緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2023/11/23

ジンチョウゲが萎れて枯れる No,676

ジンチョウゲが萎れて枯れる原因

ジンチョウゲが徐々に生気を失って萎れて枯れる。

根を掘ってみると、根や根冠部に褐色や紫褐色の菌糸の束が膜状に広がっている。

病気になった部分は腐って乾き固くなっている。

この病気は紫紋羽病(むらさきもんぱびょう)です。

病原菌は担子菌類の一種で、土壌中で生活していて植物の根に被害をもたらす。

発病は根に糸状または、ひも状の菌糸が網目状に絡みつくことから始まります。




防除

森林を開墾して、数年しか経過していないような場所で発生しやすい病気です。

堆肥は完熟したものを土壌に混ぜ込み、小枝や葉などをそのまま入れないようにします。

病気の株は抜き取って焼却処分し、その後にダゾメット粉粒剤で土壌を消毒します。

発病初期ならトップジンМ水和剤1000倍液を灌注します。

✪灌注(かんちゅう)とは、薬液が植物の根から吸収されることにより、有効成分が植物全体に行き渡り効果を発揮する処方法です。

薬液を土壌に注ぎ吸収されることで、また散布と違って展着剤は必要としません。


株を植える前にコブトール、コブナックスなどを土に混ぜておくと効果的です。

被害のでた土壌にイネ科の植物を何年か栽培すると、病菌は自然消滅します。









2023/11/17

ナンテンの花が腐って落花する No,675

 花が腐って落花する原因

ナンテンの花が褐色に変色し、腐って枯れる。

しばらくすると花柄まで褐色になり、腐って枯れる。

さらに、葉柄が腐敗しそこから上に病気が進んで、一番上の葉も腐っていって枯れてしまった。

果実も褐色に変色し、赤くならないうちに枯れてぼろぼろ落果、病気の果実は小さくしなびた状態となる。

この病気は「実腐れ病」で、花、花柄、葉柄に発生します。

病原菌はカビの一種と思われますが、はっきりしません。

発生する時期は年によって変化しますが、大体6月中旬から発生し始めて、7月に急速に病気が進みます。

雨が多い年は病気が発生しやすい傾向があります。






✪防除

病気になった芽や果実は集めて焼却処分

薬剤は病気が発生する前の4月〜8月にかけて、1週間から10日おきにトップジンМ水和剤500倍液に、展着剤を加えて散布すると予防効果があります。


❉ナンテン関連ブログ
ナンテン(南天)No,94
ナンテンの実つきが悪いNo,67








2023/11/11

アジサイの花が変化 No,674

 アジサイの花が変化する原因

アジサイの花に、小さな淡褐色の斑点が現れたと思ったら、そのうち斑点のできた花びら全体が褐色に変色して枯れてしまった。

その後、枯れた花びらの上に粉のようなカビが発生した。

この病気は花に発生する「灰色かび病」です。

粉状のカビは病原菌の分生胞子が、雨や風で周りに飛び散って伝染します。

このカビはウドン粉病などと違って、枯れた植物にも寄生できて、そこからも病気が拡がります。


アジサイは灰色かび病に強い品種と弱い品種があります。

弱い品種にこの病気が発生すると、花の寿命は短くなってしまいます。






防除
花の咲く直前にロニラン水和剤1500倍液、またはロブラール水和剤1000倍液のどちらかを、月に2回〜3回散布すると予防できます。

病気にかかった花や葉を見つけたら摘み取って、焼却処分します。

多湿を好むので水やり過ぎに注意し、せん定して風通しを良くします。

チッソ肥料を与えすぎると株が軟弱に育ち、病気にかかりやすくなるので注意が必要です。









2023/11/08

ツバキの葉に斑点が発生 No,673

 ツバキの葉に発生する灰そ病

ツバキの葉や果実、若い枝などに斑点が発生

斑点は葉の縁の方からできています。

形は円形か崩れた円形で、最初のうち淡い緑色の斑点で、しばらくすると斑点の色は赤褐色に変わり、更に褐色になり、最後には周囲が褐色で中心部が灰色の斑点に変化し、古い病斑の上に黒い微粒子ができます。

これは灰そ病です。




病原菌は子のう菌の一種で、黒い微粒子は病原菌の分生胞子及び、子のう殻(胞子を作る容器)です。

雨が降ったあとや湿度が高いときに、この黒い粒から鮭肉色(けいにくしょく)の粘液(胞子粘塊=ほうしねんかい)を出します。

梅雨の6月から七月、秋の長雨が続く9月から10月頃に多発します。

この病気の特徴は、樹勢が強いと発病しないで菌は樹幹内に潜伏し、樹勢が弱まったり、日焼けを受けたりすると発病し、病斑を作ることです。

感染経路は、降雨後などに鮭肉色の粘液が虫、風、雨滴などに運ばれ感染します。


治療、防除

発生の多い6月から7月、9月から10月には月に1回〜2回の割合で、ダイセン、マンネブダイセン、ベンレートなどを散布

病気になった部分は切り除いて焼却処分

その後、トップジンМ水和剤1000倍液を1週間おきに数回散布する。

風通しが悪いと病気になりやすいので、せん定して風通しを良くします。

樹勢を弱めると発病するので、寒害、日焼けなどに気をつけ、樹勢を強く保つようにします。

✿ツバキ関連ブログ
椿油と五島うどんのルーツNo,413
ヤブツバキNo,280









2023/11/04

コーヒーの効能 No,672

 コーヒーの効能

コーヒーはアカネ科コーヒー属に属する植物の総称で、主に栽培種を指します。

アラビア種の原産地はエチオピア南西部の高地で、多数の野生種がアフリカ大陸西部から中部、そしてマダガスカル島と周辺諸島にかけて分布しています。

野生のまま放置しておくと10m程度まで生長する。





❉コーヒー100mlに含まれる栄養成分

水分        99.5g
タンパク質       0.2g
脂質          0.1g
カルシウム       0.1g
リン         4㎎
ナトリウム     2.0㎎
カリウム      55㎎ 
ビタミンB2    0.01㎎
ナイアシン     0.3㎎


✪疲労回復

コーヒーに含まれるカフェインは、神経や筋肉を刺激する作用があるので、肉体の疲労を回復される効果があります。

✪コレステロールを下げる働き

コーヒーに含まれるニコチン酸(タバコのニコチンとは別物)は、毎日適量を摂ることでコレステロール値を下げる効果があります。

ニコチン酸の効果によって、心筋梗塞などの心臓病を防ぐ働きがあると言われています。

コレステロールとは、人間の体に存在する脂質の一種で、細胞膜やホルモン、胆汁酸を作る材料となっています。

コレステロールは肝臓で作られ、血液(血管)によって全身に運ばれます。

余分なコレステロールは血液で肝臓に戻ってきます。

コレステロールは、脳や肝臓、神経組織などに多く含まれており、生命維持に欠かせない重要な物質である。


✪善玉コレステロールの増加

コーヒーを飲み続けると、善玉コレステロールの高密度リポタンパクが次第に増加します。

リポタンパク(質)とは、血液中において水に不溶な脂質を、吸収部位や合成部位から利用部位へ、運搬するための複合粒子です。


✪ぜん息の発作を抑えます。

ぜん息の発作は、自律神経の一種である副交感神経が緊張している時に、起こりやすいと言われていますが、コーヒーに含まれるカフェインにより、もう一つの自律神経である交感神経を、興奮させる作用があることが知られています。

これによって副交感神経の働きを抑え、ぜん息の発作を起こりにくくします。

副交感神経とは、自律神経の一種で、臓器や器官などの働きを抑制する神経系です。

主に休息している時に優位に働く自律神経で、血圧を下げたり心拍数を低下させたりするなどの役割を持っています。


✪脂肪を分解します。

コーヒーを飲むと、血液中の脂肪酸が分解されますが、この脂肪酸の元が皮下脂肪などです。

ただし、この分解する働きは砂糖やクリームを混ぜると多少低下するようです。

皮下脂肪はジワジワと増え、減らしにくいのが特徴です。

✿体脂肪率による肥満度
軽度肥満
男性は20%以上
女性は30%以上

中等度肥満
男性は25%以上
女性は35%以上

重度肥満
男性は30%以上
女性は40%以上


✪消化を促進します

カフェインが脳の「迷走神経」を刺激して、胃酸の分泌を盛んにして消化を助けます。

迷走神経とは、感覚神経、運動神経のひとつで、嚥下(えんげ)運動や声帯の運動、耳介(じかい)後方の感覚などに関係する神経で、体内で多数に枝分かれして複雑な経路をとり、胸腔内から腹腔内にまで広く分布している。

耳介とは、皮膚と軟骨からできた頭部の両側に突き出した器官(耳)のこと


✪精神のリラックス効果

コーヒーの香りを嗅ぐと脳から出るα波が増加し、気持ちを落ち着かせる効果があることが分かっています。

ただし、最も精神安定効果があるのは、1日2杯から3杯が適量のようです。

✪コーヒーがなぜがんの予防になるの?

大多数の研究結果として、コーヒー及びお茶の通常範囲の摂取では、いかなる部位でもガンとの優位な関連はないことを示しているとなっている。

これは、1997年に世界がん研究基金発表によるものです。

国立がんセンターの調査、研究によると、肝臓がんと子宮体がんの予防に効果が期待できるとされ、肝臓がんを抑える効果はほぼ確実とされ、子宮体がんは抑える効果は可能性ありと判定されています。

脂肪は酸素と結びついて酸化します。

これによってできた物質が、DNAを刺激して細胞の突然変異が起こり、老化やがんの原因になると言われています。

コーヒーに含まれるクロロゲン酸という物質は、体の中の炎症を抑え、酸化するのを抑える働きがあるとされる。

DNAは生物の遺伝情報(ゲノム)を担う物質で、日本語ではデオキシリボ核酸であるが、DNAと呼ばれることが多い。

ポリフェノールの一種のクロロゲン酸は、コーヒー生豆に多く含まれ、この成分は抗酸化作用のほか、脂肪の蓄積を抑える効果などが知られています。

また、糖尿病や肥満の予防のためのサプリメント等に利用されています。

✪カフェインの作用には注意が必要

飲みすぎると現れる症状

何度もトイレに行きたくなる=利尿作用

不眠症になる=覚醒作用

胃もたれ、吐き気、肌荒れ=胃酸分泌

頭痛、疲労=血圧上昇


✪コーヒーに関連するブログ
コーヒーの木 No,346








2023/11/03

ビロウヤシ No,671

 ビロウヤシ 檳榔、蒲葵

ヤシ科ビロウ属 別名=セイタカビロウ

ビロウヤシはインドネシアなどの熱帯アジアが原産地のヤシ科の常緑樹です。




日本では四国の南部から南に分布し、島や海岸付近の山に生える。

四国、九州では3m程で、大きく育ったものでも5m程だが、亜熱帯では幹は直立して高さ15m程になるが、原産地では30m程の高さまで生長する。


種子は嗜好品(しこうひん)として、噛みタバコに似た使われ方をされ、ビンロウジという場合は通常この種子を指すが、発がん性が指摘されている事から「死の実」とも呼ばれる。

日本への伝来は奈良時代とされ、当時は高級な漢方、薬や染料の材料として使用されたが、庶民まで伝わることはなかったようだ。

寒さに強く、多くの地域で屋外でも越冬可能

成長は非常にゆっくりで、関東では年々数センチくらいです。


直射日光には若干弱い傾向があり、夏に葉焼けすることもあります。

九州地方では街路樹などに利用され、その他に扇や笠に利用する。