緑のお医者の徒然植物記

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2020/09/28

アメリカデイゴ No,289

 アメリカデイゴ マメ科

「亜米利加悌梧」落葉中高木

原産地は、南アメリカでアルゼンチンとウルグアイ両国の、国花として知られています。

夏に丸みのある蝶形の★鮮紅色(せんこうしょく)の花を咲かせます。

★鮮紅色は猩々緋色=(しょうじょうひいろ)と言われ、やや黒みを帯びた鮮やかな色です。

室町時代後期(西暦1336年~1573年)以降に流行した、ポルトガル、スペインとの南蛮貿易の舶来品で知られる色で、特に戦国時代に武士は貿易で入手した猩々緋色の羅紗、(らしゃ、セルビアの首都ラサ産でこの名称)の生地で、陣羽織などを仕立て珍重された色である。

また、猩々緋色は★臙脂色(えんじいろ)と区別するために付けられた色名で、赤みの強い赤紫色である。

◆えんじ色=黒みを帯びた、深く艶やかな、濃い紅色のこと。

アメリカデイゴの花期は長く、6月頃から咲き始め、断続的に9月中旬頃まで咲き続けます。

葉柄や葉裏にトゲがあるのが特徴です。

花後はマメ科特有の偏平楕円形の種子が入った、15㎝程の長さのサヤを付ける。

日本には、江戸時代末期(1853年~1869年)に和歌山県の白浜周辺に伝えられたのが、最初と言われています。

南国の風情がある大型の花は、比較的に耐寒性もある事から、日本の四季でもよく育ち特に、暖地の庭の鑑賞木として親しまれてきました。

遥か遠い海を渡ってきた赤い花で、マメの様なサヤが成ることから、海紅豆(かいこうず)の別名があります。

鹿児島県では特に人気の高い樹種で、県の木として指定されています。

沖縄県の県花としても有名なデイゴは、同じデイゴ属ですが、台湾、沖縄、インドを原産とする近縁種で蝶形の花が、アメリカデイゴと比べると細く、若干異なった印象を受けます。


「放浪記」のベストセラー作家で知られる、林芙美子さんがアジサイの花と共に、愛した花としても知られる。

メキシコでは、生け垣に用いるほか、花はサラダや煮物などの食用にも用いられます。

潮害、公害にも強い事から、沿岸の防潮樹や街路樹などに利用されています。


        (アメリカデイゴ)

◆園芸品種
小葉の丸いマルバデイゴ

アメリカデイゴと近縁種のエリツリナ、ヘルバケアの交雑種で、花の色が濃く小葉が菱形の、サンゴシトウ(ヒシバデイゴ)などが多く栽培されています。

◉生育管理、環境
暖地性ですが、耐寒性は意外に強く、降雪が年2~3回程度の地方であれば、露地栽培が可能です。

栽培可能地としては、関東地方南部以西が目安です。

日当たり、水はけのよいやや乾いた場所が適しています。

土質は特に選びませんが、砂質土を好みます。

◉植え付け、植え替え、移植
生長が早く移植も容易ですが、植え付け、植え替えは十分暖かくなった4月中旬に行うようにします。

浅根性なので高植えにすることが重要です。

大きくなりやすいので、出来るだけ広い場所に植えましょう。

★肥料
生長が早いので十分に肥料を与えます。

チッソ分は控え、3月と9月頃の2回に、油粕、骨粉などの有機肥料を、株の大きさに応じて根元にすき込みます。
(目安として2~3握り)

※大変丈夫な樹種で、病害虫の心配はほとんどないでしょう。

◉せん定
東京以北の関東周辺や内陸部では、本年枝は冬の寒さで枯れてしまいます。

11月中旬~下旬に付け根で切り取り、幹や太枝をワラやコモで巻いて防寒します。

花は今年伸びた枝の先端に付きます。

花は終わったものから、花の少し下で切り戻すと、晩夏にもう一度花を咲かせます。

また、庭が狭い場合は、春に2㍍程の高さで樹芯を止め、将来枝にする部分を付け根から30㎝前後で切り戻し、不要な枝は付け根から切り取って整姿します。

◆殖やし方
★とり木は新梢の組織が固まる6月に行います。

親指程の太さの枝を選び、3㎝幅くらいに環状剥皮します。

水ゴケで包み、ビニール袋で乾燥を防いで、管理すると秋までに発根します。

▲挿し木は冬または春にせん定した枝を使います。

40~50㎝に切った枝を、通常の庭土に半分程植えると夏には発根します。

◉根伏せは3月から4月に行います。
根元付近の根を掘り、3~4㎝の太さの部分の根を30~40㎝の長さに切り取り、幹側に近い方を上向きにして斜めにした状態で、土中に植えます。

夏には発芽、発根するので、凍結に注意してそのまま越冬させ、暖かくなった3月に掘り上げて定植します。

およそ3~4年で開花します。