緑のお医者の徒然植物記

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2020/04/02

桜の病気 バラ科 No.185

桜の病気

サクラの根は浅く広く張る(残根性·ざっこんせい)ため、人や車による踏圧(とうあつ)で根詰まりをおこしやすい。

日照量の不足や病害虫など、複数の原因がありますが、特に根詰まりする事で花つきが悪くなります。

対処法として、まず根元の土を丁寧に掘り起こして、堆肥をすき込み土壌を改良します。

そして根が踏まれないように囲いを作ります。

◉成木になってからの植え付けは困難です。
3月に移植は可能  1月~2月に植え替え、植え付け


サクラの病気

◉天狗巣病(てんぐすびょう)
薬剤散布よりも、異常な枝を切り取ってしまい、切り口にはユゴウ剤などを塗布して切り口を保護します。

切り口は、雨水がたまらないように垂直にする。

病気の発生する時期は5月から12月

天狗巣病には原因不明の感染しない種類もありますが、ほとんどがカビを病原として感染します。

病菌は患部の枝の中で冬を越し、花が咲いた後に葉の裏側に胞子をつけ、空気に運ばれて感染します。

病気にかかった枝は年々大きくなり、花芽を形成しません。
葉も小さくなります。

病気にかかった枝は次第に弱り、枯れたり、折れたりします。
被害の激しい樹木では樹勢が著しく衰えてしまいます。


                             「天狗巣病」


★天狗巣病は病菌にいろいろな種類があり、防除の方法も異なりますがどの種類も薬での治療は困難です。

しかしこの菌は感染力が弱いので、病気にかかった枝を切り取って焼却処分することでほとんど治すことができます。


また、1月から2月頃にダイセンや銅水和剤(ボルドー)、石灰硫黄合剤などを散布

3月上旬頃、石灰硫黄合剤の10倍液を木全体に散布することにより、越冬菌の駆除が望めます。

✿タフリナ病

タフリナ属の菌は高等植物の寄生菌で、寄生した植物の枝や葉に、天狗巣病など様々な症状を起こす原因となる。

天狗巣病はカビの一種のタフリナ菌が原因で起こる伝染病です。

ソメイヨシノはこの病気にとても罹りやすく、発病した枝を放置しておくと花が咲かなくなり、やがて樹全体に広がり枯れてしまいます。

多くのソメイヨシノはこの病気によって寿命が短いという原因になっている。


◆サクラコウヤク病
枝、幹に発生し、黒褐色から灰色の膏薬状のカビがびっしり生えます。

特に幹と枝の別れるところによく生えます。

病菌とカイガラムシが共存し、病菌はカイガラムシの排泄物を栄養として繁殖します。
同時に菌糸でカイガラムシを覆います。 

膏薬状のカビは古くなると剥がれ落ちます。

発生時期は4月から10月に多発し、一年を通して発生します。


                          「コウヤク病」


コウヤク病そのものは、石灰硫黄合剤を塗りつけて治療します。

カイガラムシを駆除することが重要です。
1月から2月に石灰硫黄合剤やマシン油乳剤(商品名.機械油乳剤)を月に2回から3回、枝や幹を中心に散布します。

カイガラムシの発生時期てある5月からは、スミチオンやオルトランなどを月に2回から3回、枝や幹を中心に散布します。

散布する液の倍率は1000倍液とする。

日当たりや風通しが悪いと発生しやすくなるので、剪定などをして枝の量を調節し、日当たりや風通しをよくする事が予防になります。

枝の切り口にには塗布剤を忘れずに塗りましょう。


                                        「吉野桜」


◉胴枯れ病
樹木の幹や枝梢の樹皮を侵す病気です。
病原体はカビです。

病菌は害虫による傷口、剪定などの切り口、寒害や日焼けによる裂け目などから入り込みます。

年間を通して発生しますが特に夏に多く発生(6月から10月)

樹が若いうちは病気は少なく、樹齢が進んだ樹木ほど病気にかかりやすくなる。

胴枯れ病に対しての、薬剤を使った直接的な治療法は見つかっていない。

病斑部をできるだけ深く削り取り、幹に傷をつける樹幹害虫を見つけたら、すぐに駆除する。

昆虫や小鳥などにも注意する。
また、剪定のし過ぎなどによって幹を傷つけないように注意。

傷口にはトップジンMや石灰硫黄合剤を塗る。

乾いたら、墨汁やツナギロウなどを塗って予防する。

寒害や日焼けの幹の傷などに注意して傷口を手入れする。

繁殖器官で作られた胞子が、風や雨、虫の体などに付着して運ばれて感染する。

樹木の手入れに使うノコギリの歯から感染することもある。

◉根頭がんしゅ病
根に発生し、苗木や若い樹の根や根冠に小さなコブが無数に発生する。

コブは次第に大きくなり、根冠や太い根の側面では半球形、細い根では球形のがんしゅになります。


                   「根頭がんしゅ病」


コブは暗黒色で、樹はコブを作るのに栄養を取られ、またコブによって樹液の流れが妨げられるので、被害が大きい樹木は次第に樹勢が衰えてしまう。最悪枯死する。

病気にかかった株は引き抜いて焼却処分する。

植え替えるときは、コブを削り取り、そのあとにアグリマイシン、アグレプト、ヒトマイシンなどを塗ると多少の効果は望めます。

有機質を主体にした肥料を与えて、樹木を丈夫に育てるようにする。

土を入れ替えるか、NCS剤で土壌消毒
植物を植える前に、バクテローズに浸してから植えると効果がある。

この病気の病原体は、挿し木や接ぎ木などの切り口から侵入します。


★土壌消毒剤(主な商品名)

普通毒物=※アースサイド 普通毒物=※タチガレン
劇物=※ドジョウピクリン 劇物=※ガスタード

◉コブ病
6月から8月、日当たりの悪いところに多く発生する。

枝に発生し、はじめは若い枝に小さなふくらみを生じ、枝が大きくなるにつれてコブも大きくなります。

コブは縦方向の亀裂を生じ樹脂を出します。

コブから先の枝は枯れて死んでしまいます。

また、栄養が行き渡らないので非常に弱くなり、風などで折れてしまいます。

被害の大きい樹木は、樹勢が衰え、樹木自体が枯れてしまう事もあります。

病菌の刺激により、細胞が異常に増殖するためコブができる。

この病気は、薬剤による防除は余り効きません。

コブの部分を削り取るだけでは再び発病する事が多いので
できるだけコブのできた枝は切り取って焼却処分する。

切り取ったあとはトップジンM、石灰硫黄合剤などを塗り乾いたあとで、墨汁などを塗り予防する。

日当たりをなるべくよくするため、剪定などをする。

できるだけコブのできた枝は取り除くこと。


◆ナラタケ病 カワラタケ病

(材質腐朽病害、樹幹腐朽(ふきゅう)
ナラタケ(食用になるキノコ)に侵される病気樹勢が弱まり葉は変形変色し、樹木全体の成育が悪くなる。

発生は一年を通して起こります。

病原体はカビの一種であるナラタケ菌病菌は地際部や根から侵入し根全体を腐らせます。

特徴的なのは、根元にナラタケが群生することです。


                             「ナラタケ病」

この病気は、病気であることがわかってからでは、治療は困難です。

病気が発生してからの薬剤などの治療は困難ですので枯れてしまった株は、できるだけ細かい根まで切り取って焼却処分しましょう。

◆回復が望める樹木の場合
病気にかかった土壌は消毒して予防し、十分に肥料を与えて樹勢を強く保つようにする。

樹勢が弱まったらベンレートやトップジンMを根元に散布するのも効果的です。

◉紫紋羽病(むらさきもんぱびょう)
葉の色や大きさに異常がみられ、枝の成育も悪くなる。

発生時期は4月から10月で、春と秋に症状が酷くなります。

病原体はカビです。

病原体は地際部の付近の土の上や地表に近い土の中に、菌核(菌糸のかたまり)を作り地際付近の茎に付着して発病する!

やがて樹皮の表面に紫褐色の菌の束を張り巡らします。

この病菌は色々な植物に寄生する事が出来るので、異種の植物の相互感染をよく起こします。

通気性と保水性に優れた肥沃な土地によく繁殖します。


病気の株は引き抜いて焼却処分にしましょう。

病気が発生したら土を入れ替え、土壌消毒しましょう。

株を植え替える前に、コブトール、コブナックスなどを土に混ぜておくと効果的です。

尚、被害の出た土壌にイネ科の植物を何年か栽培すると病菌は自然消滅します。