緑のお医者の徒然植物記

Translate

緑のお医者の徒然植物記

検索結果

2019/07/28

小さな盆栽の管理について No.166

小さな盆栽(小品盆栽)



植物は、どんな環境下に育つ種類かによって、置き場所(管理場所、飾る場所)等が変わります。

木も草も自生地によって、日当たりを好むものや日陰を好むものなど、いろんなタイプがあります。

もちろん季節によっても置き場所は変わってきます。

管理するには、植物の名前や性質がわからないと管理も難しいものになります。

店頭に並べられた植物に名札が付いていないものも少なくありません。

そこで、名前やどんな性質なのか、店の人にある程度聞く必要があります。

どこに置けばよいのか、暑さや寒さには強いのか弱いのかなど、草なら一年草なのか、多年草なのか聞いてみましょう。

多年草の中には、落葉性で冬の間はまったく葉がなくなってしまう種類も少なくありません。

枯れてしまった、駄目になってしまったと思い、捨ててしまうといったことがないようにしたいものです。

毎年のように、クレマチスを買っていた人が、枯れたと思い、毎年捨てて、新しくクレマチスを買っていた人がいました。

なお、店の人が名前もわからないと言う場合は、購入を控えましょう。

やはり、信頼性のないお店では、商品管理もおろそかになりがちです。

せめて、植物の科目、属種くらいは理解して欲しいものです。

また、自分自身で調べることも重要です。一段と興味がわき、育てる楽しみも増すことでしょう。



◉室内に飾る期間を短くしましょう。

ほとんどの植物は日当たりと風通しのよい場所を好みます。

半日陰や日陰に生える植物は北側や午前中だけ日の当たる場所が適します。


春から秋の観賞期は1日飾ったら、2、3日戸外に置く、と言うように室内に飾る期間をなるべく短くします。

冬の休眠期は、軒下などに置きますが、玄関や無暖房の部屋などに飾っておいた盆栽は、天気のよい日を選んで、1~2週間に1度位は外気に当てたいものです。

◆小さな盆栽はすぐ乾いてしまいます。

通常、水やりは生育期の春から秋には、鉢土の表面が乾いたら鉢底から水が流れ出るくらい、たっぷり与えるのが原則です。

鉢の大きさや用土にもよりますが、春と秋は1日1回、夏は朝夕2回、冬は数日に一回が一般的な水やりです。

手のひらに乗るような小さな盆栽は、用土も少ないので乾きやすい。

数日留守にする時は、器に湿らせた砂を入れ、その上に鉢を乗せておくなど、工夫しましょう。

また、4~5日の留守の場合は、湿らせた砂などの中に鉢ごと埋めておくとよいでしょう。

鉢の縁まで埋めるとよいでしょう。



★手のひらに乗るような小さな盆栽は乾きやすいので、ひどく乾いていたら水の中につけて、鉢土にしっかり水を吸わせます。

また、水をやり過ぎてしまうと根腐れを起こしてしまいます。

植物は根からも酸素を吸収します。

根が常に湿っていては健康に育ちません。

水はなるべく乾いてから与えるようにしましょう。












苔玉、鉢植えのコケ管理 No.165

苔玉~美しい緑を保つために

植物は光がなければ生きていけません。

しかし、苔は屋外でも室内でも直射日光に、長時間当てるのはよくありません。

苔の葉は、断面で細胞一層(他の植物は何層にもなっている)なので弱い光でも十分、光が届くからです。


苔は小さな個体が集まって適度な湿気を保っています。

湿り気のある所に直射日光が当たり、温度が高くなると蒸れてしまいます。


室内では窓のそばに置きます。

直射日光は、レースのカーテンで遮り、それが無理なら1日に一回でも、明るい場所に移動するようにします。

2~3日、室内で飾ったら、戸外の半日陰で外気に当てます。

ただし、苔の湿り気が飛ばされてしまうような、風通しがよすぎる場所は避けるようにしましょう。

複数の苔玉があれば、代わる代わるにいつも苔玉を飾り、楽しめることでしょう。




◉水やり=控えめに

湿り気が必要だからと、水をやり過ぎて失敗することが多いようです。

水浸しでも苔は大丈夫ですが、時間が経って水が腐るとコケも腐ってしまいます。

植物にもよりますが、苔と一緒に植えてある植物も水分が多すぎると根腐れしてしまいます。

苔は葉が乾いて縮れていると、光が当たっていても自分で養分をつくることが出来ません。

観葉植物では普通、用土の表面が乾いていることを目安にして水を与えますが、コケは葉が縮れていたり、触ってみて乾いていたら水を与えます。

水やりする時間としては、日が当たる時間、つまり早朝がよいでしょう。

ただし、置き場の環境でも、乾燥の度合いが違うので、注意しましゃう。

鉢植えのものは、鉢が小さいと乾きやすくなります、水やりとは別に時々霧吹きで水を吹きかけてあげましょう。

苔玉はバケツに水を入れ、数分間沈めて吸水させます。

気泡がなくなる状態が目安になります。




★どうしても乾燥しやすい場所に置かなければならない場合や、長期間留守にする時は、受け皿に水を十分含ませた軽石を敷き、その上に鉢や苔玉を置くなど工夫しましょう。


◉肥料=百害あって一利なし

コケには根がなく、土中から養分を吸収しないので肥料は不要です。

カビや藻類が生える原因になってしまいます。

★病害虫

葉が変色したり、カビ(白カビなど)が見えたら、早めにその部分を取り除きます。

時間はかかりますが、症状が軽ければ元の状態に回復します。

室内ばかりで長期間置いた状態が続くと、白カビが発生する事があります。

定期的に外気に当てましょう。

◉参考ブログ
※苔玉盆栽 No.52
※コケ(苔)の話 No.81
※コケの胞子 No.90
※小さな盆栽、苔玉を暮らしの中に No.97
※花のない植物コケ胞子隠花植物 No.187









2019/07/15

クリ(栗)  No.164

クリ ブナ科クリ属 落葉高木

縄文時代から栽培されていた歴史ある果樹

全国の山地に自生する。

日本、中国、ヨーロッパ、アメリカなど、北半球の温帯地域を中心に世界で10種類ほどの原生種が知られています。

6月に黄白色の細長い花をつけ、9月頃にトゲのある総包(イガ)に包まれた果実がなります。

中国の天津甘栗、ヨーロッパのマロングラッセなどの菓子類でも知られるように、古くから各地で果実を食用に用いていました。

日本でも青森県の三内丸山遺跡の発掘により、縄文時代からすでにクリの木が栽培されていたことがわかっています。

中世には果実を干した「カチグリ」が保存食、非常食として重宝され、その名前から、戦に勝つための儀式にも使われました。

★樹皮、果実、葉を乾燥したものは、胃腸薬やかぶれ、火傷などに効く薬草トシテモ利用されていました。




タンニンを多く含む赤褐色の木材は、固くて水に濡れても腐りにくく、しかも加工しやすいと言う優れた性質があり、古くから建築材として土台や柱に使われる他、線路の枕木にも使われていました。

クリの名前は「黒実=クロミ」が転化したものと言われて「栗」という字を当てますが、これは本来、中国原産のクリを指し、日本産のクリはシバグリ、ニホングリと呼ばれる小粒の別種てす。

江戸時代から品種改良が行われるようになり「丹波」などの品種が作られ、大正時代に入ってから各地で盛んに園芸種が栽培されるようになりました。

その後、昭和16年に発生した、クリタマバチという害虫によって全国的な被害を受けた。

現在ではこの害虫に強い品種、丹沢、森早生、豊多摩早生、筑波、伊吹、日本産と中国産の一代雑種「利平」などの品種が多く栽培されています。

◉外国原産の品種は育ちにくいため、国内で栽培されているクリは大半が日本原産のものです。

品種改良された日本のクリは、外国産のものと比べて渋皮が剥けにくいものの、実が大きいのが特徴です。

その他、変わったところは枝が垂れるシダレグリ、イガのトゲが短いトゲナシグリ、ひとつのイガに果実がたくさんできるハコグリなどの変種もあります。

性質、特徴、生育管理

自花不結実性の品種があるので、2品種以上を植える。

日陰には非常に弱いので、建物の陰になる場所は避ける。

早生種は8月末から収穫できるが、普通は9月から10月が収穫期である。

◆害虫が非常に多い。
カミキリムシの成虫と幼虫、ゴマダラノメイガ、クスサン、アブラムシ類、カイガラムシ、コガネムシなどが代表的な害虫です。


胴枯れ病=幼木期に発生する。

全国で栽培が可能ですが、寒地では、株元の凍結、暖地ではテッポウムシなどに注意。

植え付けはできるだけ広い場所を確保する。

植え付け時期は2月から3月の春植えです。

苗木には低つぎ苗と高つぎ苗がありますが、庭木の場合は、低つぎ苗は寒害を受けやすいため、高つぎ苗を選らんだ方が無難です。

雌雄異花で自家受粉しにくいため、植えつけに際しては開花時期が近い別の品種を1~2本、同時に植えます。

結実を促すには有機肥料を多く必要とします。

植え付け時の元肥のほか、12月~3月にかけて寒肥をたっぷり施すのが基本です。

また、7月~9月の果実が肥大する時期によく観察し、必要に応じて追肥します。

◆クリのせん定

放任すると大木になるので、庭植えでは樹高3~4メートルほどで樹芯を止めて大きさを保つ事が大切です。

苗木から3~4年経つと、充実した前年枝の先端に花芽がつき、葉の付け根に雄花、雌花が咲きます。

冬期せん定の時にこの枝の先端を切り詰めない事が大切です。

樹形を保つには、春に間引きせん定をします。

日陰ができると枝枯れするので、日陰の枝が出来ないように間引きます。

◉クリの実の落果

クリの特徴として自然に実が落果してしまう、生理的落下現象が7下旬から8月上旬頃に見られます。

★クリの実の生理的落下の予防策
①土壌管理を見直し、排水や通気性をよくし、堆肥や腐葉土などをすきこむようにする。

②実の成る結果母枝を、正しく育てあげる。

③せん定で、木の内部まで日照がよくなるように手入れを行う。

④夏と秋に肥料切れにならないように、肥料管理をよくする。

⑤徒長枝が出たら早めに切り取る。





2019/07/14

ムクゲ(木槿) No.163

ムクゲ アオイ科  落葉広葉樹

別名/ハチス      「木槿」


中国、インド原産ですが近縁種が非常に多く、熱帯から温暖地帯にかけて二百種類を超える仲間がいます。

食用のオクラなどもムクゲの仲間です。

真夏の7月から9月にかけてちょっけい5~10センチになる紫紅色の5弁の花を咲かせます。

花は朝に開き、夕方にはしぼんでしまう1日花ですが、夏の間中次々と咲き続けます。

日本には奈良時代に胃腸薬として伝わりました。

◉韓国の国花でアジア一帯で広く親しまれている。

フヨウをはじめ、園芸用として栽培されている、類似種が非常に多いのも特徴です。
ハイビスカスやアメリカフヨウなどもムクゲの仲間です。

◆フヨウなど他の類似種は、冬に太い幹、枝を残して地上部が枯れてしまうのに対し、ムクゲは耐寒性があり、冬でも株が枯れずに残ります。



強せん定にもよく耐えるので、この種の仲間の中では最も育てやすいと言えるでしょう。



◉病害虫

新芽が伸びはじめた頃から、アブラムシが発生します。

夏にはテッポームシ(カミキリムシの幼虫)の発生。

コガネムシが葉を食べる事があります。

また、つぼみがアオムシに食害され、つばみが落下してしまう。

これについての報告をあまり聞かないが、被害は大きい。

次から次と拡大します。

◆ムクゲの生育管理

日光を好み、日当たりさえよければ乾燥ぎみでも、かなり湿気の多いところでも土質を選びません。

ただし、長期間花を楽しむには、よく肥えた保水力に富んだ場所に植えたいものです。

ムクゲは生長がとても早いので、施肥は生育の具合を確認しながら行う必要があります。

★一般的には、冬期に堆肥や腐葉土を株元周りに、6月上旬、9月上旬に油かすなどを少量与えるようにします。

肥料の与えすぎに注意しましょう。

◉せん定

自然樹形を生かした整姿が一般的ですが、放任すると、3~4メートルほどの高さになってしまうので、大きくなった株は春先(2~3月)に太い枝の部分から切り戻します。

常に2メートル前後に樹高を保ちながら花を楽しむことができるでしょう。

花は、長く伸びた新梢の先につくので、夏に花が左記おわったら、新梢の根元から20センチほど残して切り、肥料を与えるともう一度咲きます。
一重咲きと八重咲きがある。

生け垣の場合は、晩秋から翌春までの間に、前年枝をすべて刈り込みます。









2019/07/12

キウイのせん定 No.162

キウイのせん定について

実ものの中でも、特に枝が伸びすぎて困る事が多いキウイ。


キウイは、日光をたいへん好み大柄な木になるツル性の果樹で、生長力がとても強く、半年で2~3メートル伸びることも珍しくありません。

冬にかなり思いきったせん定をしても、梅雨明け頃までには、新梢がうっそうと茂ってきます。

そのままにしておくと、枝葉が込み合い、日照不足で黄ばむ葉が増え、落葉してしまうものもあります。

当然、果実も十分に大きくならないので、品質も悪くなります。

また、6年に実をつける結果母枝も充実しないので、翌年の収穫にも影響が出ます。

その為、キウイは夏場のせん定が欠かせません。

まだ実が成らない苗木、幼木の場合も、成木になった時の樹形を考えたせん定を行う必要があります。


①結果枝(実がなっている枝)のせん定

一メートル以上の長い枝は、5~6個の果実を残して弱いものは摘果した後、果実の上の葉を8枚ほど残して先端を切ります。

葉を残した部分が翌年の結果母枝になります。

中程度の長さの枝は、同様に摘果した後、先の方の絡まった枝葉を切り落とします。

50㎝未満の短い枝は、1~2果残して摘し、せん定はしません。


 「結果枝のせん定」

②発育枝(実がついていない枝)のせん定

結果枝と同時期に伸びた発育枝は、翌年の結果枝にするため、付け根から14~15枚の葉を残した部分で先端を切ります。

結果枝より後から伸び、大きく伸びた発育枝は徒長枝ですから、付け根から切り取ります。


                       「発育枝のせん定」
        ✻発育枝= 実がついていない枝                           

③誘引

せん定が終わった枝は、重ならないように棚面に誘引します。


       枝が重ならないように棚面に誘引


④ポール仕立て、鉢植えのせん定


ポール仕立てや鉢植えなど、小ぶりに仕立てた成木のせん定は、果実の先に3~4枚葉を残して、先端を切り詰めます。



また、新梢が支柱に巻き付いてうるさくなった場合は、巻き付いた先端を切ります切り取るか、巻き付いていない枝の部分で切り戻します。

夏期せん定後に伸びる新芽は、その都度、支柱に誘引します。

◉夏のせん定は、切りすぎると日焼けなど樹勢を弱める原因になります。

あくまでも果実の日照、通風をよくするために行い、極端に切りすぎないように注意しましょう。

◆キウイを楽しみたいが庭が狭いという方には、キウイのように枝が暴れることが少ないサルナシの品種がお勧めです。

小ぶりの果実はキウイそっくりで、味もほとんど同じです。


※参考ブログ
キウイ No.75 
キウイの新梢の誘引 No,139






サルビアの葉が枯れ始めた No.161

サルビア

別名 ヒゴロモソウ


梅雨明けたら、サルビアの株が元気がない。

葉が黄色くなって枯れ始めた。

◉夏の暑さで弱ったところに、ハダニが発生したためと思われます。

サルビアの仲間は、どの種類も丈夫で花つきがよく、比較的育てやすい草花です。

しかし、花壇用のスプレンデンスのように高温多湿の環境を苦手とするものも少なくありません。

◆スプレンデンスは梅雨が明け30℃以上の高温と強い日差しを受けると、生育が悪くなるだけではなく、病害虫の被害を受けやすくなります。

なかでも深刻なのは、ハダニの被害です。

気温が上がり乾燥しやすくなると、いつの間にか葉裏に発生し、あっという間に被害が広がり、葉が黄色く変色し、枯れ始めるものも出てきます。




これを放っておくと、被害がいっそうひどくなるので出来るだけ早めに、殺ダニ剤を散布して駆除に努めるとともに、用土の加湿に気をつけて水やりをし、乾燥しやすい時期には葉水なども与え、乾燥を少しでも防ぐようにしましょう。


★サルビアはシソ科サルビア属の一年草または宿根草です。

開花時期は6月から10月。

初夏から晩秋にかけて、茎や枝を伸ばし、次々と花を咲かせ続けます。

10月下旬から室内で管理すると冬を越すことができます。

※夏の対策として、8月に切り戻します。

敷きわらまたはピートモスで乾燥を防ぐ(マルチング)

※殺ダニ剤を早めに散布する。