緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2020/08/06

ソテツ No.246

ソテツ (蘇鉄)ソテツ科

枯れそうな時、鉄を打ち込むと元気が蘇る、と言う故事からこの名がある。

雌雄異株の常緑樹で、高さは4㍍~10㍍ほどになる。

日本では宮崎県以南の冬でも暖かい海辺に自生する。
幹は直立し、枯死した葉柄の基部に覆われる。

葉は長さが1㍍ほどあり小葉の先は鋭い刺となる。

雄花は円柱形で直立し、雌花は半円形。
ともに茎の先端につく。

果実は赤く熟し光沢がある(花期6月~8月)精子によって受精することを日本人によって発見されました。

原産地=日本南部九州から沖縄、台湾、中国





九州の南の島から沖縄地方の、暖地性の植物なので強い霜や寒さには弱い。

冬の防寒対策をしっかりやれば、北関東ぐらいまで植栽可能。

湿った土は嫌うので、排水のよい日光のよく当たる所で、やや乾燥気味の土を選んで植える。

一度植え付ければ、植え替えなどしないと思われますが、やむを得ず植え替えをする場合は、夏の高温の時期の7月から8月に行います。

また、鉢植えのソテツを購入し、庭に植え替える場合は5月から8月までに行います。


◉ソテツの防寒処理

関東以北では、防寒処理をして越冬させる必要があります。

最も一般的な方法は、ワラなどで幹を巻いて寒さから守る方法です。




①垂れ下がった古い下葉を付け根から切り取ります。

②さらに、全体の3分の1程度を付け根から切り取り、残った葉を上方に引き上げて束ね、シュロ縄などで縛ります。

③束ねた葉をワラなどで巻いて、寒風に直接触れないようにして再び縛ります。

冬期に霜の多い地方では、11月頃から防寒対策をします。

暖かくなる3頃、霜の心配がなくなる頃までその状態を保ちます。

比較的暖かい西日本地域では、ワラは巻かずに葉を上方に引き上げて束ねるだけでも、冬を越すことができます。

◉肥料
原産地では、やせた岩場などにも成育するので、たくさんの肥料を与える必要はありませんが、大株などでは春の葉の出る前の3月から4月に、油粕7と骨粉3ぐらいの割合で混ぜたものを株回りに溝を掘って与えます。

また、成育期に少量の化成肥料を与えてみるのもよいでしょう。


◉せん定幹から直接葉が出るので、特にせん定の必要はありませんが、越冬し温暖な陽気を迎える4月に、新葉の出るのを促すためには、付け根から前年の葉を全部切り落とします。

葉を切り取る場合は、幹の付け根から切除します。

時期は3月、5月から6月

株分けを行う場合は5月から6月までの間に行います。

◆殖やし方
4月から5月に種子を蒔く、発芽は遅い。

★種類
園芸品種に茎や枝が扁平なシシソテツ、白い条入りの葉を持つフイリソテツ、類似種に中国原産のカナンソテツ、台湾原産のタイワンソテツなとがある。






2020/08/04

樹形を乱す枝 No.245

樹形を乱す枝

せん定が必要な枝の名称

庭木の種類は数多くありますが、共通してせん定しなければならない枝に「忌み枝」と言われる、樹形を乱す枝があります。

★忌み枝=(いみえだ)
盆栽用語で樹形の美しさを損なう不要な枝のこと

◆徒長枝(とちょうし)

飛び枝とも呼ばれ、他の枝よりも勢いよく飛び出している長い枝です。

樹形を乱すのでせん定しますが、メインになる枝(主枝)が弱った時などは、代わりの主枝に育てるために、せん定しないでそのまま伸ばすこともあります。

よい位置のものは残して、先を軽く切り止める。

◆立ち枝

垂直に上に向かって伸びている枝で樹形を乱します。

枝元から切り取る。




◆平行枝

ほぼ同じ場所から長さ、太さ、方向が同じように平行に伸びている上下2つの枝です。

一本は不要な枝ですから、全体のバランスを見て悪い枝の方をせん定します。
重なり枝ともいいます。



◆からみ枝(交差枝)

他の枝と接触して、からんでいる枝で枝の混み合う原因になります。

枝元から切り取る。

◆切り枝(交差枝)

主要な幹や枝と交差している枝です。
樹形が不自然になります。

枝元から切り取る。

◆下がり枝

下に向かって飛び出している枝で、樹形を乱します。

枝元から切り取る。

◆胴吹き枝

幹吹きともいい、幹の途中から新たに直接伸び出してくる枝で、勢いが強い場合が多く、樹形を乱したり、その枝の位置より上部の枝の生長を妨げる場合が多い。

枝元から切り取る。



◆ひこばえ(ヤゴ)

ヤゴともいい、樹木の根元や地中から飛び出した小枝でこれを放置していると、主幹の樹勢を衰えされる原因にもなります。

できるだけ枝の付け根から切り取る。


◆車枝

1か所から数本枝分かれして出る枝で樹形を乱します。

一本残して他の枝をもとから切り取る又は、全部切り取る。

◆かんぬき枝

幹のほとんど同じ位置から、左右(前後)に出ている枝。
幹を突き抜けているように見えるので、忌み枝とされます。


◆ふところ枝

樹冠の内部にある弱小な枝で、斜光や通風の妨げとなる。

骨格となる枝を残して枝元から切り取る。

◆逆さ枝

他の枝とまったく逆の方向に伸びている枝。

樹形を乱すので枝元から切り取る。

マツやウメなどでは残すことがある。


✫その他にも枯死した枝、病害虫に冒されている枝はせん定します。






2020/08/03

樹木生育のサイクル No.244

樹木の1年間の生育サイクル

樹木の1年の生育サイクルは、大きく地表3つの時期に分けられます。

①冬の11月~3月頃にかけて養分が最も多く蓄えられる時期です。

ただし、養分は主に樹木の幹に集まり、枝や葉にはあまりありません。

そのため、落葉樹は紅葉したり、やがて葉を落として枝だけの姿になります。

常緑樹も葉の色が多少柔らかくなり、生長がとまったり鈍くなったりします。

この状態で春を待つので、一般に「休眠期」といわれています。


②4月~7月頃にかけては、冬に蓄えられていた養分が幹から枝、葉に行き渡り新しい芽や、葉、枝の生育のために消費され、次第に少なくなっていきます。

この時期は一般に「生長期」といいます。

ただし、6月~7月頃になるとこれらの生育が止まります。

園芸用語で「新芽がかたまる」というのはこの時期の状態を指します。

③8月~10月頃にかけては、成熟した葉によってたくさんの養分が作られ、翌年の生育のために蓄えられていきます。

外からははっきりとはわかりませんが、この時期の樹木は最も充実している状態で、一般に「充実期」といわれています。


晩秋から冬になると、翌年の生長に備えて養分が幹に集中して、再び休眠期を迎えるというわけです。




樹木は毎年、この様なサイクルスポーツセンターを繰り返しながら生長しているのです。






2020/08/02

盆栽の樹形 (2) No.243

主な盆栽の樹形

◉文人木(文人模様)
模様木の変化形で、細い幹、少ない枝数による軽妙で洒落た雰囲気が大きな特徴です。


明治時代の文人墨客=ぶんじんぼつかく(文芸や、書画を生業とする人、又は愛好者)から好まれたことから、文人木の名称があります。

役枝が少なく、幹ぶりも細いことから単調になりやすく、この樹形の風趣を十分に発揮する樹形に仕立てるには、相当の経験が必要とされています。

◉株立ち
根本から多数の幹が立ち上がっている樹形です。



幹の長さや太さに変化があり、それぞれが直立に近い形になっているのが理想とされています。

◉筏吹き(いかだぶき)
自然災害で幹が横倒しになり、枝が新たに幹として生長した様子を表した樹形です。


◉根上がり
樹が大きく地表に露出している樹形です。



強い風雨や波などで、根元の土が洗われて根が地上に顔を出している、樹木の様子を表現しています。

◉寄せ植え
盆栽用語では単に「寄せ」ともいいます。


ひとつの鉢に何本もの木を植えて、群生している様子を表したものです。
同一種を寄せ植えする場合や、複数の樹種や下草まで植えて雑木林の雰囲気を出すものなどもあります。

◉石つき、石抱き
石と樹木を組み合わせて作る盆栽です。

                       ▲石つき

渓谷などの岩上にそそり立つ樹木の様子や、孤島の岩肌に自生する樹木の様子を表現します。

                       ▲石抱き

石のくぼみに木を植え込む方法と、樹木の根を抱え込むようにする方法があり、特に後者を「石抱き」といいます。






盆栽の樹形 (1) No.242

主な盆栽の樹形

基本的には盆栽は、自然の中で生きる樹木の様子を自由な発想で表現するもので、樹形に特別の決まりはありません。

しかし、長い盆栽の歴史の中で、先人たちによって作られた伝統的な樹形があります。


◉直幹
幹が直立している樹形で「立ち木」とも呼ばれます。

         ▶直幹

条件のトトノッタ自然環境の中で、生長した大木をイメージしています。

どっしりとした根張りがポイントになります。

◉斜幹
幹が斜めに傾いてる樹形です。


          ▶斜幹               

海岸の傾斜地などで、強い横風に耐えながら生長した樹木の様子を表現しています。

◉模様木
幹が前後左右に曲がりながら、上に向かって伸びている樹形です。

         ▶模様木             

四季があり、樹木を取り巻く環境が変わる日本では、もっとも馴染みのある樹形といえます。

◉懸崖(けいがん)
断崖絶壁や渓流などで、岩肌にしがみつくようにして、下に向かって幹が伸びている樹木の様子を表現したものです。

                    ▶懸崖、半懸崖

立ち上がりからすぐに幹が大きく曲がり、下方に向かって垂れ下がっていくのが特徴です。

幹の先端が鉢底より垂れ下がっているものを懸崖、鉢底のラインまでで止まっているものを半懸崖といいます。







2020/08/01

盆栽 No.241

盆栽

日本人は昔から心のゆとりを求めて、盆栽を楽しんでいました。

盆栽の歴史は古く、鎌倉時代の文献(春日権現験記絵巻=かすがごんげんきえまき)に盆栽が描かれています。




※鎌倉時代=1185年~1333年
本格的な武家政権による統治が開始した時代です。

鎌倉時代から室町時代にかけて、日本の伝統文化である、茶の湯や能が生まれ、これらとともに盆栽も、公家社会や武家社会へと急速に広まりました。

以来、今日に至るまで日本を代表する文化として、親しまれてきたのです。

盆栽は、マツ類やシンパクなどの針葉樹を用いた、松柏(しょうはく)盆栽と、その他の常緑広葉樹や落葉樹を用いた、雑木(ぞうき)盆栽に分けられます。

雑木盆栽はさらに、樹木のどこを観賞するかによって花物、実物、葉物に分類されています。

◉盆栽の観賞のポイント

★幹(幹ぶり)
幹は盆栽の顔とも言える、樹形の基本を作る上で重要な部分です。

通常、幹は傷のないものが最も良いとされており「丸幹」と呼ばれます。

一方、幹の傷を利用して、観賞の価値を高める物もあります。

幹の一部の樹皮が剥けて、木質部が白骨化しているものを「シャリ幹」または「サバ幹」と呼びます。

また、樹芯(幹の先端)が自然に枯れて白骨化したものは「ジン」と呼びます。

いずれも、風雪や落雷などの自然災害に耐えて育ってきた、老木の趣を表現したものとして珍重されます。

樹木の場合も、樹齢を重ねるほど樹木の持つ趣が深くなります。



★立ち上がり

株元から最初の枝までの部分を「立ち上がり」といい、根張りと並んで、盆栽の大切な観賞ポイントになっています。

株元から力強く立ち上がっていることが、良い盆栽の条件になります。

★コケ順

立ち上がりから先端までの、幹の太さや枝の出ている位置の様子を「コケ順」と言います。

★模様

幹の曲がり具合のことを「模様」と言います。

樹形全体のバランスや美しさは、主に模様のよし悪しできまります

◉根(根張り)

昔から盆栽名木の第一の条件としてあげられるのが根張りです。

根張りとは、地表近くに伸びた側根が、木の生育とともに地表に露出してきたものを言います。

一般に、太い側根が四方に平均して力強く張り出し、大地を抱え込むように根付いているものが、良い根張りとされています。

★枝(枝ぶり)

枝は幹とともに樹形全体の印象を決定づけます。

枝ので出によって盆栽の表情が変わるからです。

枝の大小や向きに関係なく、幹の下(根元に近い部分)の枝から上に向かって順に一の枝、二の枝、三の枝と呼びます。

また、樹形を整える上で必要な枝を「役枝」樹形を整えるのを妨げる枝を「忌み枝」といい、仕立てる過程で忌み枝は切り落としていきます。



★さし枝
ひときわ長く大きく出た、樹形に変化、表情を与えるメインの枝です。

やや下向きに張り出すのが一般的です。

さし枝をどの位置にもってくるかは、樹形全体のバランスで決まります。

★受け枝
返し枝ともいわれ、さし枝の反対側から出ていて、これを受けている感じで、バランスをとっている枝です。

★落ち枝
幹の中程か、それより上辺りから下方に向かって、落ち込むように垂れている枝です。


強風などの厳しい自然環境に、耐えながら生育してきた様子を表現します。

★食いつき枝
他の枝より特に短く、樹冠にくっつくように出ている枝です。

枝配りに変化をつけ、樹形に深みを与える効果があります。

★後ろ枝
二の枝、三の枝辺りの裏側から出ている枝で、樹形に奥行きを与えます。