チャノキ ツバキ科 常緑広葉中低木
原産地=中国南西部
平安時代末期、宋、(そう、宗)の国「現、河南省」に渡っていた、日本臨済宗の開祖で千光国師とも言われる、栄西禅師が帰国の際にチャノキの種を持ち帰り、蒔いたのが日本伝来の最初と言われている。
栄西(えいさい)は「茶は養生の仙薬なり」の一説で始まる「喫茶養生記」を承元5年(1211)に著した。
この書物は上下二巻からなり、茶の薬効、栽培敵地、製法まで細かく記されています。
お茶の効能について記した最古の記述は、鎌倉時代の記録書として有名な「吾妻鏡」である。
栄西禅師は緑茶の効用を説くなど広く茶の普及に尽力しました。
その後、栽培されたチャノキが野生化し、関東以南の日本各地に分布するようになりました。
一部にチャノキは日本の九州地方が、原産であると言う説がありますが、「茶」と言う呼び方は中国の「チャー」に由来しており、日本独自の名前と思われるものが存在しないことから、中国原産説が有力です。
ツバキ属の仲間で、ツバキの花に似た5弁の白色花を葉腋に沿って10月から11月に咲かせます。
ツバキの花には花柄がなく、チャノキの花には花柄が有るので見分けがつきます。
茶の材料となる若葉同様、花も芳香を持っています。
扁円形をした直径2㎝程の果実は、翌年の秋に熟し表皮が裂けて、中から三角形の3つの種子(そう果)が顔を覗かせます。
葉は肉厚で光沢があり、先端が尖って細かな鋸葉があります。
カテキンなどの成分を含む緑茶は、健康食品として注目されていますが、元来疲労回復や利尿、健胃薬として用いられていました。
尚、緑茶、紅茶、烏龍茶はいずれも同じチャノキの葉を原料としています。
摘んだ葉をそのまま蒸し、緑を残したものが緑茶、半発酵させたものが烏龍茶、健全に発酵させたものが紅茶です。
緑茶、烏龍茶は中国産の小型種、紅茶はインド産の大型が主に使われています。
茶畑などで見かけるチャノキは、緑茶を取るために栽培されているので、切り詰めて低木に仕立てられていますが、放任すると樹高が7~8㍍に達します。
萌芽力が強く、大気汚染などに強いことから、庭木、公園樹や街路樹の下木などの環境緑化樹としても利用されています。
◉生育環境
日当たり、水はけがよく腐植質に富んだ肥沃な場所を好みます。
暖地性の植物ですが耐寒性は比較的強く、東北地方でも栽培可能な品種も開発されています。
丈夫でとても育てやすい樹種ですが、多くの花を楽しむためには、十分な日照が必要です。
◉植え付け、移植
チャノキは深根性で根を傷めやすいので、成木の移植は困難です。
苗木は、将来移植しないで済むような場所を選んで植え付けます。
植え付けは3月から4月の春植えと、9月から10月の秋植えが適期です。
◆肥料
花を楽しむためにはカリ、リン分の多い有機肥料を4月と9月~10月頃に根元に与えます。
★病害虫
通風が悪くなると、チャドクガが発生する場合があります。
被害が大きい場合は、4月から5月と8月から9月の2回の発生期に、スミチオン乳剤などを散布します。
◉せん定 4月~5月 11月~12月
放任しても半円形の自然樹形にまとまります。
生長はあまり早くありませんが、生育に合わせて樹芯を止め、3~5㍍の樹高に保ちます。
花の咲いた枝は花後切り戻して、徒長枝や込み枝を整理します。
萌芽力が強く、強い刈り込みせん定にもよく耐えます。
ツバキやサザンカと同様、円筒形や玉仕立てなどの仕立て物にする事もできます。
ただし、花を楽しみたい場合は、4月から5月に刈り込みを行います。
夏以降に刈り込むと、花芽も刈り込んでしまい、花が咲かないので注意します。
◆殖やし方
実生は秋(10月~11月)に種子を取り出して採り蒔きします。
挿し木は、6月から7月に充実した本年枝(新梢)を15㎝程に切ってさし穂とし、赤玉土、鹿沼土などのさし床に挿します。
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