緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2020/08/12

モクレン No.247

モクレン(木蓮)オオヤマレンゲ

別名=シモクレン、モクレンゲ

原産地は中国で「木蓮」の漢字がそのまま和名になりました。

地球上で『最古の花木』とされており、一億年以上前からすでに今のような姿だったと言われている。

早春にややクリームがかった白い、清楚な花を咲かせるハクモクレン少し遅れて咲く、花弁の外側が紫桃色で内側が白いシモクレン、モクレンと言えば本来シモクレンを指します。




✣ハクモクレンは大木になるので狭い庭には向かない。


しかし、モクレン科は同じ形状の花をつける仲間が多く、一般にはそれらを含めモクレンと呼ばれています。

北米原産で常緑樹のタイサンボクもモクレンの仲間です。

日本では類似種のコブシ、シデコブシ、オオヤマレンゲなどが山野に自生しています。




花期は長く、新葉も楽しめる。
実は長楕円形で褐色、赤い種が白い糸で垂れ下がる。

欧米品種も多いが、日本でも様々な品種が作り出されている。

北海道南部まで栽培できる。

日当たりのよい適湿な肥沃地が最適で、ハクモクレンほど大きくならないので、狭い庭にも植えられる。

日当たり、水はけのよい肥沃な場所を好みますが、土質は特に選びません。

乾燥を嫌うので、夏期の水切れには注意しましょう。


植え付け時に株元に腐葉土などを敷いて、マルチングすると乾燥防止になるだけでなく、雑草の発生が少なくなり土壌改良効果もあります。

樹勢が強く育てやすい樹種ですが、栄養がよいと大木になりやすいので、苗木を植え付ける時は、生長を見越して広い場所を選ぶことが大切です。

一般にモクレンの仲間は根が粗く、一度植え付けたら移植しないようにします。

成木の移植は難。

※植え付け10月から12月 2月から4月

◆せん定
自然の樹形で育てるのがよく、ほとんどせん定しませんが、あまり大きくなりすぎた場合は冬の落葉期に行います。

伸びすぎた枝や混み合った枝を整理します。

花芽は枝の先端につくので、徒長枝以外は残すように注意しないと翌年の花が少なくなります。

◉強いせん定、切り詰めは花後すぐに行うようにしましょう。


早春は樹液が流れ出るので、強いせん定は控えます。
せん定11月から2月、4月から5月頃

花芽分化後のせん定は避ける。


◉肥料
1月から2月 9月から10月

ハクモクレン、コブシなどの大型種は、やせ地でない限り特に肥料を与える必要はありません。


生育を促したい場合や、シモクレン、シデコブシ、小型の園芸品種は花後と、9月から10月に油粕と粒状の化成肥料をばら蒔きする程度にして、多く与え過ぎないようにしましょう。

直接地面にばら蒔くときには、その木の枝の伸び具合を観察し、必要に応じて冬期に有機肥料を一株につき200から300㌘ほど与えるとよいでしょう。

◆害虫
※グンバイムシ 4月から5月に発生
マラソン乳剤、スミチオン乳剤などの殺虫剤を10日おきぐらいに、3回から4回散布すれば駆除できます。


                                  「3月1日撮影」


                            「3月11日撮影」

✿種類

やや小形のものではトウモクレン、ガール·マグノリアがある。
珍しい緑黄白花種としてはマグノリア·アクミナタがある。


                  「3月26日花後せん定」


  「8月1日、白モクレンの実」







2020/08/06

ソテツ No.246

ソテツ (蘇鉄)ソテツ科

枯れそうな時、鉄を打ち込むと元気が蘇る、と言う故事からこの名がある。

雌雄異株の常緑樹で、高さは4㍍~10㍍ほどになる。

日本では宮崎県以南の冬でも暖かい海辺に自生する。
幹は直立し、枯死した葉柄の基部に覆われる。

葉は長さが1㍍ほどあり小葉の先は鋭い刺となる。

雄花は円柱形で直立し、雌花は半円形。
ともに茎の先端につく。

果実は赤く熟し光沢がある(花期6月~8月)精子によって受精することを日本人によって発見されました。

原産地=日本南部九州から沖縄、台湾、中国





九州の南の島から沖縄地方の、暖地性の植物なので強い霜や寒さには弱い。

冬の防寒対策をしっかりやれば、北関東ぐらいまで植栽可能。

湿った土は嫌うので、排水のよい日光のよく当たる所で、やや乾燥気味の土を選んで植える。

一度植え付ければ、植え替えなどしないと思われますが、やむを得ず植え替えをする場合は、夏の高温の時期の7月から8月に行います。

また、鉢植えのソテツを購入し、庭に植え替える場合は5月から8月までに行います。


◉ソテツの防寒処理

関東以北では、防寒処理をして越冬させる必要があります。

最も一般的な方法は、ワラなどで幹を巻いて寒さから守る方法です。




①垂れ下がった古い下葉を付け根から切り取ります。

②さらに、全体の3分の1程度を付け根から切り取り、残った葉を上方に引き上げて束ね、シュロ縄などで縛ります。

③束ねた葉をワラなどで巻いて、寒風に直接触れないようにして再び縛ります。

冬期に霜の多い地方では、11月頃から防寒対策をします。

暖かくなる3頃、霜の心配がなくなる頃までその状態を保ちます。

比較的暖かい西日本地域では、ワラは巻かずに葉を上方に引き上げて束ねるだけでも、冬を越すことができます。

◉肥料
原産地では、やせた岩場などにも成育するので、たくさんの肥料を与える必要はありませんが、大株などでは春の葉の出る前の3月から4月に、油粕7と骨粉3ぐらいの割合で混ぜたものを株回りに溝を掘って与えます。

また、成育期に少量の化成肥料を与えてみるのもよいでしょう。


◉せん定幹から直接葉が出るので、特にせん定の必要はありませんが、越冬し温暖な陽気を迎える4月に、新葉の出るのを促すためには、付け根から前年の葉を全部切り落とします。

葉を切り取る場合は、幹の付け根から切除します。

時期は3月、5月から6月

株分けを行う場合は5月から6月までの間に行います。

◆殖やし方
4月から5月に種子を蒔く、発芽は遅い。

★種類
園芸品種に茎や枝が扁平なシシソテツ、白い条入りの葉を持つフイリソテツ、類似種に中国原産のカナンソテツ、台湾原産のタイワンソテツなとがある。






2020/08/04

樹形を乱す枝 No.245

樹形を乱す枝

せん定が必要な枝の名称

庭木の種類は数多くありますが、共通してせん定しなければならない枝に「忌み枝」と言われる、樹形を乱す枝があります。

★忌み枝=(いみえだ)
盆栽用語で樹形の美しさを損なう不要な枝のこと

◆徒長枝(とちょうし)

飛び枝とも呼ばれ、他の枝よりも勢いよく飛び出している長い枝です。

樹形を乱すのでせん定しますが、メインになる枝(主枝)が弱った時などは、代わりの主枝に育てるために、せん定しないでそのまま伸ばすこともあります。

よい位置のものは残して、先を軽く切り止める。

◆立ち枝

垂直に上に向かって伸びている枝で樹形を乱します。

枝元から切り取る。




◆平行枝

ほぼ同じ場所から長さ、太さ、方向が同じように平行に伸びている上下2つの枝です。

一本は不要な枝ですから、全体のバランスを見て悪い枝の方をせん定します。
重なり枝ともいいます。



◆からみ枝(交差枝)

他の枝と接触して、からんでいる枝で枝の混み合う原因になります。

枝元から切り取る。

◆切り枝(交差枝)

主要な幹や枝と交差している枝です。
樹形が不自然になります。

枝元から切り取る。

◆下がり枝

下に向かって飛び出している枝で、樹形を乱します。

枝元から切り取る。

◆胴吹き枝

幹吹きともいい、幹の途中から新たに直接伸び出してくる枝で、勢いが強い場合が多く、樹形を乱したり、その枝の位置より上部の枝の生長を妨げる場合が多い。

枝元から切り取る。



◆ひこばえ(ヤゴ)

ヤゴともいい、樹木の根元や地中から飛び出した小枝でこれを放置していると、主幹の樹勢を衰えされる原因にもなります。

できるだけ枝の付け根から切り取る。


◆車枝

1か所から数本枝分かれして出る枝で樹形を乱します。

一本残して他の枝をもとから切り取る又は、全部切り取る。

◆かんぬき枝

幹のほとんど同じ位置から、左右(前後)に出ている枝。
幹を突き抜けているように見えるので、忌み枝とされます。


◆ふところ枝

樹冠の内部にある弱小な枝で、斜光や通風の妨げとなる。

骨格となる枝を残して枝元から切り取る。

◆逆さ枝

他の枝とまったく逆の方向に伸びている枝。

樹形を乱すので枝元から切り取る。

マツやウメなどでは残すことがある。


✫その他にも枯死した枝、病害虫に冒されている枝はせん定します。






2020/08/03

樹木生育のサイクル No.244

樹木の1年間の生育サイクル

樹木の1年の生育サイクルは、大きく地表3つの時期に分けられます。

①冬の11月~3月頃にかけて養分が最も多く蓄えられる時期です。

ただし、養分は主に樹木の幹に集まり、枝や葉にはあまりありません。

そのため、落葉樹は紅葉したり、やがて葉を落として枝だけの姿になります。

常緑樹も葉の色が多少柔らかくなり、生長がとまったり鈍くなったりします。

この状態で春を待つので、一般に「休眠期」といわれています。


②4月~7月頃にかけては、冬に蓄えられていた養分が幹から枝、葉に行き渡り新しい芽や、葉、枝の生育のために消費され、次第に少なくなっていきます。

この時期は一般に「生長期」といいます。

ただし、6月~7月頃になるとこれらの生育が止まります。

園芸用語で「新芽がかたまる」というのはこの時期の状態を指します。

③8月~10月頃にかけては、成熟した葉によってたくさんの養分が作られ、翌年の生育のために蓄えられていきます。

外からははっきりとはわかりませんが、この時期の樹木は最も充実している状態で、一般に「充実期」といわれています。


晩秋から冬になると、翌年の生長に備えて養分が幹に集中して、再び休眠期を迎えるというわけです。




樹木は毎年、この様なサイクルスポーツセンターを繰り返しながら生長しているのです。






2020/08/02

盆栽の樹形 (2) No.243

主な盆栽の樹形

◉文人木(文人模様)
模様木の変化形で、細い幹、少ない枝数による軽妙で洒落た雰囲気が大きな特徴です。


明治時代の文人墨客=ぶんじんぼつかく(文芸や、書画を生業とする人、又は愛好者)から好まれたことから、文人木の名称があります。

役枝が少なく、幹ぶりも細いことから単調になりやすく、この樹形の風趣を十分に発揮する樹形に仕立てるには、相当の経験が必要とされています。

◉株立ち
根本から多数の幹が立ち上がっている樹形です。



幹の長さや太さに変化があり、それぞれが直立に近い形になっているのが理想とされています。

◉筏吹き(いかだぶき)
自然災害で幹が横倒しになり、枝が新たに幹として生長した様子を表した樹形です。


◉根上がり
樹が大きく地表に露出している樹形です。



強い風雨や波などで、根元の土が洗われて根が地上に顔を出している、樹木の様子を表現しています。

◉寄せ植え
盆栽用語では単に「寄せ」ともいいます。


ひとつの鉢に何本もの木を植えて、群生している様子を表したものです。
同一種を寄せ植えする場合や、複数の樹種や下草まで植えて雑木林の雰囲気を出すものなどもあります。

◉石つき、石抱き
石と樹木を組み合わせて作る盆栽です。

                       ▲石つき

渓谷などの岩上にそそり立つ樹木の様子や、孤島の岩肌に自生する樹木の様子を表現します。

                       ▲石抱き

石のくぼみに木を植え込む方法と、樹木の根を抱え込むようにする方法があり、特に後者を「石抱き」といいます。






盆栽の樹形 (1) No.242

主な盆栽の樹形

基本的には盆栽は、自然の中で生きる樹木の様子を自由な発想で表現するもので、樹形に特別の決まりはありません。

しかし、長い盆栽の歴史の中で、先人たちによって作られた伝統的な樹形があります。


◉直幹
幹が直立している樹形で「立ち木」とも呼ばれます。

         ▶直幹

条件のトトノッタ自然環境の中で、生長した大木をイメージしています。

どっしりとした根張りがポイントになります。

◉斜幹
幹が斜めに傾いてる樹形です。


          ▶斜幹               

海岸の傾斜地などで、強い横風に耐えながら生長した樹木の様子を表現しています。

◉模様木
幹が前後左右に曲がりながら、上に向かって伸びている樹形です。

         ▶模様木             

四季があり、樹木を取り巻く環境が変わる日本では、もっとも馴染みのある樹形といえます。

◉懸崖(けいがん)
断崖絶壁や渓流などで、岩肌にしがみつくようにして、下に向かって幹が伸びている樹木の様子を表現したものです。

                    ▶懸崖、半懸崖

立ち上がりからすぐに幹が大きく曲がり、下方に向かって垂れ下がっていくのが特徴です。

幹の先端が鉢底より垂れ下がっているものを懸崖、鉢底のラインまでで止まっているものを半懸崖といいます。