緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2020/04/30

マンリョウ(万両)の斑入りは遺伝しない。No.200

斑入りの万両の実生は斑が入らない

斑入りは遺伝しない

マンリョウには果実が紅熟するもの以外に、白い実のなるシロミノマンリョウ、黄色い実がなるキミノマンリョウなど多くの園芸品種があります。

葉に白い斑が入ったり、縮れた葉のもの、波打った葉のものなどもその一種ですが、実際にはこれらの品種は遺伝的に完全に固定された品種ではありません。

つまり、実生にした場合、親株の性質は伝わりにくく、違ったものに変わる、あるいは先祖帰りすることが多いのです。

白実種を実生した場合、20~30%の割合で赤実種が出ることが知られていますが、斑入り種は斑が出ないという確率の方がはるかに高いのです。

挿し木で繁殖を行えば、親株の形質をそのまま伝えることができます。

マンリョウは5月から6月が挿し木の適期です。

充実した若枝か幹の先端を10~13㎝に切り、さし穂にします。

葉を半分落として蒸散を防ぎ、水上げした後鹿沼土などの排水性の高い用土に挿します。

素焼きの鉢などに少量のさし穂をさして、ビニールを被せて密閉ざしにすると活着がよくなります。

半日陰で管理、鉢底から根が見えるようになったら一本ずつ鉢上げします。

苗木は1年目の冬は寒冷紗やビニールトンネルなどで防寒し、翌春定植します。






2020/04/29

ライラック 〈紫丁香花〉No.199

ライラック 

モクセイ科ハシドイ属落葉樹

別名 リラ、ムラサキハシドイ

ライラックの仲間は世界で約30種の自生が確認されている。

中国を中心とするアジア原産のもの、ヨーロッパ南東部を中心とするヨーロッパ原産のものとに大別できます。

アジア系のものが20種以上と多数を占めていますが、現在、日本で庭木として親しまれているライラックの原産は、ヨーロッパ原産のもので、明治23年、アメリカの宣教師スミス女史が故郷から持ち込んだものが、日本で最初の苗木として記録されています。

ライラックは英名で、フランスではリラと呼びます。

北海道に多く自生する類似種のハシドイの花(白色)に似た青紫の花をつけることから、ムラサキハシドイと名付けられました。
和名=紫丁香花

しかし、和名が使われることはほとんどなく、今でもライラックやリラの名で呼ばれる事が多い。




4月から5月に紫やピンクの小花を房状に咲かせ、同じモクセイ科のキンモクセイやジャスミンなどと同様に、甘い香りを放ちます。

16世紀のフランスでは香水としても珍重されました。

ヨーロッパでは日本のサクラのように春を代表する花のひとつで、春の遅いイギリスでは5月祭の花になっています。

また、花びらは通常4枚ですが、まれに5弁花が咲く事があります。

ヨーロッパではこれを見つけると幸福になると言う、言い伝えがあります。

日本では特に北海道札幌市の花が有名で、市の花に指定されています。

当地での開花期は5月から6月で、5月下旬から開かれるライラック祭りには多くの観光客が訪れます。

暖かくなるこの時期の一時的な寒の戻りを「リラ冷え」と言うほど、札幌市民の生活に定着している人気の花木です。

ライラックの色と言えば一般に、青紫を指しますが、品種改良により、赤紫、青、ピンク、藤色、白色など多彩な園芸品種があり、その数は100種以上といわれています。

元来暑さには弱いため、関東以北で栽培されることの多い樹種てすが、中国原産のものと交配した耐暑性の強い品種が開発されており、関東地方でも開花が見られるようになりました。

ただし、寒地よりも花つきは多少落ちます。

◉生育管理、手入れ

日当たり、水はけのよい、腐植質に富んだ肥沃な場所を好みます。

土質は特に選びませんが、暑さと湿気を苦手とします。

強い西日の当たる場所や、排水性の悪い場所への植え付けは避けるようにします。

移植には比較的強く、大木でも一年ほど根回し、枝を切り詰めれば活着します。

移植後はしっかり幹巻きをして保護、乾燥しないように気をつけます。

移植時期は、一般にイボタノキを台木に接ぎ木した苗木を2月から3月頃と、11月から12月に植え付けます。


花を楽しむためには、ほかの木の混植は避け、単植するか2~3本の混植にします。

★肥料(施肥)

通常の土壌であれば肥料はほとんど必要ありません。

花つきをよくするには、必要に応じて花後と9月頃に油粕と化成肥料を混ぜ、株元にまくか、株回りに穴を掘り埋め込みます。


花木類は、一般的に草木の焼いた灰やくん炭(モミガラを焼いたもの)を堆肥などに混ぜ込むと、根や幹がよく発育し、病気などに対する抵抗力が増します。

◉病害虫

スス病を誘発するカイガラムシが発生する。

カイガラムシは、新梢が伸びはじめてつぼみがふくらみはじめる頃から発生するので、枝葉の付け根や幹をよく観察して発見しだい駆除する。

カイガラムシ類には、幹などに殻をかぶって定着するものと、足があり移動するものがいます。

カイガラムシの予防として、冬期の11月から2月頃の間に、石灰硫黄合剤10倍液を10日おきに3回位、幹を中心に散布する。

また、成長期にカイガラムシが発生した場合は、オルトラン水和剤1000倍液を月に2回程度、カイガラムシが発生しやすい幹を中心に散布します。

※テッポームシも大敵で、その被害が大きいと枯れてしまいます。

テッポームシは、幹を食害して穴をあけ、木の芯に入り込みます。

食害されれば栄養分が枝葉に行き渡らなくなり、しおれたり葉がしだいに黄変し、枯れてしまいます。

そのような場合は、害虫を疑うようにします。

テッポームシの食害の場合は、その穴にスミチオン10倍液をスポイトなどで注ぎ、土を練ってその穴をふさいで駆除します。

テッポームシの駆除はまず、その虫穴を発見する必要があります。

◆剪定

花芽は今年伸びた新梢の頂芽が分化するので、樹高が高くなり過ぎると花を観賞しにくい。

花が終わった直後に伸び過ぎた枝を間引き、下の方から新梢(開花枝)が出るように促します。

開花が多すぎると※隔年(かくねん)開花になることがあります。

※隔年開花=一年おきに開花すること、毎年咲かない。

冬の間に細枝や込み枝、からみ枝などの不要枝を整理し、枝数を減らしておくと隔年開花を防ぐとともに花房も大きくなります。

剪定時期=1月~2月、5月
新梢は3~4芽を残して切る。
枝が交互に出るように切る。
株を小さく保つためには、花後に花房の下の段か次の段でで切り戻す。

◉殖やし方

挿し木、接ぎ木で殖やします。
挿し木は充実した新梢を15~20㎝に切ってさし穂にし、赤玉土などの水はけのよい用土に挿します。

接ぎ木は、イボタの実生苗を台木にして春に充実枝から取ったつぎ穂を切りつぎにします。

いずれも活着率は良いですが、生育には2年から3年を要します。









2020/04/28

土壌改良で病害虫を防除 No.198

土壌改良で植物に体力を

薬剤散布は症状に対する対症療法であり、病気を根本的に取り除く療法にはなりません。

それは、肝心の植物そのものの体力が弱っているからです。

人間が栄養不足で体力が落ちると風邪をひいたり、病気にかかりやすくなるのと同じなんです。

植物の体力が弱ると言うことは、その栄養源である土が悪いとと言うことなのです。

病気を寄せ付けない強い体力をつけるには、土壌改良が不可欠なのです。

そのためには有機肥料による改良が有効です。

腐葉土、完熟堆肥、油粕、骨粉、鶏ふんなどの熟成された有機質の肥料を十分にすき込むことです。

よい土とは、微生物が多く生息できる土で、微生物が増えると植物にとって有用な菌も増え、活発になり、逆に病気をもたらす悪い菌の勢力は弱まります。

更に、有用な菌類の働きによって、植物にとって欠かすことのできない微量要素もできてきます。

これが庭作りは土作りと言われる理由です。

また、生け垣など通行が多い場所に植えられた植物は、踏圧により土が固くなり排水不良を起こしている可能性があります。

株回りの土の排水がよいかどうかも確認する必要があります。

土が固いと根が伸びず、栄養を吸収できません。

そのような場合は、有機質の肥料とともにバーミキュライトやパーライトなどを混入し、排水をよくします。


◉植物の気持ちになった管理を

一般に、常緑樹は春先は芽吹きがよく、3月に入れば強剪定しても大丈夫と言うような事が、言われるようですが、切ると言うことは、光合成ができなくなるので栄養源を減らされ、体力が落ちることに繋がります。

人間の都合で剪定作業は欠かせませんが、植物にとっては決して望ましいことではないのです。

同じように、病害虫にはすぐ薬剤散布と言う考え方も改めたいものです。

薬剤は病菌だけでなく、有用な菌類も一緒に殺してしまいます。

人間の病気治療で強い抗生物質などを使うと、副作用が起きるのと同じように、植物も薬剤散布することで様々な弊害が出る危険があるのです。

やむを得ず薬剤散布を行う場合は、毒性の強さや性質など、使うとどんな影響が考えられるかを、よく調べてから使うようにしたいものです。

ペットなどにも注意が必要です。

植物の立場になって、人間より寿命の長い植物は、長い期間で考え、判断することが大切ではないだろうか。


ハイビスカスの植え替え No.197

ハイビスカスの植え替え

4月から5月にかけて植え替えの適期です。

ハイビスカスの鉢植えは、1~2年すると根詰まりを起こしやすくなります。

通常は一回り大きな鉢に植え替えますが、思い切って庭の花壇に植え付けるのもよい方法です。

根詰まりに心配が解消されるのはもちろん、鉢植え以上に次から次にたくさんの花を咲かせます。

まず、枯れ枝などを整理し、枝を半分ほどに切り詰めてから鉢から取り出します。

根詰まりした根鉢も同様に全体を整理します。

花壇の日当たりのよい所に根鉢の大きさの2倍ほどの穴を掘り、掘り出した土の2~3割の腐葉土と少量の★暖効性肥料を混ぜて植え付けます。

★暖効性肥料
油粕、骨粉、魚かす、鶏ふん、牛ふん、堆肥、バーク堆肥など

生育が旺盛な夏の間は水切れに注意し、10日に1回を目安に液肥(1000液)を与えます。

鉢上げは寒くなる前の10月に行います。

★参考ブログ
※ハイビスカス🌺熱帯花木 No.160






2020/04/27

サンザシ (山櫨子、山査子) No.196

サンザシ (山櫨子、山査子)バラ科サンザシ属


中国南部原産
日本には江戸時代の中期、1734年(享保19)に薬用として導入された。

当初は、果実を鎮痛、健胃、消化、止血、整腸などの効果が高い薬用樹として、各地の薬草園などで栽培されていました。


江戸幕府が小石川薬草園(現在の東京大学付属植物園)に植えたサンザシは、今も日本最初の株として残っています。

その後、初夏に咲く花と秋に実なりの美しさが珍重され、観賞木として広く親しまれることとなりました。

庭木や盆栽などの鉢植えにしやすい樹種です。

4月から5月にかけて、枝先に白色の直径1.5~2㎝の5弁花が、半球状に集まり、大きな花床を形成します。

9月~10月に球形の赤い実が熟します。(果実=ナシ状果)

春と秋に違った趣きを楽しめることから、雑木盆栽としても人気の高い樹種です。

赤い花の咲くものや黄色い実のなるもの、ヨーロッパ原産のセイヨウサンザシとの交配種など、園芸種も多彩です。

一般に、八重咲きもあるアカバナサンザシは花を重点的に楽しむのに対し、シロバナサンザシは花より実の観賞価値が高いとされ、ミサンザシと呼ばれます。

キリストが★磔刑に処された時に冠(かぶ)っていたイバラの冠は、セイヨウサンザシの小枝だと言われており、イギリスからアメリカへの移民船メイフラワー号の船尾にもセイヨウサンザシが描かれるなど、欧米でも古くから人気の高い樹種です。

★磔刑=たくけい=たっけい(ハリツケのことで張り付けてヤリで突いて行う処刑)




◉管理場所

鉢物は、春から秋までは日当たり、風通しの良い明るい戸外で管理します。

ただし、真夏の間は葉焼けを起こさないように直射日光を避け、明るい半日陰に置きます。

寒さには比較的強い樹種ですが、根の凍結を防ぐため、冬の間は寒風が直接当たらない棚下などの場所へ移動します。

◆水やり
鉢土の表面が乾いたらその都度たっぷり与えます。

特に、真夏は水切れすると葉焼けを起こしやすくなるので、1日2回~3回の水やりが必要になります。

状況に応じて霧吹きなどで葉水を与えるようにするとよいでしょう。

また、開花中は直接花に水がかからないように注意します。

★肥料

油粕を主体に骨粉、漁粉をそれぞれ油粕の2割ほど混ぜて固めたものを置き肥します。

真夏の8月を除く4月から10月にかけて、月に一回与えます。

◉剪定、整姿

樹形は模様木仕立てが一般的です。

小枝をよく出す性質があるので、芽摘みをこまめに行い、小枝の密生した美しい樹形に仕立てるようにします。

芽摘みは4月中旬頃から6月にかけて行います。

徒長した新芽の基部の1~2枚を残して切り詰めます。

すると、切断部付近から腋芽が伸び、密な小枝を作ることができます。

枝は弾力性が少なく折れやすいので、注意深く行う必要があります。

芽摘みは、新芽が伸び次第、随時行います。

サンザシの花芽は長枝にはつかず、充実した短枝の先端につきます。

翌春萌芽し、ごくわずかな新梢を伸ばして開花します。

花芽分化期は夏なので、6月までに伸び過ぎた新梢の先を切りつめ、充実した新梢(短枝)を作るようにします。


また、樹形を乱す徒長枝や込み枝の整理は秋に行います。

強い剪定をすると、強い枝が徒長しやすかなり、樹形を作りにくくなります。

こまめな剪定の繰り返しで小枝を密生させながら、樹形を作っていくのがサンザシの整姿のポイントです。

なお、サンザシは小枝にトゲを持っているので、整姿、剪定を行う際にはトゲで指を刺さないように注意して作業しましょう。

※アカバナサンザシはトゲが太く鋭いので特に注意が必要です。

★植え付け、植え替え

最適期は暖かくなってくる3月ですが、寒さに強い樹種なので、関東以西では厳寒の1月を除く11月から3月の間なら植え付け、植え替えが可能です。

樹勢が強く、若木は毎年、成木は1~2年に1回を目安に植え替えるようにします。

◆病害虫

丈夫な樹種で、致命的な病害虫に遭うことは少ないですが、新芽にアブラムシが発生する場合があります。

発生数が多い場合は、マラソン乳剤やスミチオン乳剤などを定期的に散布し駆除します。

薬剤散布は、光合成が盛んな日中よりも、夕方に行う方が薬害を避ける上でよいと言えます。

※サンザシは挿し木、取り木、根伏せができますが、開花までに年数がかかります。

アカバナサンザシは、挿し木の活着率が悪く、発根しても根数が少ない。







2020/04/26

カイドウ(海棠) No.194

カイドウ(海棠)バラ科 落葉広葉樹

別名=ハナカイドウ
中国西部原産のバラ科リンゴ属

日本には室町時代(15世紀後半)に実の大きいミカイドウが渡来し、江戸中期(18世紀初頭)頃に花の美しいハナカイドウが伝えられました。

樹勢が強く、暑さ寒さにもよく耐えることから、伝来当初から幅広く親しまれて、北海道南部から沖縄に至る各地で栽培されている。

放任すると樹高は8㍍にも達します。

剪定にも強く小ぶりに仕立てて鉢植えや盆栽にも盛んに利用されています。

園芸品種としてもっとも多く栽培されているのは、長い花柄の先に桜に似たやさしい色合いの、ピンクの花が下垂して咲くスイシカイドウ(垂糸海棠)です。

桜の花が終わりかけた頃から咲き始め、5月中旬~6月上旬頃まで花が咲きます。

いかにも女性的な趣きの花で、中国では牡丹と並ぶ人気の花木です。

その様子を酒に酔って寝た気にしている、美女楊貴妃にたとえ、「睡花」と言う別名があります。

日本にも文学作品などで「雨に打たれる海棠の風景」と美女を表する言葉が見られます。


                      「ハナカイドウ」


秋には直径5~10㍉ほどの小さな黄色い実がなります。

一方、ミカイドウはスイシカイドウと比べて花柄が短く、花の美しさでは一歩譲りますが、秋には直径20㍉位の実がなり食用になります。

中国ではミカイドウの方が多く栽培されていて、江戸時代までは日本でも単にカイドウと言う場合は、ミカイドウを指していました。

現在ではハナカイドウを指すことが多いようです。

園芸品種では花を楽しむハナカイドウが多く、八重咲きでボリューム感のあるハナヤエカイドウ

さらに大ぶりの花をつけるオオヤエカイドウ

枝垂れ性のシダレカイドウ

花が上向きに咲き鉢植えに向くウケザキカイドウ(ベニリンゴ)

葉に白い斑が入るフイリカイドウなどがあります。

また、ピンクにうっすらとぼかしが入る花を咲かせるズミ(ミツバカイドウ)は、庭木として楽しむほか、樹勢が非常に強いことから、他のカイドウの接ぎ木台木としてもよく利用されます。

◉カイドウの生育管理

花木の中では極めて樹勢の強い樹種です。

土質は特に選びませんが、花つきをより良くするためには、日当たり、水はけがよいことが条件になります。


植え付けや移植は、落葉期の11月から3月が適期で、寒い地方では春植えする。

植え穴は大きめにして、堆肥や腐葉土をよくすき込み、高植えにし、保水性を高め根の発育を助ける工夫をする。


※移植にはあまり強くないので、成木を植え替える場合は半年ほど前から★根回しをしておきます。

★「根回し」とは、確実に根付かせる為に、移植の前にあらかじめ根を切断して細い根を出させること。

◆肥料

肥沃な土地では肥料はほとんど必要ありませんが、やせ地や乾燥地では、有機質に富んだものを寒肥としてたっぷり与えます。

冬期の1月から2月に、元肥として堆肥に鶏糞と骨粉を混ぜて、株回りに埋め込みます。

追肥は花の後に、少量の化成肥料のばら蒔きと、8月末にリン酸カリ分の多い化成肥料を、成木の場合で500㌘以内ばら蒔きます。

花つきのよい樹種ですが、あまり花つきが思わしくない場合は、花芽形成の終わる8月下旬から9月上旬頃に、チッ素分の少ない化成肥料を少量施すとよいでしょう。


                        「ミカイドウ」

◉病害虫

4月頃にアブラムシが発生する場合があります。

葉が巻いてしまわないように、早めにマラソン乳剤やスミチオン乳剤の1000倍液を定期的に散布し駆除します。

また、4月から8月にかけて発生するカミキリムシの場合は、長いヒゲをもった甲虫ですので見つけしだい捕殺するか、スミチオン1000倍液を散布します。

「サビ病」には、冬期の1月から2月に石灰硫黄合剤の30倍液を散布して病気を予防し、これは同時に殺虫効果もありますので、2~3回散布します。

また、発生時期(4月から9月)には、ベンレート水和剤2000倍液かサプロール乳剤を、月に2~3回散布します。

※注意
石灰硫黄合剤は冬期以外での使用は厳禁薬剤です。

厳守しましょう。

薬害が起きてしまう危険があります。

◆カイドウの剪定·整姿

生長が旺盛な樹種です。

込み枝やふところ枝、徒長枝ができやすいので、落葉期の1月から2月にかけて整理します。

花芽は充実した短い枝につき、長い枝にはつきません。

花後の剪定は、長い枝を10~20㎝ほど残して切り詰めると、その基部から短い枝が出て翌年の開花枝となります。

この枝を切ってしまうと花が咲きません。

また、樹勢が強すぎて枝葉の生長に養分を取られると、年々花つきが悪くなることがあります。

その場合は、春先に株元の一部を掘り、根の一部を切っておくと翌年の花つきがよくなります。


★カイドウの殖やし方

接ぎ木で殖やします。

ミツバカイドウの実生苗(2年生)を台木とし、3月下旬に充実した新梢をつぎ穂にして切り接ぎにします。


✻ノカイドウ(野海棠)

鹿児島県霧島山のみに自生する。
えびの高原のものは、国の天然記念物に指定されている。

1910年(明治43年)に発見され、牧野富太郎博士によって「ノカイドウ」と命名され、新種として発表された。


                         「ノカイドウ」


✻近似種に宮崎県高鍋町の固有花木
「タカナベカイドウ」があり高鍋では「牟田桜」とも呼ばれている。


       「タカナベカイドウ、牟田桜」

✣牧野富太郎博士関連ブログ
植物を愛し続けた博士
ブログNo,395
#牧野富太郎









キウイフルーツと美容 No.195

キウイフルーツと美容について

主に生で食べられるキウイフルーツ、ジュースにしても適度の酸味が心地よい味になります。

また、ヨーグルトなどと混ぜ、健康食としても人気があり、ビタミンなどの栄養も豊富である。

シミやそばかすの主要な原因は、太陽の光に含まれる紫外線で、これが刺激となって皮膚の中でメラニンと言う黒色の色素が作られ肌がくすみます。

キウイフルーツに含まれるビタミンCメラニンの生成を抑制する作用があります。

すでにできてしまったメラニンを還元して、その色を薄くする効果があることも知られています。

キウイフルーツを食べた時の、美白効果が実証されている訳ではありませんが、その期待は大きいと言えます。


(キウイフルーツ マタタビ科)

◉皮膚=お肌の構造で特徴的なことは真皮(しんぴ)の部分のコラーゲンと言う特殊な構造を持つ繊維状のたんぱく質が豊富に存在する事です。

さて、この真皮とはどのような構造なのでしょうか?

◆真皮とは

真皮は表皮の内側にあって、肌(皮膚)組織の大部分を占めており肌(皮膚)の本体とも言えます。

部位などによって異なりますが、皮下組織を除くと平均で約2㍉の厚さがあります。

真皮コラーゲンと言う線維状のたんぱく質がその大部分を占めています。

そしてその間を「ヒアルロン酸」と言う線維状のたんぱく質も加わって肌に弾力を与えています。

これらの線維や基質を生成する細胞を線維芽細胞(せんいがさいぼう)と言います。

さらに真皮には血管やリンパ管、汗腺などがあります。




コラーゲンは肌に弾力とハリを与えます。

美肌を保つために大切なコラーゲンを作り出すのが真皮にある線維芽細胞ですが、コラーゲン合成時にビタミンCが必要不可欠となります。

つまり、ビタミンCが欠乏するとコラーゲンの合成が低下し、肌の弾力やハリが衰えるという仕組みなのです。

ビタミンCはからだの中で作り出すことも、体内に蓄積しておくこともできません。

なので、毎日コツコツ取る事が大切になります。

そこでキウイフルーツは美肌の強い味方になることでしょう。

キウイフルーツに豊富に含まれる食物繊維には、便通を良くして肌荒れを改善する効果が期待できます。

食物繊維は、食後の血糖値の過度の上昇を抑えることにより、インスリンの分泌を抑え、体脂肪の増加を防ぐ効果も示します。

食べ過ぎを防ぎ、肥満を抑制する効果が食物繊維にはあります。

体型が気になる方は、バランスの良い食事にキウイフルーツを加えて見てはいかがでしょうか。

健康的に適度のダイエットが達成できる………かも知れません。

◉美肌づくりにはゴールドキウイ
★デトックスしたい時にはグリーンキウイ

朝食べるとシミを増加させてしまうことになってしまうので、夜に食べることが、美肌にはよいとされる。






2020/04/25

ヤマブキ(山吹) No.193 

ヤマブキ(山吹)バラ科ヤマブキ属落葉低木

原産地は中国、日本で、九州から北海道に至る各地に自生しています。
別名=オモカゲソウ

自生種だけに観賞の歴史は非常に古く、万葉集の時代から多くの歌に詠まれ、親しまれてきました。

丈夫な樹種であることから、公園樹、庭園樹、環境緑化樹、生花など、幅広く利用されている。

鮮やかな緑の葉は卵形で葉縁に鋸葉があり、互生します。

枝は細くしなやかに湾曲します。
風が吹くと枝がそよそよと振られる事からヤマブリ(山振り)と呼ばれていたものが、後に転訛してヤマブキになったと言われています。

※花色がフキの花に似ていることから「ヤマブキ=山蕗」となったとする説もあります。




4月から5月にかけて直径3~5㎝ほどの5弁花が咲きます。

古人が小判の色を「やまぶきいろ」と喩(たと)えた、黄金色の美しい花です。

秋には光沢(こうたく)のある暗褐色の小さな果実が熟する。

結実しない花と思われているが、それは八重咲きのヤエヤマブキで、一重咲きのものは結実する。

この花の魅力は海外でも評価されていて、イギリスでは「ジャパン·ローズ」「イエロー·ローズ」の名で親しまれています。

★ヤマブキ属の植物はヤマブキ1種のみですが、園芸品種としてヤエヤマブキのほか、葉に白い斑が入ったフイリヤマブキ、6~8枚の細い花弁が付くシロバナヤマブキなどがあります。

品種改良がもっとも盛んだったのは江戸時代で、当時は一文字、桜咲き、糸咲き、牡丹咲き、浅黄白など今日では見られない品種が多数あったことが記録されています。

尚、類似種にヤマブキとよく似た白色花をつけるシロヤマブキがありますが、こちらは4弁花でヤマブキ属とは異なります。

◉ヤマブキの生育管理

日当たりのよい、腐植質に富んだやや湿潤地が理想ですが、半日陰でもよく育ち、土質もあまり選びません。

ただし、乾燥に弱いため、長時間西日の当たるような場所への植え付けは避けます。

暑さ寒さにも強く、ほぼ全国で庭植えが可能です。

※植え付けは、浅く広く植え穴を掘り、元肥として完熟堆肥や腐葉土を十分すき込んで植え、土中湿度を保つように株元に敷きワラなどをして管理します。

植え付け時期(3月~4月)(10月~11月)

※肥料は、寒肥として冬に株回りに完熟堆肥などをすき込む程度で、ほとんど必要ありません。

※病害虫はほとんどありませんが、まれに葉に灰褐色の斑点が生じる円斑病にかかる場合があります。

病状の出た葉や病気で落葉した葉を集め、処分しておきます。


◆ヤマブキの剪定·整姿

地際近くから地下茎枝を多数発生させ、株立ち状に生長していきます。

強い刈り込みにも耐えますが、自然樹形で楽しむのが一般的です。

樹形を乱す枝は、随時、地際から早めに切り取ります。

一般の管理は、冬期に本年枝を切り戻し、枝先が白く枯れた枝や込み枝、徒長枝などは付け根から切り取ります。

古枝になっても花は咲きますが、大株になった古枝は枯れ枝が目立つので、4年に1回を目安に地上から15~20㎝の部分で切って新しい枝に更新します。

※枝の更新は花後の5月に行います。

★ヤマブキの殖やし方

挿し木や株分けで殖やします。

簡単なのは株分けです。

春か秋に根際を掘って、根のついてる枝の3~4本を一株として切り離し、別の場所に植え付けます。



挿し木は、(3月、7月)充実した新梢を15㎝ほどの長さに切ってさし穂にします。

二時間ほど水あげしてから、赤玉土や鹿沼土などの用土に、乾燥に注意して半日陰で管理します。

※参考ブログ
挿し木(春さし) No.188
挿し木後の管理について No.189








2020/04/23

コデマリ (小手鞠) No.192

コデマリ

バラ科シモツケ属
原産地は中国ですが、日本に伝わったのはかなり古く、小花の固まりが鈴なりに咲くことから、当初はスズカケ(鈴懸)と呼ばれていました。

コデマリの名は、花の固まりを手鞠に見立てたもので、江戸時代に名付けられました。

テマリバナとも言いますが、同様に小花が群れて咲き、その固まりが大きいオオテマリ(スイカズラ科の別種)に対してコデマリと呼びます。

ちなみに今日では、スズカケはプラタナスの和名になっています。  





太い幹を形成せず、株立ち状の枝が弓なりに湾曲し、可憐な花の固まりが咲く。

耐寒性、耐暑性ともに強いことから、全国各地で庭園樹、公園樹、環境緑化樹、生け垣、街路樹の下木、切り花、茶花など、実に幅広く利用されている。

白い花の多くは、ドライフラワーにすると黄色く変色してしまいますが、コデマリは変色せず、葉も趣きのある色合いになることから、ドライフラワーとしても人気があります。

4月から5月にかけて直径1㎝以下の小さな白色5弁花が15~20ほど球状に集まった花序(花の固まり)を作ります。

秋に小さな果実が赤く熟しますが、雌雄異株のため、両方の株を植えないと結実しません。

※コデマリにたいへんよく似た近縁種として

シモツケ、八重咲きのヤエノコデマリ

花期がやや遅いイワノシモツケ、トサシモツケ

アメリカ原産で春先に美しい黄金色の葉が楽しめるキバコデマリなどがあります。

◉コデマリの生育管理

日当たりのよい腐植質に富んだやや湿潤地を好みます。

土質は特に選びませんが、乾燥が苦手なので午後の西日が長時間当たる場所は避けます。

また、極端な痩せ地や日陰地では花つきが悪くなります。

耐アルカリ性、耐酸性があり、樹勢も強いことから移植は容易です。

ただし、根が細かいため、植え付け、植え替えに際しては細根を乾かさないように扱う事が肝心です。


植え付けの穴は大きめに掘り、完熟堆肥、腐葉土を十分にすき込み、やや高植えにします。

真夏は株元にワラなどを敷き、土中の湿度を保つようにします。

充実した枝を多く出させるためには冬期に油粕、鶏ふん、完熟堆肥などの有機肥料を株回りに多めにすき込みます。

また、必要に応じて花後にリン、カリを多く含んだ肥料を与えると翌年の花つきがよくなります。

※チッソ分の多い肥料の与え過ぎに注意しましょう。


★病害虫

病害虫はまれに新梢や新葉に白いカビ状の粉が吹いたようになる「うどん粉病」

夏に葉縁の一部が淡褐色に変色して輪状の病斑ができる「タンソ病」

病葉を丁寧に取り除く。
ひどい場合はうどん粉病にはカラセン水和剤

タンソ病にはベンレート、ジネブダイセンなどの水和剤などを月に2回から3回、発生箇所を重点的に散布します。

※「うどん粉病」は、病原菌が飛び散ることで伝染します。

この病原菌は雨天の時より晴天の時の方が飛翔するので、注意が必要です。

この病気の予防には、冬の1月から2月に石灰硫黄合剤を散布することが大切です。


※春からはアブラムシが出ますので注意が必要です。




◆コデマリの剪定、整姿

枝先をむやみに切ると独特の樹形を損ねることになります。

普段は冬期に極端な飛び枝や逆さ枝、込み枝、枯れ枝などを付け根や枝の分かれ目で切る程度で十分です。

樹高があまり高くなってしまうと、たわわに咲く花がよく見えません。庭植えでは、視線の高さを1.5㍍前後に抑えるとよいでしょう。

固くなった古枝は花後に根元から切り取って更新します。

株の更新は4年から5年に1回が目安です。

花芽は本年枝の葉腋につき、翌年わずかに伸びた新梢の先に開花します。

強剪定にも耐えますが、花芽分化期の9月以降に切ると、花つきが悪くなります。


◉コデマリの殖やし方

挿し木、株分けで殖やします。

挿し木は2月頃に充実した前年枝を15~20㎝に切ってさし穂とし、日当たりのよいやや湿潤地で管理し、翌春定植します。

株分けは2月から3月に掘り上げ、3~5本を1株として切り分けます。

※移植にも強く、秋10月から春3月頃まで出来ます。







2020/04/20

バラ🌹(薔薇)  No.191

バラ科に属する植物

◉植物の進化の程度で見ると、バラ科は双子葉植物(最初に発芽する子葉が2枚の種子植物)の中では、中間的な位置を占めます。

※双子植物で最も原始的な科は、モクレン科で、最も進化した科はキク科です。

★バラ科

①イチゴ ②リンゴ ③モモ ④ナシ ⑤ウメ ⑥キイチゴ ⑦ラズベリーなどの果実を食用とする植物がたくさんあります。

◆花を楽しむもの

①ボケ ②ヤマブキ ③サクラ ④ウメ ⑤モモ ⑥ユキヤナギ ⑦コデマリ


バラ科が他の科と大きく異なるのは、花床=かしょう(花托=かたく=とも言う。

花柄=かへい=の末端にある、花弁やガクなどの付着する部分)が肥大し筒状または杯状になりその上部の縁(ふち)に花弁とガクとが同心円状に付着していることである。

この花床の肥大のしかたは、バラ科の中でも植物の種類により異なります。

※萼=ガク=花びらを支えるひらたいもの、多くは緑色


「バラの花の構造、縦断面図」
✻雌しべ:柱頭、子房の各部分からなります。

✻雄しべ:やく(葯)花糸からなります。


◉バラはバラ亜科に属する
バラ科は主に①シモツケ亜科 ②バラ亜科 ③サクラ亜科 ④ナシ亜科からなります。

バラ亜科には、オランダイチゴ属(いわゆるイチゴの事)ヤマブキ属、キイチゴ属、ワレモコウなどがありバラ科の中では、最も大きな亜科で、約75属=1200種が含められています。

※バラ亜科の特徴
雌しべが2本またはそれ以上あり、それぞれの中には一個ずつ胚珠=はいしゅ(将来、種子になる器官)があることです。

また、多くのもので、ガク片が脱落しないことがあげられます。

◉バラ属に含まれる4亜属
バラ属はアルフレッド.レーダーの論文(1940年)の分類をもとに
①フルテミア亜属 (葉が単葉となる)

②ロサ(バラ)亜属 (さらに10節に分けられています)

③プラティロードン(サンショウバラ)亜属 (ガク筒がカップ状になる)

④ヘスペロードス亜属 (ガク筒がカップ状になる)

※属内の分け方
①小葉(しょうよう)の数 
②ガク筒の形 
③托葉(たくよう)の葉柄(ようへい)のつき方 
④花柱=かちゅう=(雌しべの一部)のガク筒からの突出度などの特徴の違いによります。

◆バラ属の4亜属に含まれる野生種の分布図

✫バラ属の4亜属に含まれる野生種の分布図

原図作成:ツェリンスキ(Zielinski)、1985年


◆葉が単葉となるフルテミア亜属(葉が単葉で托葉がない)

バラ属は、葉が単葉か複葉(葉身が2枚以上の小葉に分かれる)かで大きく分けられる。

園芸的に改良された品種がすべて複葉なのは、バラの品種改良に用いられてきた、野生種がすべて複葉型の種であったからです。


バラの葉(複葉、5枚葉)
✻バラの葉は複葉単位で数えるので、小葉が5枚ついていても、葉としては1枚になります。

                             
単葉の野生種は、ロサ·ペルシカ1種のみで、フルテミア亜属に属します。

本種が品種改良に用いられたのは最近のことで、その後代はロサ·ペルシカの形質を引き継いでいます。

引き継がれている形質は、花の芯のところにブロッチ(目)が入ることで、単葉の形質は交雑後代には引き継がれていません。

◆ロサ·ペルシカについての参考ブログ
バラの原種のお話(1) No.82

◉ガク筒がカップ状になるプラティロードン亜属、ヘスペロードス亜属

複葉型の野生種はガク筒がつぼ状となるか、カップ状になるかで分けられます。

※ほとんどの野生種でガク筒は、つぼ状になりますが、プラティロードン亜属とヘスペロードス亜属はガク筒がカップ状となります。

※プラティロードン亜属に属する野生種には3種あり、この亜属の種はバラ属中で唯一、樹木(高木)状になることが特徴です。
(茎が大きくなり主幹を形成する)

代表的な種はサンショウバラ(ロサ·ヒルツラ)

※ヘスペロードス亜属もたいへん特殊な種類で、北アメリカの乾燥地にのみ自生する。

この種は、ロサ·ステラータとロサ·ミニュティフォリアの2種からなります。

◉托葉が葉柄に沿ってつくロサ亜属

バラ属のほとんどの野生種が含まれるロサ亜属は、托葉が葉柄に沿ってつくか、離れてつくかで大きく分けられます。

※ロサ亜属で、托葉が葉柄に沿ってつく野生種は7節があります。

この7節は雌しべの柱頭を支えている花柱が、ガク筒から飛び出るか(抽出)、出ないかで分けられます。

花柱が、ガク筒から抽出する野生種には、シンスタイル(ノイバラ)節、インディカ節があります。

※シンスタイル節には(ノイバラ)ロサ·ムルティフロラ

※テリハノイバラ(ロサ·ルキアエ)ロサ·モスカータなどが含まれ、インディカ節にはロサ·キネンシスとロサ·ギガンティアが含まれます。

◆残りの5節は、花柱がガク筒の開口部をふさぎ、抽出しない野生種からなります。
①ピンピネリフォリア節 
②ガリカ節 
③カニナ節 
④カロリーナ節 
⑤ロサ節
花のつき方、小葉数、刺(トゲ)の形などの違いにより分けられています。

◉托葉が葉柄に離れてつくロサ亜属

托葉が葉柄から離れてつく野生種には、モッコウバラ、ナニワイバラ、カカヤンバラの3節があります。

※モッコウバラは他の野生種にない特徴的な花序(かじょ)となる。

※ナニワイバラでは、小花柄とガク筒に刺毛(しもう)が密生します。


◆バラの花序(かじょ)

✻花茎に花がどのようについているか、つく順番や位置などを花序といいます。

科を判定する1つの大きな「形態的特徴」にもなります。

★バラ関連ブログ
※ローズガーデン No.57
※バラの原種のお話 No.82~No.89

※グラハム·トーマスと言う薔薇 No.91

※鉢植えのバラの花が咲かない No.213

※バラの花に秘められたもの No.223







2020/04/12

樹種別さし木の適期、植え替え時期 No.190

樹種別さし木の適期、植え替え時期


さし木の適期、植え替えの時期
アオイ   
挿し木5月下旬~7月上旬
植え替え9月中旬~10月下旬

アセビ   
挿し木4月中旬~6月中旬   
植え替え9月中旬~10月下旬

カクレミノ 
挿し木4月下旬~7月上旬  
 植え替え9月中旬~10月下旬

カナメモチ 
挿し木7月中旬~8月中旬   
植え替え9月中旬~10月下旬

カルミア  
挿し木5月上旬~6月下旬   
植え替え9月中旬~10月下旬

クチナシ  
挿し木3月中旬~6、7~8月  
植え替え9月上旬~10月下旬

サツキ   
挿し木3月中旬~7月上旬   
植え替え9月中旬~10月下旬

ツツジ類  
挿し木3月中旬~4月中旬   
植え替え9月中旬~10月下旬

ツバキ   
挿し木7月中旬~8月下旬   
植え替え9月中旬~10月下旬

ナンテン  
挿し木3月上旬~4月下旬   
植え替え9月上旬~10月下旬

沈丁花   
挿し木3月中旬~下旬7.8月   
植え替え9月上旬~10月下旬

キンモクセイ   
挿し木4月上旬~5月下旬   
植え替え9月中旬~10月中旬

キョウチクトウ   
挿し木3月上旬~下旬     
植え替え9月上旬~10月下旬


さし木の適期、植え替えの時期
アジサイ  
挿し木3月上旬~4月上旬   
植え替え9月上旬~10月下旬

イチジク  
挿し木3月中旬~6月下旬   
植え替え9月上旬~10月下旬

ウツギ類  
挿し木3月上旬~下旬     
植え替え9月上旬~10月下旬

コデマリ 
挿し木3月上旬~7月上旬   
植え替え9月上旬~10月下旬 
翌年2月上旬~3月下旬

サルスベリ 
挿し木3月中旬~4月下旬  
植え替え9月上旬~10月下旬

トサミズキ 
挿し木3月中旬~4月上旬  
植え替え9月上旬~10月下旬 

ハナミズキ 
挿し木3月上旬~5月下旬  
植え替え9月上旬~10月下旬

ボケ    
挿し木4月上旬~下旬    
植え替え8月中旬~9月中旬
翌年2月上旬~4月下旬 

ムラサキシキブ  
挿し木3月上旬~4月下旬 
植え替え9月中旬~10月中旬
翌年2月上旬~4月下旬

ヤマブキ  
挿し木3月中旬~4月上旬  
植え替え9月上旬~10月下旬

ユキヤナギ 
挿し木2月中旬~3月下旬  
植え替え9月上旬~10月                   
翌年3月上旬~4月下旬

レンギョウ 
挿し木3月上旬~下旬    
植え替え9月上旬~10月下旬

サザンカ  
挿し木5月上旬~6月下旬  
植え替え9月上旬~10月下旬
7月~8月 

イチョウ  
挿し木3月上旬~6月下旬  
植え替え翌年3月~4月、9月

ザクロ   
挿し木3月中旬~4月中旬  
植え替え9月上旬~10月下旬

さし木の適期、植え替えの時期
アスナロ  
挿し木4月上旬~下旬    
植え替え9月上旬~10月下旬

コノテガシワ   
挿し木3月上旬~4月下旬   
植え替え9月上旬~10月下旬

サワラ   
挿し木2月下旬~5月上旬
植え替え9月上旬~10月下旬

スギ    
挿し木3月上旬~5月上旬   
植え替え9月上旬~10月下旬
7月~8月

ヒノキ   
挿し木3月上旬~5月下旬   
植え替え9月上旬~10月下旬

コウヤマキ 
挿し木3月上旬~5月上旬  
植え替え翌年3月上旬~4月下旬

シンパク 
挿し木3月上旬~5月上旬  
植え替え翌年3月上旬~4月下旬 

カイズカイブキ 
挿し木3月中旬~5月上旬  
植え替え9月上旬~10月下旬


★参考ブログ
※挿し木(春さし) No.188
※さし木後の管理について No.189









さし木後の管理について No.189

さし木の管理

◉水やり
さし床はやや多めに灌水し、さし穂の切り口と床土の密着を促します。

ただし、水やりが多すぎるとさし穂を腐らせたり、土中の酸素不足の原因となるので注意が必要です。

基本的には、さし穂とさし床が乾かないように水やりを続けます。

風雨よけ
ビニールハウスの場合
通気が悪いと湿度が上がりやすいので一部を開けて通気を保つなどの工夫が必要です。

夏期はビニール内の温度が40℃以上に高まるため腐るなどの危険がある。




常緑樹の春ざしと秋ざしに主として適用し、8月の土用ざしは行わない方が安全です。

6月~7月の梅雨ざしでは、ビニールの上からヨシズやカンレイシャを2枚くらい重ねて遮光することで、高温になるのを防ぐことが大切です。




◉直射日光を避けるに日除けをする。
活着率を高めるためには、さし床が乾燥しないように灌水することはもちろん、噴霧器や霧吹きを用いて、1日に数回葉水をかけてやるのが効果的です。

グリンナーなどの蒸散抑制剤をさし穂に散布しておくのも効果的です。


◉さし木の施肥
さし木後は入念に、生長の様子を観察し、適宜肥料を与えます。適宜(てきぎ=その時々の状況に応じて行う)

さし木して新芽が出たら(およそ1ヶ月程度)ハイポネクス2000倍などの薄い液体肥料を施します。

芽がしっかりしてきたらエキヒの希釈を1000倍に高めて、根づくまでの間月に2回~3回与えるようにする。

樹種により生長度合いに差がありますが、枝同士がぶつかり合うようになったら、別の容器か、通常の鉢に植え替えます。

用土はさし床と同様で構いませんが、これを機に施肥は化成肥料や油粕などに切り替えます。

その後は冬期を除いて1ヶ月おきに1000倍に希釈した液体肥料、油粕6:骨粉2:魚粉2の混合肥料などを、さし木をしたがって年の秋から翌年の春の植え替え時期まで与え続けます。

◉ポイント
小さなさし穂はとても敏感です。
湿気が多すぎると、さし穂が炭疽(たんそ)病に冒され黒くなることがあります。

そんな場合はさし床を乾燥させるとともに、病変ができたさし穂を取り除き、さし床の用土をベンレートなどの殺菌剤で消毒します。

逆に乾燥し過ぎたり、温度が高すぎるとさし穂の葉が落ち、新しい芽が垂れ下がるという情状酌量が現れます。

さし穂に根が生えている場合は、根元にたっぷり水を与え、温度を20℃~25℃に調節するとうまく育てられます。

根がよく生えていない場合は、さし木をやり直した方がよいでしょう。

◉発根の状態
さし木をして発根するまでの日数は、樹種や同じ種類でもさし木をする時期、さし木後の管理のしかたなどによっても違いがあります。

レンギョウ、タニウツギ、サンゴジュなど早いもので15~20日

カイズカイブキ、スギ、イチイ、キンモクセイ、ツバキなど遅いもので40~60日くらい、条件が悪いと翌春まで発根しないこともある。

針葉樹では葉が緑色を呈して精気があっても、発根しているとは限らず、ひどい場合には新芽が伸びてきても発根していないことがある。

常緑広葉樹や落葉広葉樹では、新芽が伸びてきたものはすでに発根していると判断してほぼ間違いないでしょう。

古葉が葉柄(ようへい)からポロリと落ちてしまうものは、発根の見込みがあると判断されます。

葉がさし穂についた状態で枯れ、葉柄と茎がしっかりと付着して、手で触れても落ちないものは、発根の見込みがないと判断されます。

◆日覆い等の除去
常緑樹のさし木においてはもちろん、落葉樹でも緑枝ざしをする場合には、さし床に直射日光が当たらないように日覆いを行います。

この日覆いは、さし穂の蒸散作用を抑制するために設けられるものですから、発根してからは日光が当たるよう取り除いて光合成を促進させ、苗の生長を促してやらなければいけません。

多くの針葉樹など、発根するまでの日数が長いものや陰樹では、取り除く時期が遅れてもあまり影響はありません。

陽樹では、活着を確認したら早めに取り除く。

日覆いを取り除く際は、昼間はそのままにし午前中と午後だけとり除くなど、あるいは葉水をたびたび散布するなどしながら徐々に外気に慣らすことが大切です。

◉ビニール等の除去 取り除く時期

春ざしでは、3~4ヶ月後
梅雨ざしでは、さし木して3ヶ月後
秋ざしでは、翌春とするのを標準にします。

※ビニールを取り除く際は、ビニールに穴をあけるなどして徐々に外気に慣らすようにします。

◆移植
さし木をして発根するまでの日数が短く、活着後の生長が特によいものはその年の秋9月~10月頃に苗と苗の間隔をあけて移植法します。

普通は、翌春3月に移植しますが、秋ざしを行った場合、あるいは針葉樹など発根するまでの日数が長いものでは翌秋9月~10月、または翌々年の春3月頃に移植を行う方が安全です。

苗木を養成する場合には、以後1年おきに移植を繰り返し、苗と苗の間隔をあけると同時に細根の発生を促すようにします。



◉参考ブログ
※挿し木 (春さし) No.188
※樹種別さし木の適期、植え替え時期 No.190







挿し木 (春さし)  NO.188

挿し木

親木となる樹木の枝、葉、茎などの一部を切り取って発根されたものを植え付けて殖やすこと。

実生と比べて生長が早く、花木などでも短期間で開花、結実させることが出来るのが特徴です。

※実生よりも2年くらい早く開花する。

他の繁殖方法よりも実施期間に幅があり、一般に春に行う場合を「春さし」といいますが、梅雨時や秋口も適期です。

挿し木は気温が暖かく(15℃~20℃)温度が十分に保たれている時期が適しています。

発根の元となる養分を多く蓄えているのは冬ですが、この時期は気温が低いので、暖かくなり根の活動を始めた頃の「春さし」が最もよい時期と言えるでしょう。

春伸びた柔らかい枝が固まり、2回目の伸長を始める6月頃に行う「梅雨さし」も養分、水分の状態がよいので挿し木の時期に適しています。

◉挿し木のいろいろ
①さし穂に樹木の枝を用いる場合は(枝挿し)
②根を用いる場合は(根挿し、根伏せ)
③ベゴニア、イワタバコなど草木の葉を用いる場合は(葉挿し)
④カーネーション、キクなど草木の茎を用いる場合は(芽挿し)

★挿し木の時期による分け方
2月~4月に萌芽前に行う場合は「春ざし、彼岸ざし」

6月~7月の梅雨期に行う場合は「つゆざし、夏ざし」

8月に行う場合を「土用ざし、夏ざし」

9月~10月に行う場合を「秋ざし」(針葉樹と常緑広葉樹)


◆さし穂の熟度による分け方。
(枝ざしの場合)

2月~4月の萌芽前に行う春ざしでは、休眠中の枝をさし穂にするので「休眠枝ざし、熟枝ざし」という。

6月~8月の生長期間中に行う夏ざしでは、その年に伸びた新梢をさし穂にするため「緑枝ざし」という。

◉さし穂が枝のどの部分かによる分け方。

✻枝をさし穂とする場合を「天ざし」

枝の先と基部を除いた部分からさし穂を取る場合を「くだざし」

枝の先と基部に1芽だけつけてさし穂とする場合を「葉芽ざし」

★さし穂の切り口による分け方。
(切り口の種類)



★穂木を取る時は、養分を摂取する根の元となる切り口の細胞を傷めないように、よく切れる鋭利な刃物を使うことが大切。

切断した穂木は、挿し木するまで水に浸けておきます。

数時間から一昼夜
(休眠枝ざしは水上げしない)

長時間置いた場合は、切り口を切断しなおしてから使う。

切り直した穂木は、メネデールやルートンなどの発根促進剤を溶かした水に1~2時間程度浸けておく。


✿穂木の長さの目安は
✣常緑樹で10~15㎝(緑枝ざし)
          
✣落葉樹は10~20㎝(休眠枝挿し)

日当たりのよい部分に成熟している枝を選びます。

古い枝よりも生長力が強く養分も豊富な若い枝がよく根づく。

挿し木の時期によって異なるが、栄養が多く与えられている本年枝、または前年枝を選ぶ。

穂木を取る時間帯は、植物の活動が盛んな日中は避け、朝(午前7時~9時)または夕方(午後5時~6時)に取る。

◆さし穂に用いる枝の採取
※マツ類
カラマツ、ヤマモモなどの挿し木の活着率が低い樹種では、なるべく樹勢が強い若木からさし穂を採取することが大切です。

※ヒバ類
コウヨウザン、ヒマラヤスギ、メタセコイアなどのように枝が横に長く伸長する性質のものは、出来るだけ上向きの枝または樹芯に近い上向きの枝からさし穂を採取しないと、苗がまっすぐに伸長しにくい性質がある。


落葉樹のうち、生育活動を開始するのが早い樹種を春ざしにする場合、1月下旬から2月頃に枝を切り取って貯蔵しておいたものを、挿し木の最適期である3月から4月上旬に取り出して挿し木することがある。

これは、挿し木適期に採取するとすでに生育活動が開始しているため、枝の養分が消費されつつあり、その為に発根力が弱まるという理由によります。

1月下旬から2月頃に切り取る枝は、30~40㎝の長さにして束ね、土中に埋めておくか、ビニールに包んで冷蔵庫15℃で保存。


◉土中に埋めて保存貯蔵の仕方。



◉さし穂の葉数
さし穂に蓄えらている養分によって発根することを考えると、葉は多いほど活着率が高まると考えられます。

しかし、葉数(あるいは葉の面積)が多いとそれだけ蒸散作用が活発になり、さし穂が乾燥しやすくなりますので、御互いにバランスを保てるように調整する必要があります。


※アジサイ類のように、特に大きな葉をつけるものでは、2枚残してさらに葉を半分に切ります。

※サンゴジュ、ツバキ、カクレミノ程度の葉のものは2枚から3枚が目安です。

※サツキ、ツツジ類のように小さい葉をつけるものでは8枚から10枚が目安です。

※マツ類、スギ、イチイ、キャラボクなどの針葉樹では、さし穂の基部3分の1くらいの葉を取り除く。

針葉樹以外の広葉樹においても基部3分の1くらいの葉を取り除く。

◉挿し木の時期②

2月から4月の萌芽前に休眠枝を用いて挿し木する方法
常緑広葉樹、落葉樹広葉樹、針葉樹のいずれも適用。

6月から7月の梅雨ざし、8月の土用ざしは原則として常緑広葉樹に適用されますが、落葉樹、針葉樹でも行われることがあります。

9月から10月の秋ざしは原則として針葉樹と常緑広葉樹に適用されます。

最も安全なのは2月から4月に行う春ざしです。

ツバキ、サザンカ類、サンゴジュ、モッコク、ゲッケイジュなどの常緑広葉樹は一般に6月から7月の梅雨ざしを行うのが最も安全です。

★注意⚠️
冬期に霜柱が生じてさし穂が動くとか、耐寒性の弱い樹種では、ビニールで防寒しなければならないことなどを考えると、特に露地で大量に挿し木する場合などは、この時期には行わない方がよいでしょう。

◉発根促進剤
植物ホルモンと同様の働きをします。

※さし穂の切り口にまぶして使用するもの(タルク剤)
ルートン、オキシベロン、ルチエース

※希釈液に浸して使用するもの
メネデール、ハイフレッシュ

※砂糖水の1000倍液を代用
★挿し木が比較的難しい樹種では、これらの薬品で処理してから挿し木するようにする。

◆さし床を作る
さし床を作るときは、保水性、排水性、通気性をよくすること。

切り口が腐らないように清潔な土であることが大切です。

樹種によって若干異なりますが、一般には赤玉土を使い、サツキなどの酸性土壌を好む樹種には、鹿沼土を用います。

小粒と中粒を用い、箱の底に中粒を敷いて上部に小粒を入れます。

赤玉土に砂土など混ぜた混合土にすると、通気性は更に向上します。

赤玉土に砂やピートモスを2割くらい混入したもの、あるいはバーミキュライトを単用する。

挿し木する本数が比較的少ない場合は、木箱表焼き鉢などに用土を入れて床を作る。

挿し木する本数が多いときは、畑や庭に直接床を作りますが、この場合は砂壌土の土地とし、排水性が悪い場所では、砂などを混入してから床を作る。

★穂木には、肥料を吸収する根がありませんから、施肥の必要はありません。

発根後は水で薄めた液肥を少量ずつ与えるようにする。




◉さし方
さし床は、さし木を行う前に十分灌水して土を落ち着かせておく。

直接土に挿すと穂木の切り口が傷むことがあるので、あらかじめ割りばしなどでさし床に2~3㎝程の深さの穴を等間隔にあけておきます。

全体の3分の1くらいを目安にし、挿した後は手で押さえるなどして土をよく密着される。


さし穂の用土に挿す部分3㎝にある葉や芽を除去します。

葉の大きなものは、蒸散作用を抑えるため、さらに上部の2~3枚の葉の先端を切ります。

◆さし穂を痛めないようにピンセットを使用してさし床に挿します。表面に対して垂直に挿します。



◉さし穂が倒れないように穴の細かいジョウロなどで静かに水を与えます。


◆参考ブログ
挿し木後の管理について No.189
樹種別挿し木の適期、植え替え時期 No.190






2020/04/07

花のない植物 コケ 胞子隠花植物 No.187

シダ、コケ、藻類、菌類

胞子隠花植物(ほうしいんかしょくぶつ)

◉シダ、コケ、藻類、菌類などは胞子隠花植物と言って胞子で繁殖します。

※胞子とは、菌類や植物が無性生殖(むせいせいしょく)をするときにつくる生殖細胞のこと。



◆隠花植物とは

植物界を花の有無で2つに分けた時に、花のある植物を顕花(けんか)植物と言います。

これに対して、花を持たない植物のことを隠花植物と言います。

これは高等植物以外の植物を一括して指すのに用いられます。

★シダ植物の胞子は発芽するとまず前葉体·ぜんようたい(配偶体)をつくる。

これは生殖器官を持っていて、卵と精子をつくりこれが受精してシダの体が芽生えます。

※配偶体とは、シダ植物やコケ植物などの多くの植物は、有性生殖を行う世代と無性生殖を行う世代とが交代します。

有性生殖を行う世代は、配偶子を作るので配偶体と言います。

無性生殖を行う世代は、胞子を作るので胞子体と言います。

コケ植物では、胞子が発芽して原糸体と言うものになります。

原糸体(げんしたい)とは、胞子が発芽して糸状になった状態のことで糸状体(しじょうたい)とも呼ばれます。

これから更に生殖器官を持った、雌性(しせい)と雄性(ゆうせい)のコケの体が発芽します。



◉コケの栄養源

コケは同じ隠花植物であるシダと比べても、体のつくりが簡単にできています。

普通の植物が栄養の多くを吸収する根を持っていますが、コケは持っていません。

仮根と呼ばれる細長い細胞からできたものがあります。

しかし仮根は体を支える程度の役目しかありません。

コケはたくさんの葉緑体で朝夕のわずかな光や空気中の湿度、炭酸ガスで養分をつくって(光合成)育ちます。

仮根からはほとんど水分も栄養も吸収しないでコケは育つことができます。

このため少量の油粕でさえも、腐ったり蒸れたりすることで害する方が大きく、コケのための肥料は利がないと言えるでしょう。

◆肥料のかわりの栄養剤

肥料に含まれるチッソ、リン酸、カリ、マグネシウムなどを吸収できないものの、微量でも徐々に長期間溶出するミネラル(リン、カルシウム、マグネシウムなど)は、コケの生育に良いと言われ、葉の色が良くなるようです。

※ミネラル(灰分)を多く含有する炭が最適。

ただし、粗悪な炭には、植物の生育を害する炭化水素類の残留があるので、備長炭は灰分(ミネラル)が多く、揮発分がとても少ない灰で、植物の根腐れ防止、発根を促進し、コケの生育にも期待できる炭です。

アサヒビールが販売している培地資材(オーキッドベース)は備長炭と同等の含有ミネラルがきわめて豊富です。

コケ園芸でのミネラルを含んだ培地資材としては、オーキッドベースと備長炭がお勧めです。

★生育不良のコケに効果が期待できるもの。

木酢液、竹酢液、HB-101、オーキッドベース

苔玉に混合するには、つぶ備長炭や中粒のオーキッドベースが使いやすいでしょう。

どちらも重く水に沈むので苔玉の下の飾り砂として使っても生育に効果が期待できるでしょう。





◉参考ブログ
※木酢液について No.37
※苔玉盆栽 No.52
※コケ(苔)の話 No.81
※コケの胞子 No.90
※小さな盆栽、苔玉を暮らしの中に No.97
※苔玉、鉢植えのコケ管理 No.165






2020/04/04

桜の樹に付く代表的な害虫 No.186

桜の樹に加害する害虫

◉アメリカシロヒトリ(fall  webworm)
(麟翅目·りんしもく)ヒトリガ科

葉上に灰白色の吐糸で巣を作り、中に毛虫が群生して葉を食う。

被害は6月から8月にみられ、ときに大発生してきわめて大きな被害となる。

通常、年2回の発生であるが、近年3回発生する系統が発生し、近畿地方以西の地域でも発生が続いている。

樹皮の割れ目や根際でサナギで越冬し、第1回成虫は4月下旬から5月に発生して葉上に700~800粒の卵の塊を産み付けます。

幼虫は卵塊ごとにまとまった巣を作り群生するので、発生の多いときには枝の先々に多数の巣が見られる様になり、一目で本種の被害とわかる。

          (アメリカシロヒトリ幼虫)

第2回成虫は7月中下旬、この幼虫は8月中下旬に発生する。

2世代のものは9月に蛹化(ようか)して越冬に入るが、3回発生のものでは更に9月~10月に幼虫が現れて食害を続け、11月に越冬に入る。

卵は葉裏に産みつけられ成虫の体毛で覆われている。

老熟幼虫は約30㎜、活発に行動し巣付近の葉を食いつくすと移動して新しい枝に移り、食害を続ける。

※1945年頃東京都と神奈川県で発見されたが、太平洋戦争直後の混乱にまぎれてアメリカ軍の貨物について北アメリカから侵入したと推定された。

たちまち首都圏の庭園樹、街路樹、公園樹の大害虫になった。

その後各地に分布を拡大して定着したが、西日本では散発的な発生が確認されたものの定着せず、関東から中部地方にかけての様な発生を見る事はありませんでした。

ところが1980年頃から定着するものが見られる様になり、これが3回発生する系統である。

          (アメリカシロヒトリ成虫)

侵入後30年を経て、新たに3回発生する系統が生まれ、これが関東以西の各地に定着するようになった。

きわめて雑食性の害虫で、100種類以上の加害植物が記録されている。

★被害の甚大なものとして
サクラ、プラタナス、ヤナギ、トウカエデなどがあり、ミズキ、クワ、キリ、ハンノキ、ニセアカシア、フジ、シンジュ、トネリユ、シラカンバ、ケヤキ、ナシ、リンゴなどの被害も大きい。

◆防除法として
被害の進展が速いので、樹上の巣を見つけたら早急に切除して処分する。

薬剤防除では、スミチオン、ディプテレックス、DDVP(劇物)、オルトラン、カルホスなどの効果が高いが、高い木では防除が困難で特殊な防除器具を必要とする。

また、都市部での化学殺虫剤の散布は問題が起きやすいので、微生物殺虫剤として開発されたBT剤(バチルス·チューリンギエンシスを製剤化したもの、ダイポール、トアローCT、チュウリサイドなどがある)を利用するとよい。

害虫量が多い時は火をつけた棒で焼くか、薬剤散布。

幼虫は樹皮の隙間などで、サナギ状態で越冬するので、秋に樹の幹にムシロを巻いておき、冬場にこれを焼却(2月頃)


◉オビカレハ(tent  caterpillar)
麟翅目カレハガ科 別名テンマクケムシ
樹幹や枝の分岐部に巣網が張られ、内部に幼虫が群生してすむ。

昼間は巣の中に隠れていて夜間になると集団で外に出て葉や新芽を食害する。

幼虫は老熟すると昼夜の区別なく樹上にいて食害を続け、大きな被害となる。
発生は春から初夏

※天敵はクモ類
年1回の発生、小枝に産みつけられたリング状の卵塊で越冬し、3月下旬頃ふ化して枝の分岐部に天幕状の巣網を張る。



      (オビカレハの卵) 

灰白色楕円形の卵が200~300粒くらい集まって小枝を巻いて産卵する。


幼虫は巣内部で休息するが、付近の葉を食いつくすと巣網を移動させて新たな葉を食害、成長につれて巣網も大きくなるのでよく目立つ。

老熟幼虫は巣から分散し、付近の葉上にマユを作って蛹化(ようか)、成虫は暖地では6月、寒地では7月~8月に発生する。



※花が咲いている頃に、枝先付近の花柄が密集した部分に、巣を作っているので、よく観察することで早く駆除できる。


      (オビカレハ幼虫)

成虫は黄褐色で夜間に活動して灯火にもよく飛来する。


        (オビカレハ成虫)

バラ科植物をはじめ、ヤナギ、ニレ、クヌギなどかなり雑食性である。被害はサクラ、ウメに最も多く見られる。

★防除法として
樹上の巣網を発見して除去する。
薬剤散布では幼虫の発生期にスミチオン、ディプテレックス、カルホス、オルトランなどが有効であるが、サクラはサトザクラなど品種によって薬害が発生しやすくなるので注意が必要である。

冬期落葉後は樹枝の卵塊がよく目立つので、剪定の時または見つけ次第処分しておく。


◉モンクロシャチホコ(cherry   caterpillar)
麟翅目シャチホコガ科

このケムシは9月頃に発生し、葉裏に赤褐色(若齢期)で光沢ある幼虫が群生して葉を食害する。

その後葉上に紫黒色(しこくしょく、老熟幼虫)に変わって黄白色の長毛がはえます。

葉を暴食し、大きな被害を見るようになる。

敵が近づくと、頭と尾を上げて反らす習性があり、この姿からフナガタケムシとかシリアゲムシと呼ばれ、この格好からすぐに判別出来ます。

(モンクロシャチホコ老熟幼虫)

老熟幼虫は体長50㎜内外、樹を降りて浅い土中でマユを作って蛹化し越冬に入る。


幼虫の食害によって全葉が食いつくされることも珍しくありません。

こうした場合には花芽も食害されて翌年の花数を減らすほか、葉が無くなって秋の時返り咲きの原因となる。

サクラ、ウメの被害が特に大きい。

◆防除法として
発生が多い時は、薬剤を散布します。

薬剤はスミチオン、ディプテレックス、MEP、エルサンなどが適しています。

年に1回、7月頃に成虫が発生し、その次の世代が被害を起こします。

そこで7月に発生する成虫の量が多い時は、予防剤を散布します。

成虫の量は、灯火に集まる量で判断します。

◉ゴマダラカミキリムシ(whitespotted  longicorn beetle)
甲虫目(こうちゅうもく)カミキリムシ科

樹幹内に幼虫(別名テッポウムシ)が侵入し、樹皮下、材部を食害し、枯死をまねく。

被害樹からは細かいおが屑状の虫ふんが排出され、地ぎわ部の上に積もっている。


           (ゴマダラカミキリムシ成虫)


成虫は体長25㎜~35㎜
発生は年1回または2年に1回、寄主植物によって成長に遅速があるようである。

5月下旬頃から成虫が現れ、カエデ、モミジ、ユキヤナギ、バラ、ミカン類などの被害も緑枝をかじって剥皮し、このため枝枯れが続出してこの被害も軽視できない。

成虫発生の最盛期は7月中旬であるが、発生は9月頃まで見られ、遅い場合では10月に成虫を見ることがあるから、かなりダラついた発生をしているようだ。

成虫は7月中下旬頃、樹皮下に産卵する。

産卵する部位としては、地ぎわ部が多く、幼虫も地ぎわ部から根にかけて食害する。

老熟幼虫は体長約60㎜、幼虫で越冬し、翌春蛹化して続いて成虫が羽化する。

ミカン類の重要害虫として知られるが、かなりの雑食性で庭園樹での被害も大きい。

◆防除法として
成虫は見つけ次第捕殺します。

また、成虫が産卵するときに幹に傷をつけるので、傷跡を探して、その部分を切り出すか、たたいて圧殺する。

食入口(虫ふん排出孔)を見つけた場合は、穴にスミチオンなどを注入して穴をふさぎます。

しかし、根部まで入った幼虫は発見しにくいので手遅れになることが多い。


4月の発生時期に、サッチューコートやスミバークなどの薬剤を散布すると有効です。

成虫の発生最盛期には、エルサン、パプチオン、スプラサイドなどを散布すればよいが、産卵防止のため、樹幹にサッチューコートSやトラサイドなど樹幹塗布剤を地ぎわ部から20~30㎝くらいの高さまで塗布しておく。






2020/04/02

桜の病気 バラ科 No.185

桜の病気

サクラの根は浅く広く張る(残根性·ざっこんせい)ため、人や車による踏圧(とうあつ)で根詰まりをおこしやすい。

日照量の不足や病害虫など、複数の原因がありますが、特に根詰まりする事で花つきが悪くなります。

対処法として、まず根元の土を丁寧に掘り起こして、堆肥をすき込み土壌を改良します。

そして根が踏まれないように囲いを作ります。

◉成木になってからの植え付けは困難です。
3月に移植は可能  1月~2月に植え替え、植え付け


サクラの病気

◉天狗巣病(てんぐすびょう)
薬剤散布よりも、異常な枝を切り取ってしまい、切り口にはユゴウ剤などを塗布して切り口を保護します。

切り口は、雨水がたまらないように垂直にする。

病気の発生する時期は5月から12月

天狗巣病には原因不明の感染しない種類もありますが、ほとんどがカビを病原として感染します。

病菌は患部の枝の中で冬を越し、花が咲いた後に葉の裏側に胞子をつけ、空気に運ばれて感染します。

病気にかかった枝は年々大きくなり、花芽を形成しません。
葉も小さくなります。

病気にかかった枝は次第に弱り、枯れたり、折れたりします。
被害の激しい樹木では樹勢が著しく衰えてしまいます。


                             「天狗巣病」


★天狗巣病は病菌にいろいろな種類があり、防除の方法も異なりますがどの種類も薬での治療は困難です。

しかしこの菌は感染力が弱いので、病気にかかった枝を切り取って焼却処分することでほとんど治すことができます。


また、1月から2月頃にダイセンや銅水和剤(ボルドー)、石灰硫黄合剤などを散布

3月上旬頃、石灰硫黄合剤の10倍液を木全体に散布することにより、越冬菌の駆除が望めます。

✿タフリナ病

タフリナ属の菌は高等植物の寄生菌で、寄生した植物の枝や葉に、天狗巣病など様々な症状を起こす原因となる。

天狗巣病はカビの一種のタフリナ菌が原因で起こる伝染病です。

ソメイヨシノはこの病気にとても罹りやすく、発病した枝を放置しておくと花が咲かなくなり、やがて樹全体に広がり枯れてしまいます。

多くのソメイヨシノはこの病気によって寿命が短いという原因になっている。


◆サクラコウヤク病
枝、幹に発生し、黒褐色から灰色の膏薬状のカビがびっしり生えます。

特に幹と枝の別れるところによく生えます。

病菌とカイガラムシが共存し、病菌はカイガラムシの排泄物を栄養として繁殖します。
同時に菌糸でカイガラムシを覆います。 

膏薬状のカビは古くなると剥がれ落ちます。

発生時期は4月から10月に多発し、一年を通して発生します。


                          「コウヤク病」


コウヤク病そのものは、石灰硫黄合剤を塗りつけて治療します。

カイガラムシを駆除することが重要です。
1月から2月に石灰硫黄合剤やマシン油乳剤(商品名.機械油乳剤)を月に2回から3回、枝や幹を中心に散布します。

カイガラムシの発生時期てある5月からは、スミチオンやオルトランなどを月に2回から3回、枝や幹を中心に散布します。

散布する液の倍率は1000倍液とする。

日当たりや風通しが悪いと発生しやすくなるので、剪定などをして枝の量を調節し、日当たりや風通しをよくする事が予防になります。

枝の切り口にには塗布剤を忘れずに塗りましょう。


                                        「吉野桜」


◉胴枯れ病
樹木の幹や枝梢の樹皮を侵す病気です。
病原体はカビです。

病菌は害虫による傷口、剪定などの切り口、寒害や日焼けによる裂け目などから入り込みます。

年間を通して発生しますが特に夏に多く発生(6月から10月)

樹が若いうちは病気は少なく、樹齢が進んだ樹木ほど病気にかかりやすくなる。

胴枯れ病に対しての、薬剤を使った直接的な治療法は見つかっていない。

病斑部をできるだけ深く削り取り、幹に傷をつける樹幹害虫を見つけたら、すぐに駆除する。

昆虫や小鳥などにも注意する。
また、剪定のし過ぎなどによって幹を傷つけないように注意。

傷口にはトップジンMや石灰硫黄合剤を塗る。

乾いたら、墨汁やツナギロウなどを塗って予防する。

寒害や日焼けの幹の傷などに注意して傷口を手入れする。

繁殖器官で作られた胞子が、風や雨、虫の体などに付着して運ばれて感染する。

樹木の手入れに使うノコギリの歯から感染することもある。

◉根頭がんしゅ病
根に発生し、苗木や若い樹の根や根冠に小さなコブが無数に発生する。

コブは次第に大きくなり、根冠や太い根の側面では半球形、細い根では球形のがんしゅになります。


                   「根頭がんしゅ病」


コブは暗黒色で、樹はコブを作るのに栄養を取られ、またコブによって樹液の流れが妨げられるので、被害が大きい樹木は次第に樹勢が衰えてしまう。最悪枯死する。

病気にかかった株は引き抜いて焼却処分する。

植え替えるときは、コブを削り取り、そのあとにアグリマイシン、アグレプト、ヒトマイシンなどを塗ると多少の効果は望めます。

有機質を主体にした肥料を与えて、樹木を丈夫に育てるようにする。

土を入れ替えるか、NCS剤で土壌消毒
植物を植える前に、バクテローズに浸してから植えると効果がある。

この病気の病原体は、挿し木や接ぎ木などの切り口から侵入します。


★土壌消毒剤(主な商品名)

普通毒物=※アースサイド 普通毒物=※タチガレン
劇物=※ドジョウピクリン 劇物=※ガスタード

◉コブ病
6月から8月、日当たりの悪いところに多く発生する。

枝に発生し、はじめは若い枝に小さなふくらみを生じ、枝が大きくなるにつれてコブも大きくなります。

コブは縦方向の亀裂を生じ樹脂を出します。

コブから先の枝は枯れて死んでしまいます。

また、栄養が行き渡らないので非常に弱くなり、風などで折れてしまいます。

被害の大きい樹木は、樹勢が衰え、樹木自体が枯れてしまう事もあります。

病菌の刺激により、細胞が異常に増殖するためコブができる。

この病気は、薬剤による防除は余り効きません。

コブの部分を削り取るだけでは再び発病する事が多いので
できるだけコブのできた枝は切り取って焼却処分する。

切り取ったあとはトップジンM、石灰硫黄合剤などを塗り乾いたあとで、墨汁などを塗り予防する。

日当たりをなるべくよくするため、剪定などをする。

できるだけコブのできた枝は取り除くこと。


◆ナラタケ病 カワラタケ病

(材質腐朽病害、樹幹腐朽(ふきゅう)
ナラタケ(食用になるキノコ)に侵される病気樹勢が弱まり葉は変形変色し、樹木全体の成育が悪くなる。

発生は一年を通して起こります。

病原体はカビの一種であるナラタケ菌病菌は地際部や根から侵入し根全体を腐らせます。

特徴的なのは、根元にナラタケが群生することです。


                             「ナラタケ病」

この病気は、病気であることがわかってからでは、治療は困難です。

病気が発生してからの薬剤などの治療は困難ですので枯れてしまった株は、できるだけ細かい根まで切り取って焼却処分しましょう。

◆回復が望める樹木の場合
病気にかかった土壌は消毒して予防し、十分に肥料を与えて樹勢を強く保つようにする。

樹勢が弱まったらベンレートやトップジンMを根元に散布するのも効果的です。

◉紫紋羽病(むらさきもんぱびょう)
葉の色や大きさに異常がみられ、枝の成育も悪くなる。

発生時期は4月から10月で、春と秋に症状が酷くなります。

病原体はカビです。

病原体は地際部の付近の土の上や地表に近い土の中に、菌核(菌糸のかたまり)を作り地際付近の茎に付着して発病する!

やがて樹皮の表面に紫褐色の菌の束を張り巡らします。

この病菌は色々な植物に寄生する事が出来るので、異種の植物の相互感染をよく起こします。

通気性と保水性に優れた肥沃な土地によく繁殖します。


病気の株は引き抜いて焼却処分にしましょう。

病気が発生したら土を入れ替え、土壌消毒しましょう。

株を植え替える前に、コブトール、コブナックスなどを土に混ぜておくと効果的です。

尚、被害の出た土壌にイネ科の植物を何年か栽培すると病菌は自然消滅します。