緑のお医者の徒然植物記

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金曜日, 10月 04, 2024

ナスの主な病気 No,727

 主に家庭菜園で起きるナスの病気

ナスが萎れて枯れる病気

半身萎凋病(はんしんいちょうびょう)
発生時期(6月〜9月)

カビの一種である、バーティシリウム·ダーリエと言う糸状菌が引き起こす病害で、ナスやピーマン、ブドウなど様々な作物に被害をもたらします。

ナスにとって極めて重大な病害です。

感染が拡大すると株全体が枯死して、収穫できない場合もあります。

✼症状として
下葉の片側だけに葉脈で区切られた周縁の不鮮明な淡黄色の斑点が現れ、葉の片側だけが黄化して萎れてしまう。

日中に葉の縁側が、上方に軽く巻き上がる症状が現れます。


✼対策として
育苗には無病土壌を用いる。

前作に発病した場合は、太陽熱処理や土壌くん蒸剤による土壌消毒を行う。

土を消毒する対策をしてから育てることが大切で、すでに発病した株は直ちに抜き取ります。

また、抵抗性台木で病害虫に強い、接ぎ木苗を使うと病気にかかりにくい。


青枯れ病
発生時期(6月〜9月)
病原細菌が土壌中に生存し、根の傷口や地上部から侵入して、株全体が萎れて枯死してしまう。

✼症状として
一部の葉が水分を失って青い葉のまま萎れてしまう。

2〜3日間は日中は萎れた状態になり、夜間や曇雨天の日には回復しますが、その後回復しなくなり、やがて株全体が萎れて枯死してしまう。




ナスの実を触るとブヨブヨと柔らかい。

✼対策として
太陽熱利用による土壌消毒や、土壌くん蒸剤などによる土壌消毒を行う。

発病した株は直ちに抜き取ります。

また、せん定や収穫でのハサミによる発病株から、健全株への伝染を防ぐためにハサミの消毒を行います。

  「次亜塩素酸ソーダによる消毒」

また、ナスと一緒に生姜(ショウガ)を植えると、病気を予防してくれる効果があると言われています。


苗立枯病
発生時期(4月〜5月)
高温性病原菌が原因で、高温期の育苗時に発生する危険性があります。

初芽してすぐや、定植したての苗が倒れて枯れてしまいます。

発病した苗はすぐに抜き取りましょう。

ナス科の野菜は連作障害を起こしやすく、毎年同じ場所で栽培することができません。

同じナス科の野菜を植えたあとには、違う野菜を植えるなど、連作しないように注意が必要です。


ナスの葉が黒くなる原因?
黒枯病や褐斑細菌病などが考えられます。

黒枯病はハウス栽培で多発し、病原菌は土壌表面やハウス資材などに残留して伝染源となります。

下位の病葉や株元の落葉をできるだけ取り除きます。

病気の早期発見につとめ、ダコニール1000倍液を活用して、発生初期の予防をする。


ナスの葉の中に黒い葉がある。

ナスの実と同じ色の葉は、健全に育っている証拠とされます。

マグネシウムが不足するとこの色が薄くなります。





ナスの生長点付近の葉が紫色(ナス色)になっているは、アントシアニンの色で、肥料がよく効いていたり、低温に遭遇した時に生成されます。

また、肥料が効きすぎると花が生長点から遠ざかるので、肥料が効いていることが分かります。


マルチ栽培のデメリット

土が覆われるため、土の状態が確認しにくいので、土が乾いてからの水やりのタイミングが分かりにくくなります。

水やりの時にマルチを外す必要があるので面倒。

地温が上がり過ぎると、高温障害が出る可能性がある。

長年マルチ栽培を続けた土壌は、有機物の分解が進んでいる。

そのため、マルチングの際に堆肥をたくさん混ぜ込んでおく必要があります。

水やりが多いと湿気がたまり、害虫にとって快適な環境になってしまう。

また、バークチップやウッドチップなどのマルチング材を使用している場合、かえって害虫が発生する恐れがあります。


ナスの病気はマルチ栽培で発生しやすいと言える。

特に、日当たりの悪い場所でのマルチ栽培は、土壌中環境などを悪化させ、病気が発生しやすいと言えます。

生育環境に応じて、マルチ栽培は適用する必要がある。










木曜日, 10月 03, 2024

腐植物質の機能 No,726

 腐植物質

腐植とは、有機物が土壌中で微生物の作用により、徐々に分解してできた黒褐色のもので、植物の肥料として優れています。

腐植土は腐葉土と同様に扱う文献も有るが、腐植土は主に土壌を指し、腐葉土は主に林床で腐熟した落葉落枝や落葉堆肥を指します。

堆肥とは、廃物を微生物に分解させて作った肥料のこと

腐植物質は、土壌生態系の中で多くの役割を果たしています。


その機能は土壌の化学性、物理性、生物性の全てに関わることが知られています。


それは①植物養分供給能、②植物養分保持能、③植物生育促進能、④団粒形成能などです。


腐植物質は、農耕地土壌にとって不可欠の機能を持つことから、特に有機物の分解、消耗の激しい畑土壌においては、堆肥などの有機資材を投入することが「土づくり」の基本とされています。

なお、家畜ふん堆肥やバーク堆肥などが用いられる傾向があるが、家畜ふん堆肥では塩濃度の高まりに注意する必要があります。

バーク堆肥などの木質系堆肥では、植物生育に有害な成分を除くため、十分に熟成したものを使うことが重要です。

①植物の養分供給能とは

1'
植物は水に溶けた無機物を養分として吸収する。

2'
植物の生育に必須な栄養素は17種類あり、チッ素(N)、リン(P)、カリ(K)の三大要素が特に重要である。

カリウム(Ca)、酸素(O)、水素(H)
炭素(C)、マグネシウム(Mg)、硫黄(S)
鉄(Fe)、マンガン(Mn)、ホウ素(B)
亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)
塩素(Cl)、ニッケル(Ni)


3'
植物は、根の細胞のイオン濃度を利用して、水や養分を吸収する。

4'
養分が不足すると根から有機酸を放出して、通常は吸収できない養分を溶かして吸収する植物もある。

5'
植物は光合成によって炭水化物などの有機物を合成する。

6'
植物の茎の内部には、根から吸収した水分、養分を運ぶ導管と、葉で作られた炭水化物などの養分を運ぶ師管が形成されている。

7'
作物の場合は、チッ素、リン、カリウムが不足しやすいため、肥料として与えられる。

8'
植物の生育に応じて必要な養分を追加で与えることを追肥といい、速効性のある液体肥料や化成肥料が利用される。


植物の養分保持能とは

植物によるタンパク質や脂質の蓄積が、一番見られるのは「種子」の場合です。

植物は葉以外の場所の細胞にも、葉緑体に相当する細胞内小器官を持っており、色素体と総称されます。

デンプンの蓄積は植物が順調に生育しているときにも見られ、葉緑体にデンプンが存在するほか、根にはデンプンの蓄積に特化した色素体が存在している。

植物が順調に生育している場合は、タンパク質や脂質を機能しない状態で、多量に蓄積することはありません。

デンプンは分子が大きいので、色素体を包んでいる膜を通り抜けることができません。

従って、分解も色素体の中で起こり、分解されてできた「糖」を色素体から細胞質に出して「ショ糖」の形に変換した後、必要な場所に送ります。

「ショ糖」とは、スクロール、サッカロースとも言われる砂糖の主成分とする甘味物質のこと。


葉緑体は、光合成以外にも脂質の合成やチッ素の代謝に重要な働きをしていますが、葉緑体が存在しない葉以外の細胞にも何らかの色素体は存在するので、冬に葉を落とした植物が生育できなくなるということはありません。


植物の生育促進能とは

植物生育促進能とは、植物の生育を促進する効果を持つ微生物や薬剤などを指します。

植物の生育を促進する微生物は「PGPM」と呼ばれます。

(Plant Growth Promoting Microorganism)

植物ホルモンを生成する微生物も含まれますが、植物ホルモンを大量に出す微生物は、植物の成長を妨げる可能性があります。


団粒形成能とは

微生物資材が、土壌に与える団粒形成の程度を評価する指標です。

微生物濃度が高まると、多糖類やウロン酸などの代謝産物が多く生産されるため、団粒構造が発達し、土壌の物理性が最善されます。

腐植物質も粘土と複合体を形成していることから、団粒形成の役に立っています。