クロマツ (マツ科常緑針葉樹)
日本の風景を代表する樹木の一つで、アカマツを「女マツ」と呼ぶのに対し、クロマツは「男マツ」と呼ばれます。
マツ類の盆栽と言えば、生長が遅く作り込む楽しみの多い、ゴヨウマツが第1にあげられますが、優美なアカマツと並んで人気の樹種です。
長く固い葉が2葉ひと固まりにつきます。
樹皮は灰黒色で亀甲状に割れます。
マツ類の中でも最も樹勢が強く、樹脂が多いのも特徴です。
◉管理場所
年間を通じて日当たり、風通しのよい所で管理します。
真夏に葉焼けを起こす恐れがある場合は、よしずなどで棚を覆って半日陰の状態にしてやります。
極寒地を除いて、冬期も戸外で管理できます。
冬に鉢土が凍結する地方では、鉢土の上に小石を置いたり、鉢ごと土の中に埋めると、凍結や霜による寒害を防止することができます。
◆水やり
夏の暑い時期は、1日3回の水やりが理想です。
時間は特に限定しませんが、①早朝と②午前中、③夕方を目安にするとよいでしょう。
冬は1日1回を基準にして、土が乾いたらその都度水を与えるようにします。
いずれの場合も、鉢底から水が抜けるまでたっぷり与えます。
また、夏の夕方は、葉に水(霧吹きなど)をかけて、葉の温度を下げます。
設置場所にもより、春、秋は朝夕2回水をあたえなければならない場合がありますが、原則として、春、秋は朝夕水やりをしません。
(模様木)
★肥料
肥料は原則として油粕などの有機肥料を春(3月~5月)と秋(9月~10月)の各1回の年2回固形肥料を与えます。
鉢の直径10㎝に対して一個を目安にし、鉢の縁に置き、毎回置き場所を変えて置きます。
樹勢が弱まっているものや古木などには、肥料と一緒に樹木の生長に活力を与える活力剤を使うとよいでしょう。
春肥は、若木や芽切りを行う株には早めに十分与えるようにします。
成木は、春の肥料をやや控えめにし、秋の肥料をたっぷり与えるとより引き締まった木になるでしょう。
◉剪定、整姿
節間の詰まったよい樹形にするには、みどり摘みが欠かせません。
庭木のみどり摘みは通常年1回ですが、小ぶりに仕立てなくてはならない盆栽の場合は、芽が出る順に年2~3回行います。
生育状況によって多少異なりますが、基本的に最初の新芽(一番芽)はすべて元から取るようにします。
半年ほどすると新しい芽が出てくるので、その時弱い芽はかき取ります。
やがて同じ位置から2番芽が伸び、短葉でバランスのよい形になります。
また、その年に伸びた新梢は、秋に主要なものだけを残して切り取ると、そこから翌年伸びる小さな芽が出ます。
春のみどり摘みと秋の新梢の整理を繰り返すことで、樹高を小さく保ちながら芽数を増やし、節間の詰まった盆栽に作り上げることができます。
一般に、古葉引きは12月頃に行います。
方法は庭木と同じように今年の葉だけ残して古い葉を落とします。
生長力の強いクロマツは、葉が長く伸びるため、盆栽では長い葉と幹、枝とのバランスが悪くなる場合があります。
そんな時は、適当な長さに葉先を切り詰めます。
切ったそのままでは、葉先の切り口が茶褐色に変色する場合があります。
切り口を真水にごく少量の酢を溶いた溶液(濃度3%程度)を切った葉先をすぐに洗っておくと、葉の変色を防ぐことができます。
★植え替え
若木は2年~3年に1回を目安に植え替えます。
成木は4年~5年に1回を目安に植え替えます。
適期は3月中旬~5月、9月中旬~下旬です。
用土は排水性の高い土を用います。
赤玉土7~8、桐生砂3~2の割合で混ぜた混合土などが一般的です。
◆病害虫
カイガラムシ、アブラムシ、シンクイムシ、アカダニなどが発生する場合があります。
発生期にはスミチオン乳剤などの殺虫剤の定期散布で対処します。
冬期に石灰硫黄合剤の20~30倍液を消毒しておくと病害虫全般の予防になります。
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