樹木の生理
樹木の地下部分全体を根系(こんけい)といいます。
主幹の真下から直下に伸びている根を直根=主根、横方向に伸びている根を側根といいます。
❉直根(ちょっこん)と言う表現は主に造園学で表しますが、樹医学的には主根(しゅこん)と表現することが多い。
横に伸びた側根(そくこん)の末端に生じる細い根を、細根(さいこん)といいます。
細根には毛のような根毛(こんもう)があります。
根毛は水分や養分を土中から取り入れ、導管に送る働きをしています。
導管は師管と交互に並んでいます。
根が地中深くに発達する性質のものを深根性(しんこんせい)といい、比較的浅い場所に発達する性質のものを浅根性(せんこんせい)といい区別します。
この性質は、樹種によって異なりますが、同じ樹種でも土質や地下水の状況などによって大きく変化します。
樹木の側根は、あまり地中深くには分布しないのが普通です。
側根の大部分は深さ1㍍以内の所に根が発達しています。
特に人によって踏圧されない林野地等では、根の50%以上が深さ30㌢までの地中に分布していることが多いと言われています。
しかし、種子から育ったまま1度も移植をしていない樹木では、主根の発達は著しい反面、側根は発達しない傾向にあります。
針葉樹は一般に側根に比べて、主根の発達が著しいとされ、広葉樹はこの逆の性質が強いと言えます。
しかし、一旦移植を行って太い根を切ると、その後針葉樹は広葉樹に比べて、再び太い根が伸びにくいと言う性質があります。
高さ50㍍の樹木は、主根の深さが2.5㍍位ですが、側根の拡がりは樹の高さと同じくらい広がっていると言われています。
概ね、枝先の真下まで側根は伸びていると言われています。
手入れと管理された造園樹木は、一般に何回も移植が繰り返されているため、その都度主根をはじめとした太い根が切り取られています。
造園樹木以外の大木は、株元周りの太い根を切って細根を出してから移植を行うことがあります。
それは、細根が株元に少ない株は、細根を出すための準備が必用だからです。
そのため、移植がすぐ行えるわけではありません。
細根が無い状態でそのまま移植しても、樹木の成長が妨げられる事にもなります。
✫双子葉植物と単子葉植物
主根と側根がある根は双子葉植物に見られます。
双子葉(そうしよう)植物は子葉が2枚または、それ以上ある植物をいいます。
根の付け根から、同じくらいの太さの細い根がたくさん生えていて、主根と側根の区別がつかないものをひげ根といいます。
これは単子葉(たんしよう)植物に見られる根の造りです。
単子葉植物は子葉が1枚の植物をいいます。
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