毒は変じて薬となる
ブログNo,358で「クソニンジン」と言う植物のことを紹介しましたが、身近に役立つ植物は昔から存在し、今までに多くの薬が作られてきました。
「薬の王様」と言われるのは、鎮痛や解熱剤として、世界的に利用されている「アスピリン」と言う薬です。
この薬はヤナギの成分から作られました。
ヤナギには、抗菌、鎮痛、解熱の作用を持つ「サリシン」と言う物質が含まれています。
しかしこの「サリシン」は副作用が強いので、「サリシン」から「サルチル酸」が作られました。
これは一時、防腐剤として使用されましたが、更に副作用のない「アスピリン」が作られたのです。
樟脳(しょうのう)と言う防虫剤はクスノキから生まれたものです。
この木の葉は、木に付いている時には殆ど香りを出しませんが、摘み取った葉を手で揉んで葉に傷をつける事で、強い香りが出ます。
それはなぜかと言うと、虫に食べられて傷がついた時に虫を、退治する為に放出される香りだからです。
「タミフル」は新型インフルエンザに効く薬ですが、シキミ科のトウシキミの実である八角(はっかく)の成分で作られています。
真夏の暑さにもめげず、毎日のように花が咲く事から、名前の由来となっているニチニチソウ(日々草)と言う植物は、「ビンブラスチン」や「ビンクリスチン」と言う有毒物質が含まれています。
これらの物質から、抗がん剤が作られています。
東北地方の代表的な春の山菜であるギョウジャニンニクはイヌサフランと間違って食べられて、中毒事件を起こします。
「イヌ」と言う語の付く名前は、役立たないが姿、形がよく似ている植物の事を表しています。
「イヌ」とつく事で食べれない植物と思われます。
サフランは高価な生薬や香辛料に使われますが、イヌサフランは生薬に使えないので「イヌ」が付けられたのでしょう。
ところがイヌサフランは「コロヒチン」と言う痛風の治療薬の原料として役立っています。
「毒は変じて薬となる」
有毒物質を持つ植物というと、特別な植物と思われやすいですが、しかし、毒性が強いか弱いかは別として、多くの植物は有毒物質を持っています。
虫に食べられることから身を守り、また病原菌を感染させない為でもあります。
これらの有毒物質は、毒は変じて薬となると言われるように、有毒物質を持つ多くの植物の成分が薬として利用されているのです。
時代とともに役に立つ植物も変わってきます。
それは古くから使われてきた薬が効かなくなって、新しく薬の開発が求められる事と、役立つ植物もその時代の生活と技術を背景に、変化し続けているからです。
この時代(21世紀)に生きる人々は、植物の多様性を守り、植物たちと共存、共生しなければなりません。
その為に、植物たちをこの時代に絶滅させてはいけないのです。
地球環境、温暖化など人類化学が発展する一方で、地球規模で全ての環境を壊している事を自覚しなければならない。
思っている以上に地球環境破壊は進んでいると思います。
これからも多種多様な植物たちが、人々に恵みや豊かさをもたらしてくれるはずです。
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