日中正常化土台壊す発言
高市首相が「台湾有事は、存立危機事態」と述べた事は、日本に対する武力攻撃がなくても米軍を守るために自衛隊が、中国に対する武力行使を行う、戦争を行うことが有りうると宣言した事に等しく、戦争放棄をうたった日本国憲法を蹂躙し、日中両国民に甚大な被害をもたらす惨禍に繋がる危険極まりない発言です。
1972年の日中共同声明では、中国政府が「台湾が中国の領土の不可分の一部」だと表明したことに対し、日本政府は「十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第8項を堅持する」としたことで国交正常化が実現しました。
高市首相が台湾問題への軍事的介入の可能性を公言したことは、中国側の立場を「十分理解し、尊重する」という共同声明を乱暴に踏みにじるもので、日中両国関係正常化の土台を壊す発言といわなければなりません。
また、日中両国は2008年の日中首脳共同声明で「日中双方は互いに協力のパートナーであり、お互いに脅威とならない」と合意しています。
高市発言は、中国に対する軍事的威嚇の発言であり、2008年の共同声明に反する発言であることも明らかです。
高市首相は、日中両国の合意に根本から反する誤った発言をしたことに対し、発言を撤回する必要があります。
2025年12月3日しんぶん赤旗、志位和夫議長主張文より引用
香港フェニックステレビインタビューでの主張です。
「2日、党本部でインタビューに答える志位和夫議長」
ポツダム宣言第8項
日本国の主権を本州、北海道、九州、四国と連合国が決定する諸小島に限定する旨を定めたものです。
この項目は、1943年のカイロ宣言の条項を履行することも規定しており、日本が最終的にこの宣言を受け入れたことで、その後の領土の処遇が決まることになりました。
カイロ宣言の条項を履行すること。
カイロ宣言で日本から奪われた領土、台湾、澎湖諸島などを返還することを意味します。
澎湖諸島(ほうこしょとう)とは、台湾島の西方約50kmに位置する台湾海峡の島嶼(とうしょ、小島)群で、澎湖列島、澎湖群島とも呼ばれる。
日本の領土はサンフランシスコ平和条約で最終的に定められました。
カイロ宣言の条項に基づき、満州、台湾と澎湖諸島は中華民国に返還されました。
1972年(昭和47)の日中共同声明
日本国内閣総理大臣田中角栄は、中華人民共和国国務院総理周恩来の招きにより、千九百七十二年九月二十五日から九月三十日まで、中華人民共和国を訪問した。
田中総理大臣には大平正芳外務大臣、二階堂進内閣官房長官その他の国交正常化問題をはじめとする両国間の諸問題及び双方が関心を有するその他の諸問題について、終始、友好的な雰囲気の中で真剣かつ率直に意見を交換し、次の両政府の共同声明を発出することに合意した。
日中両国は、一衣帯水の間にある隣国であり、長い伝統的友好の歴史を有する。
両国国民は、両国間にこれまで存在していた不正常な状態に終止符を打つことを切望している。
戦争状態の終結と日中国交の正常化という両国国民の願望の実現は、両国関係の歴史に新たな一頁を開くこととなろう。
日本側は過去において、日本国が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する。
また、日本側は、中華人民共和国政府が提起した「復交三原則」を十分理解する立場に立って国交正常化の実現を図るという見解を両確認する。
中国側はこれを歓迎するものである。
日中両国間には社会制度の相違があるにもかかわらず、両国は平和友好関係を樹立すべきであり、また、樹立することが可能である。
両国間の国交を正常化し、相互に善隣友好関係を発展させることは、両国国民の利益に合致するところであり、また、アジアにおける緊張緩和と世界の平和に貢献するものである。
一、日本国と中華人民共和国との間のこれまでの不正常な状態は、この共同声明が発出される日に終了する。
二、日本国政府は、中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認する。
三、中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土な不可分の一部であることを重ねて表明する。
日本国政府は、この中華人民共和国の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。
四、日本国政府及び中華人民共和国政府は、千九百七十二年九月二十九日から外交関係を樹立することを決定した。
両政府は、国際法及び国際慣行に従い、それぞれの首都における他方の大使館の設置及びその任務遂行のため必要なすべての措置をとり、また、できるだけすみやかに大使を交換することを決定した。
五、中華人民共和国政府は、中日両国国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄することを宣言する。
六、日本国政府及び中華人民共和国政府、主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存の諸原則の基礎の上に両国間の恒久的な平和友好関係を確立することに合意する。
七、日中両国間の国交正常化は、第三国に対するものではない。
両国のいずれも、アジア、太平洋地域において覇権を求めるべきではなく、このような覇権を確立しようとする他のいかなる国あるいは国の集団による試みにも反対する。
八、日本国政府及び中華人民共和国政府は、両国間の平和友好関係を強固にし、発展させるため、平和友好条約の締結を目的として、交渉を行うことに合意した。
九、日本国政府及び中華人民共和国政府は、両国間の関係を一層発展させ、人的往来を拡大するため、必要に応じ、また、既存の民間取決めをも考慮しつつ、貿易、海運、航空、漁業等の事項に関する協定の締結を目的として交渉を行うことに合意した。
千九百七十二年九月二十九日に北京で
日本国内閣総理大臣 田中角栄(署名)
日本国外務大臣 大平正芳(署名)
中華人民共和国国務院総理 周恩来(署名)
中華人民共和国外交部長 姫鵬飛(署名)
1972年の日中共同声明では、台湾問題に関する中国の立場を日本が十分理解し、尊重すると明記する代わりに、中国側は日本への戦争賠償請求を放棄しました。
これは当時の交渉関係者の回顧録や多くの歴史研究でも繰り返し指摘されている事実です。























