緑のお医者の徒然植物記

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2021/02/09

ギシギシ 雑草と言う名の薬草 No,369

ギシギシ タデ科ギシギシ属

ギシギシの仲間たち

全国各地の道端や荒れ果てた土地に、「ギシギシ」は生育する。


                           (ギシギシ)


大きな葉姿が牛が舌を出したように、あっかんべーしている様子に似ていることから、「ウシノシタ」とも呼ばれるが、様々な諸説もある。

ギシギシは重要薬草の一つで、お腹に優しい下剤、或いは解熱、皮膚病の改善、強い抗菌作用が知られる。

その他西洋では「春の強壮剤」として知られています。


ギシギシの根っこを掘れば、なるほどと薬草の風情たっぷりである。


            (エゾノギシギシの根茎)


夏から秋に掘りあげて乾燥させたものを薬用にする。

葉は食用に利用される。

ただ、安易な使用は皮膚病や嘔吐の危険があるのも事実であり、注意しなければならない。

また、ギシギシは「冬の山菜」でもあり、若芽にジュンサイを思わせる食感がある事から、オカジュンサイとも呼ばれます。


エゾノギシギシの新芽、赤矢印


株元の中心から生えてくる、柔らかな新芽の部分はみずみずしく、ヌメリがあり爽やかな酸味で美味。

味噌汁の具やお浸しにして、酢じょうゆや酢味噌と和えて、食しても美味しい。

ただし、痛風や結石の原因となる硝酸を豊富に含むため、よく茹で、よく水にさらして、硝酸をしっかり抜く事が肝要です。

ギシギシは見分ける事が悩みと言える薬草です。

主に食用、薬用とされるのはギシギシ、エゾノギシギシ、ナガバギシギシの3種です。

簡単に見分けるなら、果実の形に注目します。

デベソ的な突起がありますが、ここに✻瘦果が宿る。

✻瘦果(そうか)

果皮が堅い膜質で熟すと乾燥し、一室に一個のの種子を持つもの

タンポポ、菊、キンポウゲなど

多くの被子植物に見られる単純で乾いた果実の一種である。

成熟しても種を飛ばすことはなく、瘦果の種子は果皮に包まれている。

種子と思われていたものが実は、瘦果だったと言う事はよくあることである。

これを取り囲んでいるものを翼(よく)と呼ぶ。

この翼の形を比較すると覚えやすい


                      (ギシギシ)


①ギシギシは翼の回りに浅い鋸歯が並び、翼の下部が尖った三角形を描いている事も見分けるポイントです。


                      (エゾノギシギシ)


②エゾノギシギシは翼の回りが特徴的で、鋭い鋸歯を持ち、数本だけ極端に飛び出しています。


                        (ナカバギシギシ)

③ナカバギシギシは、ギシギシと非常によく似ていますが、鋸歯は緩やかで全縁に近く、翼の下部が丸みを帯びている事に気がつけば、見分ける事ができるでしょう。


ギシギシの3種は以上ですが、他種との交配も盛んであるため、中間種が増え、見分けが困難になっています。

前述したポイントを覚えておけば、見分けるための絞り込みが可能です。

ギシギシは繁殖力も旺盛であるため、栽培植物にとってはとても迷惑な存在です。

けれど、他の雑草に比べたら数も少なく、よく目立つのでわかりやすい。

みずみずしく、爽やかな食感といい、有り難い薬効もありますが、すぐに手を出せぬ薬草です。

ギシギシ君が、「あっかんべー」と
舌を出し、食べて見んねと言うけれど、ギシギシと歯ぎしりするのである。