緑のお医者の徒然植物記

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2020/09/30

タケ、ササ類 No,291

 タケ、ササ類

原生種は熱帯植物ですが、自生種も多く古くから人類の生活に欠かせない存在となっています。

タケは日本から東南アジア、インドにかけて幅広く分布し、アフリカ中南米にも見られる「イネ科タケ亜科」の植物です。

世界中で千百種類以上あり、日本に自生しているものだけでも、タケ、ササを合わせて240種にもなります。

タケは様々な竹製品をはじめ、食用、鑑賞用、治水、防災のための植栽と幅広く、活用されてきました。

最古の小説と云われる竹取物語から始まり、数多くの文学作品や美術作品に多く描かれています。

広い庭では「モウソウチク」のような大型のタケを鑑賞出来ますが、一般家庭ではあまり大きくない、クロチク、ホテイチク、キンメイチクなどが人気です。

タケとササを分けて呼んでいますが、植物学的にはもう少しそれぞれの特徴によって、分類されていますが両者の違いはありません。

樹高の高いものがタケ、低いものがササと言うのが一般的なイメージですが、タケノコが生長していく過程で節間に付いている皮が、剥がれて脱落するものをタケ、脱落せずに皮が残っているものをササとする分け方もあります。

この分け方だと、背の低いオカメザサはタケ、背の高いメダケはササと言うことになります。

地上茎が広がらずに株立ちタイプで増えていく、熱帯原産のタケを「バンブー」と呼びタケ、ササと区別しています。

日本に自生している「ホウライチク」はこの仲間になります。


 (タケとササが混植されていることも多い)


◆代表品種
※タケ類として
モウソウチク、クロチク、シカクダケ、ナリヒラダケ、ホテイチク、オカメザサなど

※ササ類として
クマザサ、カンチク、ヤダケなど

※バンブー類として
ホーオーダケ、スホーダケ、ホウライダケなど

◉病害虫
テングス病、スス病などが発生することがある。

テングス病は病変した枝を切り取り、伝染防止のため処分します。

スス病は、元になるアブラムシ、カイガラムシなどを駆除すれば問題ありません。

大量発生した場合は、発生初期の5月から9月に10日おきに2~3回、葉の部分を中心に薬剤を散布します。

枝葉が混んで日当たりや風通しが悪いと、発生するので生育環境を改善することが大切です。

特に混んだ古株を間引いたり、葉の茂り過ぎている所の葉を、葉刈りして風通しをよくします。


◉生育管理、環境
元々荒れ地に生息していた植物なので、土質はあまり選びません。

半日陰でもよく育ちますが、日当たりがよい枝葉の方が色艶が増します。

品種が豊富なので適した種類を選べば、北海道から沖縄まで日本全国で栽培可能です。

全般的に水を好むので、乾燥に注意しましょう。


◆肥料
有機質を主体に少量の化成肥料を混ぜるか、または油粕7に骨粉3の割合で混ぜたものに、リン酸を含む化成肥料を少し加え溝を掘って与えます。

時期は春先か8月から9月頃です。

◉植え付け、植え替え
タケ類の植え付け時期はタケノコの出る1ヶ月前頃で、植え穴を大きく掘り堆肥や腐葉土を多めにすき込み、元肥に鶏ふん、牛ふんを主体に少量の油粕などを混ぜるとよいでしょう。

また、植え付け後は支柱を立てます。

十分に水を与え、根元に敷きワラなどを施し、乾燥させないようにします。

品種により、春にタケノコが生えるものと、秋に生えるものとがあるので、植え付け、植え替え時期はそれぞれ異なります。

モウソウチクは3月から4月、シカクダケ、カンチクなどは秋から冬にかけてタケノコを出しますので、8月から10月が植え付けの適期になるので、季節に注意しましょう。


          (ササ)

◉せん定
若々しいタケの状態を保つためには、4年から5年以上経った古い悍(かん=一般の樹木の幹)を根元から切り取り、若い悍に更新する必要があります。

タケの年齢の見分け方は、小枝の落ちた跡を数えて判断します。

タケは一般の樹木のように、幹が生長して年々太くなったり、伸びたり枝葉が張り過ぎると言う事はまずありません。

悍の更新以外は大きな整姿、せん定は行わず自然形を鑑賞するのが一般的です。

ただし、モウソウチクなどの大型種は、伸び過ぎないように「先止め」をします。

タケが希望の高さまで生長したら、枝の出る節をいくつか残してその上を切ります。

「先止め」すると丈が伸びる代わりに枝葉が充実します。

また、枝葉が茂り過ぎてしまった場合は、重なり合う枝を整理して、小枝も短めにきり戻す枝透かしを行うとすっきりします。

中型のナリヒラダケは2~2,5㍍で先止めし、上から5~6節の枝は残して、他は切り落とします。

残した枝は半分程に切り詰めて仕立てます。

せん定な時期は3月~4月と9月~11月に行います。品種により、せん定時期が異なるので注意が必要です。

◉殖やし方
株分けは、大型のものは悍を1本、中型は3本
小型は5本を1株とし、掘り取り悍と枝をバランスよく切り詰めます。

細い根が乾燥しないように注意しながら植え付けます。
タケは根付いてしまえば丈夫でよく育ちますが、移植はわりと難しい性質があるので、細心の注意が必要です。

移植、繁殖の時期は3月~4月と8月~9月と品種により、タケノコが生える時期の違いで異なる。






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