に様々な極限環境下に生育できるが、特に細菌はその能力に優れ、あら
ゆる土壌中でも広く活動しています。

水田に水を張っている湛水(たんすい)期の水田土壌など、酸素を含まない(嫌気=けんき状態)では、細菌が主な物質環境の担い手となっています。


細菌と複合病

線虫と病原微生物との相互関係により、個別的な感染よりも被害の増大や、抑制が認められる線虫関連病害を複合病という。


細菌との混合感染による被害は、ネコブセンチュウが関与している場合が多く、ナス科の青枯病は、サツマイモネコブセンチュウやキタネコブセンチュウと混合感染して被害が大きくなる。

桃の根頭がんしゅ病は、シャワネコブセンチュウと混合感染して被害が大きくなる。

トマトのかいよう病は、サツマイモネコブセンチュウと混合感染して被害が大きくなる。


センチュウ防除

播種、定植前にネマトリンエース粒剤
ラグビーMC粒剤、ネマキック粒剤などを散布する。

米ぬかを土に混ぜる。

同じ科の野菜を近くに植えない。

他の場所で使った土や、消毒していない道具を持ち込み使用しない。

対抗植物を植える

マメ科のクロタラリアやコブトリソウ
イネ科のギニアグラスやソルゴー
キク科のマリーゴールドを植える。










2024/10/15

アサイー No,730

 アサイー ヤシ科

アサイーはブラジルのアマゾンが原産のヤシ科植物

アサイーベリーなどと表記されることもあるが、植物学的にはブルーベリーや、その他のベリーとは近縁ではありません。


アマゾン地帯の河岸や河岸の平野部、水べりに生育している。

アサイーはアマゾンの先住民の間で、15世紀の大航海時代以前から食べられていて、「アマゾンの宝石」とも呼ばれています。

和名はニボンモドキ、ワカバキャベツヤシ

大きく生長すると25㍍もの高さになり、2㍍ほどの大きな葉を生やし、ほうき状の房にブルーベリーよりひと回り大きい黒紫色の実をつけます。


     「アサイーの果実」


ポリフェノールが豊富に含まれ、更に鉄分も豊富であるため、貧血予防にも効果的とされます。

ビタミンEや食物繊維、カルシウム、マグネシウムなど栄養素も含まれています。

栄養価が高いブラジルのスーパーフルーツ


特に抗酸化作用が高く、アンチエイジングや花粉症予防、メタボ予防に効果が期待できるとされています。


植え付け

アサイーは寒さに弱いので、3月頃から10月までに植え付けます。


植え付けてから4年ほどで安定的に実をつけますが、果実の約95%が硬い種で食べられる果肉はわずか5%程しかありません。

収穫時期は8月末頃から12月


甘味、酸味もあまり強くなく、ポリフェノール特有のわずかな渋みと風味がする。

アサイボールとして楽しむのが一般的です。

アサイボールとは、アサイーと言う果実と豆乳で作ったスムージーに、グラノーラやフルーツなどをトッピングするブラジルのスイーツです。


ブラジル(リオデジャネイロ)発祥のアサイボールは、ハワイのカフェやレストランで提供されるようになった、特にセレブたちがこぞって食べ始めたことで人気となった事をきっかけに、世界的に注目されたと言われています。


更にその知名度を上げ、日本でもハワイアンレストランを中心に広まりました。










2024/10/12

クラッスラ·ポルツラケア No,729

 クラッスラ·ポルツラケア

ベンケイソウ科

クラッスラ·ポルツラケアは通常、「金のなる木」と言われている正式名であり、園芸名では「カゲツ」とも呼ばれます。

和名は、「フチベニベンケイ」であるがあまり使われない名である。

また、英語では「マネーツリー·ダラープラント」などといい、葉が硬貨に似ていることが名前の由来とされている。


縁起物でもあり、丸い葉を持つことから金運効果が期待できる植物とも言われています。


    「せん定した枝挿し」


リビングや寝室、玄関などに置き、財運を司る方位の西、金の気を持つ北西などに飾ると良いとされています。

金のなる木に花が咲くと不吉になるという言い伝えがあります。

これは、花を咲かせたまま放置すると、やがて種をつけて元の株は枯れてしまうためで、枯れることを連想させるために不吉と言われるようになりました。


葉がポトポト落ちる

根腐れや根詰まりが原因で葉が落ちる場合は、なるべく早めに植え替えを行います。

根腐れしていると葉がブニョブニョしてきます。

根詰まりしていると、水やりの際の吸い込み(水はけ)が悪い状態になります。

植え替えを行う時は、できるだけ古い土を落として腐った根は取り除くことです。


水やり

冬の間は休眠期に入るので、ほとんど水やりを必要としません。

気温が15度以下になったら徐々に水やりの回数を減らしていき、気温10度以下では完全に水を与えない方が、耐寒性はむしろ上がって丈夫に育ちます。


春が近くなって暖かくなり始める頃に、だんだん水やりの回数を増やしていきます。


伸びすぎた株、せん定

大きくなり過ぎた株は、4月〜10月に好みの位置で切り戻します。

切り取った枝は、風通しの良い日陰で切り口を乾燥させて、挿し穂として使うことができます。


3月、6月、9月〜10月は軽めのせん定なら大丈夫ですが、生育が活発な4月〜5月、7月〜8月は、樹液が流れ出て木がダメージを受けてしまうので、せん定そのものを避ける必要があります。


枝を短く切っても、新たな芽を伸ばして成長を続けることができます。


                          「A」


                                 「B」

「A.B」
せん定後、新しく伸びてきた新芽(葉)


株を増やす目的で挿し木を行うときにも、せん定は必要な作業です。

また、せん定する際には、幹から伸びた細い枝を2〜3本残しておくようにします。


せん定する位置は気にせずバッサリ切ることができますが、1回に切ってよいのは草丈の三分の一程度です。


置く場所

4月〜11月までは、屋外の風通しが良く明るい軒下に置きます。

梅雨から夏は直射日光が当たると葉焼けを起こし、葉が枯れて(黒く縮れて乾燥)落下するので注意が必要です。


11月以降は、日当たりの良い室内に移動し、5℃以上に保てる場所に置きます。

室内よりも屋外の方が元気に育ちますが、梅雨や秋の長雨に当たらない場所が適しています。

また、水はけの良い土に植え替えると元気に育ちます。


肥料

春から夏の生育期には固形肥料を株元に置くか、液体肥料(ハイポネックス1000倍液)を月に2回程度水やり代わりに与えます。

固形肥料は室内に移動する時には取り除くと良い

冬は休眠期となるため、一般的に植物に肥料は与えません。

しかし、室内の暖かい場所で育てている観葉植物の場合は、濃度を薄めた液肥を2週間に1回程度与えます。

与え過ぎは禁物で、また植え替え直後の追肥は2週間程避けるようにします。


また、すべての観葉植物が肥料を必要とするわけではありません。

基本的に冬の休眠期に肥料を与えると、肥料焼けを起こして枯れてしまうので注意が必要です。