緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2022/08/09

夏の七草食用とは思えない植物 No.586 

 夏の七草

「夏の七草」には雑草とされ、畑や空き地などに育つもの、水辺で育つものの2組の種類がある。


雑草とされるものは1945年6月に日本学術振興会学術部、野生植物活用研究小委員会が定めた「食べられる7種の植物」

アカザ、イノコヅチ、ヒユ、スベリヒユ、シロツメクサ、ヒメジョオン、ツユクサの7種です。

この7種は、戦時中の焼け跡にも生える植物で、食糧の不足する中で食べられる植物として選ばれたものです。


アカザはアカザ科の一年草で、畑の縁や空き地などに多い代表的な夏の雑草です。


          「アカザ」

日本固有種で、秋田県及び宮城県以南の本州、四国、九州に分布するが、関東以北の太平洋側には少ない。

同じアカザ科のほうれん草と仲間でよく似た味がする。

シュウ酸を多く含むため生食には適さない。

多量に食べるのは避けたほうが良いとされる。


✪アカザの薬効
日本では生薬名はありませんが、中国では薬物名として藜(れい)と呼んでいます。

のどの痛みや整腸の民間薬として、アカザの全草が用いられるがシロザは薬用に用いない。

また、生薬の搾り汁は毒虫などに刺されたときに塗ると痛みが止まるとされ、歯痛に生葉の汁をガーゼに含んで噛んでいると良いと言われている。

腸、皮膚、歯肉の熱を冷ます薬草であるが、妊婦や胃腸が冷えやすい人への使用は禁物とされています。


イノコヅチはヒユ科イノコヅチ属の多年草


        「イノコヅチ」


日の当たらない場所にも生え、庭や空き地に生育する。

茎は丸くなく角ばっている。

種子は動物の毛や人の衣服に付着して遠くまで運ばれる。

食べられるのは若い葉で、根を乾燥させたものは牛膝(ごしつ)という生薬として使われます。



ヒユはヒユ科双子葉植物の分類群(全草)


         「スベリヒユ」


ヒユはインド原産の植物で、中国などでは野菜として畑で栽培され、葉を茹でると食用になります。

空き地や道端に育つ雑草ですが、ほとんど見かけることがない。


スベリヒユはスベリヒユ科の一年草(ハーブ)


         「スベリヒユ」


道端や畑、空き地などに枝分かれして地面を這うように育つ植物。

乾燥に強く、強い太陽の光や高温にも負けずに育ち、小さな肉厚の葉っぱが特徴。

多肉植物でもあるスベリヒユは、日本全土だけでなく世界中の温暖から熱帯地域に分布している。

世界的にも古くから食用にされていて、様々な効能がある植物として扱われてきた。


「スベリ」とは、葉っぱや茎にツルツル滑るような光沢があることに由来する。

また、茹でるとヌルヌルと滑るような粘液が出るからとも言われています。


茎は赤紫色を帯び、夏に5弁の鮮やかな黄色の花を咲かせる。


✪スベリヒユの効能
中国医学では薬草として知られ、天然の抗生物質とも呼ばれています。

解熱、咳止め、止血、鎮痛、整腸、湿疹、虫刺され、皮膚炎、抗菌などに昔から使われてきた。


シロツメクサはマメ科の多年草


        「シロツメクサ」


クローバーの名で知られる。

シロツメクサはヨーロッパ原産の植物で、牧草として利用される。

江戸時代にオランダからガラスの器や装飾品などの輸入品を運ぶ際に、割れないように草を乾燥させて詰めてあったことが「詰め草」の由来とされる。

花が白いことからシロツメクサの名がついた。

おひたし、和え物、汁の具、お団子などに利用される。

✪シロツメクサの効能
利尿、咳止め

✪ムラサキツメクサ
咳止め、肌荒れ、湿疹、かゆみ、アトピーなどの皮膚疾患


ヒメジョオン キク科ムカシヨモギ属

北アメリカ原産で明治の初めに渡来し、各地に広がった帰化植物


        「ヒメジョオン」


若芽は食用になるが、現在では代表的な雑草です。

よく似たものにハルジオンがありますが、茎が中空で蕾がうなだれるところが、ヒメジョオンとは異なっている。


✪ヒメジョオンの効能
糖尿病の予防やむくみを取る茶材として用いられる。

乾燥した花や葉を混ぜて1日約10gを適量の水で煎じて、お茶のように飲用する。

糖尿病の予防には乾燥した花を粉末にして、1日2gに服用する。

北米では全草を乾燥させて、煎じて利尿剤、結石の除去にも用いられている。


ツユクサはツユクサ科の一年草



         「ツユクサ」


朝早くに露に濡れながら花を咲かせるところからこの名が付いたとされる。

湿度の多い少し日当たりの良いところでは、色の濃いきれいな緑の葉が育ちます。


✪ツユクサの効能
開花期に全草を乾燥させたものが生薬鴨跖草(オウセキソウ)で、煎じたものが解熱、利尿、熱性下痢などに用いられる。

ツユクサは普通の野菜と同じような感覚で使っても大丈夫で、柔らかい葉や茎は生のままサラダにしたり、茹でて和え物やおひたし、煮浸しにしたり、さらに炒め物や酢の物、天ぷらなどで楽しめる。






2022/08/07

朝の果物は金 No,585

 果物消費量が減る一方の日本

朝の果物は金、昼は銀、夜は銅

あるいはもっと時間を細かく区切れば朝の果物は金、昼から3時までは銀、3時から6時までは鉄、6時以降は鉛などとも言われます。

お米を食べてエネルギーを得るためには、お米に含まれるデンプンを消化酵素であるアミラーゼなどで消化して、ブドウ糖に換え、それをもとにエネルギーを得ます。


『アミラーゼはジアスターゼとも称され、主に膵臓、唾液腺から分泌される消化酵素で、デンプン等の糖質のグルコシド(配糖体)結合を加水分解、あるいは発酵や酵素によって分解されると✪グルコース=ブドウ糖が生じる』

ところが、果物には多くのブドウ糖が含まれているので、素早くエネルギーを得ることが可能です。

同じように、果糖からもエネルギーを素早く得ることができます。

果物から朝活動のためのエネルギーが容易に得られると言う事です。

✪グルコース(ブドウ糖)とは

太陽光からのエネルギーを使って、水と二酸化炭素から光合成によって作られる。

グルコースは細胞呼吸のための最も重要なエネルギー源である。

ブドウ糖はブドウの中から見つかったのでそう呼ばれる。


果物に含まれるクエン酸やリンゴ酸、酒石酸などの『有機酸』と呼ばれるものは、果物の酸味を感じさせる物質で、脳や身体を活性化してくれます。

つまり、朝起きて「爽やかになりたい」という気持ちを満たしてくれると言うことです。

また果物には、腸を刺激する作用の強い食物繊維が多く含まれています。

ビタミンやミネラルなども含まれています。

紫外線に当たることで発生する、活性酸素を除去するために必要な抗酸化物質は、果物に多く含まれています。


これはビタミンCやビタミンE、赤い色素のアントシアニンや黄色の色素カロテノイドなどです。

空腹の朝には、多くのビタミン、ポリフェノール、カロテノイド、カリウムなどのミネラルを含んだバランスの取れた果物の栄養が健康に良いのです。

体内の水分も不足気味になっている朝、水分含量の多い果物は役に立つと言えるでしょう。


1日に果物200グラム運動「食生活推進全国協議会」という運動がありますが、日本人の果物摂食量は世界と比べてもとても少ない。


国連食糧農業機関(FAO)によると、日本の果物消費量は1人当たり1日約150㌘ですが、これは2003年のデータであり、現在ではこれよりも深刻な状況になっています。


   ✪2003年世界の果物消費量


最近では2019年で世界の平均が79.35㌘に対し、日本は33.35㌘です。

このことから、日本ではほとんど果物を食べなくなったことが伺い知れます。






世界消費量トップのドミニカの十分の1にも満たない数値です。

果物を食べなくなった日本人


日本で最も果物が消費されたのは1975年の193.5㌘とされています。


毎日摂らない理由として挙げられるのが、値段が高い、日持ちがせず買い置きできない。

皮を剥く手間がかかるなどが原因とされています。


果実の需要と消費は、健康に影響するだけでなく、国内のフルーツ産業の縮小にも繋がっています。

益々、日本国内の農作物産業は自給率をさげ、あらゆる食糧を海外に依存しなければならない時代が来ることを、避けられないかも知れません。









2022/08/05

アカマツの葉に茶色の斑点 No,584

 マツノモグリカイガラムシの被害

部分的に枯れたり、触るとぼろぼろと砕ける。

白い粉状のものが付着する部分もある。

特に樹木の半分より下の枝葉の状態が悪く、マツヤニもほとんど出ていない。

原因としてマツノモグリカイガラムシ被害によるものと考えられます。

アカマツ、クロマツに寄生し、被害が大きい。

カイガラムシは新梢の葉に潜り込んで吸汁し、その付近には白い綿状のものを付着します。




高温乾燥の続く夏場は急激に被害が増加すると考えられます。

近畿地方の観察では年1回の発生であるように見られるが、記録では年2回というものもある。

幼虫のまま樹皮下で越冬し、4月から5月頃に成虫が発生する。

貝殻を持たないブヨブヨした体なので一見してカイガラムシのようには見えない。

オスはメスとは全く異なり、オスは小さく有翅=ゆうし、ハネをもつ。

メスは赤褐色で脚があり樹幹上を自由に這い回り、交尾の後も適当な樹皮の割れ目を見つけると、潜り込んで白い綿状の卵のう(袋)をふく。


枝枯れが進行すると枯死することもあるので、薬剤防除が必要になります。

幼虫が卵から孵化した直後の5月から6月にスミチオン、スプラサイドなどを数回散布すれば、かなり効果が期待できるが、実験結果ではジメトエートの効果が高いとされる。

虫体が見つけにくいため被害が先行する。

防除が手遅れになりやすいので注意が必要である。

褐変、枯死した枝や葉のヤニがなくなり、カサカサになる症状からマツクイムシの被害も考えられます。

マツクイムシの場合は、夏の終わり頃から兆候が見え始め、見る見るうちに真っ赤になってしまいます。

枝を折るとボキッと折れ、ヤニが出ない。

先端の新葉が枯れている状態になります。

樹木は衰弱すると病害虫の被害を受けやすくなるので、元気な樹勢を保つことが基本となります。

害虫防除を定期的に行い、冬期に堆肥などの有機質肥料を施すことも大切です。






2022/08/03

暮らしの中に小さな苔玉、盆栽を No,583

 ミニ盆栽と苔玉


小さな一鉢の植物は、私たちを元気にしてくれるそんな力を持っています。

窓辺に置いた小さな鉢植えの植物が疲れた心を癒やしてくれる。

植物たちのなかでも、草や木の小さな盆栽や苔玉は鉢花とは一味違う魅力を持っています。


素朴な美しさ、不思議な懐かしさがあります。

身近に置けば心を和ませ、里山の自然に触れるような優しい気分にしてくれます。

そんな雰囲気を楽しんでる人たちの、苔玉、盆栽を一部紹介いたします。








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盆栽苔玉の会






2022/08/02

カキの実の落果 No,582

 カキが実をつけても落果してしまう

カキの多くは花粉を持っていないので、異品種から花粉を貰わないと正常に着果しません。





種子(タネ)があまり入らなくても一応果実は肥大しますが、種子が十分入ったものに比べると着果が劣り、生理障害を起こしやすくなります。

花粉のある禅寺丸(ぜんじまる)紅柿(べにがき)などをを植えると良いでしょう。

カキ農家では必ず混植をしています。

ヘタにつく害虫による落果(5月〜9月に発生)
カキの大害虫であるカキノヘタ厶シ(蛾)の被害も考えられます。

パダンSG水溶液1500倍液を、6月中旬と8月上旬に各1回散布します。

実の中に食入すると薬剤の効果を期待できないので、早めにオルトラン水和剤、モスピラン液剤などを散布します。

また、8月下旬の剪定は樹勢を乱す原因になるので避けましょう。






2022/08/01

栗の実の異常 No,581

 栗の実が杓子状(しゃくしじょう)で皮が異常に厚く、正常な実にならない。



✪杓子状とは栗に実が入らない状態で杓子栗と言う。







原因は正常に受精しなかったためと考えられます。

クリは自分の花粉では実入りが悪くなります。

異品種の花粉を貰わないと正常に結実しません。

クリの産地では必ず3〜4品種以上を混植しています。

クリは植えてから2〜3年で開花し、受粉の役に立ちます。

花粉は風によって150㍍まで飛ぶことが知られていますが、その花粉量はわずかです。

花粉の有効とする飛散距離は10㍍とされているので、混色する際にはこのことを参考にし植え付けると良いでしょう。



❄栗関連ブログ
クリ市野々の栗 No,519
クリ(栗) No,164