緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2022/08/05

アカマツの葉に茶色の斑点 No,584

 マツノモグリカイガラムシの被害

部分的に枯れたり、触るとぼろぼろと砕ける。

白い粉状のものが付着する部分もある。

特に樹木の半分より下の枝葉の状態が悪く、マツヤニもほとんど出ていない。

原因としてマツノモグリカイガラムシ被害によるものと考えられます。

アカマツ、クロマツに寄生し、被害が大きい。

カイガラムシは新梢の葉に潜り込んで吸汁し、その付近には白い綿状のものを付着します。




高温乾燥の続く夏場は急激に被害が増加すると考えられます。

近畿地方の観察では年1回の発生であるように見られるが、記録では年2回というものもある。

幼虫のまま樹皮下で越冬し、4月から5月頃に成虫が発生する。

貝殻を持たないブヨブヨした体なので一見してカイガラムシのようには見えない。

オスはメスとは全く異なり、オスは小さく有翅=ゆうし、ハネをもつ。

メスは赤褐色で脚があり樹幹上を自由に這い回り、交尾の後も適当な樹皮の割れ目を見つけると、潜り込んで白い綿状の卵のう(袋)をふく。


枝枯れが進行すると枯死することもあるので、薬剤防除が必要になります。

幼虫が卵から孵化した直後の5月から6月にスミチオン、スプラサイドなどを数回散布すれば、かなり効果が期待できるが、実験結果ではジメトエートの効果が高いとされる。

虫体が見つけにくいため被害が先行する。

防除が手遅れになりやすいので注意が必要である。

褐変、枯死した枝や葉のヤニがなくなり、カサカサになる症状からマツクイムシの被害も考えられます。

マツクイムシの場合は、夏の終わり頃から兆候が見え始め、見る見るうちに真っ赤になってしまいます。

枝を折るとボキッと折れ、ヤニが出ない。

先端の新葉が枯れている状態になります。

樹木は衰弱すると病害虫の被害を受けやすくなるので、元気な樹勢を保つことが基本となります。

害虫防除を定期的に行い、冬期に堆肥などの有機質肥料を施すことも大切です。






2022/08/03

暮らしの中に小さな苔玉、盆栽を No,583

 ミニ盆栽と苔玉


小さな一鉢の植物は、私たちを元気にしてくれるそんな力を持っています。

窓辺に置いた小さな鉢植えの植物が疲れた心を癒やしてくれる。

植物たちのなかでも、草や木の小さな盆栽や苔玉は鉢花とは一味違う魅力を持っています。


素朴な美しさ、不思議な懐かしさがあります。

身近に置けば心を和ませ、里山の自然に触れるような優しい気分にしてくれます。

そんな雰囲気を楽しんでる人たちの、苔玉、盆栽を一部紹介いたします。








🌴Facebook
盆栽苔玉の会






2022/08/02

カキの実の落果 No,582

 カキが実をつけても落果してしまう

カキの多くは花粉を持っていないので、異品種から花粉を貰わないと正常に着果しません。





種子(タネ)があまり入らなくても一応果実は肥大しますが、種子が十分入ったものに比べると着果が劣り、生理障害を起こしやすくなります。

花粉のある禅寺丸(ぜんじまる)紅柿(べにがき)などをを植えると良いでしょう。

カキ農家では必ず混植をしています。

ヘタにつく害虫による落果(5月〜9月に発生)
カキの大害虫であるカキノヘタ厶シ(蛾)の被害も考えられます。

パダンSG水溶液1500倍液を、6月中旬と8月上旬に各1回散布します。

実の中に食入すると薬剤の効果を期待できないので、早めにオルトラン水和剤、モスピラン液剤などを散布します。

また、8月下旬の剪定は樹勢を乱す原因になるので避けましょう。






2022/08/01

栗の実の異常 No,581

 栗の実が杓子状(しゃくしじょう)で皮が異常に厚く、正常な実にならない。



✪杓子状とは栗に実が入らない状態で杓子栗と言う。







原因は正常に受精しなかったためと考えられます。

クリは自分の花粉では実入りが悪くなります。

異品種の花粉を貰わないと正常に結実しません。

クリの産地では必ず3〜4品種以上を混植しています。

クリは植えてから2〜3年で開花し、受粉の役に立ちます。

花粉は風によって150㍍まで飛ぶことが知られていますが、その花粉量はわずかです。

花粉の有効とする飛散距離は10㍍とされているので、混色する際にはこのことを参考にし植え付けると良いでしょう。



❄栗関連ブログ
クリ市野々の栗 No,519
クリ(栗) No,164






2022/07/30

戦争とさつまいも No.580

 食糧難の戦時下

戦争で亡くなった者の多くは餓死や感染などである。


昭和20年、終戦を迎えても日本に帰ってこれない日本兵が多方面に多くいました。

終戦直前は全く食うものがなくなり、椰子(ヤシ)を倒しその梢の実を食べていました。

飲み水代わりは椰子の実の水でした。

赤道直下は一年を通してほとんどスコールがない。

ジャングルでの生活は、テレビで観るような太古の原始人の生活そのものであったと言う。


栄養不足によってマラリアになり、多くの兵士が亡くなった。

戦地の現状は、戦争をしている場合ではなかったのです。

インドネシア北マルク州、ハルマヘラ島のジャングルの中では、さつまいもを育てたと言う。




苗を植えてから1ヶ月程でごろごろと大きな芋ができたと言う。

しかし、この世にこんなにまずい芋があるのかと言う程の芋だっと言う。

同じ戦場でも海軍防備衛所隊の生活は、設営隊の作った床板張りの兵舎に住み、白米にさつまいもやタピオカを混ぜた飯を食べての生活で、これを見るとつくづく陸軍部隊の哀れさを感じたという話がある。

✪海軍防備衛所(隊)とは
大日本帝国海軍が、重要港湾、海峡などへの敵潜水艦侵入を阻止するために設置した陸上拠点のことである。

1943年(昭和18年)1月以降、原則3個の防備衛所を有する12隊の衛所隊が編成され、西はビルマから東はラバウル方面まで、各地に派遣されその後、1944年9月までにすべての隊が解隊された。

戦中、戦後と、どれだけの人々がさつまいもに救われた事だろう。

今でも栄養失調はマラリア等による死亡を増加させるが、マラリアが残るアフリカの一部の地域では、子どもの栄養不良の約3分の1がマラリアによって引き起こされています。


特に重症の貧血に陥ることが多く、その後の発育に大きな影響を及ぼしている。

昭和40年代でもさつまいもが主食だった我が家では、白米を満足に食べたという記憶がない。


学校給食ではなかったため、弁当箱にはさつまいもとサバが定番であった。

ウイナーなど色鮮やかな食材が普及し始めていた頃であった。


さつまいもを蒸した弁当を教室で食べる事が出来なかった。


その事に気がついた先生が、職員室で食べるようにと
声をかけてきた。

とても優しい先生、自分の弁当と交換してくれた。


止めどなく泣いた記憶が残っている。


小学校を卒業するまでは紛れもなくさつまいもが主食の家庭であった。

今から50年前の話である。








2022/07/29

イチョウ葉の薬効 No,579 

 イチョウは二億年前のジュラ紀、恐竜時代の太古から現存する歴史的樹種である。

秋の美しい黄葉で親しまれている落葉樹です。

イチョウ葉の薬効

日本では、イチョウの葉っぱに薬効があることを余り知られていない。

ほとんどの日本人が「まさか」と思うに違いない。

ドイツでイチョウの葉から抽出したフラボノイド、ギンコライドの薬効が証明され、薬品としての認可を受けました。





それ以来、イチョウ葉は薬剤の原料としてヨーロッパでは有名である。


原料のイチョウ葉が、日本からヨーロッパへ大量に輸出されていることを知る日本人は少ない。


ドイツ、フランス、スイスなどヨーロッパ各国で、日本産のイチョウ葉を原料として、血管性疾患治療薬が病院で処方され、また市販されている。

フランスでは、イチョウ製剤の名称を「タナカン」と言いますが、それは開発当時の1973年頃の元総理の田中角栄の名前に由来すると言う、嘘のようなほんとの話と言われています。


オーストリア、中国で医薬品、アメリカ、イギリス、カナダでは健康食品として人気です。

欧州で医薬品として認められているが、日本では薬事法でも医薬品の認定はなく、健康食品として利用され、誰一人イチョウの葉が貴重な薬剤原料とは気づこうとしないのです。


フランスで「タナカン」は、全医薬品の売り上げの第一位を占めるなど、いかに人気と効能があるかが伺い知れる。


欧米の有名な医薬品の百科事典「メルク·インデックス」にもイチョウ葉エキスは、脳及び末梢血管の血液循環障害に効能のある医薬品として記載されている。


♣メルク·インデックスとは
1889年に初版発行された百科事典で、化学物質、薬品、生物製剤に関する化学研究者必携の事典である。


イチョウの葉の主成分は、フラボノイド、ギンコライドと言う二つの成分で、フラボノイドは他の植物にも含まれ、主に防腐作用、発芽などを助ける働きもあります。

イチョウ葉には特殊なタイプのフラボノイドが多量に含まれているので、それだけ効能も素晴らしいと言える。

ギンコライドは、イチョウだけに含まれる成分で、イチョウの学名「ギンコ」から命名されたと言われています。

ギンコライドが持つ強力な抗酸化作用は、主に脳細胞に作用すると言われており、活性酸素によって生じ得る脳の障害を予防する事ができると言われています。


その他、血流を改善する効果もあるため、認知症の原因のひとつである脳梗塞を予防する事にも繋がります。


フランスの「チャールズニコール病院」では、中程度の痴ほう症が正常に回復、イチョウ葉エキスを投与した患者から好結果を得ている。


◉イチョウ茶

イチョウ茶は製剤ほどの効き方は望めないが、お茶として飲んでも穏やかな効能は得られる。

ヨーロッパでは古くから血圧安定、更には美容のための健康茶として愛飲されています。

イチョウの葉は、8月から9月の緑の濃い季節に採取し、天日干しで十分に乾燥させた後、細かく裁断して容器で保存します。


一日分は大さじ一杯のイチョウ葉をコップ一杯半程度の水を入れ、土瓶で5分から6分煮出します。


少し苦味を感じるかも知れません。

レモンを浮かべてレモンティー風にしたり、アイスティーにしてもハチミツを入れても美味しいでしょう。


動悸や高血圧などが気になる人は飲んでみてはいかがでしょう。

また、更年期障害にも効果を上げています。


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太古から現存するイチョウの木 No521

イチョウ「銀杏、公孫樹」 No,178

銀杏(ギンナン)の実生で盆栽をつくりたい。
No,66