緑のお医者の徒然植物記

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2020/04/07

花のない植物 コケ 胞子隠花植物 No.187

シダ、コケ、藻類、菌類

胞子隠花植物(ほうしいんかしょくぶつ)

◉シダ、コケ、藻類、菌類などは胞子隠花植物と言って胞子で繁殖します。

※胞子とは、菌類や植物が無性生殖(むせいせいしょく)をするときにつくる生殖細胞のこと。



◆隠花植物とは

植物界を花の有無で2つに分けた時に、花のある植物を顕花(けんか)植物と言います。

これに対して、花を持たない植物のことを隠花植物と言います。

これは高等植物以外の植物を一括して指すのに用いられます。

★シダ植物の胞子は発芽するとまず前葉体·ぜんようたい(配偶体)をつくる。

これは生殖器官を持っていて、卵と精子をつくりこれが受精してシダの体が芽生えます。

※配偶体とは、シダ植物やコケ植物などの多くの植物は、有性生殖を行う世代と無性生殖を行う世代とが交代します。

有性生殖を行う世代は、配偶子を作るので配偶体と言います。

無性生殖を行う世代は、胞子を作るので胞子体と言います。

コケ植物では、胞子が発芽して原糸体と言うものになります。

原糸体(げんしたい)とは、胞子が発芽して糸状になった状態のことで糸状体(しじょうたい)とも呼ばれます。

これから更に生殖器官を持った、雌性(しせい)と雄性(ゆうせい)のコケの体が発芽します。



◉コケの栄養源

コケは同じ隠花植物であるシダと比べても、体のつくりが簡単にできています。

普通の植物が栄養の多くを吸収する根を持っていますが、コケは持っていません。

仮根と呼ばれる細長い細胞からできたものがあります。

しかし仮根は体を支える程度の役目しかありません。

コケはたくさんの葉緑体で朝夕のわずかな光や空気中の湿度、炭酸ガスで養分をつくって(光合成)育ちます。

仮根からはほとんど水分も栄養も吸収しないでコケは育つことができます。

このため少量の油粕でさえも、腐ったり蒸れたりすることで害する方が大きく、コケのための肥料は利がないと言えるでしょう。

◆肥料のかわりの栄養剤

肥料に含まれるチッソ、リン酸、カリ、マグネシウムなどを吸収できないものの、微量でも徐々に長期間溶出するミネラル(リン、カルシウム、マグネシウムなど)は、コケの生育に良いと言われ、葉の色が良くなるようです。

※ミネラル(灰分)を多く含有する炭が最適。

ただし、粗悪な炭には、植物の生育を害する炭化水素類の残留があるので、備長炭は灰分(ミネラル)が多く、揮発分がとても少ない灰で、植物の根腐れ防止、発根を促進し、コケの生育にも期待できる炭です。

アサヒビールが販売している培地資材(オーキッドベース)は備長炭と同等の含有ミネラルがきわめて豊富です。

コケ園芸でのミネラルを含んだ培地資材としては、オーキッドベースと備長炭がお勧めです。

★生育不良のコケに効果が期待できるもの。

木酢液、竹酢液、HB-101、オーキッドベース

苔玉に混合するには、つぶ備長炭や中粒のオーキッドベースが使いやすいでしょう。

どちらも重く水に沈むので苔玉の下の飾り砂として使っても生育に効果が期待できるでしょう。





◉参考ブログ
※木酢液について No.37
※苔玉盆栽 No.52
※コケ(苔)の話 No.81
※コケの胞子 No.90
※小さな盆栽、苔玉を暮らしの中に No.97
※苔玉、鉢植えのコケ管理 No.165