植物に必要な中量要素
チッ素、リン、カリウムの三大要素に次いで、重要な成分であるカルシウム(Ca)マグネシウム(Mg)イオウ(S)に「中量要素」と呼びます。
カルシウムは、植物の細胞分裂や組織形成に関わる成分で、不足すると新芽の先や葉の先端の色が白っぽくなり、枯れてきます。
カルシウムは細胞壁成分の1つであるペクチン酸のカルボキシル基と、架橋を作ることによって細胞壁の構造の維持に関わっている。
大半は細胞壁や細胞膜などの部分(アポプラスト)に存在し、細胞質内の濃度はごくわずかで、ショウ酸と不溶性の塩を作って液胞中に存在する。
細胞質内ではタンパク質(カルモジュリン)と結合し、セカンドメッセンジャーとして機能している。
その他、ATPase、ホスホリパーゼなど膜結合性酵素を賦活化する。
❉賦活化(ふかつか)
活力を与えること、活性化
❉ホスホリパーゼは、リン脂質を脂肪酸とその他の親油性物質に加水分解する酵素である。
触媒する反応の種類により、A.B.C.D.の4種に大きく分類される。
❉触媒(しょくばい)とは、一般に、特定の化学反応の反応速度を速める物質で、自身は反応の前後で変化しないものを言う。
化学的には触媒は、化学反応を促進させるような物質のことである。
マグネシウムは、葉緑素を構成する元素で、すべての植物にとって重要な成分です。
不足すると、古い葉から順に葉脈と葉脈の間が黄色くなってきます。
マグネシウムは、葉に含まれる約10%はクロロフィルの構成成分となっているが、70%は水溶性で多くの酵素の活性化や、細胞pH調節アニオン(陰イオン)のバランス維持に重要な役割を果たしている。
酵素タンパクと「ATP」との間に、架橋を作りリン酸化反応を助ける。
また、「グルタミン合成酵素」の活性化やタンパク質合成系に関与する。
ATP(アデノシン三リン酸)とは、すべての植物、動物及び微生物の細胞内に存在するエネルギ分子です。
細胞の増殖、筋肉の収縮、植物の光合成、菌類の呼吸及び酵母菌の発酵などの代謝過程にエネルギーを供給するために、すべての生物が利用する化合物である。
グルタミン合成酵素は、細胞内の窒素利用を制御する上で中心となる酵素である。
グルタミンはタンパク質を作るだけではなく、DNA塩基やアミノ酸のように窒素が多く含む分子を作る酵素に、窒素原子を渡すのにも使われる。
そのため、グルタミンを作るグルタミン合成酵素は、慎重に制御されなければならない。
イオウ(硫黄)は、タンパク質、アミノ酸、ビタミンなどを構成する元素なので、全く無いと植物は生育できません。
火山の多い日本では、天然の土壌中に含まれているので不足することは殆どありません。
鉄、マンガン、ホウ素などの量としてはごく微量でも、植物の生育に欠かせない元素を「微量要素」と呼びます。
天然の供給、又は培養土や堆肥などの資材に十分に含まれているので、不足することはほとんどありません。
植物は根から硫酸イオンの形で吸収する。
葉からも少しではあるが空気中の二酸化硫黄(無機化合物)ガスを吸収する。
硫酸イオンは還元されて、含硫アミノ酸などの有機化合物に変化し、一部はそのまま膜の糖脂質(スルホリピド)に組み込まれる。
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