緑のお医者の徒然植物記

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木曜日, 5月 21, 2020

落葉樹のせん定について No.222

落葉樹の基本せん定

庭木は春になると新しい芽を出す準備行動を始めます。

やがて芽をふくらませ葉を展開しそして枝を伸ばします。

そのまま生長を続けて、7月下旬の梅雨が明ける頃になると一旦生長を止めます。

秋になると多少生長して、幹や枝が充実するが秋の終わり頃には、葉にたくわえられた栄養分が幹に移っていき、幹や根で貯蔵されます。

そして生長を中止した落葉樹の場合は葉を落とし休眠します。

〈春〉

まだ花芽が伸びていない2月から3月上旬頃までに軽いせん定、整枝を行います。

新芽が開くようになってからでは、貯蔵されていた栄養分が、新しい枝や葉の生長に向けられているのでせん定、整枝をすることによって、栄養分を落としてしまうことになります。

新芽が開き生長している時には、芽かき、芽つみ、混みすぎた枝抜き、花が咲き終わった後の花芽の分化の早いもののせん定を行います。

春は花木などを除き、樹形を整える程度の軽いせん定、整枝にします。

〈夏〉

夏は幹や枝に栄養がたくさん貯えられてる時です。

せん定すると樹勢の減退に繋がります。

春から生長してきた枝の伸びが一旦止まるので樹形を整えるために、間引き、切り戻し、芽かきなどにより、徒長枝や密生し過ぎた枝など、余分な枝を取り除く程度にします。

梅雨が明ける頃には、土用芽といって、新芽が出てくるので、刈り込みにした樹木などの刈り込みせん定を行います。

花木類では、6月から8月が花芽の分化期なので、せん定は行わないようにします。

花芽を切り取ってしまう原因になります。

※花芽分化(期)=花芽と葉芽のいずれかに分かれる時期のこと。


〈秋〉

初秋の頃は、まだ葉がついてる枝は充実期にあります。

この時期のせん定は、樹形の乱れを直す程度の軽い切り返し、枯れ枝の除去などを行います。

晩秋になって落葉した落葉樹は、冬のせん定に準じて行います。


〈冬〉

栄養分は根の部分に貯えられており、幹や枝には栄養分が少ないので、切り除いても樹勢の減退にはなりません。

特に11月から3月はせん定の適期です。

思いきって樹形を整えるために、間引き、切り戻しなどの強いせん定を行う事ができます。

花木の場合も花芽が大きくなり、他の芽と区別が出来るようになります。

せん定、整枝は木の栄養分の消耗が少ない時期を選びます。

つまり、せん定、整枝をした後に、幹や枝の切り口が早くふさがる期間に行う事が重要です。

夏の間にせん定しては、樹勢の減退に繋がります。

どうしても切り除く必要がある場合は、混み合った枝や重なった枝などに限定した軽いせん定に止めます。

◉花木類のせん定、整枝時期

落葉樹の中でも特に、花木類はせん定、整枝の時期に気をつける必要があります。

時期を誤ると、花の咲かない樹木になってしまいます。

適期は冬期せん定(12月~3月)と花後せん定の2タイプに分けられます。

この分類は花芽ができる枝、花芽ができる時期、花の咲く時期の違いによって決まります。

当年生枝の花木は冬期せん定が原則

春から伸びた枝に、その年の内に花が咲く花木が当年生枝の花木です。

休眠期に当たる冬期にせん定します。

せん定後の春から初夏に新芽が伸び、その新梢に花芽がついて開花します。

新芽が活動を始める前の冬期にせん定をすれば必ず花をつけます。

花後せん定は花柄取りや、二番花を咲かせるためのもので補助的なせん定に該当します。

当年生花木は、冬期せん定時期での花芽のつき方で2タイプに分かれる。

◉①のタイプ

葉腋の芽に花芽と葉芽の区別ができるもの。

※葉腋(ようえき)=枝と葉柄との付け根部分をいい、そこに花をつける事を葉腋に咲くと言います。

冬の休眠期に、翌春開花枝となる花芽が確認できるタイプで、その芽が伸びる前までに、花のつく花芽を考えながらせん定します。

◉②タイプ

葉腋の芽に花芽と葉芽の区別ができないもの。

冬期にほとんど芽が確認できず、冬期せん定後の春から伸びた枝(新梢)は全て開花枝となります。

そのため①と違い、芽の位置に注意しなくてもせん定できます。

◉前年生枝の花木は花後せん定が原則

「当年生枝の花木」は厳密に言うと、春から夏までの約半年間で花をつけますが「前年生枝の花木」は一年間で花をつけるものです。

花後に新梢が伸び、夏に充実して花芽をつけ、花芽は冬の間は休眠し、翌春に花を咲かせるものです。

開花時期からみて前年にできた枝に花をつける花木を言います。

花芽が休眠している冬にせん定すれば、つぼみを切り取ることになり、翌春に花が咲かないので、花後せん定が原則になります。

それも花が終わった直後のせん定が基本になります。

例えば、開花時期が遅いツツジ類などは、開花後すぐに花芽形成が始まるので、花後しばらくしてからせん定を行うと、翌春に花が咲かないことになります。

◆前年生枝の花木にも、冬の休眠期での花芽のつき方が3タイプあります。

①花芽が頂部に作られるもの

花が終わった直後にせん定します。

冬期に枝先を切り詰めると、花芽を切り取ってしまうことになり、翌春に花が咲かなくなる。

②頂芽及びその下の側芽数個が花芽になるもの。

花後せん定のほか、枝を切っても萌芽しない12月以降に花芽を確認しながら冬期にせん定する。

ただし、冬期せん定は、花芽を一部切り取ってしまうことになるので、翌春の花数は少なくなる。

③頂上から基部までの側芽が花芽となるもの。

花後せん定及び冬期せん定

冬に枝を切っても花数は減少しますが、枝いっぱいに花芽があり、確実に花をつけます。

花後に翌春の開花数を考えながら、切り詰めて冬期の軽いせん定で整枝する。










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