緑のお医者の徒然植物記

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木曜日, 9月 24, 2020

リヨウブ No,285

リヨウブ「令法」落葉中高木 

リヨウブ科別名=ハタツモリ、サルダメシ

北海道南部から九州にかけて、山麓や低山地に幅広く自生する日本原産の樹木で、その他朝鮮半島にも分布が見られる。

「リヨウブ」の仲間は世界で数十種が確認されていますが、日本に自生しているのはリヨウブ1種だけです。

樹皮に特徴があり、赤褐色または灰褐色の樹皮が剥がれ落ち、まだら模様になる様子には深い味わいがあります。

すべすべした幹肌は中国から伝来した、「サルスベリ」によく似ていますが、実際にリヨウブをサルスベリと呼ぶ地方もあるようです。

また「サルダメシ」と言う別名もあります。

7月から9月にかけて枝先に、白い小花を密につけた円錐花序を形成します。

ひとつの花は5ミリ程の小さなものですが、蜜腺が発達していて、蜜を求めて多くの昆虫が集まります。

花は5弁で花びらより雄しべの方が長く伸びる。

葉は枝先近くに多く集まり互生し、先端が尖り鋸歯があります。

花もそれなりに楽しむことも出来ますが、リヨウブの魅力は何と言っても、樹皮の趣と一斉に出る、新芽の芽吹きの美しさにあります。

庭木だけでなく茶花や生花の材料としても幅広く利用されています。

大量に芽吹く若芽や若葉は柔らかく、古くは食用に共されました。

塩ゆでにした若芽を刻んで米に混ぜた「リヨウブ飯」や、天ぷらが今日でも郷土料理として残っている地方があります。

一説によると令法(りょうぶ)と言う表記は、飢饉(ききん)の時に山村の非常食として、リヨウブの葉の採取、貯蔵を命じる官令がよく発せられた事に、由来すると言われています。

リヨウブは伐採に強い、再生能力の高い樹木として知られています。

リヨウブの根は浅く広がり、地中深く伸びる直根がほとんどありません。

そのため、野生のものは強風を避けるように松やコナラなどの大木の下に、二次的発生し群生します。

浅い根は太い幹を支えるためには不利ですが、地表近くに豊富にある栄養分を吸収するには有利です。

倒れやすい反面、栄養を十分取れるので大変丈夫で幹元付近に常に、休眠状態の不定芽を多数準備しています。

そして幹が倒れたり傾くとすぐに活性化し、新しい幹として伸長すると言う面白い性質を持っています。

◆品種
園芸種として、樹高2㍍前後で花が咲く「一才リヨウブ」

日本のリヨウブより低木で小庭に向く「アメリカリヨウブ」があります。

◆生育環境
日当たり、水はけともによい腐植質に富んだ肥沃な土地を好みますが、痩せ地や乾燥地、酸性土壌にもよく耐えます。

◉植え付け
植え穴に完熟堆肥、腐葉土を十分すき込み高植えにします。

強風に当たると倒れやすいので、樹高の高い木の下など、風避けが出来る場所に植えるようにします。

植え付け後は必要に応じて支柱などで支えます。

耐寒性は強く、北海道南部まで庭植えが可能です。

◉肥料
生長力が強くよほどの痩せ地でない限り、肥料は余り必要としません。

与える場合は、鶏ふんなどの有機肥料を冬期に寒肥として、株元にすき込みます。

★病害虫
まれに「うどん粉病」が発生する場合があります。

白いカビが若い葉や若い茎、新芽などの表面にうどん粉をまぶした様に、びっしりと生える病気の総称です。

病気が進行すると、葉が変形して形状が小さくなります。

発生する時期は植物によって異なりますが、高温(20度前後)多湿を好み、4月から10月に発生します。

病気を見つけ次第、10日ごとにモレスタン、トップジンM、ベンレート、水和硫黄剤などを散布します。

チッソ肥料を与え過ぎると発生しやすくなります。

チッソ肥料を減らし、カリ肥料を多めに与えましょう。

樹木の場合は、枝で越冬している菌糸を殺すために、1月から2月に冬期限定使用薬剤の、石灰硫黄合剤を1~2回散布するのも効果的です。

この病気は数多くの植物に発生します。

◆せん定
自然樹形で楽しむのが一般的です。

倒れやすいので樹冠が重くならないように、徒長枝や枯れ枝、込み枝は付け根から切り取り整理します。

通常のせん定は、落葉期の冬に行います。

ひこばえが盛んに出る性質があるので、見つけ次第早めに切り取るようにします。

◆殖やし方
実生は10月から11月に種子を採り、冷暗所で貯蔵し、翌春の3月から4月に蒔きます。

挿し木は、6月中旬から7月上旬に今年伸びた枝を15㎝程切り、さし穂とします。

一時間ほど水揚げしてから赤玉土、鹿沼土などの用土に挿します。


(リヨウブ)





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