緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2023/06/19

小さな苗木 No,646

 挿し木や種まき苗木


     「黒松、種まき苗木」



   「キャラボクの挿し木苗」



    「ハイネズの挿し木苗」



    「キャラボクの挿し木苗」



   「ハクチョウゲの挿し木苗」



  「ピラカンサ(ス)の種まき苗木」



    「イヌツゲの挿し木苗」


小さな苗木は苔玉にしたり、浅鉢などの小品盆栽に利用します。

なかなか小さな苗木は手に入りにくいものです。


自分好みの仕立てが出来るので、小さな苗木もあると便利です。

他にも寄せ植えなどにも利用することも出来ます。


ある程度の大きさまで育つのには数年が必要です。


流通するまではとても手間がかかっているのです。


大切に育てたいものですね。


★残念ながら、我が家の小さな苗木は貰い手もいません。









2023/06/16

剪定、管理の基礎知識 No,645

 樹木生育のサイクル

剪定、管理は樹木の健康を保ち生育を促すと同時に、庭木を適度な樹形、大きさに保つと言う目的があります。

樹木が生育していく過程をよく理解し、適切な時期に適切な方法で剪定、管理を行うことが大切です。

また、樹木が四季を通じてどんな生育サイクルを持っているのか、幼木から成木へと成長していく過程はどのようになっているのかを知る必要があります。


樹木の状態診断

剪定、管理を行う際には、個々の樹木の健康状態を明確に診断することが大切です。

一般的には葉の艶や密度、枝の張り具合、冬の落葉期なら芽の充実度などから、健康状態をチェックすることができます。


また、病害虫の発生しやすい時期にはこまめに葉や枝を調べ、すでに病害虫のあるものは速やかに処理するなどの対策が重要になります。


一年間の生育サイクル

①冬の11月~3月頃にかけて養分が最も多く蓄えられる時期です。

この時期に蓄える養分は主に樹木の幹に集まり、枝や葉には余りありません。

そのため、落葉樹は紅葉したり、やがて葉を落として枝だけの姿になります。

常緑樹も葉の色が多少やわらかくなり、生長が止まったり鈍くなったりします。

この状態で春を待つので一般に「休眠期」と言われています。


    「樹木の生育サイクル」

②4月~7月頃にかけて、冬に蓄えていた養分が幹から枝葉に行き渡り、新しい芽や葉、枝の生育のために消費され、次第に養分が少なくなっていきます。


この時期は一般に「生長期」といいますが、6月~7月頃になると一旦止まります。

「新芽がかたまる」というのはこの時期の状態を指します。


③8月~10月頃にかけて、成熟した葉によってたくさんの養分が作られ、翌春の生育のために蓄えられていきます。

外からはわかりませんが、この時期の樹木は最も充実している状態で、一般に「充実期」と言われています。


このように樹木の一年の生育サイクルは大きく3つの時期に分けられます。


晩秋から冬になると翌年の生長に備えて養分が幹に集中して、再び休眠期を迎え、毎年繰り返しながら樹木は生長している。









2023/06/15

土壌溶液 No,644

 土壌溶液の重要性

土壌粒子間の微細隙間に保持されている土壌水は、他の天然水と同様に純水ではなく、さまざまな溶質を溶解している。

そのため、土壌水の溶質★組成について論ずるときには、特にそれを土壌溶液と呼ぶ習慣となっている。

★組成(そせい)とは、いくつかの要素、成分によってひとつのものを組み立てること、またその組み立て。

陸上の植物は炭素、水素、酸素以外の必須元素(17種類)の大部分を土壌溶液から吸収している。

★有害重金属について

土壌に投入された有害重金属は水銀、鉛、カドミウムなど

重金属類の汚染源は鉱山、精錬所(せいれんじょ)メッキ工場、清掃工場の排水及び排煙があげられる。


また、一般に重金属汚染は汚染源に近いほど汚染度は高く、汚染された重金属の大部分は作土に含まれており、下層には少ない。


汚染された重金属は半永久的に、土壌に残留するなどの特徴がある。


♣重金属土壌汚染とは

水田や畑などの農耕地土壌に、人の健康に対して有害な重金属類が蓄積し、農作物の生育に障害が発生し、収穫量が減少するなどの被害が発生することを言う。

土壌を汚染する重金属元素類は、カドミウム、銅、亜鉛、鉛、ニッケル、クロム、水銀、ヒ素、セレン、アンチモンなどである。

ここで言う重金属とは密度が高く、主として★周期律表で★遷移元素に属する金属とその★イオンを示す。

★周期律表(元素周期表)とは、性質の類似した元素が縦に並ぶように決められた規則(周期律)に従って配列した表を周期(律)表という。


        「元素周期表」


★遷移(せんい)元素は周期表の真ん中ぐらい(第3族元素から第12族元素)の間に存在する金属元素の総称である。


★イオンとは、原子が電子を得たり、失ったりして電気を帯びたもの。


いくつかの元素は普通の土壌には比較的少量しか存在しないが、植物の生育には不可欠であることから、農業上微量元素と呼ばれている。


陸上では、降水の相当部分は土壌溶液として土壌粒子のすき間にいったん貯留され、その一部は徐々に移動して河川水や地下水と合流する。


こうして土壌溶液の化学組成は、その他の天然水の組成にも影響する。






2023/06/12

土の中の養分、塩分を調べる No,643

 器具を使って調べる


土壌EC測定器(電気伝導度測定器)を使うと、土の中に含まれている植物が使うことのできる養分の量、植物の水分、養分吸収の邪魔をする塩分の濃度が分かります。


つまり、この測定で肥料不足や濃度障害が分かります。


ここで言う塩分とは食塩(塩化ナトリウム)というより、塩類(余分な肥料分、栄養分)のことです。







◉濃度障害

土に塩類が溜まることで植物に起こる障害

土に塩が溜まってくると、ほとんどの植物は水分を吸えなくなったり、養分、特にカルシウムを吸収できなくなります。

その結果、生育不良に陥ったり、つる割れ病などの障害が起き、ひどい場合は塩に水分を吸いとられて枯れてしまいます。

★つる割れ病はウリ類のキュウリ、スイカ、メロン、マクワウリなどで、根本に暗緑色の病斑ができ、赤いヤニが出て根が腐る。

土壌中の糸状菌の一種によって引き起こされ、種芋で伝染する。★


雨の少ない乾燥地では、蒸発の方が多いので土の中の水は上に動きます。(上昇型環境地)


   「乾燥地でのイメージ図」

しかも、洗い流されることのない塩分が多量に土の中に溜まってしまいます。

「塩辛い土」は地球規模で進む砂漠化の原因のひとつとされる重大な問題です。


雨の多い日本では、土の中の水は下に動く(下降型環境地)ので、深刻な濃度障害は自然状態では起こりませんが、雨の影響を受けないハウス栽培では問題となります。


また、乾燥しやすい夏に肥料をやり過ぎると、濃度障害が起きることがあります。


★土壌成分分析には、高価な土壌簡易検定器が市販されています。

簡単にリン酸の検定やカリウムの検定等が出来るようになっています。

しかし重要なことは、むやみに肥料を施さないこと、堆肥のつもりでやたらにゴミを埋めないことの方が大切なことです。










2023/06/11

土を見て調べる No,642

 地形からわかること

①台地土壌

平らな高地(平地より400㍍程度高い)で、洪積台地と火山性台地がある。

洪積台地(こうせきだいち)

約二百万年前から約一万年前までに堆積作用によって形成された、平坦地が隆起してできた地形。

洪積台地は千葉県北部及び茨城県南部一帯に広がり、埼玉県東端にかかる関東ローム層からなる台地です。

日本では隆起した扇状地、三角州、海岸平野などを洪積台地と呼ぶ場合が多い。


一般に洪積台地が赤黄色土で、火山性台地が黒ボク土の土壌です。


赤色土、黄色土は西日本に分布が広く、粘土が多く養分は乏しい酸性の土で、色は酸化鉄によるものです。

火山性台地

火砕流が流れた跡に残される火砕流堆積物からなる台地で、台地面は極めて平坦かつ緩傾斜、縁は急崖(きゅうがい)をなすことが多い。

黒ボク土は火山が多い関東以北、九州地方に分布している。

火山灰が降り積もってできた土で、表層は腐植が多く黒色。

酸性でリン酸を固定しやすい土です。


②段丘(だんきゅう)段丘礫層(だんきゅうれきそう)

河川の沿岸や海岸に発達した平らな土地で、土性(粘着性)は砂質で下層は礫層です。

礫層とは、流れる水の働きによって最近運ばれてきた土砂からなる新しい地層です。

礫(れき、つぶて)は小さい石、小石で、砂、ゴマ粒より大きく、握りこぶし大程度までの大きさの石とされる。

排水が良すぎて乾燥被害の起きやすい土壌です。


③扇状地土壌

一般的に砂質と礫質の土壌ですが、下流ほど土性は細かくなります。

上流ほど排水が良すぎて、干ばつ被害の起きやすい土壌です。

日本の土壌分布と土

山地

褐色森林土は日本の山地の大部分を占める酸性の土

表層は暗褐色から黒色で腐植を多く含む。

下層は褐色で礫を含み、孔隙(こうげき)も多く保水力がある。

孔隙とは土や岩石に含まれている小さな穴、すき間のこと

ポドゾル
表層のすぐ下に真っ白な漂白層をもつ、ミネラルが極端に欠乏した貧しい土。

ポドゾルは元々ロシアの「podzol」に由来し、次表層部分に灰色の層があることを意味している。

日本では高山帯や一部の砂丘地などにしか見られないが、ロシア、カナダなどの寒冷気候下に広く分布する主要土壌の1つとなっている。


         「ポドゾル」

低地

グライ土
湿った環境でできる土で青灰色

常に地下水面が地表近くにある低湿な沖積地の土壌
で、日本では大部分が水田地帯になっている。

沖積地(ちゅうせきち)は主に河川による堆積作用によって形成される地形。


灰色低地土
主に水田に利用されている土

褐色低地土
水はけの良い所に分布している。

泥炭土
排水の悪い窪地に分布する。







2023/06/10

土壌、土質の診断と対策 No,641

 土壌、土質の適応力

地域の気候に適応した樹木でも、土との相性が合っていなければ順調に育つことはできません。

すでに★成木になった樹木では、ほとんど問題はありませんが、苗木の植え付けや移植に当たっては土質をチェックすることが大切となります。


★成木(せいぼく)とは樹木が生長すること、生長した樹木のこと

造形樹の様々な技術を生かして、健康で美しい樹形を作り上げるためにまず、土質を改良することが最初になります。


土層と土質

樹木が生育している土壌は通常、溶脱層、集積層、母材層の3つからできており、その表面は動植物の残骸が風化してできた有機物質の薄い地表(有機物層)で覆われています。

(A図参照)


「A図」

地表から30~50㎝の深さの溶脱層は、植物の栄養分となる有機物を多く含む黒、黒褐色の土です。

根が地表近くの浅い部分を横に広がるように伸びていく、浅根性樹木(桜など)の根の大半はこの地層に広がっています。

地表から50~80㎝の集積層は、粘土質と上層から分解されずに落ちてきた有機物質を含む褐色の土で、溶脱層ほどではないが植物の育成に必要な養分を含んでいます。


根を地中深く伸ばしていく、深根性樹木の主根はこの地層まで達します。

母材層の地層は無風化の岩石層で、樹木の生育と直接の関係はないとされています。


樹木の生育にとって最も重要なのは溶脱層です。

従って、樹木にとっては有機物質を多く含む、厚い溶脱層を持ち、養分に富んでいる土質が好ましく、地表から30~50㎝の土壌管理が重要となります。


土の色からわかること

★黒色

黒は腐植の色です。

黒々とした火山灰土は関東地方に多い土ですが、日本各地で見ることができます。

この土はこのままでは酸性度が強く、リン酸の欠乏した土です。

有機質の多い黒い土が肥えた良い土だとは限りませんが、保水力があり、通気性も良い土なので、効率的な施肥によって畑に利用されている土です。


★褐色、赤色、黄色

これらの色はすべて鉄分の色で、土の成分である水酸化鉄や酸化鉄の結晶構造によって色が変わります。

酸化鉄の多いときは赤色が強くなります。

赤色の土は一般に粘土が多く保水性はありますが、通気性は悪く弱酸性でリン酸も欠乏しています。


★青灰色

これは二価鉄の色です。

二価鉄とは、酸素が不足した状態の土壌中で多く生じる成分で、最も湿った環境下でできる水はけの悪い土です。

土を1㍍掘ったときに、この土壌にぶつかってしまったら要注意です。

傾斜をつけて雨水を流れやすくしたり、土管や排水用のチューブを埋めるなどして、排水対策を行う必要があります。


★灰色

酸化鉄が少ない事を示す土壌で、砂質の土では土の中の養分も少ない土です。

酸化鉄とは、鉄の酸化物の総称で鉄が錆びた物質です。

同じ灰色でも、粘土質の場合なら保肥力や保水力のある比較的良い土と考えられます。