緑のお医者の徒然植物記

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緑のお医者の徒然植物記

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2023/10/16

再開発が招く都市部高温化(神宮外苑問題) No,635

ヒートアイランド(都市部高温化)

神宮外苑問題 


人々が快適な生活を送る上で、樹木の果たす役割は大きなものがあります。

大気中の二酸化炭素を酸素に変えて、空気をきれいにしてくれるだけではなく、美しい景観で人々の目を楽しませ、心を豊かにし、生活に潤いと活力を与えてくれる存在です。

人々は樹木の重要性を昔から深く理解して、これまで樹木の生育にとって理想的な環境作りを進めて来ました。

しかし近年、公共施設開発などのために、自然環境を維持してきた森林帯まで切り拓く計画がなされ、豊かな自然が失われようとしています。



1000本近い樹木の伐採計画がある明治神宮外苑地区の再開発について、東京都知事(現、小池百合子)をはじめ東京都は、「新たな植樹などで緑は増える」と繰り返し説明している。

この地区の樹齢100年級の巨木が切られ、代わりに植えるのは若木のため、木の本数は増えてもボリュームは減り、緑の質(機能性)は大きく変わってしまいます。


地球温暖化が叫ばれる中、記録的な猛暑が続くと気温上昇は避けられません。


専門家からの反発する声が上がるのは当然です。



★引用、転載
中央大の石川幹子教授が調べた結果、伐採される可能性があるとされる樹木(上写真)

2022年4月13日
東京都新宿区霞ヶ丘町
大林太一撮影



大木を切り倒し、より多くの植樹をしたとしても、100年の大木と若木では樹木の冷却効果のレベルは全く違うものになり、緑の持つ効果は増えるどころか確実に損なわれることは間違いないことでしょう。

木陰は直射日光を防ぎ、夏場のアスファルトの路面温度は50度を超えることもあるが、木陰では20度程下がります。

さらに樹木は、表面が温められると葉から水蒸気を放出し、その際に周囲の熱を奪う特性があります。

このような樹木の性質がヒートアイランドの緩和に役立つのです。

木が大きい方がその効果も大きくなるのです。


★ヒートアイランドとは、都市部の気温がその周辺の郊外部に比べて高温を示す現象で、都市化が進むほどヒートアイランドも強くなり、高温の長時間化や高温域の拡大が起こる。


   「ヒートアイランド現象」


新しく植えた若木が、現状の木と同じ冷却効果を発揮するのは100年後とされる。

神宮外苑の再開発では高層ビルを建てる計画で、コンクリートは熱をため込み、ビルの空調設備の排気熱などで都市部を温めるため、ヒートアイランドの一因となる。


これは天然のクーラーを減らし、ストーブを作るようなものであり、樹木の自然機能破壊の何物でもない。


植物の葉は二酸化炭素を原料として、糖と酸素を作り出していることは多く知られていることだろう。


人や動物は酸素を吸収して二酸化炭素を吐き出して生きています。

また、糖は全ての生命が活動するためのエネルギーになります。

植物の葉は、地球上で動物が生きて活動していくために最低限必要な条件を作り出すと言う、大変重要な働きをしているのです。

植物と動物の共存は必要不可欠なことなのです。



樹木の減少は自然界でも温暖化を招き、植物は衰退していく。

やがて荒野となる事にも繋がって行くのです。



多くの樹木を伐採するなどの問題がある、明治神宮外苑の再開発について、周辺住民ら59名が東京都に対し事業認可取り消しを求めるいる。


神宮外苑訴訟の第1回口頭弁論が6月29日、東京地裁で行われた。



「訴訟の報告集会で報告する原告ら」

原告らは小池百合子知事に対し、本当に適切な基準に従って認可したのかと問うている。


★明治神宮外苑の再開発では高さ3㍍以上の樹木1904本のうち、743本が伐採されるほか、256本が移植される計画です。


オンライン署名
https://chng.it/xh28gMHpQS


◉神宮外苑問題 ブログで発信
漫画家 ちばてつやさん




2023年10月16日しんぶん赤旗より抜粋


ちばてつやのブログ
『ぐずてつ日記』



♣サザンオールスターズ「Relay~杜の詩」




波紋が広がっている明治神宮外苑の再開発。

故·坂本龍一氏や村上春樹氏などの著名人が疑問を呈し、見直しを求める署名も多く集められている。

この動きに「サザンオールスターズ」も反応。

シングル「Relay~杜の詩」が話題を呼んでいる。




坂本龍一氏からインスパイアされたと明かした桑田佳祐さん。

未来を★憂う時代に 身近な場所で何が起こってるんだ?

★麗しいオアシスが

アスファルト·ジャングルに変わっちゃうの?

そんな内容の歌詞は痛烈と言えるだろう。




★憂う(うりょう)の意
思い悩んだり、心配すること、特に将来や行く末などのことが気掛かりである場合などに使われる言葉で、「愁う」とも書く。

★麗しい(うるわしい)の意
よく整って美しいこと








2023/10/15

樹木の五大病気③白絹病 No,659

 白絹病(しらきぬびょう)

病原菌学名=Corticium rolfsii Curzi

苗木や幼木の株の土と接している地際部や、株の近くの地表に白い糸状の菌糸が発生し、はじめ褐色の水浸状に変色する。




腐敗が進むにつれて黒褐色となる。

病気にかかった株の地上部の上部全身の枝葉は生気を失い、水が滲んだようになって腐って枯死する。

やがて、地際部やその近くの地表に小さな粒がたくさんできます。

これは菌糸の塊(かたまり)で菌核といい、地中に侵入して次の年の発生源となります。


病原菌は担子菌類に属する糸状菌(カビ)の一種で、極めて多くの木本、草木植物を宿主とする多犯性の病原菌である。

この病気の菌核は、発生適温が30~35度を示すように厳しい環境に耐えることができます。


菌核は土中で長期間潜伏し、新たな株が植えられると次々に感染を引き起こして行きます。


また、病患部に形成された子実層からは胞子を飛散させて、風媒伝播も行い、未分解有機物を栄養源として繁殖し、やがては健全植物に感染していく。


この病気は酸性土壌で、夏期高温時(6月~8月)の降雨の後などに発生が多い傾向があり、排水不良地や連作地で多発して激しい被害となる。


◉予防対策

病気になった株を発見したら、なるべく早く根の周りを土ごと抜き取って焼却処分する。

菌核が長く生存して伝染源となるので、菌核や被害残渣は残らず集めて焼却することが重要です。

病原菌核は地表面の比較的浅い部分に潜伏しているので、土壌の天地返しによって、地表面の菌核を土中深く埋没して死滅させます。

5月~10月に一回、PCNB剤(アースサイドなど)を土壌に混ぜたり、5月~6月から9日おきにメプロゾリン(バシタック水和剤)の水和剤等を10回ほど土壌に注入する。


病原菌に侵された土壌は、土壌消毒剤のクロルピクリン剤又はダゾメット剤などの、ガスくん蒸剤で土壌消毒を行う。

また、灌水(かんすい)可能な場合は、2~3週間灌水状態(水を注ぎ溜めた)に保つと、土中の病原菌はほとんど死滅に至り有効である。


なるべく連作を避け、鉢植えの植物は用土を7月~8月に太陽熱で消毒を行う。


★関連ブログ記事
糸状菌とは何?No,557








2023/10/10

樹木の五大病気②うどんこ病 No,658

 うどんこ病

うどんこ病は春や秋に様々な植物で、白いカビが新芽や若葉、茎などの表面や裏面にうどん粉をまぶしたようにびっしり生える病気の総称です。






病気が進むと、葉が変形、ねじれたり小さく萎縮したりします。

植物によって病原菌が異なりますが、似たような症状がでます。

病原菌の種類や感染した植物の違いによって、カビが葉の表面だけにつくもの、厚くて褐色の絨毛状(じゅうもうじょう=微細な突起)のもの、厚くて紫褐色(しかつしょく)の膜がつくものなどがあります。


胞子の発生する適温は17~25度で時期的には5月~7月と9月~11月が発生しやすい時期と言えます。

植物によっては違いますが、高温(20度前後)多湿を好み、4月から10月に発生することが多い。


日陰になった株に発生が多く、病気にかかった葉(羅病葉)は、比較的長く樹上に着生する。

病葉上の無性胞子(分生子)がそのまま越冬して、翌春の伝染源となる。

◉分生子(ぶんせいし)とは、菌糸の一部が伸び、その先がくびれてできる特別な胞子で分生胞子とも言う。

その形成の過程は体細胞分裂による。

また、分生子のみで繁殖する菌類を不完全菌と言う。

常緑樹のうどんこ病では「子のう果=子実体」を作らずに、白い菌糸のままで越冬するマサキやウバメガシなどがあります。

★子実体(しじつたい)とは、菌類が胞子形成のために作る複合的な構造のこと。


病原体の種類はたくさんあり、そのほとんどがカビですが、カビの種類によって寄生する樹種が決まっている。

そのカビは特定の植物にしか感染しないものと、ジニアの病原菌のように様々な種類の植物に感染するものがあります。

どの植物につくカビも「活物寄生菌=かつぶつきせいきん」と言って、生きている植物しか寄生しない。

うどんこ病菌は植物体の表面でしか繁殖できないので、枯れた植物の上では生きられません。


感染経路は空気による感染がほとんどで、一部は虫媒感染による場合もある。


発生しやすい植物

ほとんどすべての庭木、花木、草花、山野草。

家庭果樹ではカキ、クリ、ブドウ、モモなど。

鉢植えではキク、シャクヤク、スイートピー、ダリア、ベゴニア類など。

野菜類のエンドウ、オクラ、カボチャ、キュウリ、トマトなど多数。


基本的対策

落葉樹では病気の葉が落葉したら集めて焼却処分することで、翌年の伝染源を断つ。

常緑樹は子のう果が越冬している病葉を摘んで焼却処分します。

薬剤処理ではチオファネートメチル剤、ベノミル剤、キノキサリン系剤、TPN剤、水和イオウ剤などを散布します。


予防

チッソ分が多くカリ分が欠乏すると発生しやすいので、チッソ肥料を少なめにカリ肥料を多めに与えます。

樹木では冬期の1月から2月に石灰硫黄合剤を1~2回散布し予防する。








2023/10/07

樹木の五大病気①コウヤク病 No,657

 コウヤク病

コウヤク病は厚いフェルト状のカビの膜

庭の梅の木や桜の街路樹の枝や幹に、膏薬を張り付けたようにびっしりと膜状のカビが生えていたら、コウヤク病だと思われます。




コウヤク病は、糸状菌(カビ)の仲間のコウヤク病菌属(セプトバシジウム)の病原菌類によって起こされる、枝幹に生じる病気を言う。

膜はカビの菌糸で厚い灰白色フェルト状になっていて、はじめはほぼ円形をし、膏薬を貼り付けたような外観になる。


周りが薄くなっていて枝、幹をひと巻きすると段々上下に広がり、他の膜と繋がって縦形の大きな膜になります。


菌糸層が古くなると病斑の周辺部に白い斑紋が浮かんできて、やがて全体的に灰褐色となり、亀裂を生じて樹皮が剥げ落ちたりする。


膜に被われた枝は徐々に勢いが衰え、最後には枯れてしまいます。

初夏の頃、菌糸層の表面には白色の粉状物が噴出したように現れる。


コウヤク病によって全国各地の公園や街路樹など、枯死した樹木も多く見られる。


発生しやすい植物

ウメ、エゾマツ、トドマツ、グミ、サクラ、サンショウ、モモ、クリ、ミカン類など


病気発生の原因

コウヤク病もスス病と同じように、カイガラムシの排泄物や死骸を栄養として繁殖するカビの一種で、特に古木によく見られます。


カイガラムシの吸汁痕は菌にとって植物の樹皮内部への侵入口となります。


この病気はほとんどの場合、直接樹木から栄養を取るのではないので、初期段階で樹全体をからすことはありませんが、カビが生えた部分は樹皮が締め付けられ、生育が著しく悪くなった場合には枯死に至る原因ともなる。

コウヤク病はいろんな樹木で発生しますが、樹種によって病原菌が少しずつ異なります。


また、病原菌は比較的限られた植物に感染するものと、広くさまざまな植物に感染するものがあります。

これは、カイガラムシの種類によって感染する植物の範囲が違うことによるものと思われます。


コウヤク病の種類

コウヤク病は菌糸膜の色と宿主(寄主)となった植物の種類によって、それぞれ名前が付けられています。


主な病名とそれに関係するカイガラムシと植物

①サクラ暗褐色コウヤク病
クワノカイガラムシ=ヤマザクラ

②サクラ黒色コウヤク病
サクラアカカイガラムシ=ソメイヨシノ、サトザクラ等のサクラ類

③グミ琥珀色コウヤク病
クワノカイガラムシ=ナワシログミ、カキ

④エゾマツ、トドマツコウヤク病
トドマツニセカキカイガラムシ=トドマツ、エゾマツなど

⑤原色コウヤク病
クワシロカイガラムシ=ソメイヨシノ、ヤマザクラ、コウゾなど


防除対策

カイガラムシを駆除することが重要です。

冬期間に石灰硫黄合剤や機械油乳剤を散布するとともに、春以降の生育期にはイソキサチオン剤、DMTP剤(スプラサイド)などを用いて駆除する。

コウヤク病菌に対しては、冬の間に患部へ石灰硫黄合剤10倍液、石灰乳などを塗布する。

なお、樹種によっては薬害を生じる恐れがあるので注意が必要であり、石灰硫黄合剤は冬期使用限定薬剤であるため、冬期間での使用のみを厳守する。

菌糸膜が広範囲に広がってしまっている場合は、樹皮をなるべく傷つけないようにワイヤーブラシでカビを削ぎ落としてから、防菌癒合促進剤を塗布する。

また、日当たりや風通しを良くしてやることも病気の予防となります。


灰色コウヤク病

病原菌は担子菌類に属する糸状菌の一種で、病原菌はクワシロカイガラムシと共生、或いは寄生関係にある。


      「灰色コウヤク病」

宿主植物
サクラ類、ポプラ類、ケヤキ、イタチハギ、サンショウ、アカメガシワ、マサキ、キリ、シイノキ、タブノキ、クロモジ、エゴノキ、カンキツ類、リンゴ、ナシ、モモ、スモモ、アンズ、ウメなど多くの広葉樹、果樹類に発生することが知られている。


防除法

被害が激しい場合は、病枝梢を含めて思いきった剪定を行って、日射、通風を良くするとともに伝染源の排除を図る。

また、薬剤防除としては、発芽前に石灰硫黄合剤を散布する他、カイガラムシに対しても発芽前までに機械油乳剤を散布して駆除する。

ただし、石灰硫黄合剤は機械油乳剤散布の7日から10日前に散布することが重要です。


褐色コウヤク病

枝に発生し、褐色から暗褐色で周縁が白味を帯びたフェルト状の菌糸膜が円形に広がり、やがて不整形となる。


     「褐色コウヤク病」

病原菌はカイガラムシと共存することが知られている。

宿主植物
ポプラ類、ヤナギ類、ナラ類、ヤマブキ、サクラ類、サンショウ、アオギリ、ツバキ、キンモクセイ、ギンモクセイ、キリ、モモ、スモモ、ウメ、クルミ


防除法

コウヤク病に準じて行う。

★関連ブログ記事
糸状菌とは何?No,557









2023/09/29

ヤエヤマヤシ ヤシ科 No,656

 ヤエヤマヤシ(八重山椰子)

ヤシ科ヤエヤマヤシ属

ヤエヤマヤシは八重山諸島の中でも、石垣島と西表島だけに生える日本の「固有種」で非常に珍しいヤシで名前も八重山の名から付けられている。

樹高は20~25㍍にも達する常緑高木で、大きな波状複葉の葉をつけるのが特徴


       「ヤエヤマヤシ」


幹は直立し単一で分枝せず、葉の落ちた跡が環状に残る。

基部は無数の太い根が地上に露出して盛り上がり、直立した幹をしっかりと支えている。


葉は長さ5㍍程で小葉は90対ほどあり、先は浅く2裂する。

雌雄同株で花は10月~12月頃に咲き、淡黄色、果実は楕円形で長さ1.3㎝ほどで黒く熟す。

この種は一種のみで「ヤエヤマヤシ属」となるほど植物学においても貴重な種類となっている。

ヤエヤマヤシは植物学者の初島住彦により、1963年に新種として初めて学術誌に「Glubia·liukiuensis」の学名で記載しました。

その6年後、植物研究家のアメリカ人、ハロルド·エメリー·ムーアによって新属の「ヤエヤマヤシ属」を立て、本種として認められます。

その後、ヤシ博士と称される佐竹利彦によって「ヤエヤマヤシ」と命名されました。


♣初島住彦は植物学者、農学博士、鹿児島大学名誉教授(1906~2008年没)
著書には「琉球植物誌」1971年

「日本の樹木、日本に見られる木本類の外部形態に基づく総検索誌」1976年

「九州植物目録」2004年等があり、合著も多く出版されている。

★ハロルド·エメリー·ムーアは植物研究家
(1917~1980年没)

ヤシ科の植物分類研究で知られるアメリカの植物学者


★佐竹利彦は農学博士、東京農業大学名誉博士、広島大学名誉博士
(1910~1998年没)
日本の技術者、実業家の二代目であるが、ヤシ、ソテツ類の魅力にとりつかれ、趣味が高じて収集、分類を続け、ヤシ研究の権威となったヤシ博士。


石垣島には米原ヤエヤマヤシ群落があり、国定天然記念物や環境省のレッドデータ、沖縄県では準絶滅危惧種にも指定されている。




まるでジャングルのようなヤシ群生である。

株周りには特徴的な「筍根」が見られる。




米原ヤエヤマヤシ群落の近くには八重山椰子記念館
、佐竹利彦椰子記念館がある。

◉サタケ八重山ヤシ記念館



★筍根(じゅんこん)とは、細かいタケノコが地面からたくさん生えているように見える根のことで、直立通気根、通気根、筍根等と呼ばれる。


ヤシ科は英語でパルマエと言うラテン語の「palma」の複数形に由来するとされ、パームツリー(palm.Tree)と呼ばれる。

palmは手のひら、またはそのようなものと言った意味がある。

ヤシ類は単子葉植物中もっとも発達した高等植物で、世界中の熱帯から亜熱帯を中心に189属約3000種が分布しているとされ、テーブルヤシなど小型の種類からココヤシなど大型になる種類など、鉢植えにして高さ2㍍程度のものが観葉植物として流通している。

ヤシ科にはココヤシ属、アレカヤシ属、テーブルヤシ属、ナツメヤシ属などがあり、和風観葉植物として古くから栽培されたいるカンノンチクやシュロチクもヤシ類で多く属する品種もある。


ヤシの木は何百万年も前から存在しており、化石としての記録は白亜記(約1億4500万年前から6600年前)まで遡ります。


記録を保持しているメトセラヤシの樹齢は、2000年以上と推定されています。

もっとも背の高い種は、アンデス山脈原産のコロンビア、ココラ渓谷のワックスヤシとされ、高さは最大で60~70㍍にも達する。


四国や九州で見られるヤシの木はほとんどシュロの木で、古代から日本に自生している貴重な在来種のヤシです。


シュロはヤシ科の中でも最も北に分布を広げた種で耐寒性があり、雪の多い東北地方でも野外で越冬できる。

自然分布は九州の南部とされるが、種子を野鳥が食べるために本州の山々にも野生化している。

高さは7㍍ほどになり、幹は直立して上部に枯れた葉が残り、その上に冬でも青々した葉を茂らせます。

葉柄は1㍍ほどになり、その先に扇形の葉を広げる。

雌雄異株で雄花は垂れ下がり、雌花は斜上して咲き、果実は藍黒色に熟す。



       「シュロノキ」


混同しやすいのがソテツの木だと言われていますが、ソテツはソテツ科の植物でヤシ科ではありません。

        「ソテツ」








2023/09/16

さつまいもの害虫(3) No,655

 ヨトウムシ ヤガ科

サツマイモの害虫ヨトウムシは、体長2~4㎝で若い幼虫は緑色、成長していくと褐色や黒色になっていきます。

ヨトウガと言う「蛾」の幼虫で、夜間は土の中に隠れていて夜になると活動するので「夜盗虫」と言われている。
葉や茎、実を食害します。








幼虫は成長すると食べる量も増えるので、葉全体を食べ尽くしてしまいます。


     「葉を食害された状態」


被害後、スミチオン乳剤1000倍液を散布、土壌に灌注


     「薬剤使用後葉が復活」


薬剤の効果によって害虫駆除ができたようです。

葉に散布するだけでは駆除できません。

土壌中に潜伏していることや卵がふ化することを考えて灌注が重要。

★灌注(かんちゅう)とは、注ぎかけること、そそぐこと
灌注だけの目的の場合は、希釈濃度は高くなる。


野菜によっては新芽を食べられてしまうと育たなくなって枯れてしまう。


若齢幼虫のうちは昼間も葉の裏にいて、土の中に隠れるのは成長してからです。


ヤガ科にはいくつかの種類の害虫がいるが、ヨトウムシは特に野菜類の害虫として知られています。


冬の期間、土中で越冬し4月~5月にかけてふ化します。

サツマイモの葉に卵を産み付け、1ヶ月ほどで蛹になり土の中でふ化し成虫になります。


一匹あたり1000~3000個の卵を産むとされ、ふ化すると大量発生します。


その他の害虫として、ナガジロシタバ、ハスモンヨトウがいる。



ナガジロシタバも同じくサツマイモのの害虫として知られ、大量発生すると葉の大部分を食害してしまいます。


早期から発生した場合、サツマイモの収穫量や品質低下に繋がることもあるので注意が必要です。


また、サツマイモの葉を食い尽くした後、餌を求めて移動、その際に民家等に侵入し、不快害虫として問題になることもある。


老齢幼虫になると葉柄だけを残して食い荒らすため、大発生した畑では丸坊主となって地表面が見えるようになることもある。

成熟した幼虫は土中に潜り、土マユ(繭)を作りその中でサナギになる。


薬剤の効果は幼虫の発育に伴い低下するので、若齢幼虫期に防除することが重要となる。

ツル先の若葉の被害発生が目安となる。

薬剤はカーバメート剤、ジアミド剤、スピノシン剤など

★ハスモンヨトウはヨトウガに似ているが、老齢幼虫の頭部の色がハスモンヨトウは黒であるのに対し、ヨトウガは黄褐色であるなど外見の違いがある。


広範囲に食害し、野菜や畑の作物、花き、果樹まで被害を起こす。


薬剤はジアミド剤やマクロライド剤など

防除効果を上げるたためには若齢期の薬剤防除が重要です。