緑のお医者の徒然植物記

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2021/06/26

ハマボウ No,508

 ハマボウ アオイ科フヨウ属

常緑小高木 「✫浜朴✫黃槿」

神奈川県の三浦半島以西から沖縄などの、潮の干満がある海辺の河口などに生える、塩生植物、半マングローブ植物とも呼ばれる。

名前はよく似たオオハマボウのハワイの呼び方である「ホウ、how」から出たもので、浜辺に自生することによるとする説がある。

一方、牧野富太郎博士によれば和名は浜辺に生えるホオノキの意に取られ「浜朴」と書くが「ホウ」の意味は不明とし「フヨウ」の転化ではないかとしている。

もう一つの漢字名「黄槿=黄色の槿·ムクゲ」も誤用であろうとしている。

✿牧野富太郎関連記事No,396
「植物を愛し続けた博士」参照


大きなものは高さ6㍍程になるが、通常は2㍍ほどの木が多い。

砂泥の堆積した場所に群落を作ることもある。

黄色の花は「一日花」で朝咲いた花は夕方には萎んでしまう。

これはアオイ科によく見られる咲き方の特徴です。


開花期は7〜8月頃で、枝先部分の葉腋から次々に花が開きます。


花は同属のハイビスカス、ムクゲ、フヨウ等に似た形で、5個の花弁がある花は黄色で、中心部は暗赤色です。

果実はさく果で先端が尖り、5つに裂けて種子が出ます。

木材は、キクラゲ原木栽培のホダ木に使われ、樹皮の繊維をロープに利用した。

かつては園芸用に栽培されることもあった。



                                       「ハマボウ」


類似種

オオハマボウはハワイや台湾などに自生し、樹高、花ともハマボウより大型で、花は同じ黄色だが、夕方には赤く変色する。

葉の基部を見ると、深いハート型になるので区別できる。

日本では、小笠原や屋久島以南の海岸に生えている。


                             「オオハマボウ」


生育環境

潮風や強風に強く、海辺では暴風や砂防林として利用されることがある。

よく葉を茂らすので生け垣に利用することもできる。

日当たりが良く排水の良いことが場所に適します。

岩場のような場所に自生があるように、乾燥に強くまた、土質も選びません。

日陰地でも育ちますが、木漏れ日ぐらいの日当たりは必要です。

次々に花を咲かせるには、枝先部分を切り過ぎないことが大切です。

殖やし方は挿し木と実生によります。


絶滅危惧植物

護岸工事や河川改修などの影響により、ハマボウの生育地は減少の一途を辿っており、絶滅危惧種、或いは準絶滅危惧種に指定されている府県も多く、地域によっては消滅した群落もある。



市町村のシンボルとしての指定樹

徳島県鳴門市の花(1983年)

和歌山県御坊市の花木(1994年)

福岡県糸島市の花(2011年)

長崎県西海市の花木(2009年)

熊本県天草市の花(2009年)

植物保護と両立した人類の生き方を正し、考えなければならない時代に来ている。

主な天然記念物のハマボウ

自生地では天然記念物に指定され保護されている。

鹿児島県南さつま市
万之瀬川河口域  (国定天然記念物)

福岡県糸島市(市指定天然記念物)
泉川のハマボウ

神奈川県横須賀市(県指定天然記念物)
天神島のハマボウ

伊豆下田市(市指定天然記念物)
大賀茂川河口のハマボウ







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