緑のお医者の徒然植物記

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2020/04/28

土壌改良で病害虫を防除 No.198

土壌改良で植物に体力を

薬剤散布は症状に対する対症療法であり、病気を根本的に取り除く療法にはなりません。

それは、肝心の植物そのものの体力が弱っているからです。

人間が栄養不足で体力が落ちると風邪をひいたり、病気にかかりやすくなるのと同じなんです。

植物の体力が弱ると言うことは、その栄養源である土が悪いとと言うことなのです。

病気を寄せ付けない強い体力をつけるには、土壌改良が不可欠なのです。

そのためには有機肥料による改良が有効です。

腐葉土、完熟堆肥、油粕、骨粉、鶏ふんなどの熟成された有機質の肥料を十分にすき込むことです。

よい土とは、微生物が多く生息できる土で、微生物が増えると植物にとって有用な菌も増え、活発になり、逆に病気をもたらす悪い菌の勢力は弱まります。

更に、有用な菌類の働きによって、植物にとって欠かすことのできない微量要素もできてきます。

これが庭作りは土作りと言われる理由です。

また、生け垣など通行が多い場所に植えられた植物は、踏圧により土が固くなり排水不良を起こしている可能性があります。

株回りの土の排水がよいかどうかも確認する必要があります。

土が固いと根が伸びず、栄養を吸収できません。

そのような場合は、有機質の肥料とともにバーミキュライトやパーライトなどを混入し、排水をよくします。


◉植物の気持ちになった管理を

一般に、常緑樹は春先は芽吹きがよく、3月に入れば強剪定しても大丈夫と言うような事が、言われるようですが、切ると言うことは、光合成ができなくなるので栄養源を減らされ、体力が落ちることに繋がります。

人間の都合で剪定作業は欠かせませんが、植物にとっては決して望ましいことではないのです。

同じように、病害虫にはすぐ薬剤散布と言う考え方も改めたいものです。

薬剤は病菌だけでなく、有用な菌類も一緒に殺してしまいます。

人間の病気治療で強い抗生物質などを使うと、副作用が起きるのと同じように、植物も薬剤散布することで様々な弊害が出る危険があるのです。

やむを得ず薬剤散布を行う場合は、毒性の強さや性質など、使うとどんな影響が考えられるかを、よく調べてから使うようにしたいものです。

ペットなどにも注意が必要です。

植物の立場になって、人間より寿命の長い植物は、長い期間で考え、判断することが大切ではないだろうか。