緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2021/04/24

アスナロ No,445

 アスナロ ヒノキ科 常緑針葉高木

「翌檜」

別名=ヒバ、アテ

原産地=日本(本州、四国、九州の山地)

通説では「明日は檜になろう」の意味とされているが、古くは阿須檜(あすひ)または当檜(あてひ)と呼ばれていた。

「ヒ」はヒノキの意味である。
葉の厚い檜、気品の高い檜という意味だとも言われる。

学名の「ショプシス」はクロベ属に似ているという意味だともいわれている。

樹幹は直立し、大きいものは高さ40㍍直径1㍍にもなる。
針葉樹の中では最も耐陰性が高いとされる。

葉裏には幅の広い白い気孔帯があり、針葉樹の中では一番目立つ。

花は5月頃に咲き、球果は10月頃に褐色に熟す。


                             「馬曲七曲のアスナロ」

生育環境

適度に湿気を含んだ肥沃な土壌が適している。
陰樹なのであまり日当たりの良い場所は適さない。

肥料

油かす、鶏ふん、化成肥料などの寒肥を施す。

病害

てんぐ巣病が発生する。
病枝をせん定除去し、風を通しをよくする。

殖やし方

挿し木が最も一般的です。
実生や接ぎ木でも殖やせます。
接ぎ木ではクロベ属の台木を使う。


種類

変種に大形で球形の球果を持つヒノキアスナロ

品種に極細の葉で球果の小さいホソバアスナロ

園芸品種には多幹性の低木のヒメアスナロなどがある。


主なアスナロの天然記念物、巨樹

芝原轟口(しばはらとどろぐち)のアスナロ
県指定天然記念物
宮崎県西臼杵郡高千穂町

馬曲七曲(まぐせななまがり)のアスナロ
十島平村指定天然記念物
長野県下高井郡十島平村往郷(馬曲)


岩野辺の大アスナロ
県、市指定天然記念物
兵庫県粟市千種町岩野辺(西播磨)

津軽の名木「十二本ヤス」
市指定天然記念物
青森県五所川原市喜良市字相野山

天照寺のアスナロ
三重県伊賀市霧生2559番地

岩角山のアスナロ
県指定天然記念物
福島県木宮市和田東屋口






2021/04/23

クヌギ No,444

 クヌギ ブナ科  落葉高木

別名=ツルバミ 椚、櫟、橡

原産地=日本(岩手、秋田県以南) 朝鮮半島
東南アジア、中国、ヒマラヤ、台湾

丘陵地や里山に生え高さ15㍍程になる落葉高木で、雑木林を構成する代表的な品種の1つ。

伐採された木材は薪炭材料として、落ち葉は肥料や燃料に使われていた。

現在では椎茸栽培のほだ木(原木)として利用されている。

国木から転訛した名前だとされる。

古名を「ツルバミ」といい、古代には樹皮を染料にしたり、また薬用としても利用された。

切り倒しても株からすぐに萌芽してくるので、常に維持更新されてきた。

よく手入れされた雑木林は、明るく見通しもよく林床には、スミレ類やリンドウなど多くの草本植物が可憐な花を咲かせる。

薪や炭が使われなくなってからは、雑木林は手入れがされなくなり、笹などが生い茂り、場所によってはゴミ捨て場となっている。

生長は早く、大きくなると高さ30㍍、直径2㍍近くにもなるものがある。

葉は栗の葉に似た細長い楕円形で長さ7〜15cm、葉の先端は鋭く尖る。

実はドングリで球形、翌年10月頃に熟す。




生育環境

陽樹であるので日陰は適さない。
普通の土壌で十分育つが、適湿な肥沃地なら生育は良好となる。

肥料はほとんど必要ない。

クヌギ、コナラの仲間

アベマキ (木靑)

本州以南に自生し、葉はクヌギに似ているが葉裏に毛が密生しているので、クヌギと区別ができる。

西日本では雑木林の代表的な木で、かつては樹皮からコルクを取るめに栽培された。


                                                「アベマキ」

ミズナラ (水楢)

日本各地の山地に自生する。
コナラとよく似ているが、コナラに比べて葉柄がごく短い。

材に多量の水分を含むのでこの名がある。


                                                  「ミズナラ」


カシワ( 柏、槲)

かしわ餅を包むのは柏の葉であるが、古くから食物を盛る炊葉として使われた。

日本各地の山地に自生し、波形の大きな深い鋸歯を持つ葉が特徴である。


                                                   「カシワ」


コナラ( 小楢)

コナラはクヌギと同じくブナ科の落葉高木で、雑木林の代表的な樹種で紅葉は特に美しい。


                                                      「コナラ」

病害虫

うどん粉病、すす病、黄さび病などの病気が発生するが致命的ではない。

害虫はドクガ、コガネムシ類、カミキリムシ類などの発生もあるが致命的な被害はない。


植え付け、移植、せん定時期は2月から3月頃
11月から12月


殖やし方

通常は実生で殖やします。
実は乾燥させないようにし、秋に採り播きをする。

主なクヌギの天然記念物、巨樹

小日向のクヌギ 市指定天然記念物
所在地=長野県安曇野市明科東川手3369

阿弥陀堂のクヌギ 市指定天然記念物
所在地=秋田県大仙市清水字下黒土1281

三之蔵のクヌギ
所在地=山梨県韮崎市穂坂町三之蔵
宮久保のクヌギ 市指定天然記念物
所在地=山梨県韮崎市穂坂町宮久保


大納言塚大クヌギ
奈良県大和郡山市箕山町

淡濃山の大椚
和歌山県広川町山本





2021/04/22

ニシキギ No,443

 ニシキギ ニシキギ科 落葉低木

別名=ヤハズニシキギ  「錦木」

原産地=日本各地、朝鮮半島、中国

紅葉の状態が錦のように色とりどりが美しいことから名付けられた。

山野に生える落葉低木で高さは2㍍ほどになる。
枝にコルク質の翼のようなものがつく特徴ある植物で、翼が出ないものを「コマユミ」と呼ぶ。

庭木や生垣、盆栽にされることが多い。
カミソリノキとも呼ばれるようだが、これは茨城県や栃木県の方言名であるとされる。

5月から6月頃に黄緑色の花をつけ、秋になると紅葉し小さな果実を1〜2個吊り下げ、裂開すると赤い仮種皮に包まれた種子が出る。

土壌を選ばず日陰地も強く生育する。

せん定にも耐えるので生垣や高木の下木等に用いられる。




生育環境

丈夫な木であるのでどこでもよく育つ。
移植は10月から11月と3月から4月が適している。

細根が多いので活着も良い。

肥料

あまり必要としませんが与える場合は、堆肥や油かすなどの有機質肥料を寒肥として与える。

病害虫

ハマキムシ、カイガラムシが発生しやすいのでカルホス乳剤や石灰硫黄合剤で駆除する。


せん定

せん定、整姿時期は11月から2月
あまり多く枝分かれしないので、3月下旬に間引きせん定をする程度で良い。

生垣にした場合は、落葉後に刈り込むがこの場合、花実は期待できません。

花実や紅葉を楽しむなら、日中よく日が当たり夜間冷涼な所であればよく紅葉する。






2021/04/21

ハゼノキ No,442

 ハゼノキ ウルシ科 落葉高木

別名=リュウキュウハゼ、ロウノキ「櫨の木」
原産地=中国、ヒマラヤ地方

日本 (関東以西)四国、九州、沖縄に分布

ハゼノキは中国から沖縄を経て渡来したので、リュウキュウハゼという別名がある。

日本で昔からハゼと呼んでいるのは、現在ヤマハゼと呼ばれるもので、日本原産のやや小形の木で葉や若葉に毛があることで区別される。

果実から蝋(ロウ)を採るのでロウノキともいう。

山の尾根や傾斜地、沿海の山野に生え高さは10㍍ほどになる。

本来の分布は四国、九州、沖縄だが蝋を採取するために各地で植えられ、それが野生化している。

ヤマハゼに大変よく似ているが、こちらは葉や枝が無毛なのが特徴である。

6月頃に黄緑色の小さな花を多数咲かせる。
葉は無毛なので触るとツルッとしている。

秋には美しく紅葉し、庭園や山野を彩る。



生育環境

水はけがよく日当たりのよい温暖地に植える。
丈夫な木なので栽培は容易である。

生育も早く3年から4年で結実し、特に土壌も選ばない。

病害虫はほとんど発生しない。

肥料

油かす、鶏ふん、堆肥などの有機質肥料に化成肥料を加えて寒肥として施す。

植え付け、移植時期は2月から3月頃と10月から11月
せん定の時期は11月から3月

殖やし方

実生と挿し木で殖やします。
実生は発芽処理を行ってから播く。






2021/04/20

ウルシ No,441

 ウルシ ウルシ科 落葉高木

原産地=中国、インド 「漆」

ウルシはかなり古い時代に中国から渡来した落葉高木で、日本の山地に自生しているウルシは、漆塗りに用いる事ができない「ヤマウルシ」と呼ばれ区別されている。

縄文時代の最も古い時期には日本列島にウルシの木が自生していたとされ、その歴史は9000年前に遡り、縄文時代の遺跡から漆を塗った容器が出土しています。

樹高は10㍍以上になり、5月から6月頃、黄緑色の花をつける。

毒性が強く、この木に触れたり近づくだけでもウルシオールという成分により、アレルギー反応が生じかぶれることがある。

接触後、数時間から1日〜2日後に遅れて発症することが多く、かぶれた後に発赤(ほっせき)し、激痛を伴う場合がある。

「ツタウルシ」という種の方がかぶれの成分が強い。

ウルシは毒性が強い事から、ウルシ液を採取する以外、庭木や公園樹のように一般に植えられる事はありません。

秋の紅葉は美しいが、山歩きなどでは不用意に触らないことです。




樹液から採取されるウルシ液は、良質の漆器用の塗料として古くから使われてきました。

中国には300万本以上のウルシの木が生育している。

日本では、漆採取のため全国に栽培が広がっていた時代もあったが、ウルシ液生産の減少とともに植栽地も減少し、現在では限られた地方でしかウルシ畑を見ることができない。

ウルシロウは木蝋とともに日本古来の天然ワックスで日常の灯明、神仏事には欠かせないロウソクの原料として珍重されてきました。

ウルシの果実の果肉部分に含まれる油脂が、ウルシロウの主成分でモクロウ(ハゼロウ)と非常に酷似している。

ウルシの実から採れるロウはハゼノキのものより良質です。

果実から抽出したままのオリーブ色のウルシロウを✫天日ざらししたものを白蝋と呼び、これは酸化され非常に✭povが高まり、臭気も強いものです。

現在は天日ざらしではなく他の方法で脱色、脱臭がなされている。

✫天日ざらしとは、日干しのことで、河原や草原などの上に麻布などをひろげ、時々水をかけて日にさらして漂白する原始的な漂白法です。

✭povとは過酸化物価のことで、食品に含まれる油脂が空気中の酸素により酸化し、生成した過酸化脂質の量を測定するのが過酸化物価です。
油脂の酸化の度合いを直接示します。

木蝋(もくろう)は主に和蝋燭(わろうそく)
の原料として用いられます。

また、ろうけつ染めのような染色の材料としても用いられます。

生育環境

日当たりの良い肥沃な土地を好みます。
自然のまま育てせん定などは行わない。


肥料

肥料は若干の油かす、鶏ふんなどの有機質肥料や化成肥料を与える。

殖やし方

実生または挿し木で殖やします。
挿し木は5月頃が適します。

実生は発芽処理を必ず行ってから播きます。

時期は3月から4月と10月から11月
果期は10月頃



発芽処理

灰汁、温湯、硫酸処理をしてから播く。

種類

ハグマノキはスモークツリーとも呼ばれ、ウルシ科に属する1種である。

原産地は南ヨーロッパからヒマラヤ山脈や中国北部にかけて分布している。

ウルシほどではないがウルシオールが同じく含まれているため、肌が敏感な人はかぶれるので避けたほうがよい。






2021/04/19

カラタチバナ No,440

 カラタチバナ サクラソウ科

常緑低木 ( 唐橘)

別名=タチバナ、コウジ、タチバナマンリョウ、百両

原産地=日本
(四国、九州、千葉県清澄山)
台湾、中国南部

従来の新エングラー体系、クロンキスト体系によって1997年時点での書物では「ヤブコウジ科」の種とされていました。


✫新エングラー体系は19世紀に提唱された植物分類体系で、クロンキスト体系は1980年代に提唱された被子植物の分類体系である。

1990年代にAPG体系が登場するまでは、最新の分類体系だったが、21世紀の現在では旧分類体系とされる。


小さな赤い実のなるカラタチバナはセンリョウやマンリョウと同じく、縁起木として植えられ、「百両」とも呼ばれる。


江戸時代の一時期には大流行したこともあるとされる。

常緑樹林下のやや薄暗い場所に生える。

高さは大きくなっても1㍍ほどである。

茎は単純で分枝せずに直立し、枝先に常緑の細長い葉が輪生する。

葉の付け根から花柄を伸ばし、7月頃に白い小花を10個ほど下向きに咲かせる。

果実は冬、10月から2月頃に赤く熟し、鳥に食べられなければ翌春まで残る。




生育環境

直射日光を嫌うので半日陰を保てる所が適している。

苗の移植は種をまいてから3ヶ月近くなった頃に行い、成木になってからの移植は3年目毎に行い、どちらもミズゴケを用いる。

植え付け、移植時期は3月から5月頃と8月

肥料

油かすを置肥として5月と9月に施す。

殖やし方

接ぎ木は5月から6月頃に地上30cmの台木に割り接ぐ。

挿し木は6月が適しています。

実生は主に台木を養生するために行う。

✭割り接ぎの方法については、ブログNo,387
割り接ぎ繁殖方法を参照。

種類
上巻鳳凰(あげまきほうおう)
赤麒麟(あかきりん)
富士の雪などと名付けられたものが多種あるが、正確な品種数は不明。