モチノキ モチノキ科 黐の木
原産地=本州の東北地方以南、四国、九州、朝鮮半島
モチと言う名前は、粘り気の強い反面樹液に由来し、樹皮から鳥もちを取るのでこの名がある。
樹皮をすりつぶしたり、突いたりすると、鳥もちになる。
最初は皮を金づちなどで叩いて柔らかくしてから、摺り潰するとトリモチにしやすい。
それを細枝などに巻き付けて、鳥が停まりそうな場所に設置して鳥を捕らえる。
設置する場合は、停まりそうな場所をよく観察して設置する。
ただし、捕獲禁止野鳥もいるので要注意!
昔々は、野生のメジロなど小鳥を捕獲するためにトリモチが利用されました。
昔話にも「トリモチ」の名で登場するほど、日本では古くから親しまれてきた樹木です。
関東の中部以西の山野や、沿海の山地に広く自生しますが、東北地方の南部まで植栽できます。
海岸付近では防風、防潮樹として植えられていることもあります。
耐寒性が少し弱いが関東以西ではよく育つモチノキは生育度合いが鈍く、さほど手入れに手間がかからない樹で、強いせん定にもよく耐えるので管理しやすい。
ただし、仕立てものにするには、年数がかかりすぎる難点があります。
大気汚染にも強く、大型の樹木の割には根が浅いため、移植が容易である。
都市部の庭にも適した樹木と言えるでしょう。
また、葉の形状がよく似た「カナメモチ」は別種です。
◉生育環境
日当たりがよく肥沃な土壌を好みます。
比較的根が浅いので、保湿性を維持する事が重要になります。
ローム質の土壌に育てている場合は、赤玉土や腐葉土などを半分程度混ぜ、土壌改良を行う。
新たに植え付ける時は、植え穴を大きめに掘り、完熟堆肥を植え土に半分くらい混ぜて、水ぎめ法で行います。
◆水ぎめ法
植え穴に水と土を交互に入れながら植え付ける植え込み方法で、この方法は根の切り口が腐りやすい樹種、針葉樹には向いていません。
根付くまでの2~3年程は、強風などによる倒壊を避けるために、支柱を立てて保護しておくとよいでしょう。
根の活動が盛んな4月から9月頃までが、植え付け、移植の適期です。
◆病害虫
カイガラムシがよく発生します。
見つけ次第捕殺することになりますが、毎年頻繁に発生する場合は、予防を兼ねて冬期(1~2月)にマシン油乳剤の40~50倍液を2回程度散布します。
害虫の発生しやすい春から秋には、スミチオン1000倍液やオルトラン水和剤1000倍液で害虫を退治します。
◉せん定
6月~7月にかけて比較的よく枝が伸びます。
現在の樹形を維持する場合は、この時期に枝を切り詰めると、真夏期はさほど生長しないため管理が楽になります。
真夏にせん定すると枝や幹への負担が増し、枝から新たに芽吹かなくなる場合があるので避けましょう。
せん定を行う場合は、春に伸びた枝の付け根から、2~3葉程度を残して先を切り詰めます。
これを「三葉手入れ」といい、葉を残すことで再び枝先に新しい枝葉が密生し、良い姿に整います。
その後、切った箇所付近から夏芽が出て枝になります。
夏枝は途中で生長が止まり、節間が詰まるため枝先が密集して、樹冠を美しく見せる事ができます。
樹冠が大きくなった樹木は、6月~7月に基本形に沿って、一回り小さく刈り込みバサミで刈り揃えていきます。
大枝を切り取る場合は、冬場に行うようにしましょう。
秋の後半から12月にかけて、元気よく伸びた枝の2~3芽を残して切り詰め、樹形を乱さないように仕立てます。
◉肥料
強い刈り込みを行う場合は、樹木の基礎体力を維持するために、春先か秋口に施肥を行うとよいでしょう。
油粕と有機肥料を等量混ぜ、樹の大きさに応じて幹元に与えます。
生育中の場合は、2月と8月下旬から9月の間に、油粕に骨粉を混ぜて根元に埋め込むようにして与えます。
成木では春と秋の2回、少量の化成肥料をばら蒔きする程度で十分です。
◆殖やし方
実生の場合は、11月に結実した種子を水洗いして、赤玉土など肥沃な床に蒔くか、採取した種子を冷蔵庫に春先まで保存して、3月上旬に同じく肥沃な床に蒔きます。
挿し木の場合は、6月~7月が適期で、今年伸びた枝を15~20㎝の長さに切り取り、親木の育つ土壌に赤玉土を半分程度混ぜた土に挿して生育します。
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