緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2021/06/15

キングサリ No,497

 キングサリ マメ科 「金鎖」

別名=キバナフジ「黄花藤」
落葉性小高木

ヨーロッパの中央部でスイスやフランス、オーストリアなどの山地に自生しています。

寒さに強く日本では沖縄などの暖地を除いて植栽できます。

特に自生地と同じ石灰岩地に向いています。

花の姿から「キバナフジ」と言う別名があるが、豆の仲間で有毒(アルカロイド)の植物です。

日本には明治時代に渡来したとされ、古くから紫色は高貴な花とされていた事から、キングサリよりもフジの花が注目されていたようである。





開花期

葉が展開した後の5月から6月頃、枝先に近い葉腋から長さ数十cmの総状花序が下垂して、黄色の花を咲かせます。

品種によっては花序の長さが50cmぐらいになるものがありますが、日本では20cm前後が中心です。

葉は互生で奇数羽状複葉で小葉は全縁です。
秋には鮮やかな黄葉が楽しめます。

果実

フジやエンドウなどマメ科の植物に共通した形態の果実で、長さ数十cmの豆果が実り中に種子があります。

主な類似種

レダン
地中海沿岸に自生する高さ2〜3㍍の低木で、7〜8月に枝先から総状花序が垂れて黄色の花が咲きます。

植栽環境

日当たりは木漏れ日が当たるくらいでも大丈夫です。

乾燥には強い方ですが、夏の西日が当たるような場所は避けます。

初夏の黄色い花は洋風や明るい雰囲気作りに適しています。

花壇の脇や庭園の入り口、縁取りなどに利用できます。

幹や枝にしなやかさがあるので、トレリスやエスパリエ、アーチ仕立てなどに適します。

エスパリエ仕立てとは

樹木の枝を柵や格子などに誘引し、薄い壁のような平面的な樹姿に仕立てたもので、果樹や緑化樹、つる植物などに多く用いられます。


トレリス仕立てとは

格子垣の事で、つる性の植物を絡ませたり、鉢を吊るしたりする。

通常は木、竹、または金属の織り交ぜられた物や交差した部分の開いた、フレームワークまたは格子から作られた建築構造の物。

「ラティス」というものがありますが実は同じものです。







2021/06/14

フジキ No,496

 フジキ マメ科 落葉高木

別名=ヤマエンジュ 絶滅危惧種Ⅱ類

中部地方以西の山地に稀に自生する。

日本海側の分布は若狭湾までとされる。

樹高は10㍍以上になることがあり、フジに似た花をつけることからフジキの名がある。

幹は直立または、やや屈曲して枝を広げます。
よく似たものにユクノキがある。




開花期

5月から6月頃、枝先から複総状花序をだして、フジに似た白い花をたくさんのつける。

葉は互生し、長さ20 〜30cmの奇数羽状複葉で小葉は9〜13枚、小葉は長さ4cm程で全縁です。

冬芽が葉柄に包まれて見えない事が特徴の一つです。

果実

秋に長さ5〜9cm程の豆果が褐色に熟し、中に数個の種子があります。

生育環境

半日以上の日当たりがあり、水はけの良い場所に適しています。

風当たりが強い場所や潮風が当たるような場所は避けます。

庭木としての利用が少なく、また入手しにくい樹種です。

せん定

自然樹形を生かし、枝が混み合うときは枝抜きを行ない、伸び過ぎる枝は切り戻します。

繁殖は実生により殖やします。






2021/06/13

アカメガシワ No,495

 アカメガシワ トウダイグサ科

別名=ゴサイバ 「赤芽柏、赤芽槲」
落葉高木

本州、四国、九州、沖縄、中国などに分布している。

北海道南部以南まで植栽できる。

名前に由来は、春先に出る新芽(アカメ)が紅色なことからこの名があり、別名のゴサイバは「五菜葉」の意味で、昔は飯盛り用に利用されていたことに因んでいる。

山地の荒れ地、崖地や崩壊地など、やせ地などに早く侵入し生殖する。

この性質から明治時代には、東京の街路樹に選ばれた事がある樹種であったが、樹形がまとまりにくい事もあって、現在では利用されていない。




やや湿り気があり日当たりの良い場所を好むので、川岸や原野、林縁などに多く自生する。

雌雄異株で、大きなものは樹高15㍍に達するものもある。

遅くまで葉は緑色を保っているが、晩秋には鮮やかに黄葉する。

生育環境

葉が大きくまた、枝が比較的粗くて樹形をまとめにくい事から、単植での利用はほとんどありませんが、広い場所であれば落葉樹類を中心とした植栽に利用できます。

また、砂質土などの痩せた場所や斜面地、水流沿いなどにも適しています。


せん定

自然樹形を基本に樹高を3〜5㍍程度に保ち、樹形が広がり過ぎないように長く伸びた枝を切り戻します。

繁殖は実生や挿し木で殖やします。


アカメガシワの効能

様々な効能がある。

消炎鎮痛薬として、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃酸過多、胆石症、腫れ物などに用いられます。

民間では、樹皮よりも赤い新葉と新芽、赤い葉柄の干したものを煎じて服用した方が、胃がんや胃潰瘍に効き目があるとされている。


動物実験でも胆汁分泌促進、潰瘍の予防に効果があると認められている。

アカメガシワは樹皮の部分に有効成分が含まれており、サプリメントや生薬など食用としても利用されています。





2021/06/12

東法田の大アカマツ伐採される No,494

 東法田の大アカマツ

日本国内最大とされた最上町の東法田地区にある大アカマツが10日に伐採されました。

古くから集落の人々より山神の御神木として、大切にされてきた大アカマツは、2018年5月頃から急激に樹勢が衰え始めたことが確認され、その原因はわからないとされた。

その後2019年8月に専門家による診断によって枯死相当との判断がなされ、2019年6月に枯死状態と認定され、天然記念物とされてきた指定を解除された。

樹勢の復活を願った人々の思いが届くことはありませんでした。

樹齢600年の大アカマツは最期を迎えたのであった。

10日に伐採された大アカマツは、ある程度幹周りが分かるように切り株が残されました。

町は今後切った幹を保管して、楽器などの他に活用法を探るとしている。



               「在りし日の大アカマツ」









2021/06/11

サワフタギ No,493

 サワフタギ ハイノキ科

別名=ルリミノウシコロシ、ニシゴリ
「沢蓋木」落葉小高木

北海道から九州、そして朝鮮半島や中国にも分布する。

沢などの水辺に生え、茂った枝が沢を覆い隠すように見えることからこの名がある。

山地の水辺や湿地に生え、高さが3㍍程になる。

庭木としての利用はあまり多くない。

花は葉が展開したあとで、5月から6月頃枝先に白色の小さな5弁花が多数咲きます。

「タンナサワフタギ」に似ているが、葉の鋸歯は細かくてあまり目立たない。

別名のルリミノウシコロシの名の、ルリとは球形の果実が熟すと藍色、実際は青味の強い瑠璃色になることに因んでいる。

ウシコロシはバラ科のカマツカの別名で、花や樹形が似ていることによると思われるが諸説ある。

また、木灰を紫根染めの媒染料とした事から、ニシゴリ(錦織木)の別名がある。




主な類似種

タンナサワフタギは関東地方以西に自生する。

葉の鋸歯がやや粗いことや、果実が黒く熟す点などが異なります。

樹形

自然樹形が基本で、枝が重なり合うような樹形に仕立てます。

花は短枝の先につき、樹高は2〜3㍍ぐらいが適当です。


植栽環境

日当たりは木漏れ日が当たるくらいでも大丈夫です。

湿り気がある場所に適しますが、水はけの良いことが大切です。

繁殖は実生で殖やします。


                               「サワフタギの盆栽」

盆栽としても利用される事が多くなった樹種である。






2021/06/10

プルーン No,492

 プルーン バラ科 落葉小高木

別名=西洋スモモ、プラム

プルーンは西アジアからカスピ海沿岸部にかけた地方(コーカサス)に分布している野生種が基本種で、栽培種として作り出された品種群を総称した呼び名である。

この地から乾燥プルーンが✫隊商の携帯食として西に渡り、南ヨーロッパ、西ヨーロッパ及びバルカン半島地域に伝わったのが今から2000年前のことである。

✫隊商(たいしょう)とは
(キャラバン)
隊を組んで主に内陸アジア、北アフリカの砂漠や草原地帯を行く商人の1団のことである。

日本にプルーンが伝わったのは明治初期で、日本での果物栽培は中部地方など比較的冷涼な気候の地方が中心です。

1856年、フランス人の植木職ルイ·ペリエがカルフォルニアにプルーンを移植、その後品種改良が繰り返され、アメリカでの栽培が盛んになっていった。

カルフォルニアプルーンはアメリカ国内全生産量の99%を占めており、全世界ではプルーン生産量の40%を占めている。
(2019年5月時点)






花咲き

花は葉が伸びるより早く、5月頃に短枝から数個ずつ白い五弁花が開きます。

花の数が多い時は花が枝を包むように咲きます。

果実

8月頃に紫がかった黒色で卵形の果実が実ります。

果物は商品にする時は、表面の白さが商品価値を左右するようです。

果実は甘みがあり、ミネラルが多く含まれ、生食のほかジャムや乾燥果実などに加工されます。


結実

プルーンは一本だけでは受粉できない品種なので、結実させるには複数の品種を植えるか、他の品種の花粉を開花期に人工授粉する必要があります。


主な品種

古くから栽培されているためか品種数は千を超えると言われいる。

育てやすい品種としてソルダム、サンタローザなどがあります。


植栽環境

果実の採取を楽しむには、日当たりの良い場所を選びます。

乾燥には強いので水はけの悪い土壌は不向きです。

風通しの良いことが大切ですが、強風が当たるところは適さない。

混植の時は枝が触れ合わない程度の間隔を保ちます。


害虫

コスカシバによる食害
幼虫が樹の中に穿孔(せんこう)し、樹勢が衰えます。

虫穴の入り口には虫糞がつき樹脂が出ています。

虫穴から胴枯病菌などが入り、樹が枯れることもあります。

成虫は5月から10月に発生して、樹の割れ目などに卵を産みます。

「ガ」の一種ですが羽が透明で一見すると蜂のように見えます。

虫穴を見つけたら樹皮を少し削り、中の幼虫を捕殺します。

樹皮を削ったあとは塗布剤で傷口を保護しておきます。


また、ハンマーなどで入口付近を叩き圧殺するか、針金で刺して駆除する方法もあります。

防除として、成虫が卵を産み付ける前に割れ目や傷口を中心に塗布剤を塗っておきます。

塗布剤にはサッチューコート、スミバークなどがあります。


モンクロシャチホコ(フナガタケムシ)
この毛虫は9月頃に発生し、若齢期は赤褐色で葉の裏に群れて葉を食べます。

老熟幼虫は5cm程になり、紫黒色に変わって、黄白色の長毛が生えます。

敵が近づくと頭と尾を上げて静止する性質がある。

発生量が多くない場合は、一匹づつ捕殺するか群れを小枝ごと処分します。

発生が多い場合は、薬剤散布を行います。

スミチオン、ディプテレックス、エルサン、MEPなどを散布します。

年に一回、7月頃に成虫が発生し、その次の世代が被害を起こします。

7月に発生する成虫の量が多い時は予防剤を散布します。

せん定 12月から2月

開花結実するのは2年枝なので、発育枝や側枝は切り詰めて短果枝を出させるようにします。

短い枝の方がたくさんの実を付けます。

殖やし方

アンズやモモを台木にして接ぎ木し、殖やします。

肥料

1月から2月頃に株周り溝を掘り、配合肥料を撒きます。

鉢植えは3月に玉肥を3〜4個置き肥します。


主なプルーンの効能

プルーンには血圧を正常に保つ様々な成分が含まれています。

カリウム
高血圧の原因の一つ、ナトリウム(食塩)を身体の外へ排出する。

ポリフェノール(クロロゲン酸)
血管を健康に保つ。

ペクチン
血管を詰まらせるコレステロールの吸収を抑える。

プルーンは骨の健康に役立つのではないかと言う研究が進められ、その研究によればプルーンの摂取が、骨形成に良い影響を与えると言う臨床データが得られています。

また、プルーンはお腹の調子を整える働きがある事が知られています。

プルーンに含まれるペクチンは、腸内にいる細菌の種類や数を良好に保ったり、便通を改善したりする作用が明らかにされています。

また、天然の甘味成分であるソルビトールも含まれ、便の水分量を増やし柔らかくする事により、便通を良くする働きがあります。