緑のお医者の徒然植物記

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2021/01/21

フクジュソウ No,349

 フクジュソウ 福寿草

別名=アドニス、ガンジツソウ
キンポウゲ科 宿根草

属名はアドニス(Adonis)ギリシャ神話のアドニスにちなみ、ヨーロッパに自生する赤い花の種の花色を、アドニスの血の色に例えたと言われ、ギリシャ神話を代表する美少年の一人で、アドニスの流した血からアネモネの花が咲いたと言う。

アネモネの花になったアドニスと言われている。

アドニスはアドーニスの省略名とされる。

日本の中部以北の山地、シベリアから中国東北部、サハリン、朝鮮半島と広く分布し、北半球の暖地から温帯に30種程があり、日本には多年草4種類が自生し、花の付き方花弁とがく片の長さや染色体数などで分けられています。

今ではたくさんの園芸品種があり
花色も豊富です。

落葉広葉樹林の林縁、山野に自生する宿根草で、寒さに強く雪解けとともに花を開き、早春の花として親しまれている。

元旦草、賀正草、福神草など呼び
名も多く、その名は300年以上前
から記録があり、古くから栽培されていたことが分かります。

各地に群生地があり保護されています。

自生地である広島県庄原市東城町
では、ミチノクフクジュソウが見られます。

小高い林縁一面に広がっていて、開花期(3月上旬~下旬)には一般公開されています。

ほぼ同時期に開花するのが、島根県川本町の「イズモコバイモ、ユリ科」です。


(イズモコバイモ)

現地の情報を確認してから、一緒に訪れてみるのも良いかもです。

福島県喜多方市はフクジュソウの
自生地で、高郷町と山都町沼ノ平の2箇所が公開されています。

特に沼ノ平(ぬまのたいら)は100
万株と言われる、日本最大級の自生地です。

開花期間は概ね3月下旬から4月中旬頃です。

✿生育環境
生育環境は乾燥せず、湿り過ぎず
夏には葉が茂り日陰となって、風通しが良いことが条件です。

冬から春の日の当たる間に芽を出し花を咲かせます。

次々と花と葉をいっぱいに茂らせ
株が、茂って日陰となる頃から葉は枯れて休眠に入ります。

この間に新芽に花芽ができ、冬の
低温で花芽が生長し、一霜ごとに
太り12月頃には、つぼみは開花の
準備ができています。

低温で育ったつぼみは、1月〜3月
頃、温度が上がり始めると開花します。

正月に咲かせるには促成栽培にしますが、特に、早咲きで促成栽培に向いているのは黄色、八重咲き、丸弁、繁殖力旺盛に「福寿海」という品種が好まれています。

2〜3芽植えの可愛い小鉢や平鉢に寄植えされたものは、かなり根が切られていて、芽が大きければ
一応花は咲きますが、力がなく2〜3輪しか咲かないこともあります。

当然、来年は株が弱って花は望めません。

本来の花と草姿を楽しむには、庭植えか大鉢で栽培するのが良いでしょう。

◉促成栽培(そくせいさいばい)とは

露地での栽培(露地栽培)よりも

成長、収穫、出荷を早くする栽培法で、温度や光線などを調整する事で発育を促進し普通栽培よりも早く生長される人工的な栽培法、生長を早める事で商品価値を高めることに繋がる。

ビニールハウス等での栽培が知られる。


✿種類と品種

191年前の江戸時代後期に4種類が
記録され、35年後には168種
(同種異名を含む)もの記録があります。

多種との交雑なしに多くの品種が
作られたのは、自生地や野生種の
個体数が多く、突然変異の発見に
よるものが多いといえ、驚異的な
ことです。

明治時代には115種が存在していま
したが、大正時代以降多くの品種が失われ、大半が絶滅しました。


                      (フクジュソウ)

        ふ切れ弁の紅花品種(紅撫子)


     広く普及する人気品種(三段咲き)


     株に力がつくと八重咲きになる
采咲き品種(金采)


✿植え付け

10月〜12月、花芽が十分に肥大した頃に行います。

株は芽が太めで、根が切られていない本数の多いものを選び、小割りや葉の細いものは避けます。

鉢は根の量が多いので深めで大きめの鉢を選びます。

赤玉土6、腐葉土4または(軽石砂2)などの用土に植え付けます。

植え付けは根を切らずに曲げて植え込みます。

根の内側に空洞ができないように
株を逆さにして、根の間に土を入れます。

長い根の先端は内側に丸く曲げ、土がこぼれないようにビニールなどで押さえながら鉢の中に入れます。


株を浮かせないようにビニールを
引き抜いた後は、回りに用土を入れます。

根が固く浮き上がるようならば、
鉢底から針金で株を固定します。


普通は芽の上1cm程度の覆土を
しますが、正月に咲かせる促成の
場合は、芽の基部に土入れ、芽を出して植えて十分に水分を与え、落ち着いたら、土の上にコケや枯れ松葉を敷くと観賞的にも良いでしょう。

✭置き場所

植えた後は日当りの良い屋外で
低温下に置き、根付くのを待って
促成します。

芽出し期から開花中は日向に、花後は直射日光や長雨を避けて、木陰や半日陰に置きます。

休眠期は過湿と直射日光を避けて、棚下など日陰の涼しい場所に置きます。

促成の条件は温度、湿度、日当り
の3つです。

⑴温度
5〜10℃程度で、温度が上昇し始めると育ち始めます。

⑵湿度
花芽を包んでいる鞘片(しょうへ
ん、サヤのこと)が乾くとつぼみがくっついて(癒着)開かずに
花が咲けなくなるので、春同様の
湿り気が必要です。

⑶日当たり
日が当たらないとつぼみが開きません。

当たっている時だけ花は開き日が陰ると花も閉じます。

開花中はこれをくり返しながら咲きます。

✭促成開花の注意として、力のない芽や乾いて開かない芽はつぼみを切らないようにします。

鞘片の先をハサミ✄で切ってやると開きやすくなります。

❆🚰水やりの目安

✺1月〜3月下旬は、鉢土の表面が乾いたら十分に与えます。

✺3月下旬〜6月中旬は、一日1回
葉は晩春に枯れてなくなっても、
根は生きているので、水を切らさないように夏を越します。

✺6月中旬〜10月は、一日〜2日に1回、乾かないように

✺11月〜12月は、2日〜3日に1回

芽出し期と開花中は多めに、その後は表土の乾きを目安に与えます。

休眠期の過湿は禁物です。

✿肥料 3月〜5月

花の盛りを過ぎた頃に与えます。

花後から休眠期までは、2000倍液
程度の 液肥を水やり代わりに与えます。

フクジュソウは芽出しから開花、休眠までの期間が短く、この間に薄い液肥を再三与えて肥培します。


3年から5年に1回は植え替えるようにし、株分けして更新します。

また、花後に庭に下ろして、一年間肥培して2年目に鉢上げするのも良いでしょう。

5月頃に株分けして殖やします。