緑のお医者の徒然植物記

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2020/04/20

バラ🌹(薔薇)  No.191

バラ科に属する植物

◉植物の進化の程度で見ると、バラ科は双子葉植物(最初に発芽する子葉が2枚の種子植物)の中では、中間的な位置を占めます。

※双子植物で最も原始的な科は、モクレン科で、最も進化した科はキク科です。

★バラ科

①イチゴ ②リンゴ ③モモ ④ナシ ⑤ウメ ⑥キイチゴ ⑦ラズベリーなどの果実を食用とする植物がたくさんあります。

◆花を楽しむもの

①ボケ ②ヤマブキ ③サクラ ④ウメ ⑤モモ ⑥ユキヤナギ ⑦コデマリ


バラ科が他の科と大きく異なるのは、花床=かしょう(花托=かたく=とも言う。

花柄=かへい=の末端にある、花弁やガクなどの付着する部分)が肥大し筒状または杯状になりその上部の縁(ふち)に花弁とガクとが同心円状に付着していることである。

この花床の肥大のしかたは、バラ科の中でも植物の種類により異なります。

※萼=ガク=花びらを支えるひらたいもの、多くは緑色


「バラの花の構造、縦断面図」
✻雌しべ:柱頭、子房の各部分からなります。

✻雄しべ:やく(葯)花糸からなります。


◉バラはバラ亜科に属する
バラ科は主に①シモツケ亜科 ②バラ亜科 ③サクラ亜科 ④ナシ亜科からなります。

バラ亜科には、オランダイチゴ属(いわゆるイチゴの事)ヤマブキ属、キイチゴ属、ワレモコウなどがありバラ科の中では、最も大きな亜科で、約75属=1200種が含められています。

※バラ亜科の特徴
雌しべが2本またはそれ以上あり、それぞれの中には一個ずつ胚珠=はいしゅ(将来、種子になる器官)があることです。

また、多くのもので、ガク片が脱落しないことがあげられます。

◉バラ属に含まれる4亜属
バラ属はアルフレッド.レーダーの論文(1940年)の分類をもとに
①フルテミア亜属 (葉が単葉となる)

②ロサ(バラ)亜属 (さらに10節に分けられています)

③プラティロードン(サンショウバラ)亜属 (ガク筒がカップ状になる)

④ヘスペロードス亜属 (ガク筒がカップ状になる)

※属内の分け方
①小葉(しょうよう)の数 
②ガク筒の形 
③托葉(たくよう)の葉柄(ようへい)のつき方 
④花柱=かちゅう=(雌しべの一部)のガク筒からの突出度などの特徴の違いによります。

◆バラ属の4亜属に含まれる野生種の分布図

✫バラ属の4亜属に含まれる野生種の分布図

原図作成:ツェリンスキ(Zielinski)、1985年


◆葉が単葉となるフルテミア亜属(葉が単葉で托葉がない)

バラ属は、葉が単葉か複葉(葉身が2枚以上の小葉に分かれる)かで大きく分けられる。

園芸的に改良された品種がすべて複葉なのは、バラの品種改良に用いられてきた、野生種がすべて複葉型の種であったからです。


バラの葉(複葉、5枚葉)
✻バラの葉は複葉単位で数えるので、小葉が5枚ついていても、葉としては1枚になります。

                             
単葉の野生種は、ロサ·ペルシカ1種のみで、フルテミア亜属に属します。

本種が品種改良に用いられたのは最近のことで、その後代はロサ·ペルシカの形質を引き継いでいます。

引き継がれている形質は、花の芯のところにブロッチ(目)が入ることで、単葉の形質は交雑後代には引き継がれていません。

◆ロサ·ペルシカについての参考ブログ
バラの原種のお話(1) No.82

◉ガク筒がカップ状になるプラティロードン亜属、ヘスペロードス亜属

複葉型の野生種はガク筒がつぼ状となるか、カップ状になるかで分けられます。

※ほとんどの野生種でガク筒は、つぼ状になりますが、プラティロードン亜属とヘスペロードス亜属はガク筒がカップ状となります。

※プラティロードン亜属に属する野生種には3種あり、この亜属の種はバラ属中で唯一、樹木(高木)状になることが特徴です。
(茎が大きくなり主幹を形成する)

代表的な種はサンショウバラ(ロサ·ヒルツラ)

※ヘスペロードス亜属もたいへん特殊な種類で、北アメリカの乾燥地にのみ自生する。

この種は、ロサ·ステラータとロサ·ミニュティフォリアの2種からなります。

◉托葉が葉柄に沿ってつくロサ亜属

バラ属のほとんどの野生種が含まれるロサ亜属は、托葉が葉柄に沿ってつくか、離れてつくかで大きく分けられます。

※ロサ亜属で、托葉が葉柄に沿ってつく野生種は7節があります。

この7節は雌しべの柱頭を支えている花柱が、ガク筒から飛び出るか(抽出)、出ないかで分けられます。

花柱が、ガク筒から抽出する野生種には、シンスタイル(ノイバラ)節、インディカ節があります。

※シンスタイル節には(ノイバラ)ロサ·ムルティフロラ

※テリハノイバラ(ロサ·ルキアエ)ロサ·モスカータなどが含まれ、インディカ節にはロサ·キネンシスとロサ·ギガンティアが含まれます。

◆残りの5節は、花柱がガク筒の開口部をふさぎ、抽出しない野生種からなります。
①ピンピネリフォリア節 
②ガリカ節 
③カニナ節 
④カロリーナ節 
⑤ロサ節
花のつき方、小葉数、刺(トゲ)の形などの違いにより分けられています。

◉托葉が葉柄に離れてつくロサ亜属

托葉が葉柄から離れてつく野生種には、モッコウバラ、ナニワイバラ、カカヤンバラの3節があります。

※モッコウバラは他の野生種にない特徴的な花序(かじょ)となる。

※ナニワイバラでは、小花柄とガク筒に刺毛(しもう)が密生します。


◆バラの花序(かじょ)

✻花茎に花がどのようについているか、つく順番や位置などを花序といいます。

科を判定する1つの大きな「形態的特徴」にもなります。

★バラ関連ブログ
※ローズガーデン No.57
※バラの原種のお話 No.82~No.89

※グラハム·トーマスと言う薔薇 No.91

※鉢植えのバラの花が咲かない No.213

※バラの花に秘められたもの No.223